アルカンフェル転生   作:ぶーく・ぶくぶく

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海外の反応 『王家の元で』編

 

 

 

【International Board】日本の漫画『王家の元で』、明らかにクロノス総帥とヴァルキュリア閣下がモデルでは?

 

1:Anonymous

え?

これが許されるの?

 

2:Anonymous

日本では普通なのか?

 

3:Anonymous

普通ではない。

ただし日本なので、漫画になる。

 

4:Anonymous

いや、漫画になるのは分かる。

それが発禁にならないのが分からない。

 

5:Anonymous

うちの地域でこれをやったら発禁どころか作者が消える。

 

6:Anonymous

うちなら出版社ごと閉鎖される。

 

7:Anonymous

うちなら、王をモデルにした恋愛漫画を描いた時点で死刑ものだよ。

 

8:Anonymous

日本すげぇな。

 

9:Anonymous

日本というか、総帥の懐が広すぎる。

 

10:Anonymous

そこなんだよ。

普通の独裁者なら絶対に許さない。

 

11:Anonymous

しかも相手はただの国家元首じゃない。

世界統一組織クロノスの総帥だぞ。

 

12:Anonymous

その総帥を、少女漫画の若き王にしている。

 

13:Anonymous

しかも恋愛もの。

 

14:Anonymous

しかも側近女性との純愛もの。

 

15:Anonymous

しかも王の語彙が古代王で、令嬢に叱られる。

 

16:Anonymous

発禁で済むか?

 

17:Anonymous

でもクロノスは止めてない。

 

18:Anonymous

公式は「他人の空似」とも言ってないの?

 

19:Anonymous

公式は基本ノーコメント。

総帥本人は「好きにさせておけ」と言ったらしい。

 

20:Anonymous

強い。

 

21:Anonymous

その一言だけで、どんな検閲声明より怖い。

 

22:Anonymous

「道化には好きに言わせておくものだ」って発言、本当に古代王すぎる。

 

23:Anonymous

道化扱いされてる作者、名誉なのか恐怖なのか分からない。

 

24:Anonymous

現代語訳だと「表現者には好きに言わせておけ」らしい。

 

25:Anonymous

村上訳か。

 

26:Anonymous

村上訳が入ると急に文明化する。

 

27:Anonymous

でも原文の方が総帥っぽい。

 

 

 

/*/

 

 

 

 海外の反応は、いくつかに分かれた。

 

 一つ目は、単純な驚愕だった。

 

 世界政府の最高権力者を連想させる王。

 

 その側に立つ金髪の令嬢。

 

 望まぬ政略結婚を躱し続けた貴族の娘。

 

 若き王の側仕え。

 

 反発。

 

 信頼。

 

 恋情。

 

 どう見ても、現実のアルカンフェルとヴァルキュリアを想起させる。

 

 それを日本の出版社が堂々と連載している。

 

 しかも売れている。

 

 そして、クロノスは止めていない。

 

 海外の多くの読者にとって、そこが信じられなかった。

 

 

 

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31:Anonymous

日本人は命が惜しくないのか?

 

32:Anonymous

惜しいと思う。

でも漫画は描く。

 

33:Anonymous

日本の漫画文化、強すぎる。

 

34:Anonymous

強いのは漫画文化なのか、総帥の放任なのか。

 

35:Anonymous

両方。

 

36:Anonymous

日本では政治家や王族をモデルにした創作が昔から多いのか?

 

37:Anonymous

ある。

でも今回は相手がクロノス総帥だから次元が違う。

 

38:Anonymous

うちの国なら、まず編集者が止める。

次に弁護士が止める。

最後に治安当局が止める。

 

39:Anonymous

日本の編集者「これは売れる」

 

40:Anonymous

狂っている。

 

41:Anonymous

いや、商売としては正しい。

 

42:Anonymous

命がけの商売だ。

 

 

 

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 二つ目は、政治的な分析だった。

 

 

 

/*/

 

 

 

51:Anonymous

これはクロノスの統治方針として興味深い。

総帥自身を軽く扱う創作を許すことで、恐怖だけの支配ではないと示している。

 

52:Anonymous

いや、許しているというより、総帥が本気で気にしていない可能性がある。

 

53:Anonymous

そっちの方が怖い。

 

54:Anonymous

「王を茶化すことを許す王」は器が大きい。

だが、「茶化されても傷つかないほど自分が絶対だと思っている王」でもある。

 

55:Anonymous

なるほど。

 

56:Anonymous

総帥の余裕は、民主的寛容ではなく、古代王の超越的余裕なのでは。

 

57:Anonymous

道化には好きに言わせておくものだ、という発言がまさにそれ。

 

