ゼロカラアリエザルイセカイセイカツ   作:鯖みそ

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ここからは、ダイジェストでおくる彼の九年間の出来事。....その一部でございます


『怒涛の四年間』

 

誓いから数日後

 

まず勢いで、鍛錬をしてみる。

 

怒りの感情に流れて木剣を振るってみたものの、やはり独力では成長した気も、身についている感覚もしなかった。

加えて、比較してみると剣の才能等は”妹”にはあるが、”弟”にはそう言った才能はなく、近接戦は苦手のようで、こういう場合は魔法に才能がある....なんて、そんな都合のいい展開があるものかよ

 

 

ちょうどよくはある、病院に運ばれた時は妹の姿だったし、変に変化して孤児院の奴らに怪しまれるのは....

 

 

 

『ーーー?』

 

ああ、そうだったね。説明してなかったね、改めて説明すると

 

 

 

 

今、僕はとある村の孤児院にいる。孤児が行くつく先の一つ、どういう人生を歩むのか大切な選択をする場所である

 

 

子供は八人、世話する大人は三人。できたもの達というのが彼ら彼女らの簡潔な説明。

 

 

その中で僕は『反転』の権能で口の悪い”妹”の姿で過ごしていたためか、少し浮いていた。遊びに誘われることはないけど、いじめとかはなかったし、関係が悪いわけでもなく、本の感想を共有したり、ちょっとした雑談を交わす程度には仲が良かった。

 

 

 

思ってたのと違う?

復讐を誓ったとはいえ、別に全ての人間が憎いとかじゃないし、『我が修羅の道に友は不要』なんて、座右の銘とか持ち合わせてない

 

 

 

 

脱線し過ぎたな、とりあえずは独学で鍛えてみるとするって話。

 

 

 

......前世で、剣道教室にでも通えば良かったな....

 

 

 

       ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

半年後。僕は運がいい、村に騎士が来てくれた。と言っても、年老いて前線から身を引いた、自主?定年退職した老人。

のどかな村で余生を過ごす、なんとも理想的で、人生の大半を騎士という熾烈極める戦場の中で生き残った人には素晴らしい結末....

 

 

 

 

 

 

いや、うん、定年退職する法律ってないんかいって、思っちゃったよ、自己判断で退職したんだぜその人。年老いても戦えることができてしまうとか、無理して死にそうな人がいそうだなぁ、剣鬼....は年老いても現役だったなうん

 

 

 

 

 

 

 

その人は甘く、僕の身の上を話たら、すんなりと剣の師匠となった、もう二度と大切な人を失いたくないっていう、できた少年に見えたんだろう

疑いもせず、知らずに復讐の手伝いをしてくれる

 

 

さて、当たり前のことだが、独学で鍛錬した時とは比較にはならないほど身についていく....感じがした。返の仕方、振り方、どれをとっても戦闘に最適化された技法。技術、一人前になるのはまだまだだが、少なくとも自信はついてきた。

 

 

 

 

その時から孤児院の人たちから、隣人のおばあちゃんからどこか優しい目で、話しかけてくることが多くなった

 

 

         ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 

数日後、ちょっとしたイベントを開いた。孤児院の見飽きた平穏な日々、そんな日々に一風変わった味を....って感じで、景品が手に入るイベントを....僕の発案でやりました。

 

『ーー、ーー?』

 

 

と言っても、元の世界の知識を使ってビンゴ大会を開いて、司会進行を僕がやっただけで...

 

 

 

なんでか人気者になった。何で?

 

 

確かにあの時の盛り上がりは村の人たち巻き込んだけどさぁ、あの時は『もうどうにかなれ』って、自暴自棄みたくやってたんだけど

 

 

 

まぁ、チヤホヤされるってのは....悪い気分はしなかった

 

 

 

       ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

一年後、時が経つのは早いと、五年と十六年過ごした僕にとっては今更ながらに思う

 

 

 

剣の腕に関してはやはりまだまだ。そもそも、まだ筋力がついていない少年時代で、一流になれるかよ....いや、人によるか、できそうな例外いるし

 

 

 

 

あとは人目を盗んで、自分の権能の力を調べてたりする。検証してるって言い換えたほうがいいか

 

 

さて、結果はというと、ナイフの刀身が長剣くらいにまで伸びた。元々、僕が(というより親が)持っていたナイフは普通のものより大きい種類で、銭湯で相手の意表をついたり、戦い方を変えることができるのはいいことだと判断した

 

 

 

剣術はまだ鍛え途中だが、ナイフの方の上手く扱えるようにしたほうがいいな

 

 

まぁ、このナイフで、あいつ(??)を殺したいなんて思いもあるからだけどね

 

 

 

孤児院、というか村の方は熱が冷めたかのように、チヤホヤされることは無くなったけど、まぁ隣人のおばぁちゃんは採れたての野菜をくれるし、いろんな人と話すことが多くなった。ほとんどは心配と頑張れとかの励ましの言葉、もしかしたら僕が鍛錬してるのは騎士になるためとかそういう勘違いをしているかもしれない

 

 

僕は、見上げた根性も、高尚な思いもないし、鍛えて得た剣術はいつかの復讐を果たすために使うわけだけど

 

 

 

 

 

 

 

でも、期待に満ちて、尊敬の目を向ける子供達と、声をかけてくれる大人たち.....

