ここだけ命の答えに辿り着いた少年に脳を焼かれたゲヘナ生がいる世界線   作:伝説の超三毛猫

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ヒナの影概念。

ロリータファッションを身に纏い、声は非常に高めの、ロリボイス。正真正銘、幼女のような言動をするヒナ。
抑圧された欲望は、『全責任を放棄して、誰か(=先生)に甘え切って眠りたい』。
否定されたら、P4の影よろしく襲い掛かってくる。
『お○あさんといっしょ! このあとすぐっ!』
『えー、やだやだやだ!はたらきたくなーい! ヒナは、もっとここであそびたいのー!』
『―――ねぇ、いつまで続けるの?「風紀委員長」ごっこ』
『ごっこでしょ?毎日毎日、ゴミみたいな連中の掃除ばっかり。みんな好き放題やってるんだから、私も好き放題してもいいじゃない』
『違わないでしょ?元を正せば、ぜんぶ自分から背負い込んだことじゃない? 全部捨てれば楽になるのに、なんでそうしないの?』
『ほんとは全部投げ出したいんでしょ? 仕事なんてアコに押し付けて、部屋に引きこもって、好きなだけ寝て、起きたらご飯だけ食べて……その方が幸せじゃない。』
『強いからって、勝手に期待して、勝手に怯えて……誰も「空崎ヒナ」なんて見てない。見てるのは、“最強の委員長”だけ。』
『私はあなた。全部投げ出したいって思ってる……それが空崎ヒナよ』





ネネ「……なんでこんなの前書きに書いたのよ」
作者「本編に出せないからだよ。『ペルソナ4でやれ』って言われて終わりだよこんなん。あと最近キキとシュエリンの新衣装が出てたからつい」

先生「“ヒナの…ロリータファッション!!?”」
アコ「ヒナ委員長のかわいらしい姿!?!?!?!?」
ヒナ「(黙って銃を鳴らして二人を睨みつける)」
二人「「すいませんでした」」
ヒナ「幼女に変装なんてやるわけないでしょ、恥ずかしい……」
先生「“ヒナならできるよ!!!”」
ヒナ「先生????」
先生「アッ、ナンデモナイデスゴメンナサイ………」


新たな可能性 / S.E.E.S.の一員にして風紀委員

「ほう……これは………!」

 

 某時刻・某所。

 一人の大人が、ノートパソコンに向き合っていた。

 その大人の顔は真っ黒な霧とひび割れた光が合わさったような異形と化しており、裂け目のような口からはクックックと笑い声が聞こえる。

 

 ノートパソコンからは光が漏れている。

 そこには見知らぬ――個人的に使っているものだろうか――動画アプリがあり、そこからトリニティ自治区の一角が映し出されていた。

 瓦礫だらけの場所だが、それが何によってもたらされていたのか、その大人は知っていた。

 

 ―――彼の名は、黒服。

 キヴォトスに巣食う謎の組織・ゲマトリアの一員であり、“崇高”を求める研究者でもある。

 彼は、この件においては観察に留め、静観を貫く気でいた。

 自身が企てていた実験は、シャーレの先生によって食い止められている。

 さらに、現在見ているトリニティについては、別の同僚―――ベアトリーチェの管轄内だ。

 短気で無慈悲な彼女のことだから、必要以上の干渉は怒りを買うと踏んでいたが―――黒服はそこで、予想外のものを発見した。

 

 ―――発見してしまった。

 

『マハムドオン』

 

「な、なんと―――!!?」

 

 魔法陣を展開し、放った攻撃が、ユスティナ聖徒会を“殺した”のだ。

 これには、黒服も驚きを隠せなかった。

 マエストロから、この複製―――失敗作のことについては、情報を得ていたから猶更だった。

 

「死んだ………あの複製が?」

 

 黒服は巻き戻しボタンをクリックした。

 そして動画を見てから一時停止。

 また、巻き戻す。

 それを何度か繰り返した。

 信じられないが、映像に加工も捏造もない。

 

