パパーっ
「ふぁぁ…今日の講義疲れた」
今から少し未来、2027年の神奈川県某所に存在するマコトミライタウン。元々まことみらい市と呼ばれていたものの、街の大規模な再開発を得て今は主要都市にも負けないほどの都市に発展しつつあった。
そんな街の幹線道路、いつもと変わらない交通量の元多くの車で行き交い賑わっている中、そのなかに混じる形で走る白色の車、そのステアリングを握る少女、星野 まひろ(20歳)は信号待ちの合間に軽く背伸びをしていく。
「んん…!座ってばっかだと身体が……」
その後まだ変わらない信号待ちを利用して助手席に放り投げていたスマホを手に取り、慣れた手つきで機動させると今日の予定を確認していく。
画面に表示されていた1日のスケジュール、他の日もそうだが学校の講義以外に家庭教師や尾行やら張り込みと言った書かれた怪しさ満点のメモが点々と確認出来た。
「さてと…今日の予定とか確認しますか、確か今日は家庭教師の日だったような…」
そう実は彼女、現役の私立大学の教育学部2年生の女子大生ながら家庭教師と探偵という2つの顔を持っているらしい。
講義を終えたり休みの日などは家庭教師として生徒の家に訪問して授業を教えながら、その合間に星野探偵事務所の探偵として様々な事件を解決しているのだ。
その実力は家庭教師としても探偵としても折り紙付きであり、わかりやすい指導や探偵としての鋭い推理力には保護者や依頼者、警察からも信頼を寄せているとか…
そんなことを話している合間にも今日家庭教師として伺う先を確認し終えると、慣れた手つきでスマホを再び助手席へ戻していく。
「えーっと今日の訪問先は…明智あんなさんね、よっと…そろそろ信号変わりそうだからスマホを戻して…」
そうこうしているうちに信号が変わったことを確認したまひろは慣れた動きでブレーキペダルを踏んでいた右足をアクセルペダルへと置き換え、滑らかな加速で発進していくのであった。
マコトミライタウン、それはタワーマンションが立ち並ぶエリアとしても知られるこの場所は、各方面へのアクセスもいいということもあって、多くの人が暮らし賑わいを見せていた。
そんなタワーマンションの一角、明智家と書かれた扉ほ前にまひろの姿があり、慣れた手つきでインターホンを鳴らしながら呼びかけていく。
ピンポーン
「すみませんー、家庭教師の星野 まひろですー」
すると扉を挟んだ奥から返事が聞こえると共に足音が聞こえたと思った矢先、扉が開くと共に中からセミロングの髪を右だけ垂らし、左はヘアバンドで纏めて後ろで三つ編の女性が姿を現した。
まひろが家庭教師として教えている教え子の1人、明智あんなの母親でありこの部屋の主でもある彼女は、見慣れた若い家庭教師を目にするといらっしゃいと出迎える。
「はーいっ(ガチャ)、いらっしゃいまひろちゃん。今日もあんなをよろしくねー。さっ中入って」
「お邪魔します」
玄関から靴を脱いでなかに上がると、飲み物とか準備してくるから先に娘がいる部屋にいっててくださいと母親は告げながら一旦別れる形でキッチンへと向かっていく。
ここにはもう何度も来ている上にタワーマンションの部屋ということもあって、勝手はなんとなく分かっているまひろは、迷わずあんなの部屋へと向かう。
「あんなは部屋にいるから、先にいっててください。私は飲み物とか準備してくるので」
「…いつもすみません(汗)、なんかいつもお菓子とか準備して貰って…」
「いいのよ♪それじゃあとで」
「はいっ、さてと…あんなちゃんの部屋にいきますか…」
ちなみに彼女が家庭教師として教えている教科は数学関係であり、明るい性格な上にわかりやすい教え方も相まって彼女が受け持つ生徒や保護者からは絶大な人気を得ているらしい。
もちろんこの部屋で暮らす2人からも同様であり、特にあんなからは頼れるお姉さんとして勉強以外の相談も受け持ってたり…
そんなことを話しているうちにも何時ものようにノックをしようと扉に拳をひっくり返しながら近づけようとした矢先
「あんなさんー、家庭教師の星野まひろd…」
突如として扉越しに聞き慣れた叫び声と聞き慣れない声…いや人でないまるで動物みたいな鳴き声が飛び込むように響き渡り、ノックしようとしたまひろの腕が一瞬止まってしまう。
もちろんあんな家は動物を飼っていないため動物のような鳴き声が聞こえてくることはまずありえない話、とはいえ何かあったことには間違いない。
そう探偵としての直感が過ったまひろは慌ててノックをすっ飛ばす形で部屋の扉を開けながら飛び込む。
「ポチー」
「ゔわ!?」ゴーン
ーえっなんか今動物みたいな鳴き声が…いやいやあんなちゃんの家は動物飼ってるなんて話…、ってかこれ絶対なんかあったよね!?ー
ガチャ!