58:Anonymous

つまり、自由なのではなく、王の庭で遊ばされている。

 

59:Anonymous

でも遊ばせてくれるだけ、うちの旧政権よりましだ。

 

60:Anonymous

それはそう。

 

 三つ目は、純粋に漫画を楽しむ層だった。

 

71:Anonymous

それはそれとして『王家の元で』は面白い。

 

72:Anonymous

王が失言するたび令嬢が訂正するのが良い。

 

73:Anonymous

王が強大すぎるのに、恋愛面では不器用なのが王道。

 

74:Anonymous

令嬢がただ守られるだけじゃなく、政治補佐として有能なのが良い。

 

75:Anonymous

これは売れる。

 

76:Anonymous

うちの言語版は出るのか?

 

77:Anonymous

出たら検閲で半分消える。

 

78:Anonymous

いや、クロノスが許しているなら各地域政府は止めにくいのでは?

 

79:Anonymous

そこが面白い。

地元の宗教保守派や旧王党派は怒っているが、クロノス中枢が止めていない。

 

80:Anonymous

つまり「総帥本人が許しているのに、お前たちが何を怒っているのか」となる。

 

81:Anonymous

最強の盾だ。

 

 

 

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 各地域の反応は温度差が大きかった。

 

 欧州圏では、王侯貴族ロマンスとして受け入れられやすかった。

 

 ただし、旧王家関係者や貴族社会の一部は微妙な顔をした。

 

「これは我々の文化を少女漫画化している」

 

「いや、昔からそういう小説はあった」

 

「問題はモデルがクロノス総帥であることだ」

 

 北米では、エンタメとして広く消費された。

 

 ヴァルキュリアがニューヨーク名家の娘だったという証言もあり、ゴシップ性が強かった。

 

「これは実質、クロノス版ロイヤル・ロマンスだ」

 

「映画化権は誰が取る?」

 

「映画化したら死ぬほど揉める」

 

 中東や一部の宗教保守圏では、反応が荒れた。

 

「統治者を恋愛漫画の対象にするなど不敬だ」

 

「女性側近との関係を美化している」

 

「発禁にすべきだ」

 

 しかし、そのたびに別の誰かがこう返した。

 

「総帥本人が好きにさせておけと言っている」

 

「ならば、あなた方は総帥より総帥の名誉を重んじるのか?」

 

 これで議論は止まる。

 

 止まるが、納得はしない。

 

 結果として、怒りは漫画ではなく日本へ向かった。

 

「日本はなぜこんなものを平然と連載できるのか」

 

「日本の出版社は怖いもの知らずなのか」

 

「日本人は総帥を何だと思っているのか」

 

 日本側の掲示板は、これを見て笑った。

 

「漫画の題材」

 

「少女漫画の若き王」

 

「ポップコーンを買う人」

 

「語彙が古代王の人」

 

「村上閣下の胃痛の原因」

 

 

 

/*/

 

 

 

 クロノス広報局にも、各地域支局から問い合わせが殺到した。

 

 

 

 件名:漫画『王家の元で』の地域別販売可否について

 

 

 

当地域では、最高統治者を連想させる人物を恋愛漫画化することについて、宗教団体および旧支配層から強い反発が出ています。

発禁措置、販売年齢制限、または文化的配慮に基づく翻訳修正の可否について、中枢判断を求めます。

 

 

 

 村上征樹は、その束を見て頭を抱えた。

 

「世界規模の漫画対応になっていますね」

 

 アプトムは楽しそうだった。

 

「すげぇな。少女漫画が国際問題だ」

 

「笑い事ではありません」

 

「笑い事だろ。総帥が気にしてないんだから」

 

「地域社会が気にしています」

 

「総帥本人より?」

 

「はい」

 

 アプトムは笑った。

 

「面倒くせぇな、人間」

 

「ええ」

 

 そこへアルカンフェルが来た。

 

 村上は、念のため報告した。

 

「総帥。各地域で『王家の元で』の発禁要求が出ています」

 

「なぜだ」

 

「総帥を想起させる若き王が、恋愛漫画の登場人物として描かれているためです」

 

「私は構わぬ」

 

「各地域の宗教団体、旧王侯層、保守派が問題視しています」

 

「なぜ私より怒る」

 

 アプトムが吹き出した。

 

「それ、みんな思ってる」

 

 村上は真面目に答えた。

 

「総帥の権威を、自分たちの秩序維持に利用したいからです」

 

 アルカンフェルは、少し考えた。

 

「ならば、なおさら発禁にするな」

 

「理由を伺っても?」

 

「私の名を借りて民を縛る者が増える」

 

 村上は黙った。

 

 アルカンフェルは続ける。

 