「死ぬという概念を持たない複製の死……なぜ?」

 

 巻き戻して再生を繰り返す。

 目を皿のように、映像の隅から隅まで探す。

 そこで―――見つけたのだ。

 己の頭に、拳銃をつきつける少女を。

 

「これは?」

 

 拳銃を頭に突き付ける行為……戦場においても、異常な行動だ。

 精神が壊れた末の自棄の行動にしても不自然過ぎる。

 引き金を引き、頭から何かの欠片が飛び散るのが見えた。

 そこから先は、カメラの範囲から出てしまったのか、その異様な行動をした少女の様子は映っていなかった。

 

 黒服はノートを引っ張り出し、ボールペンを滑らせ始めた。

 

「彼女の行動、その後起こった現象………死の共有?

 いえ、違いますか。リスクとリターンが釣り合っていない。

 ―――結果から逆算しますか。複製は銃弾で撃たれても死なない。ユスティナ聖徒会の戒律の守護者であり、死とは無縁の存在…………それを殺す……或いはそれに似た事象を起こすには……」

 

 ぶつぶつと独り言が漏れながらも、不気味な笑みとペンを動かす手が止まらない。ペン先が、紙の上を忙しなく滑っている。

 

「神秘ではない。少なくとも、キヴォトスにおける既知の神秘とは性質が異なる。ヘイローへの干渉とも違う……」

 

 黒服は三度映像を停止させる。

 そこに映るのは、少女の背後にいると思しき影。

 騎士のようにも、裁判官のようにも見える異形の――杖が握られた手。

 よくよく見なければ、映像の動作不良だと見落とされそうな、カメラの範囲内ギリギリに、それが映っていた。

 

「……この存在も興味深いですね。」

 

 指先で画面をなぞる。

 

「先生のカードとは違う。色彩とも違う。神秘とも恐怖とも異なる………」

 

 ふ、と笑う。

 

「まるで……別の法則。」

 

 その一言を口にした瞬間、自ら首を横に振った。

 

「いえ。法則、という表現も適切ではありませんか。」

 

 再び動画を再生する。

 少女が口にした言葉。

 

『マハムドオン』

 

 その響きを何度も繰り返し聞く。

 

「未知の言語……。

 いや、術式名でしょうか。」

 

 黒服はノートへ新たな項目を書き加えた。

 

 ・未知の術式体系。

 

 ・異形の召喚か←要観察

 

 ・使用者は頭部を自ら撃ち抜く儀式を行う。

 

 ・直後に死の概念が成立。

 

 そこで、ペンが止まる。

 

「…………死の概念。」

 

 黒服は椅子へ深く腰を預けた。

 

「もしや―――」

 

 口元がゆっくり歪む。

 

「"死(・)ね(・)な(・)い(・)存(・)在(・)へ(・)、死(・)と(・)い(・)う(・)概(・)念(・)を(・)書(・)き(・)与(・)え(・)た(・)"……。」

 

 その仮説を口にした瞬間。

 部屋の空気が静まり返る。

 

「クックック……。」

 

 肩を震わせる。

 なるほど、そう考えれば、すべて辻褄が合うのだ。

 

 もっとも、その理論が正しいと証明する材料は、映像だけでは圧倒的に不足していた。

 

 少女が何者なのか。

 あの異形は何なのか。

 あの拳銃にはどのような意味があるのか。

 そして―――なぜ彼女だけが、その法則を扱えるのか。

 

 どれも、現段階では推論以上のものにはならない。

 

「情報不足ですね。足りなすぎる」

 

 黒服は素直に認めた。

 

「仮説はいくらでも立てられる。

 ですが、研究者は願望を事実として扱ってはいけませんね」

 

 ノートを閉じる。

 紙面には、いくつもの矢印で結ばれた推論が残されていた。

 どれも魅力的だった。どれも、この世界の理を覆しかねない可能性を秘めていた。

 

 だからこそ………軽率に結論を下すべきではない。

 

「気になることは山ほどあります」

 

