/*/ 感謝して没収されろ /*/
違法転売倉庫の摘発映像が公開されると、統一市民掲示板には転売屋たちの抗議が溢れた。
【横暴】総帥の私怨で財産没収
8:転売業者
欲しい人に商品を届けて利益を得ていただけだ。
後から法律を変えて財産没収とか独裁そのものだろ。
11:名無しの統一市民
買いたい人より先に全部買って、十二倍で売りつけるのを「届ける」とは言わん。
17:転売業者
死刑じゃないだけマシだと思えってのか?
19:名無しの統一市民
そうだぞ。
20:名無しの統一市民
村上閣下が止めなかったら、お前ら転売屋、即日死刑だったかもしれん。
21:名無しの統一市民
総帥「転売屋死すべし。慈悲はない」
村上閣下「ダメです」
22:名無しの統一市民
この一言でお前らの命が助かった。
24:名無しの統一市民
感謝して財産没収されるんだな。
31:転売業者
感謝できるか!
33:名無しの統一市民
命と自由と働き直す機会が残ってる。十分温情だろ。
37:名無しの統一市民
世界統一政府の弾圧基準で見ると、在庫と違法利益の没収だけはかなり優しい。
42:名無しの統一市民
村上閣下、転売屋の守護聖人になる。
44:名無しの統一市民
本人は絶対嫌がるだろ。
その書き込みは切り抜かれ、監査局職員の間でも広まった。
翌日の処分執行で、倉庫の所有者は没収されていく段ボールを見ながら呻いた。
「俺の財産が……」
監査官は処分書から目を上げなかった。
「違法利益と不正取得在庫です」
「世界の支配者が限定品を買えなかったくらいで……」
「村上閣下へ感謝してください」
「なぜだよ!」
「総帥閣下の第一案は、あなた方の処刑でした」
男は黙った。
「第二案は終身強制労働です」
「……」
「第三案が全財産没収」
「今も財産没収じゃないか」
「村上閣下の修正により、正当な財産と居住権は保護されています」
監査官は淡々と告げた。
「命も残りました」
「それを温情と言うのか」
「クロノス基準では、かなりの温情です」
最後の段ボールが運び出される。
監査官は処分書へ電子署名を求めた。
「では、感謝して違法財産を没収されてください」
「言い方!」
「掲示板で好評でしたので」
男は震える手で署名した。
その頃、クラウドゲートでは村上が報告書を読んでいた。
「なぜ僕が転売屋の守護聖人になっているんですか」
アプトムが笑う。
「実際、命の恩人だからだろ」
アルカンフェルは不満そうに言った。
「生かしておく必要があったか?」
「ありました」
村上は即答した。