「あんなちゃん!どうしt…」
その際目に映ったもの、それは家庭教師として教えてこの部屋の主でもあるあんなが犬のような?いやそれにしてはファンタジー世界の妖精のようなものにダル絡みされていた。
当然あんなもまひろに気づくと、助けを求めるような表情でいきなりこの妖精のような動物が姿を現した…そう告げようとしかけるが…
「ポチー」
「なっなにこれ〜!?なんかいきなり出て来て…」
「あっえっ…何…これ…?」
「あっまひろ先生っ!助けてくださいーなんかいきなりこの動物みたいな奴が出て来て…」
突如としてあんなのペンダントが動物のような妖精を共鳴したと思ったら、部屋全体を包み込むような眩しい閃光がペンダントを中心に一気に広がり始める。
当然逃げる余裕どころかその動きをする猶予すら与えられなかった2人はそのままなすがままに眩しい光の塊に包み込まれるように消えていく。
ピカっ!
「えっ!?」
「ちょっ何この光……」
しばらくすると閃光は消えていつもと変わらない部屋へと戻ったものの、そこにはあんなやまひろどころかあの例の動物すらいたという痕跡がまるで最初からなかったかのように影も形もなくなっているのであった。
1999年
ノストラダムスの大予言など、社会全体にどこか謎めいた不安感が漂っていたことに加え、アナログとデジタルの交差し、ネット黎明期ならではのカルチャーや、当時の街並み、車などの小物に至るまで平成初期の懐かしさが残る時代。
新生活という今も昔も変わらない4月某所、「キュアット探偵事務所」と書かれた建物の前に小豆色のロングヘアーをツーサイドアップにしており、左右の髪はピンクのリボンで束ねた少女が…
小林みくる、それが彼女の名前であり1999年のまことみらい市に暮らす中学2年生だ。
そんな彼女は今探偵事務所に入るために必要な知識と推理力を試される探偵テストと呼ばれる試験を受けるために、キュアット探偵事務所へと訪れていた。
「キュアット探偵事務所…ついにこの日が来たんだ…!」
ピンク色の探偵服に、鹿撃ち帽で身に纏った彼女は今まで憧れていた探偵になれるかもしれない…そんな期待を胸に絶対にテストに受かる…そんな意気込みを胸にノックしようと扉へ拳を近づけていく。
「この日のために頑張って来たんだもん…、意地でも絶対に受かってやる…!」
とはいえ流石に緊張しているのか一瞬ノックを躊躇ってしまうが、意を決する形でみくるは探偵事務所の玄関ドアをノックしようと拳を再度近づけようとする。
…がその直後、背後の空が昼間にもかかわらずとてつもない閃光に包まれ、思わず伸ばしかけていた拳を反射的に引っ込めてしまう。
「よし……すみま……(閃光)うぇ!?」
当然何事と言わんばかりの表情で探偵事務所の玄関の屋根したから外に駆け出したみくるは先ほど閃光に包まれた空を見上げていく。
するとそこにはさっきの閃光ほどではないものの、丸い太陽とは違った光の塊が浮遊しており、それが弾けるように消えたと思った矢先、2人の少女が現れると共にみくる目掛けて落下してきた。
「……?」
「…おわわ?!」
「きゃぁぁ!!?」
何処ぞのジブリ映画みたく『親方!空から女の子が!』と叫びたくなるようなシチュエーションだが、みくるにはそんなことをいう余裕があるはずも…というかたまたま立った位置が2人が落下してくる真下ということもあってものすごくアワアワしていた。
「うぇぇ!?人が人が空から!?ってこれどうしよう!!」アワアワ
避けようにもこのまま避けた場合2人は硬いコンクリートの地面に叩きつけられて、怪我どころの話ではなくなってしまう。かといって空から重力に沿って落下してくる2人を受け止めるにしても、明らかにみくる1人では足りるはずもない
かという2人もこのままでは地面にいるみくるにぶつかってしまうということはわかってはいるものの、自由落下状態ではどうすることも不可能。
万事休す…誰もがそう思った瞬間、絶望的な状況がとある出来事で一気に好転した。
「えっこれキャッチすればいいの!?このままじゃ地面に叩きつけられて…っていやいやどう考えても私だけじゃ無理なんだけど!?」アワアワ