 画面には、海色の髪の少女――雨塚ネネが映っている。

 拳銃を自身へ向け、未知の力を振るう異邦の少女。

 キヴォトスの神秘とも、色彩とも異なる法則を、その身に宿した存在。

 

「ですが……。」

 

 黒服は静かにノートパソコンを閉じた。

 

「今は、まだ観察の段階。」

 

 彼女を捕らえるには早い。

 接触するには情報が少なすぎる。

 下手に介入すれば、ベアトリーチェとの無用な衝突も避けられない。

 

 何より。

 

「未知とは、遠くから眺めている間が最も美しい。」

 

 クックック、と喉を鳴らす。

 

「ならば今は、観測を続けましょう。あなたが何者なのか。

 その力がどこから来るのか。そして――その"崇高"が、どこへ至るのかを……」

 

 暗い部屋に、愉悦を含んだ笑い声だけが静かに響き続けた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 ヒナとネネが共に駆け付けた戦場では、既に状況は変化していた。

 風紀委員会や正義実現委員会が手こずっていた、ユスティナ聖徒会の複製たちが、顕現さえ不安定になっており、一歩も動かなくなっていたのだ。

 

 シャーレの先生による、エデン条約機構の再編の宣言。

 それによって、契約が上書きされ、『エデン条約機構』が二つある状態が発生した。

 これで―――アリウススクワッドが持つ、無限の兵力が、完全に沈黙した。

 

 

「―――知ったことか!!!」

 

 だが、錠前サオリは諦めない。

 憤怒に染まった顔でヒフミを、先生を睨みつけて。

 

「ハッピーエンドだと!? ふざけるな!そんな言葉だけで、世界が変わるとでも!!?」

 

 戦意と、殺意とを、ぶつけて。

 

「“生徒たちの夢を―――その実現を助けるのは、大人の義務だからね”」

 

「っ……」

 

「“私は生徒たちが願う夢を信じて、それを叶える手助けをするだけだから”」

 

 やがて―――激突する。

 その果てに、アズサとサオリが正面から、相まみえて。

 

「サオリ……もう諦めて」

 

「ふざけるなっ!!!」

 

 

 アズサに言われて―――とうとう、堰が切れた。

 何故、お前だけが救われると。

 同じ境遇で生きてきて、何故お前だけが、と。

 

 

「私たちは苦しんだ!絶望した! この、灰色の世界に!!

 全てが虚しいこの世界で、お前だけが意味を持つと!!? お前だけが―――」

 

 

 そう叫ぼうとして。

 ―――サオリのマスクが、衝撃と共に吹き飛んだ。

 

 

「ぐあっ!!?」

「サオリ!?」

 

 

 両者とも、そのタイミングで気付いたのだ。―――狙撃されたと。

 狙撃したその犯人は、銃口から煙のあがったスナイパーライフルを、そばにいた銀鏡イオリに「ありがと」と片手間に返した。

 明らかに話しているタイミングを狙って行われた不意打ちをした仲間に戸惑うイオリをおいて、狙撃をした生徒は、海色の髪をなびかせながら、サオリを冷たい視線で刺した。

 

 

「………そこから先を聞いてもなんの意味もない」

 

 ネネの声は、先ほどまでの荒ぶる感情が嘘のように静かだった。

 彼女の瞳には、過去の亡霊を追いかけるような憎悪や、無意味な復讐への情熱は欠片も宿っていない。

 ただ―――今この瞬間、先生を、仲間を、そして自分の日常を守り抜くという、揺るぎない「覚悟」だけがそこにあった。

 

「失ったものは戻らない。くだらない大義名分を盾に誰かを傷つける……そんなことにこだわる意味も、もうないわ」

 

 ネネは懐から拳銃を抜く。もう片方の手には、予め置いておいたのだろう、アサルトライフルが握られていた。

 

「戦う理由は、もっと単純でいい。ただ……自分の信念を賭けて戦うだけよ」

 

