翌朝、少女達が目を覚まし蛯名の部屋に行くとそこには【戦記ホーテオンライン】で遊んでいる蛯名と沢、そしてタスクがいた。
「皆何をしている?」
「あ、皆おはよう。このゲームで犯人をおびき出してるの」
そう言う蛯名は手元の操作がおぼつかず敵キャラに一方的にボコボコにされていた。
「もう俺が変わるよ、退いて」
見かねたタスクがそう言い操作を変わるとゲームはどんどん攻略されステージクリアまでもう少しと言う所でオンラインの対戦が申し込まれた。
プレイヤーネームは【Witch】
「これって……」
「きっとあの時バイクで逃げた犯人、塚原だ。獲物が釣れたって事だな」
「でもコイツめちゃくちゃ強いですよ!?」
「と、取り敢えず時間稼いで!!」
「ええ!?」
タスクが時間を稼いでいる間に沢が警視庁に連絡を入れ【Witch】の居所を調べる。
「ああ〜やられちゃうやられちゃう!!」
みるみる内に劣勢になるタスクのキャラに間に合わないかと思ったその時、【助太刀致す】と言う文字と共に別のキャラが乱入して来る。その名は【tasuku】
「「「「「ええ!?」」」」」
皆で周りを見回せばそこにはケータイでゲームに参加しているチョコザイの姿があった。
「チョコザイさん!?」
チョコザイは部屋の中に入るとタスクの隣に座りゲームをプレイしている。
その光景にヒロ達は場違いにも微笑ましい物を感じた。
その結果、警視庁は【Witch】のパソコンの場所を突き止めそこに突入したが犯人は死亡しており逮捕には至らなかった、しかし事件はこれだけでは終わらずタスクを襲撃した際に逮捕された男が人を殺していた事が分かりその男は再逮捕された。
そうして事件は終わりを迎えはしたが幾つか謎を残しその謎の内の1つを解決する為チョコザイ達は空港に来ていた。
「ラリーさん、何故空港に?」
「以前アタルが突き止めたIPアドレスのパソコンがここにあります」
ラリーはそう言いパソコンの前に立つ。次いでスタッフに防犯カメラの映像を見せてもらい怪しい人物を確かめる。
「しかし、受付にしかカメラが無いんですよね?流石に何千人も通った中で特定の1人を見つけるのは難しいと思いますけど」
シェリーがカメラの映像を見ながらそう言う。その中でチョコザイがカメラを止め巻き戻しを行う。
「………………ねぇねぇ」
チョコザイが映像を指差し皆で画面を見ると同じ人物が行き来しているのが分かる。
「知ってる人ですか?」
「この映像じゃあ誰だか……」
チョコザイは更にパソコンを操作しその人物を拡大&鮮明化する。そこに映った人物に少女達は思わず息を呑んだ、特にヒロとエマは。
「嘘……」
「何故、だって死んだ筈ですわ、あの時、確かに私達の前で!!」
「…………月代」
「…………ユキちゃん」
そこに映っていたのは髪と瞳こそ黒いが寸分違わぬ姿の月代ユキの姿。
「………………………………マドカ」
そしてラリーも少女達とは違う意味で息を呑んだ。
「マドカ?」
「月代ユキ?」
事情を知らない蛯名と沢はラリーと少女達の名前を反復しそれぞれの顔を見る。
更にチョコザイはパソコンを操作し巻き戻しを行い映る少女を指差しながら名前を呼ぶ。
「アレクサンドロ・カロリナ・マドカ」
「誰ですか?」
「そっちも、名前は違うけど知り合いか?」
「私達が知り合う様になった切っ掛け、【魔女裁判】が行われる事になった全ての切っ掛けの少女にして【大魔女】、それが月代ユキ」
「魔女裁判?」
「マドカは後天的な脳器質の損傷でサヴァンに良く似た能力を持った日系ブラジル人です。アタルとは仲が良かった候補生で」
「つまり、SPBにいた」
「ええ、2000年まで」
「い、何時から彼女はSPBに?」
ヒロが冷や汗をかきながらラリーに尋ねる。
「1996年6月6日」
ラリーが何時からだったか考えるラリーを他所にアタルが答える。
「1996年6月6日って…………【十字架殺人事件】があった時」
「そうだ、その頃からだ」
「Witch」
「Witch?前言ってましたね」
蛯名がラリーに尋ねるとラリーは目を見開き何かを思い出す。
「思い出しました。【Witch】と言うのは、マドカが作ったコンピューターウイルスです」
「ATARU even You can become a Criminal」
「何?」
チョコザイがパソコンを操作し一瞬巻き戻すと再び同じ言葉を呟く。
「ATARU even You can become a Criminal」
「彼女がそう言ってるの?」
「ヒロちゃん、なんて言ってるの?」
「ATARU even You can become a Criminal」
「……………………【アタル、貴女だって犯罪者になれる】」
全員の視線が自然と画面の向こうのマドカと言う少女に向けられた。
「マドカを国際手配します」
ラリーはそう言い何処かに電話を掛け始めた。
翌日、チョコザイはラリーと共にアメリカに帰って行ったが少女達に見送りをする余裕は無かった。
少女達もお役御免となりそれぞれの日常に帰って行った。
学校の帰り道、ヒロとエマはマドカと言う少女の事を考えていた。
「あの娘もユキちゃんが関わってるのかな?」
「どうだろうな、他人の空似と言う可能性もある。もしかしたら彼女が起こす事件にも巻き込まれるかも知れないな」
「うん、そうかもね」
(もしそうなったら、その時は今度こそ)
ヒロはエマに悟られない様に拳を固く握り誓いを立てた。