「私が怒っていないことで怒る者は、私を守っているのではない。私の影で自分の法を守っている」

 

 アプトムが、珍しく感心したように眉を上げた。

 

「たまにまともなこと言うよな、総帥」

 

 村上も小さく頷いた。

 

「今回は、かなり明確です」

 

 アルカンフェルは、淡々と言った。

 

「ならば通達しろ」

 

「内容は」

 

「漫画は好きにさせておけ」

 

「現代語訳します」

 

「またか」

 

「はい」

 

 村上は端末を開いた。

 

 

 

/*/

 

 

 

 クロノス中枢から、各地域支局へ通達が出た。

 

 表現物『王家の元で』に関する中枢方針

 

 

一、当該作品は架空の王国を舞台とした創作物であり、固有の実在人物を明示していない。

 

二、当該作品について、クロノス中枢は現時点で発禁・販売停止・作者処罰を求めない。

 

三、アルカンフェル総帥本人が当該作品に対する制裁を求めていない以上、総帥の名誉保護を理由とした地域独自の過剰規制は認めない。

 

四、宗教的・文化的配慮に基づく年齢区分、販売区分、翻訳注記は地域判断に委ねるが、作品内容の政治的改竄は認めない。

 

五、総帥の権威を根拠として表現者を処罰することは、総帥本人の意思に反する。

 

 

 この通達は、世界中でさらに話題になった。

 

「総帥本人が許しているから発禁不可、強すぎる」

 

「総帥の権威を理由に規制するな、はかなり面白い」

 

「独裁者なのに表現規制で保守派を殴っている」

 

「日本すげぇ、ではなく総帥の懐が広すぎる」

 

「いや、懐が広いというか、王としての余裕が異常」

 

「道化には好きに言わせておくものだ、が本当に方針になった」

 

 

 

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 日本の出版社は震えた。

 

 発禁にならなかった。

 

 作者も処罰されなかった。

 

 むしろ、クロノス中枢が「発禁にするな」と各地域へ通達した。

 

 編集部では、編集長が頭を抱えた。

 

「これ、喜んでいいのか?」

 

 副編集長が答えた。

 

「少なくとも連載は続けられます」

 

「世界政府が発禁を止めた少女漫画って何だ」

 

「宣伝文句としては強いです」

 

「使えるわけないだろ!」

 

 だが、実際には使われた。

 

 帯にはもちろん書けない。

 

 広告にも書けない。

 

 しかし口コミでは広がった。

 

総帥が発禁しなかった漫画

 

世界政府が止めなかった少女漫画

 

他人の空似です

 

 売上はさらに伸びた。

 

 

 

/*/

 

 

 

 ヴァルキュリアは、海外反応の翻訳を読んでいた。

 

「日本すげぇな、という感想が多いですね」

 

 村上は疲れた声で答えた。

 

「日本というより、総帥が止めなかったことへの驚きでしょう」

 

 アプトムが言う。

 

「普通の支配者なら止めるからな」

 

 ヴァルキュリアは静かに頷いた。

 

「閣下は、そういうところがあります」

 

「そういうところ?」

 

「自分がどう描かれるかには、あまり執着なさらない」

 

 村上は言った。

 

「ただし、語彙は古代王です」

 

「はい」

 

 アプトムが笑った。

 

「懐は広い。語彙は古代王。広報は死ぬ」

 

「そのまとめはやめてください」

 

 その時、アルカンフェルが部屋に入ってきた。

 

「何を話している」

 

 村上は一瞬迷い、それから正直に答えた。

 

「総帥の懐が広い、という海外反応についてです」

 

「懐が広い?」

 

「漫画を発禁にしなかったことが、各地域で驚かれています」

 

「発禁にするほどのものではない」

 

「そうお考えですね」

 

「民が物語を作っただけだ」

 

 アルカンフェルは淡々と言った。

 

「物語を禁じれば、恐れだけが残る。恐れだけでは、長く保たぬ」

 

 村上は少しだけ黙った。

 

 アプトムも、茶化さなかった。

 

 ヴァルキュリアは、静かに総帥を見る。

 

 アルカンフェルは続けた。

 

「好きにさせておけ。私が本当に裁くべきものは、漫画ではない」

 

 その言葉は、短かった。

 

 だが、海外のどの論評よりも、クロノス総帥という存在をよく表していた。

 

 恐ろしいほど強く。

 

 古代王のように尊大で。

 

 それでいて、妙に懐が広い。

 

 道化には好きに言わせておく。

 

 民には物語を作らせておく。

 

 王が怒らぬところで、臣下が怒るな。

 

 それが、この件に関するアルカンフェルの結論だった。

 

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