 その言葉は、まるでかつて戦場で死にゆく者たちに捧げたレクイエムのように響いた。

 静謐で、圧倒的な重圧を放っているかのように、かつ、かつ、と歩を進めていく。

 

「ほら、なにか奥の手があるならさっさと出しなさい」

 

 余裕すら感じさせるその態度は、サオリにとって最大の屈辱だった。

 自分たちは、この日のために全てを捨ててきた。

 誇りも、優しさも、未来も。

 その全てが「虚しい」という呪縛の中で踊らされてきたというのに、目の前の少女は、その呪縛をいとも簡単に過去のものとして片付けてしまったのだから。

 

「……ッ、貴様ァ!!」

 

 サオリの顔が激しく歪む。

 『全ては虚しい。(vanitas vanitatum )どこまで行こうとも全ては虚しいものだ(et omnia vanitas)』――それはアリウスの教義であり、彼女たちの生そのもの。

 それを、ネネは冷ややかに切り捨てた。

 

「『全ては虚しい(Vanitas)』……だっけ? どうせ無駄なら、せめて時間は無駄にしないで」

 

「ふざけるな……! ふざけるなッ!!!」

 

 ――そんなくだらないことに、私の大事な時間を1秒たりとも無駄にしたくないから。

 

 サオリの中で、何かが完全に弾けた。

 理性などない。思考などいらない。

 ただ、この少女を、自分を否定したその嘲笑を、この手で握りつぶさなければ気が済まない。

 

 サオリは叫びながら、瓦礫を蹴り飛ばして肉薄する。

 その手には、先ほど瓦礫の奥へ消えたはずの爆弾を拾い直したのか、あるいは新たな凶器を握りしめているのか。

 全身から殺意を放ち、獣のように跳躍した。

 

 ネネは銃口を構えたまま、微動だにしない。

 その表情は、どこまでも澄み切っていた。ヒナの言葉で得た守るための戦いの強さを抱きしめて、ネネは引き金を引く。

 

「そんなものに――当たるかァ!!!」

 

 獣の本能であるかのように、ネネのアサルトライフルの射撃を躱しながら肉薄する。

 このまま、殴りつけるかのような反撃が起こる直前。

 ネネが―――自身の頭に拳銃を突き付けた。

 

「―――!!!」

 

 またあの攻撃が来る!

 そう思ったサオリは、すぐさま銃口の狙いを、拳銃を持つ手に変えて引き金を引いた。

 

「がっ―――!?」

「う―――」

 

 銃声は、同時だった。

 サオリの銃弾はネネの左手に直撃し。

 ネネのアサルトライフルから放たれた銃弾は、サオリの脇腹にボディーブローを決めていた。

 サオリに見せた自殺のような仕草は、敵の動揺を釣るためのブラフだった。

 

「……はぁぁーーーっ!」

 

 続いて両手の銃が火を噴く。

 至近距離で放たれたそれらはほとんどがサオリに命中し、そのたびにサオリをのけぞらせていく。

 しかし、踏ん張るように向けられたサオリの銃口から放たれた弾が、今度はネネを削っていく。

 

「うわっ!?」

 

 それに加えて、ネネの頭にスナイパーライフルの弾が直撃した。

 ヒヨリだ。これ以上サオリを傷つけさせない、と言わんばかりに、サオリの真後ろでスナイプポイントを陣取っていた。

 それだけではない。傍にはミサキもアツコもいる。……多勢に無勢だった。

 ―――先程までは。

 

「! 退避っ!」

「「「!!」」」

 

 突如、銃弾の嵐がサオリ達を襲い、アリウススクワッドの距離が離れた。

 何かと思っていると、ネネは、いつの間にか両隣に誰かがいるのに気が付いた。

 委員長のヒナと、先程スナイパーライフルを借りたイオリだ。

 二人とも、闘志を滾らせながら、ちらとネネを見た。

 

「ネネ……先行しすぎ」

「そうだ! さっきは急にライフルをひったくるし、ここにいる風紀委員はお前だけじゃないんだぞ!」

 

「―――はい!!!」

 

