赤より紅いヒーローアカデミア   作:幽界愉快

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少しお気に入りも私にとってはモチベーションの元です。
今回もまたフランドールに近い視点をメインに置いています。

私は人物へのルビは片仮名統一派なんです、漫画のせいかな。


【三話】秘匿された抜け道

部屋は既に綺麗に整頓されていた。遊んでいた玩具(妖精メイド)は片付けられたらしい。

そうしてフランドールは虚空(こくう)を見やる。

するとどうだろう、どこからともなく()()()()()がした。

 

「やあやあ、久しい顔だね。私としては友人でも良かったのだけど。」

 

「貴女達賢者の監視(覗き見)ってさ、趣味良いよね。」

 

「秘神らしくて良いでしょ?チラシ貼るより効果的。」

 

「気付かれなければ意味無いのに……。」

 

からころと笑うのはかつての四季異変(天空璋)、そして旧地獄の石油をその手に()めた幻想郷の賢者摩多羅隠岐奈(マタラオキナ)その神であった。

フランドールは呆れた。幻想郷の賢者と言うのはどういう訳か覗き見が好物らしい。

 

摩多羅隠岐奈(マタラオキナ)、その身は人ならざる者。

自称であるが後戸(うしろど)の神であり障碍(しょうがい)の神であり、能楽の神、宿神(しゅくじん)、星の神、そして幻想郷の賢者でありフィクサーと名乗る。

そして強者の扉を次々と繋げ、フランドールを饕餮(トウテツ)尤魔(ユウマ)の元へ(いざな)った張本人。

フランドールは(ベッド)の縁に座り、足をふらふらと持ち余しながら、話を続ける。

 

「もう聞いてたから分かるでしょ。貴女なら何とかできるんじゃないの。」

 

「どうだろうか、いやはや、どうだろうか。なんとも言えないよ。」

 

「嘘つきは泥棒の始まりって知らないの?」

 

「なら次は泥棒の神と名乗るのもアリかもしれないな。」

 

此奴(こいつ)、遊んでいるな。

フランドールは不機嫌そうに眉を(ひそ)める。

足は段々と揺するように地を蹴り、とんとんと床の音を鳴らしている。

 

「私、貴女のこと嫌いになりそう。」

 

「それは残念だ。フランドール、私は君に感謝している方ではあるのだがね。」

 

「なら恩着せるから働いてよね。」

 

「いやあ、この足が動いてくれればなぁ。」

 

(わざ)とらしい。貴女が動かしてないのは足じゃなくて腰でしょう。」

 

ふん、と鼻を鳴らす。

愈々(いよいよ)フランドールはフラストレーションが上がったのか地の音は激しく心情を(かな)で始めた。

隠岐奈(オキナ)はその様子を見てにやにやと笑みを浮かべる。

彼女はフランドールのその気質が割と気に入っているのだ。それを間近で見れて気が良いのだろう。それと比例するようにフランドールの気分はダダ下がりなのを除けば良い話である。

 

「私は純粋な狂気というものに憧れを持っているのさ。」

 

「貴女も破壊されたいの?」

 

「いいや、見たい。()()()()の、貴女の(かく)された気質をね。」

 

気を良いのか、隠岐奈(オキナ)は車椅子を動かしながらまるで童話を話す親のように物語る。

 

曰く、フランドールの気質はイメージされたものよりはるかに深いものだと。

曰く、生まれながらの純粋な狂気は触れられないものだと。

だから見たい。だから覗きたい。

隠岐奈(オキナ)は語る。あの旧地獄の一件からフランドールをずっと見ていたと。

 

「ストーカーね、退治しないと。」

 

「丁度良い。二童子の代わりをまだ探しているんだ。貴女は四人に分身できるから四童子になるかもしれないけどね。」

 

「吸血鬼が神の遣いに?聖者を逆さ十字に(はりつけ)にしてくれたら考えといてあげる。」

 

「それなら外の人喰い妖怪にさせたらいい。」

 

隠岐奈(オキナ)は椅子から動かない。

(むし)ろ足を組み、よりどっかりと座り込んだ。

フランドールはその態度を皮切りに立ち上がる。手には既に歪な棒状の武器、少女を象徴するレーヴァテインが握られていた。

 

「ふふ、良い目をしている。その目と気に敬意を示し、条件次第で動いてあげても良いわ。ほんの気まぐれよ。」

 

「その前に貴女が破壊されないといいけどね!」

 

フランドールは隠岐奈(オキナ)を真っ直ぐ(とら)え、一気にかけ出す。

レーヴァテインを持ち、吸血鬼自慢の怪力に任せた大振りの縦一文字の振り落とし。しかし、それが予想通りの光景を示すことはなかった。

 

「その血気盛んな姿勢、嫌いじゃないよ。それじゃ、面接を開始しようか。」

 

「なにっ、これ……!?このインチキ…!」

 

レーヴァテインは隠岐奈(オキナ)の顔面と紙1枚程の隙間で止まっていた。

まるで壁に(はば)まれているように、フランドールの力と反発し、そこから先へ進まない。火花すら飛ばない、何か不可視の力が抵抗しているようだ。

フランドールは素早く距離を取る。隠岐奈(オキナ)は愉悦で口角を上げながら、喉を鳴らした。

 

「条件は1つ。私をこの車椅子から動かすこと。1歩でも動かせたら合格です!貴女を認めてあげるわ!」

 

「二童子になるつもりはないんだけどっ!」

 

少女はレーヴァテインが軋むほどに強く握りしめ、難題(摩多羅隠岐奈)を睨みつけた。




八雲紫だと思った?残念、摩多羅隠岐奈でした。
私はどちらの賢者も好きですが、設定的には摩多羅隠岐奈の方が動かしやすいです。

次回は戦闘シーンです。
今後投稿は12:00か00:00に統一しようか迷ってます。

感想や高評価などは励みになります、
誤字脱字は作品の進行に関わるくらい深刻だった場合のみ直しますよ、きっとね。
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