ーなんでこんな目に…、これじゃどうすることも…まさに万事休す……ー
あんなが抱えていたぬいぐるみのような妖精のような生き物がいきなり喋ったと思ったら、その体が一気に風船のよう膨らみ、まるで巨大なクッションのように巨大化した。
これなら落下しても地面に叩きつけられる心配はない…そう思って一瞬安堵したまひろだったが、直後下にいた少女のことを思い出してヤベ…という表情になる。
「ポチ〜!」
ーポチ?ってうわわ!?なんかあのぬいぐるみみたいな生き物風船みたいに巨大化して…、あっでもこれならクッションがわりに…ー
「…あっヤベ」
もちろん巨大化したぬいぐるみの生き物の真下にいたみくるは地面と挟まれる形になってしまい、避ける動作すら取らせてもらえずそのままサンドイッチになる形で押し潰されてしまう。
「あっちょ!まず………ぐぇっ!?」
だがそんなみくるとは対照的にぬいぐるみのような生物のお陰で助かった2人は滑り落ちるように地面に降り立つと、まひろはあんなに対して怪我はないかと確認するように尋ねていく。
もちろん怪我はなんとかせずにすんだあんなははい…と答えながらも、何がなんだかわからない状況に嘆きの悲鳴を上げていた。
「っと…はぁ、…怪我ない?あんなさん」
「えっまあ…はい、…ってか!これ何がどうなってるの~!?わけわからないんだけど~!もう〜!」
しかし巻き込んだ等の本人であるぬいぐるみのような生き物?は呑気な表情を浮かべており、気づけばアレだけ大きくなっていた容姿も元の状態に戻っていた。
落下する前といい本当にこの生き物はなんなんだ…そんなことを思っていたまひろだったが、ハッとした表情で押しつぶされた少女のことを思い出す。
「ポチ〜」
ー…いつの間にか元のサイズに戻ってる…、もー次から次へとなんなのよ…なんかさっきからロクなことに巻き込まれて…ー
「あっ!?そういえばあの子のこと…!」
慌てて容体を確認しようと視線を向けようとしたまひろだったが、その前に復活したのか探偵の格好に身を包んだあんなと同世代っぽい少女、みくるは勢いよく飛び起きたと思ったら目を輝かせながらあんなへと勢いよく迫った。
ークッションとはいえ地面とサンドイッチになってるとなると流石に……ー
「はっ!?妖精だ!」
「…へ?」
どうやらあんなが抱えていたぬいぐるみのような生き物ことを妖精と呼んでいるようで、一緒にいた彼女のことをキュアット探偵事務所の名探偵ですね!と決めつけるような言葉を投げかけていく。
「ってことは妖精と一緒にいる貴方と貴方は、キュアット探偵事務所の名探偵ですね!」
まあいきなりそんなこと言われても納得出来る訳もなく、まひろやあんなもはい?と首を傾げるように揃って呆れた表情を浮かべてしまう。
妖精?キュアット探偵事務所?名探偵?繋がりそうで全然繋がってない言葉を突然部屋から外に、しかも空から放り投げられた直後に言われたら、誰だってそうなる。
「…妖精?」
「キュアット探偵事務所…?」
「「名探偵?」」
だがそんな2人の心情を知らないどころか自分が憧れていたキュアット探偵事務所の名探偵だと思い込んでいるみくるは、手を胸元に当てながら自信満々の表情で自己紹介をしていくのであった。
「私、小林みくるです!よろしくね!」
登場キャラ
星野 まひろ(20歳)
モデルキャラ:東雲椎名(Sレイマリチャンネル オリジナルキャラクター 古田もねさまイラスト仕様より)
本作の主人公、女子大生という傍ら数学の家庭教師として様々な生徒の指導を行っている。
そのうちの一人、名探偵プリキュアのメイン主人公の一人である明智あんなも例外ではなく、彼女にとって家族以外で悩み事を相談出来る頼れる大人として信頼されているとか
だがある日彼女の元に現れたポチたんとあんなのペンダントが共鳴したことによって発生した閃光に巻き込まれ、気づいた時には1999年のまことみらい市にタイムスリップしてしまう。
性格は明るくてフレンドリー、初対面の相手にも簡単に打ち解けてしまう能力を活かし、ある時は様々な事件を解決へと導き、ある時はあんなの頼れる大人として支えていくことに