 そうだ。

 自分には今、仲間がいる。

 怒涛の制圧射撃が戦場を支配する。

 

 ヒナの放つ凄まじい火力のマシンガンがアリウスの戦線を押し返す。

 イオリが的確にアリウスの各個体を射抜いていく。

 背中を預け合える仲間がいるという事実が、ネネの心臓を強く、速く打ち鳴らしていた。

 

「風紀委員会、前へ―――ネネに続きなさい」

「「「「「おおおおーーーーーーっ!!!」」」」」

 

 ヒナの号令とともに、戦場が色を変える。

 ネネは今度こそ、迷いのない足取りで駆け出した。アリウス生がサオリを庇うように瓦礫の陰から銃撃を試みるが、ネネはそれを最小限の動きで回避し、即座に距離を詰める。

 

 かつて、自分一人で世界を背負っていた頃の重苦しい弾道ではない。

 今、ネネが放つ一弾一弾は、未来を切り拓くための「意志」だった。

 

 サオリの前に現れたアリウス生とネネ。二人の距離がゼロになる。

 ナイフが閃き、銃口が火を噴く。至近距離の死闘。しかし、今のネネは決して崩れない。

 仲間と先生、そしてヒナの言葉が、彼女の盾となり、剣となっていた。

 最後は、ネネがアリウス生の懐へ踏み込み、その銃口を確実に彼女の肩口へと向けた。

 

「終わりよ」

 

 乾いた音が響き、アリウス生が力尽きて地面に膝をつく。

 そこからはもう、乱戦だった。

 ゲヘナとトリニティ。アリウススクワッドと、まだ動くユスティナ聖徒会の複製に、アンブロジウス。

 それらが入り混じり、鎬を削る。

 サオリを探し出そうとしたネネの耳に、悲鳴が聞こえた。

 ネネに、迷う隙などなかった。駆け付けた先では、正義実現委員―――マシロが、アンブロジウスに不覚を突かれ、ピンチに陥っていた。

 

「はああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」

 

「□□□□□ーーーーーッ!!!?」

 

 すぐさま飛び蹴り。

 アンブロジウスの態勢を崩して、正義実現委員との間に割って入る。

 

「あ、あなたは―――!?」

 

「大丈夫。すぐ終わる。………動かないで」

 

 確信があった。

 アンブロジウスは、ユスティナ聖徒会の複製とは姿かたちが大きく違う。

 それでも、ネネは己の力が―――ペルソナの力が、通用すると、確信を持っていた。

 初めて召喚器を出して、それを迷いなくこめかみに当てる。

 

「な、なにを―――」

 

 マシロが血の気を引かせて叫ぶ。

 傍から見れば、自決しようとしているようにしか見えないのだから無理もない。

 だがネネは涼やかな顔で、引き金を引いた。

 

「ペルソナ」

 

 引き金を引くと、ネネの背後に、大きな異形が現れた。

 天秤が埋め込まれたかのような鎧に身を包み、大剣と杖を持った異形。

 ―――ペルソナ「アイアコス」が、その場に顕現した。

 

「―――敵を灼け、アイアコス!!」

 

 ネネの号令と共にアイアコスの杖から放たれた黒い炎が、アンブロジウスの胸元に大きな風穴を空け、周囲を焼き焦がしていく。

 もだえ苦しむアンブロジウスを、アイアコスの大剣が真っ二つにすると、怪物は今度こそ完全に沈黙し、この世から塵となって消え去った。

 

「……終わった、かな」

 

 巨大な敵を倒した直後、視界の奥では、アズサとサオリの死闘が決着を迎えていた。サオリが膝をつき、アズサが息をあげているのが見える。勝負はついたようだ。

 その顔には、もはや怒りも怨嗟もないように見えた。ただ、すべてを出し切った後の、深い空虚だけが残されていた。

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 エデン条約を巡る狂騒が、やがて潮が引くように静まっていく。

 戦場には、沈黙が降りていた。

 アリウスの彼女たちは、深い傷を負いながらも、どこかへと去っていった。

 

