薬屋のひとりごと〜南方将は西国の血を引く男〜   作:花札こいこい

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安寧

柘榴宮の「北方将」の控え室に「四方将」が集まる。その間の上級妃達の護衛は壬氏の連れてきた宦官に任せているとはいっても大広間に一番近い部屋であるので、何かあればすぐ参じることができる用意はある

「首尾はどうだ?白虎よ?」

「そうだな。敵が入り込んだ様子は無いがむしろ今の静寂が嵐の前の静けさのような気がしている。」

「確かにその感覚はあるな。」

 ピィー

 紅牙が柘榴宮の上空を旋回しているので朱雀が窓を開けると欄干に降りたつ紅牙の脚には文が恐らく白虎の書いた文に主上が返答したものだろうと文を朱雀が取り出す

「主上はなんと?」

 玄武の言葉に朱雀が文を読み上げる

「「今回の件は「四方将」に全て一任する。さらに、先の侵入者の男のことが捕らわれていることはどの高官にも伝えていない。この状況でも茘国の最強の武官で構成された「四方将」ならば敵に勝つなど容易なはずだ。」と。」

「邪魔をするなら文官でも叩き潰せば良いんだな?簡単な話だ。」

 青龍の戦闘狂な部分が出てきたので玄武が

「一応、後宮だからな?自制はしてくれ。」

 先に断りはいれておくのだがそそれでも自分が戦闘狂と言うことは彼自身がよく理解しているのでどうなるか不安しかない玄武

すると

「阿多妃!どちらに行かれるのですか!」

「「四方将」の会議にむかうだけだが?」

「どうか此処にいてくださいませ。」

 宦官に止められるが気にせずに向かう

「楽しい会議になりそうだな。」

控え室にて

「「淑妃」何でしょうか?」

「敵を動かすためにわざと動こうか?」

「妃がそのような危険なことをするのは主上からの許しが出ませんよ。」

 朱雀を始めとする「四方将」は上級妃に危険なことはと思うが

「妃なら敵も警戒しないとは思うが?」

「それはそうですが、上級妃に危険なことはさせたくありません。」

「ならば「四方将」が妃のふりをするのか?」

「「!女装しろと?」」

「四方将」がこの世の終わりのような表情をしている。そんな彼らの長である玄武は

「「淑妃」、陽動戦も効果的ですが我々にも男の意地と言うものがありまして・・・。」

「だから私が敵を動かさせればよいだろう?」|

「いけませんよ、無理なことはさせらません。」

「ほかに良い案はあるのか?」

「「・・・。」」

 代替案がないので「四方将」は沈黙するのだが唐突に朱雀が

「そうか、玄武殿。」

「何だ?朱雀?」

「先の男の口ぶりは上級妃に執着していました。不安からか上級妃が一カ所に集っていることをそれとなく主上が高官に告げ、かつ、我々が後宮内で情報収集をしているので上級妃の護衛は手薄だという偽情報(ダミー)を出せば、第二陣の敵が入り込むでしょう。そして狙うのは上級妃が全員いる柘榴宮となる。敵は邪魔な「四方将」がいないと軽装備でくるでしょうそこを叩けば一網打尽にできます。」

朱雀の案は妃を護り同時に敵を屠る一石二鳥の案だった。

「うむぅ。それが最善な対応だな。」

「確かに今の敵は後宮の中はどうなっているか知り得ない。それが些細な情報でも喉から手が出るほど欲しいものだからな。」

情報に関して「四方将」で右に出る者の居ない白虎が朱雀が示したその策を推す

「では、その偽情報(ダミー)を壬氏殿から主上に伝えてもらい侵入した敵とそれを指示した者の一斉討伐をしようか、諸君。」

「「承知。」」

「阿多妃、大広間に戻りましょうか。」

「そうだな。」

 大広間にて

「上級妃お伝えしたい旨がございます。」

玄武がそう告げれば

「何でしょうか?」

「敵を最短で制するためにこの場に四夫人全員がいること、そして我々の警備が薄いとも公表します。」

「そんな!」

「妃を護るのが貴方方の役目でしょう !」

 さすがに侍女達に非難されるが

「最後までお聞きください。」

 玄武は揺るがないそれは他の「四方将」も同じだ

「それは敵をはめる罠です。実際には妃の護衛に「四方将」全員で対応します。今の後宮内の情報を知らない敵には些細な情報で動くしかありません、そこをつき敵を一網打尽するつもりです。」

「私達は護られるのですね?」

「貴妃」が確認するように訊ねると

「はい。「四方将」が貴女方を護ります。」

「なら大丈夫だな。」

「淑妃」は彼らに対して盲目的に信頼しているようで不安もなくそれは「賢妃」も同じだが彼らとあまり接点のない「徳妃」は不安が隠せないようで俯いている。同様に「貴妃」も娘の背をなでながら本当に大丈夫なのかと疑念の目で「四方将」を見る

「不安をなくせとは申しません。ですがこの場にいる「四方将」は茘国の最強の武官で構成された存在であり、我々にも揺らがない矜持(プライド)があります。あのような先鋒で勝ち戦ができるなどと思われることは侮辱以外の何物でもありません。国で最強と呼ばれる所以を敵に知らしめますのでもう少しだけ協力していただけると幸いです。」