 

 

 

 

僕は、少なからず罪悪感というものが湧いた。本当に少しだけだけどね

 

 

 

 

        ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

二年後。時が経つのはやはり早いと思いつつ、僕は今でも剣を振るっている。二年もたてば僕の剣の腕は二流くらいには育った

 

 

老齢の騎士は、その結果に大変満足して微笑んでいた。あの人からしてみればもう二度と大切な存在を失わないために直向きに鍛える青臭いガキが、立派になってきているように見えたんだろう、そう思うと、何回目かはわからない、心臓が締め付けられるような感覚がした。

 

 

 

形だけではあるが、二流になったというわけで、騎士からちょっとした勲章みたいなものをもらった。まだ半人前っていう証でもあったわけだけど、その勲章は手作りの布でできた丸い、レモン(こっちではレモム)のような黄色。

 

 

締め付けられた感覚とは違う、真反対の温かい、どこか心地よく感じれた

 

 

やっぱり、この人だけじゃない、村の人たちは優しくて、家族が死んで、身寄りのない孤児。それでも変わらず接してくれる老母、老父、お兄さん、おねいさん、孤児院を経営してる大人たちと子供たちもそう

 

 

子供の育ちの良さをみてると、保護者の教えと境遇はよく、教えてる人は正しく『良い子』がまんま大人になった姿

 

 

ああ、僕はここにいていいと.....

 

 

 

 

 

 

 

腑抜けた気持ちでいられた

 

 

 

         ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

雪が降り、村の全体が白く覆われ、家の窓から漏れ出す人間が暮らす灯火が、幻想的な風景のように見える

 

 

あれから三年と十一月。時が経つのは....本当に早い、もう年越し直前の日。僕は孤児院の人たちと一緒に祝う約束をしている。

年越しの行事は明確に言えば存在しないが、もちろん僕が教えた

 

 

ここまで時間が経てば剣の腕も一人前、才能のおかげかもしれないな、予想していた年よりも早く、あとは戦闘において必要な体の筋肉と経験を積むばかり

 

 

復讐の怨念はまだ尽きない、まだまだ怒りというのは、予想できうる平穏を享受するのを許してくれない

 

 

そんな僕でも、親友というのはできるもので、孤児院の子達の好感度はもはや最高潮と言っていい

 

 

特に、一人の女の子との仲はよく、多分、一緒にいる時間は家族の次くらいに長いかもしれない

 

 

ああ、本当に、今が一番幸せかもしれない、親友ができて、いろんな人たちに認められて、いじめなんてないし、趣味もできた。本を読んで誰かと共有することも、この風景に感傷に浸ることも

 

 

以前の演技に時間を割いていた時よりずっと、うん、幸せだった。

 

 

 

 

 

 

「雪って、こんなに冷たいんだな....」

と、前世では直接触れる機会がなかった雪の感想をポツリと呟く、知識で知っていても、実感がなければ、どうしても.....ね。

 

 

 

 

「に、しても、前が見にくいし、油断すればすぐ迷子になりそうだな」

 

ここ三年で得た土地勘を頼りに孤児院へと進む。それにしても、静かだ___

 

 

 

 

吹く風こそ、音を立てているが、人の話し声やら笑い声やらが聞こえない

 

少し疑問はあるが、村の人たちは各々、親しい人と一緒に家でこもっているから....っという解釈ですます。

 

 

 

 

それでも、その解釈で済ますことができても、不安は()ぎる

まちが滅んだ記憶、目の前で死んでゆく人々の光景。脳に焼きついた一つの惨劇が、彼に、彼の脳に最悪の想像をさせる

 

 

「大丈夫だ。まだ村は燃えていない、人の叫びも聞こえないし、それに.....」

 

 

『ーーー、ーーーーーーー?』

 

「わかってる、わかってんだよ!明日が確実に来ない世界だってのは」

 

この世界の現実は、あの時の惨劇以前から知っている。嗚呼、願わくば、もうしばしの平穏を、享受させてくれーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孤児院の扉が、開き、その先の、見難い惨劇を目にする

 

 

 

窓も、机も、椅子も、壁も、床も、天井も、あらゆる場所が血濡れて、滴り、ポタポタと落ちる

 

「....フレイ、ズベン、エル、ゲヌビ」

 

ぴちゃぴちゃ、血の水溜りを踏んで、進んで、臓物曝け出した死体の名前を口にして、まだ無事な者たちを探す

 

 

「エシャマリ、カマリ、エス」

 

 

 

「ネフェリさん、クラッカーさん、マルコスさん」

 

 

一通り、名前を呼ぶが、名前を呼んで、呼べば呼ぶほど、その者たちはもう既に死んでいたと、認めたくないのに、この肉塊が、昨日まで笑って、喋って、そして、可愛くて親しかった女の子が....

 

 

 

無惨に食い荒らされた。

 

 

 

 

「あ、ああ。.....また、ま、クレア、クレア___」

 

 

まただ___

 

 

 

また失った。

 

 

 

 

 

「これは罰だっていうのか....俺が仮初の平穏すら...でも、でもあいつら関係ねぇだろうが!!」

 

 

「なんで、なんで、二度も失うんだ。俺は....何かしたか?何もしてなかったからっていうなら今度は違うぞ!今度はちゃんと鍛えて、鍛え抜いて、剣術においては一人前になった。頑張った努力した。それなのに....それなのに__!!」

 

 

罰、確かに彼は復讐すると誓いはした。そんな彼がいっときの平穏を享受する権利などないというのか

 

復讐に身を捧げるなら、この平穏さえも必要ないというのか

 

復讐するなら、この様は、平穏に暮らしていた姿は見るに耐えなかったというのか

 

 

 

 

「ああ、誰だ。誰がやった!」

 

 

「殺す!殺してやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅーー!!」

 

 

 

『腑抜けすぎなんだよ君は』

 

 

 

ポツリと、幻は残酷に呟く

 

 




段々と狂っていくのが書きたいんですがねぇ、これ書けてますかねぇ?



.....よし、もっかい、大切な存在失おうか!
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