 空には薄い雲の切れ間から、柔らかな光が差し始めている。

 ネネは荒い息を整えながら、ふと空を見上げた。

 泥と火薬の匂いがする。けれど、先ほどまで感じていた、すべてを破壊したいという冷たい感覚はもうどこにもなかった。

 

「……終わったわね」

 

 隣に並ぶヒナが、優しく微笑む。

 イオリは銃を収め、悔しそうにしながらも安堵の表情を見せている。

 遠くで、先生の声が聞こえた。自分たちの勝利を、そして無事を喜ぶ、あの聞き慣れた温かい声。

 

 ネネはゆっくりと拳銃をホルスターへ戻した。

 先生の背中をずっと見ていたが、いつまでもそうしていられないので、隣のヒナ委員長に話しかける。

 

「委員長」

 

「どうしたの?」

 

「……帰って、落ち着いたら、皆でどっかご飯に行きましょうよ。私、少しお腹が空いちゃいました」

 

 ネネの言葉に、ヒナとイオリは目を丸くした。

 思えば、あの暗い一週間(一年間)の行方不明から帰ってきて、自分からこんな風に日常の誘いをしてきたのは初めてかもしれない。

 二人が笑って頷いてくれるのを想像して、ネネは小さく、けれど確かに笑みをこぼした。

 

 キヴォトスの空の下、ネネの新しい日常が、ここからまた続いていくのだろう。

 過去を背負いながら、それでも前を向いて歩く。

 それが、自分――雨塚ネネが選んだ、道のつもりだ。

 

「…………?」

 

 だが、待てど暮らせど二人の返事が返ってこない。

 不審に思ったネネが顔を向けると――自身の行動が、思っていたよりも波乱を招いていたことに気が付いた。

 

「別に構わないけど………」

 

 ヒナが、かつてないほど神妙な顔をしていた。その隣のイオリも、完全に表情が硬直している。

 それよりも、と言い出したヒナは、右手を拳銃の形にして、自身のこめかみにコツンと当てた。

 

「―――これのこと、説明してもらうからね」

 

「あ」

 

 ―――見られていた。

 一番見られたくないところを見られたと悟ったネネは無言で逃亡を敢行した。

 だが当然、その直後にゲヘナ最強の委員長と切り込み隊長によって、あっけなく取り押さえられたのは言うまでもない。




本当の理由はネネをキヴォトス唯一のペルソナ使いのままにしとくとネネが辛いかなって思ったからなんだ。
シャドウと戦えるのがネネ一人だけなんて、絶対にガタがくるって。
だから、他の生徒にもペルソナを覚醒させたかったんだ。

でも、ペルソナの覚醒条件ってハードル高すぎるでしょ。

P3型→死に立ち向かう意思を持つこと。キヴォトスでは育ちにくいうえに、頭に銃を突きつけるという見栄えが最悪。ネネは磐戸台行ってたから例外
P4型→醜い自分自身を受け入れること。マヨナカテレビが必要。影を否定してシャドウが暴走するリスクはあるが、そこはネネがタイマンすればいい。
P5型→理不尽への反逆の精神を持つこと。ここなら大人が(先生と柴大将等以外)比較的クズだから条件達成しやすいがネネが怪盗に転職する必要がある

だから、4形式かな~って思っただけなんだ。P6が作られてるけど、まだあと2年くらいかかるし。5形式も悪くないけど、完全に連載変わっちゃうし。4形式でもそうだけど。

ネネのこと、どう思ってる?

  • セイア「敵わない人」
  • ヒナ「頼れる後輩」
  • アコ「理解できない人」
  • イオリ「戦いたくない人」
  • チナツ「放っておけない人」
  • フウカ「一緒に料理したい人」
  • アズサ「より戦場を知っている人」
  • アツコ「泣けなくなった人」
  • シロコ「ん、似てる人」
  • ホシノ「無理して大人になった子」
  • サクラコ「祈りを知る人」
  • 先生「戦う必要のない、傷ついた子」
  • その他()
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