 玄武の言葉にも揺るがないと意志があると感じた上級妃達は彼等が護ってくれると信頼できる相手と認識したようで不安そうな雰囲気はなくなった

「では、壬氏殿。」

「ええ、主上にそのようにお伝えします。」

 壬氏と高順が柘榴宮を出れば

 「貴方方は武器を持たなくてよいのですか?」

猫猫は疑問だったのか訊ねると

「我々の武器はこの身だ。この身一つで敵を制することができなくて「四方将」とは呼ばれんよ。」

 彼女の疑問に白虎は答える

(さすが最強の武官達だな。)

 そう感じながら「四方将」全員をぐるりと見渡す、李白も鍛えているといっていたがその李白よりも鍛えていると思うような屈強な「四方将」だが、その中で朱雀はすらりとした背ではあるが細身だと感じてしまう

(どうしよう、このタイミングで朱雀様を「緑青館」に一度行きませんかは言いにくい。だがやり手婆に言われているんだ言わないと後が怖い・・・。)

「あ、あのう?朱雀様?」

「何か?」

 何回かはなしたことのある猫猫に話しかけられて朱雀は反応するが

「あのですね、まあ、そのですね・・・。」

「?」

「妓楼に興味はありませんよね?」

「はい。」

 (即答かい!)

 内心そう思う猫猫だが

「妓楼に何かあるの?」

 梨花妃の堅い声音はまるで尋問のようで

 (しまった、梨花様が・・・。)

 とは思うがそれでも猫猫はもうどうにでもなれと

「この件が終わりましたら一度・・・。」

 一応言ったぞと言えるように言うがそこに白虎が被せるように

「そういえば。朱雀。」

「何でしょう白虎殿?」

「お前妓楼で人気なんだってな。」

「はい?」

「・・・。」

「部下が話していたぞ?「南方将」に本気で惚れ込んだ妓女が何十人もいるってな。」

「何をしたんだ朱雀よ?」

「何もしていません。」

「「何もしなくて妓女が惚れるか!」」

 白虎と玄武が突っ込むと

「朱雀?」

「何でしょうか梨花様?」

「妓楼で何をしていたの?」

「梨花様?何もしていませんよ?文が送られるので断りの文を返すぐぐらいしか・・・。」

「妓楼に行きたいの?」

「生きたくはありません、面倒なので。」

「そう。」

「梨花様?何故そのようにご機嫌が悪いのです?」

「そうかしら?」

「梨花様のご機嫌を悪くして何が楽しいのですか?白虎殿、玄武殿?」

朱雀が珍しくご立腹な様子に朱雀以外の「四方将」は

 ((やはり惚れると人間変わるものなのだな。))

 とあの「南方将」が本気で惚れている梨花妃に対して

「まあ、場を和ますためのものだ。なあ?翡翠宮の侍女よ?」

 猫猫の唐突な話題の変更に便乗したのだと主張する玄武に猫猫も

「そうですね、あまりに重苦しい空気を和ますためについ。」

彼女もまた玄武に便乗すると

「冗談もほどほどにしてください。」

「朱雀。お前、本気にするな目が怖いぞ?」

「本気にされるようなことを仰る貴方方が悪い。」

「「はい。」」

 最年少である朱雀に注意をされしゅんとする年上の玄武と白虎に対して何してんだこいつらと言いたげに見る青龍。そんな彼らに妃達は

「「ふふっ。」」

控えめだが笑う、彼女達も「四方将」も張り詰めていた緊張感がほどよく解かれたと心の中で安堵する

 そんな中僅かな敵意を感じた「四方将」はそれとなく

「少し外を見てみて参ります。妃達はこの場におられてください、外には朱雀がおります何かあればすぐお申し付けくださいでは、頼むぞ朱雀。」

「はい。」

 妃達に悟られないよう大広間を後にする青龍と白虎そして玄武は柘榴宮の門扉まで出れば先ほどの男より武装した数人の男達がいただがこの場に「四方将」がいるとは思っていないようで

「何故此処に「四方将」がいるのだ!」

「上級妃の護衛は手薄ではないのか!」

 流した情報を疑わずに丸呑みしてくれた賊に玄武は

「思った通りにはまってくれるとはな。」

と滑稽だと口角上げて不敵に微笑む

「我々を侮辱するな!「四方将」!」

「丸腰の武官など敵ではない!」

「行くぞ!」

 賊は自分達を鼓舞し手に持つ武器を「四方将」に振りかざす。武器さえあれば丸腰の「四方将」に勝てると豪語していた賊だが見事に返り討ちにされ長らしき者以外全員気絶させられている

