赤より紅いヒーローアカデミア   作:幽界愉快

8 / 10
夢ってファンタジーだと何かお告げとかありますけど、科学的に記憶のウンタラカンタラって言われてますよね。
まあ、これはファンタジーでフィクションだからなんでもありなんですけど。


【八話】異次元の色彩

歩き続けて、進み続けて。

気付けばレミリアは紅魔館に居た。いや、紅魔館にそっくりな夢の世界だ。ここは本物の館じゃない。

レミリアは銀のナイフで腕に文字を刻んでいた。

 

track down the culprits!(クソ野郎を暴け!)

 

痛みは感じない。しかし、これで忘れても自分の頭なら分かる。少なくとも、ここでやる事があるということに。

とにかく、歩き続けた。思考を止めず、夢の世界を彷徨(さまよ)い続ける。終わらない悪夢を、この羊の夢を。

腕を握りながら、廊下の先を睨みつけた。

 

「お嬢様?」

 

後ろを振り向いた。そこに、メイド服の少女が居た。

咲夜(サクヤ)だ。凛とした佇まいでこちらを見て、歩いて近寄ってきた。

 

「そこで止まって。」

 

レミリアは腕をのばして命令した。

この空間の中、誰も信用できない。信頼はしている。だからこそ止めさせた。従者の皮を被った偽物かもしれないし、もしかしたら本物かもしれない。これを確かめる術がレミリアには無い。苦虫を噛み潰したように一歩後退(あとずさ)る。

質問しようにも、どう考えても本人しか分からないと言うものがない。

もし記憶すら模倣する偽物なら?もし身体を乗っ取るタイプのものなら?悪い予感と予想が入り乱れて行動を阻害していく。

 

「ア(・)ナ(・)タ(・)が(・)私(・)の(・)従(・)者(・)な(・)ら(・)、今ここで命じる。首を掻っ切って死になさい……!」

 

ここは夢の世界だ。死のうが死ななかろうが現実世界に影響はない。自分の忠実な下僕なら、咲夜(サクヤ)なら、喜びはしないだろうが命に従うだろう。レミリアは酷く悔しそうに眉を下げながら命令した。

 

「咲夜(サクヤ)ァッ!」

 

「残念です、お姉様」

 

───咲夜(サクヤ)は、いや、そ(・)の(・)存(・)在(・)はどろりと溶けるように床へ吸われて、文字通り消えてしまった。

まるで最初からそこに居なかったかのように、廊下にレミリアだけを残して消えてしまった。

レミリアはぐらりと視界が揺れるような錯覚を覚えた。廊下の奥が見えない。ずっと続く無限回廊のようにぐにゃりぐにゃりと回転しているように見える。

 

「 レ ミ ィ 」

 

「……今度は友(パチェ)を騙るかッ!!!」

 

後ろから声をかけられた。

分かっている。ここに本物なんて居ない。腕を後ろに振り回して、その幻を消した。

その後も何度も何度も声が頭に入ってくる。

レミリア、レミリア、レミリア。

 

「ああ。うるさいっ、うるさいよ!」

 

頭を抱えて、その場に蹲(うずくま)った。

脂汗が止まらない。背筋を凍らせるような感覚が喉奥につっかえて離れない。

暫(しばら)くして声が止まった。震える足を立たせながら廊下の奥をぎろりと睨みつけた。

 

「落ち着け、落ち着くのよレミリア・スカーレット。私なら大丈夫……。こんな、趣味の悪い夢を見せる輩(やから)なんて、捻り潰してやりなさいな。」

 

自分にそう言い聞かせながら、一歩一歩とまた進み始めた。

 

 

 

場面が変わって、景色が一変した。

夜の神社だ。よく遊びに来ている隠れ家的神社。博麗の巫女が居て、幻想郷を覆(おお)う結界の大事な部分を担う博麗神社。

月明かりがレミリアを照らす。綺麗な満月だ。レミリアは空を見上げて、偽物だとすぐに気付いた。

 

「あまりにも醜い贋作ね……。」

 

独り言で愚痴を呟いた。

すると、鳥居の上からふわりと空から降りてくる、目に入れても痛くない程に可憐(かれん)な巫女服の少女が現れた。

レミリアは目を細める。幾度(いくど)となく対峙(たいじ)した博麗の巫女───博麗(ハクレイ)霊夢(レイム)だ。

 

「お生憎(あいにく)、賽銭箱は開いてないよ。さっさと帰りな。」

 

「おや、失礼な物言いだ。まるで本物そっくりだね。」

 

「本物も偽物もありゃしない。ウダウダとお高く止まってちゃあ足元のモンも見えないわ。」

 

「足元の塵(ちり)に興味はないの。それに、私には優秀な掃除係が居るからね。」

 

「ナイフ一本管理できない奴が何を言うか。」

 

苦笑いで霊夢(レイム)は言い返す。風が吹いて鮮やかな青色のフリルタイが靡(なび)く。鋭い双眼(そうがん)はレミリアを射抜いて離さない。

 

「やるの?」

 

「やるよ。」

 

「本物でも無いのに?」

 

「偽物だからやるの。文句ある?」

 

霊夢(レイム)肩を竦(すく)めて反応を示した。自らが夢の産物であると認めたのだ。ある意味、本物みたいだ。

レミリアは口角を上げた。

 

「私ね散々な目にあったの。こんなムシャクシャした気持ち、幾(いく)らで買ってくれる?」

 

「うーん、端(は)た金(がね)にもならないかな。」

 

瞬間、お祓い棒が眼前に迫ってきた。レミリアはそれをすんでのところで右にステップを踏み回避をする。

 

「今夜は月が紅くないから……遊んでやるわ。」




凄くスローペースで進んでますが、ちゃんとヒロアカとのクロスオーバーです。安心して不安になってください。
今は丁寧にヒロアカ世界へ行くための手段を確立中って訳です。丁寧と言うか、ただ遅いだけというか。

尻を叩くような感想でもなんでも大歓迎です。
重い腰をあげる前に先にストーリーの進行を妨げるような誤字や脱字を修正します。それ以外はたぶんしません。
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