ダンジョンに悪魔がいるのは間違っているだろうか。 作:マリアンヌ・フェイスフル
ギルドを出て数十分。
俺はと言うとアザトースファミリア、外なる神アザトースが住居を構える建物に向かっていた。その方角は先程、アーディなる少女がこっちはいかない方が良いと言われた路地裏の先、迷宮街と呼ばれているダイダロス通りに来ている。そこには数多の住居が重なり合うように上へ上へと建築、いや違法建築された通り。迷宮のように右へ左へと行けば次は上へ下へ、平衡感覚がなくなる通りとされ、貧困街として有名であり冒険者でさえ近づこうとしないオラリオ屈指のスラム街である。
「そこの坊主、ちょいと待ちな」
「ん?」
そこにはやせ細った老婆、感覚で答えると超越存在である老神がこちらをジっと除いている。
「何用でしょう」
「...ふむ。坊主アザトースの客かい?」
「えぇ、ファミリア希望者ですよ」
「...なるほどねぇ、私は貧窮の女神ペニアだ、なにか困ったことあったらいつでもいいな」
「えぇ、感謝します神ペニア」
貧窮の女神、まぁ貧乏神か。そんあ超越存在だとしても、神には俺の術は通用しない。神殺しはこの世界では最も罪が重い。まぁしないが。
ダイダロス通りを歩くこと数分、神アザトースが住まう住居にやってきた。住居の見た目は極普通、ではあるが近寄りがたい空気感が漂っている。
「すいません、神アザトースはいらっしゃいますか」
...返答がない、出ているのか?
「君の後ろにいるよ」
「うお!?」
「こんにちは、少年。いや、ウルベルト君と呼んだほうがいいのか?」
驚いた。外なる神アザトースといえばタコのような見た目が有名なのだが、実際のアザトースは少年のように小さい。が、その雰囲気は異様で神だとわかる空気感をまとっている。
「...なぜ俺の名前を?」
「いやなに、ペニアが騒いでいたからね。珍しい生き物が来たって」
「生き物って...こうみえてヒューマンなんですけど」
「うーん、彼女たち超越存在は勘とかでどんな人かがわかるんだけど、君の魂はとてもヒューマンとは思えないようだよ。まぁ僕もキミを見てヒューマンだとは思っていないさ、怪物とも見ていないから安心してね」
こうも簡単に正体を見破られるとは思わなかったな。俺の種族名は悪魔系異業種、この世界の怪物とは恐らく毛色は違うだろう。そんな俺をみてこの神は受け入れるといってくれた。とても嬉しい。ユグドラシルでは異業種は忌むべき存在とされいじめというか嫌がらせが多かった。自分たちより強いものが装備やアイテムを奪われるなど、大変な時期もあった。
「...ま、正体は何か気になるけど君は僕のファミリアに入りたいんだろう?」
「そうです、大手には入れませんし医療術も無いに等しい。ならば探索系ファミリア、そして人がいないとこがココでした。」
「消去法かい、まぁ僕は特になにかしたいとはないから好きにするといいよ。ファミリアの加入を承認するよ」
「感謝する神アザトース。これでダンジョン潜れる...」
「ただし!」
神アザトースがこちらを向き直し、人差し指を指し何かを口にする。
「ただし1年だけだ。契約は1年満了で他所に移ってもらう。君の知っての通り僕は神であり神ではない。だからいつ消えるかわからない状態だ。だから、君にはロキファミリアとおすすめしておくよ、話を通して1年後、そっちに行くと良い。」
「...分かりました、1年、よろしくお願いします」
こうして、外なる神アザトースと大災厄の魔ウルベルト・アレイン・オードルが家族になったのであった。ただし1年という契約の下、眷属となり親らしくあろう、とアザトースは思うのであった。
「あぁ、そうだ。恩恵を授けないと」
「恩恵?」
「知らない?冒険者は皆どこかのファミリアで、背中にそのファミリアのエンブレムが刻まれているんだよ。神血を媒介に子どもたちに恩恵を与え、力を授ける。その器の位が上がると一歩ずつ神に近づいていくのさ」
神の恩恵。実際、現代の記憶がある俺はそれが何かしている。神の恩恵を授かった時点で人間や獣人は常人を超えた力を手にすることのできるまさに神の奇跡。だが神の恩恵の本質は自身の進化ではなく成長。常人の限界という殻を取り払ってくれるというもの。神の恩恵は人が様々なことから得られる経験値を糧として、その能力を引き上げて魔法や特殊な力をを発現させることができる。ただ経験値を貯めるのではなく、様々な偉業、試練を乗り越えると器を昇華させることができる。現代の言葉で言うなら神の恩恵はステータス、器の昇華はランクアップというところだろうか。
副産物だが、このランクアップをすると老化を遅らせる事ができる、らしい。寿命が伸びるかは不明。
そんなこんなで異世界人の俺にも神の恩恵が与えられた。腰の上に乗ったアザトースが絶句している、が羊皮紙にうつされた神の恩恵を見て、俺も目を見開いてしまった。
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【ステータス】
名前:ウルベルト・アレイン・オードル
種族:悪魔系異業種
年齢:16
所属:アザトース・ファミリア
レベル:1
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基本アビリティ
筋力 E 543
耐久 I 0
器用 H 113
敏捷 F 321
魔力 F 324
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発展アビリティ
精癒A
魔導A
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魔法
【
詠唱式:例【
ユグドラシルの魔法を召喚する魔法 第1位階〜超位階魔法を全て使用可能。
スキル
【
常時発動。主に「力超増加」「魔力超増加」「精癒A」「魔導A」が付与
万物の王の恩恵が失われるまで常時発動。
万物の王の恩恵が失われた場合付与されたものは消失しない。