「この程度で反旗を翻すとはな。」

「つまらん。」

「さて?この反逆は誰の命令なのだ?」

「敵に言うわけないだろう?」

敵の首領は嘲うように言うが

「言わなければ命の保証はしないが?」

「脅しているのか?あのお方ならば我々の罪など無かったことにしてくれる。」

「罪をねぇ?」

「それに。」

「「?」」

「我々だけが侵入していると思っているんだろう?「四方将」と呼ばれているくせに何の対策もなく妃達を一カ所に集める阿呆だものな!」

「勘違いしているな、我々は四人で「四方将」だぞ?ここに居るのは三人だ。妃達の側には「四方将」最強が控えている。貴様らこそ我らを否、「南方将」を理解していない。」

「何だと?」

「惚れた女を薄汚い手で抱き寄せるような奴らをあの朱雀が許すはずがない。」

「今の皇帝が消えあのお方が皇帝になれば気に入った後宮の女を好きにしていいという話になっている妃は皆あのお方と我らの所有物だ!」

「値踏みをしているのはそういうことか。」

「ははっ、貴様等もあのお方に与すれば好きな女を与えられるぞ?」

「女をそんな手段でしか手に入れられない男は屑以下だ。」

「手に入れば何でも良いんだよ!」

「話にならんな。」

 あえて意識を持たせていた男も気絶させるこいつらを自由にさせていてはこの国のためにならない

 一方柘榴宮大広間に通じる廊下には朱雀一人だけがいた。ここまでの道中にも各部屋にも警備すらなく賊は簡単に気に入った妃を手に入れられるとにやにやと品のない笑みを浮かべて

「俺が一番先に女を決めるんだお前等はあまりだ。」

「あまりでもいいさ、何人も選んでもまだ居るんだから!」

 既に望んだ女を得られると勘違いをしている賊達。だが朱雀は柘榴宮への侵入者を察し侍女達も安全な場所に移動させ単身で敵を殲滅するだけにしていたのだ

恐らく妃達がいる大広間への最後の廊下を曲がる、賊達は褒美まで後もう少しだと喜々として有頂天になるだが先陣にいた賊の足が止まる続く賊が

「おい、なんで止まるんfだ。護衛なんていないんだか・・・。」

 そう言おうとするが彼の足も止まる何故なら誰も何も居ないはずの大広間の前には「四方将」最強の武官「南方将」朱雀がいたのだから

「「!何故此処に!」」

 賊達は思わず声を出す。簡単に女を手に入れられるとその後のことも考えず侵入した彼らは茘国で最も最大で困難な壁を前にして尻込みする。朱雀は丸腰で自分達は武器を持っている、なのに背筋に悪寒が走る、この感覚は何なんだと理解ができない

「警告する。速やかに武器を棄て降伏せよ。」

 その警告を聞いてもまだ賊には自らの野望を叶えたいと思う野心があるようで武器があれば勝てるとおごっている、武器を持つ手のひらからだけでなく額からも大粒の汗が出ていてそれが自分達の体がこの場が危険だと言っているのだと判断しない。

「警告はした。」

その朱雀の一言は淡々としているのだが全身から不快感がにじみ穢らわしいと思われているのだと賊は感じる

「その細身の丸腰で何ができる!行くぞ!」

 朱雀に斬りかかろうとした賊の右腕がバキッと鈍い音を出して折れる、朱雀の手刀が賊の肘あたりを狙い落とされたからだ

「ぎゃっー!」

 折れてはいけない折れ方をしたのは明白で賊はその痛みから悲鳴を出すしかない

「どうした?この丸腰の細身に怖じ気づいたか?」

「畳みかければ怖くなどない!」

 同時に複数人で斬りかかれば怖くはないのだろうという判断をした賊達だが、その場から動かずに賊を戦闘不能にする朱雀に最後の一人は

「ひぃ。」

 悲鳴を上げて逃げようとするが背後には他の「四方将」が揃っていて

「見逃してくれたら俺の知っている情報は何でも話すだから許してくれ!」

 観念したのか「四方将」の足にすがるのだが「四方将」は

「「見逃すわけないだろう。」」

「俺しか知らない情報もあるんだぞ!」

「なら拷問にかけるしかないな。」

「拷問は痛いがまぁ、そのずる賢さなら耐えれるだろう。」

「言わなければ身内に何かあるかもしれないがな。」

「まっ待ってくれ、そんな話聞いてない!」

「言ってないからな。」

白虎は情報の扱い方を熟知している。この男の言う情報がどれだけのことか探りを入れるため身内に危機が及ぶとなったときの反応でおおよそ見当がつくからでこの反応はたいした価値はないと判断した白虎は首を振るので一番近かった青龍が気絶させる

 妃の安全を確保した朱雀が大広間の扉を開け

「上級妃の皆様、もう心配ありません。皆様の宮まで護衛をいたしますのでお支度が調いしだい参りましょう。」

「はい。」

「ええ。」

 安全を保証された上級妃達は安堵したのかその声音には今までの恐怖とこれからは安心できるという思いが入り交じっているようだった 

 

 

 

 

 

   

薬屋のひとりごと~南方将は西国のを血を引く男~今後の話でこちらの中で読みたいと思うお話の需要を知りたいのでご協力お願いいたします。

  • 朱雀と梨花妃の恋
  • 猫猫の謎解きを「四方将」が手伝う
  • 「四方将」がメインにとなる
  • 「四方将」やその周りがメインの短編小説
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