赤より紅いヒーローアカデミア   作:幽界愉快

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戦闘シーンです。
拙い文字ですが、何卒お手柔らかに。

弾幕の煌びやかを表現する箪笥の戸を私は持ち合わせておりませんので、萃夢想や強欲異聞みたいなインファイトということで。


【四話】障碍を打ち破る智略

困難、(すなわ)ち障碍。

 

隠岐奈(オキナ)はフランドールからの攻撃を全ていなし、防ぎ、軽々と対応してみせた。

対してフランドールはまず不可視の壁を破壊しようと力で押してみる。駄目(だめ)だった。

次に魔力を込めて(やじり)を飛ばすように弾いてみる。これも駄目(だめ)だった。

純粋な物理も、限りなく練り上げられた魔力も全てが足りない。

 

「かつての巫女(博麗霊夢)魔法使い(霧雨魔理沙)は季節の境目の魔力を集めてきたものだ。懐かしいものだよ。」

 

「今の私にはその集める時間も無いのだけれどね!どうしろってのよ!」

 

立ち止まって考えようとすると、急かすように隠岐奈(オキナ)から弾幕が飛んできた。

紅葉(こうよう)のように赤い弾が頬を(かす)める。

弾幕量は決して多くない。ただ、性格が悪い。

避けようとした先に既に置いてあるかのように撃ってきているのだ。雪景色を表すかのような白いレーザー弾が身体を貫こうと狙ってくる。

先読みと回避行動の両立。これ自体は問題無い。フランドールは隙をついて攻撃も可能だ。

しかし、この攻撃が通らない。涼しい顔で難なく対応される。

 

今のフランドールには季節の境目の魔力も、隠岐奈(オキナ)を一撃必殺で(ほうむ)る決定打が無い。

だからこそ車椅子から動かせば勝ちだなんてふざけた条件(ハンデ)隠岐奈(オキナ)は言い出したのだ。

 

このままではこちらが先に消耗して終わる。

何とかして見極めなければならない、困難の隙を。

 

「(コイツの事だから、無茶難題をぶん投げてくる訳じゃないでしょうけど…っ。)」

 

フランドールは睨み付ける。

余裕そうにこの状況を楽しむ(クソ野郎)の顔から絶対余裕を消してやると決意した。

 

そうして攻防戦という名の応戦を繰り返して、フランドールはふと気付いた。

不可視の壁はドーム状に広がっていると。

また、こちらの攻撃に反応して壁を作っているように感じる。

先程までどこにも無かった小石が、フランドールが暴れた衝撃で隠岐奈(オキナ)の椅子の足元にあるのだ。

全てのものを弾くなら、あの小石はどこかへ弾かれているはずだ。最初からあったなんて、そんなことは無い。この部屋は常に清潔に掃除されるのだ。

現に、部屋を出る前に散らかした妖精メイドは既に消えている。完璧なのだ、部屋の状態は。

 

攻撃の意思で反応しているのかもしれない。

はたまた生命は通さないのかもしれない。

隙は、必ずある───。

 

「絶対破壊してやるんだから、覚悟しな!」

 

「その心意気や、良し!全力で困難(障碍)を打ち破れ!」

 

試すことは何個かある。

まずフランドールは隠岐奈(オキナ)の壁がどのような性質か調べることにする。

少女は勢いよく隠岐奈(オキナ)へ突進した。

 

「それは無駄だとさっき分かっただろう!?」

 

「ええ、分かってるわ。だから、こうするのよっ!」

 

隠岐奈(オキナ)の前まで踏み込み、このエネルギーを使って地面を抉る。

土煙が立ち登りながら、石礫(いしつぶて)隠岐奈(オキナ)へ襲い掛かる。

フランドールはその様子を目でも、鼻でも、感覚でも、使えるもの全てで見極めていた。

 

「けほっ、けほ。そんな小細工、無駄よ。無駄。」

 

土煙が晴れる頃合いで、やはり1歩も動いていない隠岐奈(オキナ)が現れる。

フランドールはこの結果に非常に満足した。

何故(なぜ)なら、隠岐奈(オキナ)の足元に石礫(いしつぶて)が転がっているからである。更に、土煙も通っている。

正確に言えば、意識して飛ばした石礫(いしつぶて)は全て弾かれたが、意識外で飛んで行ったものは全てすり抜けている訳だ。

 

フランドールはこの仕組みに()を見出した。

やれる、まだ、やれる!

