ゼロカラアリエザルイセカイセイカツ   作:鯖みそ

5 / 10
書きたいだけで書いたせいか、兄が生えてきちゃったよ、もう混乱するよねこれ


『出来の良い弟の話』

僕には弟がいる

 

 

弟が産まれた当時は、子供ながらに邪魔だなと思った。(ぼく)よりも端正な顔立ちで、可愛くて、突然大声で泣き出すことはあったけど、他の赤子に比べたら断然扱いやすくて

 

 

 

嗚呼、親の愛は全部そっちに注がれるんだなと思った。

かくいう僕も、その弟の可愛さに胸打たれ、理解できたから

 

 

 

だからこそ__

 

 

 

理解できたから、イタズラしてやろうと思った。完全に魅了される前に消してやろうと思った

 

 

心の内の嫉妬に駆られて僕は.....

 

 

 

まだ幼い赤子の弟を.....

 

 

 

水の中に沈めようとした。簡単だ。家には川から井戸から、水を汲むためのバケツがある。そのバケツに水を満杯に入れて、そこに落とそうとした

 

 

 

 

 

でも、無理だった。今にも落とそうとした時、弟はちょうど起きて....

 

 

泣いて、親に僕の失態を、身に迫る危険を知らせようとしたと思っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......違った。弟は泣かなかった。もがこうともしなかった。だからと言って、担がれていると勘違いして、嬉しそうな表情を浮かべるでもなく

 

 

 

ただこちらを見つめていた。嫉妬しかなかった、子供ながらの残酷性、やろうとしていること全てが見透かしてそうな眼で

 

 

 

 

段々と、体が震えていった。恐怖か?それとも後悔か、後悔なのだろうな。だって、その眼は僕がやろうとしていることを理解した上で.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それを受け入れようとしていたように見えた

 

 

 

 

 

 

 

僕は、弟を下ろして、バケツを手に取って、満杯の水を一気に浴びた。当時の僕なりの贖罪か、頭をとにかく冷やしたかっただけかもしれないけど

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は今世、弟にこんな手をかけるようなことをしないと誓った

 

 

 

      ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

三年後の話だ。

 

 

 

弟が変わった。文字通り、変わったのだ。体格も、性別も、髪の色も

 

 

 

当時の人たちはそりゃもう大混乱。

 

 

 

性格だって変わった。明るくて、誰からも好かれていて、元気な笑顔が特徴的で、白い髪とあわさってとても可愛かった

 

 

今では、笑顔を見せず、不機嫌で、睨んできていて、でも本来ならこうあるべきなんだ。殺そうとした人物に対してそういった眼で向けるのは

 

 

 

弟自身か誰かの加護、権能によって別人のように変えられた可能性が高いって大人たちが言っていた

 

 

 

親は変わった息子()を、愛していた。

 

 

 

 

 

 

肝心の僕は、元に戻ったと思った

多分、弟がむけてくれていた尊敬、親愛、笑顔、その全てが、おかしいと思っていたから

本来あるべき、罵倒、嫌悪、呆れが、そうこれが、何度も言うが本来あるべき姿だ

 

 

 

 

........でも、親からは何も言われなかった。放置じゃない、疎外感は感じなかった。ちゃんと、僕を認めて、僕のせいだなんて言わずにいてくれた

 

 

 

 

僕は昔、弟を手にかけようとして、ああでも、あの誓いのあと、親にばれたけれど、そのままだった。いや違う、愛を与えてくれたこんな僕をより一層真摯に取り組んで育ててくれた。もう二度と間違いを犯さないよう

 

 

だからこそ、弟が変わったこととなんら関係無いと信用してくれた。信頼してくれたんだ

 

 

左側が締め付けられるような痛みを感じた。親としては当たり前の義務だ、誤りを犯さぬよう育てることが、その当たり前が、より一層深く愛されたことに僕は.......

 

 

 

 

 

 

僕は今世、弟が僕のような奴にならないよう、導くなんて.....なんて傲慢な誓いをした

 

 

 

 

 

 

       ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

三年後。

 

 

 

弟がいじめられた。

 

 

 

 

 

弟の変化は、弟自身の権能によるものだったようで

弟は、たったの三年で、その権能を使いこなしたようで、日によって弟か(知らないそいつ)に変わる。

 

 

 

と言っても、大抵パターンがあって、外で活動する時は体格があって、筋力もあるけど、目つきが悪くて性格も悪い妹

 

 

家とかの親しい人の前では、愛想が良く、誰からも好かれて、笑顔が可愛くて、性格もいい。......僕に取っては苦手な弟。

 

 

 

弟はその権能(正体不明)と共に生きていた。しかし、この世界はあまりにも残酷で、亜人も、ハーフも、異物も迫害される対象であったがために

 

 

人に近しかったために、人のように見えるから、なのに違う部分があるから

 

 

 

それ以外は我々()と同じ。だからこそ違いは異質なものとして輝きを増す

 

 

街の人々はその光を嫌った

 

 

だから、大人は存在ごと弟を無視して、子供は気持ち悪いとか、いじめられてるからいじめるという理由で、弟の髪をひっぱたり、小石を投げつけたり、水をかけたり.....

 

 

 

僕は、兄は、止めることができなかった。......それも怖いとかじゃないんだ

 

 

 

 

僕は

 

 

僕は

 

僕は、ザマァみろと思ったんだ。

僕は想像以上に醜く薄汚れた心を持っていたそうで、愛を弟が生まれてから奪っていきやがったからとかなかった。ちゃんと僕にも両親は忙しい中でむけてくれた。今では弟よりも僕が愛されている。良い子になるための教育もされた

 

 

それなのに

 

 

 

このざま

 

 

 

怖いからと子供ながらに弟を処理しようとした僕。勝手に導くと誓った僕。被害妄想ばかりの僕。

 

 

 

 

 

どれも醜くて、それに気づいた僕は、吐いた

 

 

 

胃の中身を、僕の黒い中身も全て吐き出すように

 

 

それは今でも続いている。同時に僕には吐く癖も治っていない

 

 

 

 

 

 

今でも醜い僕。

 

僕はどれの僕も許さない。一生許してやるもんか、幾つもの罪を重ねた僕を、いつか自らの力で罰するようにと

 

 

 

 

.......誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、その誓いは街の襲撃という火種によって燃え尽きた

 

 




しかも傲慢、怠慢、散漫。弟を救うという誓いはしないっていうクズ人間で救いもないね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。