 

「何か掴んだようだな。ただ、間に合うかどうかはお前次第だよ!」

 

隠岐奈(オキナ)は春の夜桜のように鋭く淡い色味の小さな弾幕を左右から流し始める。

フランドールを挟み込むようにゆっくりと、しかし着実に逃げる隙間を潰しにかかっていた。

フランドールはこれに対抗し、魔力壁を展開する。魔法陣から弾幕を展開し、打ち消すつもりだ。

 

「こっちだって魔法少女なんだから!」

 

全てを消すことはできない。だから、局所的で自分に当たる最低限の弾幕を消す。そして残りは自力で避ける。

避けながら、フランドールは弾幕を更に広げる。

 

「(適当に撃った弾が当たるかもしれない。)」

 

そう、これは当てることを考えてない。

ただ適当に撃ってみただけの弾幕だ。雑に、そして意識を外して呼吸と同じように無意識に撃ち出す。精度もへったくれもない、綺麗さの欠片(かけら)もないものだ。

隠岐奈(オキナ)は予想外だったのか、顔面に直撃する。

しかし、まだ動いていない。まだ終わっていないのだ。

 

「ふ、ふふ……ふはは。あっはははは!なるほど、考えたな!まさか、この様に打ち破ってくるとは!」

 

つう、と鼻から血を流しながら隠岐奈(オキナ)は笑う。

防御が間に合っていなかったらしい。続けて放たれる雑な弾は全て弾かれてしまった。

隠岐奈(オキナ)はフランドールを認めたように見ようとする。

しかし、目の前にフランドールは居なかった。

 

「……どこに言った?」

 

辺りを見渡してもどこにもいない。

はて、敵前逃亡か。それとも隠れたのか。

 

ガシャンッ!

 

隠岐奈(オキナ)は防御壁の反応した方を見る。

後ろだ。フランドールが瓶を投げてきたのだ。透明な液体が辺りに広がる。

 

「見えないところからならやれる、と思ったのか?浅はかね。実に興醒(きょうざ)めだわ……。」

 

「残念、成功すると思ったのだけど……。」

 

フランドールは冷や汗をかきながら、屁理屈(へりくつ)()ねてみる。

 

「後ろ向いたし、それ1歩ってカウントにならないの?」

 

「ならんよ。そこまで甘くないし、動いてないだろ。」

 

「厳しいなぁ……。」

 

フランドールは苦笑いしながら、キッ、と隠岐奈(オキナ)を睨む。

そこからと言うもの、フランドールは部屋にあるものを利用し始めた。

例えばナイフ。例えばボール。ありとあらゆるものを投げつけてみる。

時々魔力弾が飛んでいくも、全て防御壁に防がれていた。

それは例え炎の弾だろうと例外ではなかった。

それでもフランドールは諦めないのか、レーヴァテインに炎を纏わせて突撃してくることもあった。

 

「(さっきのは()()()か……?いや、しかし手応えを確認していた様な素振(そぶ)りはしていたが……。)」

 

意識してしまえば、防御壁の反応を弾に合わせることができる。

隠岐奈(オキナ)は飛んでくる魔力を感知し、それに合わせて壁を展開し、対応していく。

 

「下らん、下らんっ!お前の狂気が見れないと言うのなら、もうこれで終わりにしてやる!」

 

生命の夏、その魔力を手のひらに込め始める。

陽の光のように暖かな光弾は、フランドールの苦手とする性質が混ぜられていた。

 

「不合格だよ。残念だ、フランドール・スカーレット」

 

隠岐奈(オキナ)は光弾を放つ。

真っ直ぐ素早く撃ち放たれたそれは、(つい)にフランドールを貫いた。




吸血鬼って弱点多いですよね、大変そう。

高評価や感想など励みになります、ホントです。
誤字脱字は著しく物語に影響するもののみ修正します。

次回までお楽しみにください。
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