【
理の外にいる限り早熟する。
理外の存在であるかぎり効果持続。
理外の存在であるかぎり力と器用に高補正。
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「...これは僕も予想外だなぁ」
「アザトースチートだな...」
魔法はまだいい。いやよくないのか、この世界の恩恵ことステータスは一番最初は何も発現していないのが一般的だ。に比べたら俺は異常だろう。魔法はまだわからんでもない。俺ことウルベルト・アレイン・オードルが所持している魔法の数は有に数百を超えている。この魔法全ては流石に背中に刻めない。問題はスキルだ。深淵ノ夢は恐らくアザトースの眷属となったからだろう、万物の王が証拠である。そして理外存在、説明の通り理の外というのは俺が異世界からの転移者だからであろう。まぁ早熟のスキルを手に入れられたのは誤算だが、運が良かった。これでレベルも上がるだろう。
「親として生活スペースは確保しなければならん。この家の2階を使いな」
「...助かります、ただヴァリスがないから、ダンジョン行ってきます」
「気をつけていってらっしゃい、夜は僕いないから晩御飯は各々で済ませよう」
「了解」
ギルドにて。
「これで冒険者登録とファミリア登録完了です、この後はダンジョンにですか?」
「手持ちがあまりないからね、今日と明日の飯代は稼がないとね」
「...なるほど、ではこちら登録したばかりの冒険者様に無料配布しているショートソードです。革鎧もありますが、どうしますか?」
「見ての通り鎧はあるので大丈夫です、武器だけいただきますね」
「では、こちらからは以上になります。ご武運を」
迷宮都市オラリオの本来の役目は、ダンジョンの大穴を塞ぐ役割があるのと、もし破られたときの城壁としての役割などがある。そして大穴の上に立てられた白い巨塔バベルもその目的の一環として建設された。しかしここ千年破られたことはない。三大冒険者依頼の黒龍などは千年前、ここ大穴から這い出してきた恐らく深層のモンスター、かのゼウスとヘラのファミリアを壊滅させた最悪のモンスターとして知れ渡っている、が原作と違う点が少しある。
それは両派閥死者がいないこと、ただし重軽傷や四肢欠損など生活に支障をきたす者はいる。しかし原作では暴喰と静寂以外の眷属は死んでいる。すでに俺がいる時点で原作乖離が起きているが、その過去までも変わるとは思わなかった。
まぁ、それはともかく....
「初めてのダンジョンだ、ユグドラシルとは違ったこの緊張感、滾るな」
そう、俺ことウルベルトはユグドラシルで数多のダンジョンを攻略してきた攻略者である。罠にわざとはまったり、金銀財宝よりも魔道具や魔法関係のものがあれば何が何でも手に入れる。それがダンジョン攻略だと俺は思う。
「....ふぅ、4階層攻略と。しかしマップがあるはありがたい、宝がすでにないのは残念だがドロップアイテムと魔石がある。明日の食費はこれで賄えれるだろう」
「しかし驚いた、モモンガさん直伝の第9位階魔法
ダンジョンに潜り約2時間、初心者と思えないスピードで階層を制覇するウルベルト。その立ち姿からはかつての英傑を思わせるほどに勇ましく、英雄と読んでも過言ないほどに。
しかし彼の本職は剣士ではなく、純粋な魔法職であり職業レベルで魔法剣士はあるが本職の剣士には負ける。が、それはユグドラシルでの話であり、この世界での実力はかなり上である。
「銅の剣、別名ショートソード。特注効果もないただの剣か、データ量的に高々Lv.10といったところか。これじゃ俺等に傷もつけれないな、パッシブスキル色々あるし」
アインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーはほとんどがカンストしておりそれぞれの種族値もカンストといったチートであり、ギルド長のモモンガは物理攻撃無効などのチートをパッシブスキルで防ぐことができたりなど、様々。かくいうウルベルトにも備わっている。
まずは物理攻撃無効IIや魔法攻撃無効II、本来であればIIIまで強化可能ではある。その証拠にモモンガさんやたっちさんはIIIでレベル60以下の物理攻撃共に魔法攻撃の一切ダメージを無効化にしてしまう。まぁ欲を言えば彼等が持つ刺突武器耐性や斬撃武器耐性も欲しかったところだが、時間は有限だ。IIIしか取れなかった、とても悔しい。
しかし!これでもモモンガさん達より優れているものもある。それは魔法面と剣士面である。原作のオバロのウルベルトは魔法攻撃に特化した超火力で攻撃の要を担当していた。ワールド・ディザスターの職業についていたが、成り代わった俺が行ったのは魔法職と戦士職のハイブリッド職を見つける事。数ある職業レベルから唯一ない魔法剣士、それをついに見つけた。
特定の条件下(最高難易度)で発見者は俺一人、ユグドラシルの隠し職業の魔法剣士は、賢者をLV.20剣聖をLv.15の状態でとあるモンスターをソロ討伐、めちゃくちゃむずかった。
まぁそのおかげで魔法剣士の上位職魔導剣聖も獲得できた。その効果が今もあるのはありがたい。
「さてと、次の階層は...」
ギルドから配給された正規ルートの書かれたマップを再確認する。数あるエリアから安全なルートと最短ルートが2つ書かれている。安全なルートは階層を半周してモンスターが少ないルート、最短ルートはモンスターが多いが、突っ切っていけるルート、まぁこのルートだよな。そして数刻の後___咆哮と同時にダンジョンが揺れた。
『グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!! 』
「全く、これだからダンジョン攻略はやめられん!!」
肌に突き刺すような殺気。息を潜めたダンジョン、上層にも関わらず、冒険者はいないことは幸運なことなのだろうか。
これほど異様な空気はないだろう。この殺気は濃密すぎる、新米や下級冒険者には辛いだろう。
だが、そこに居合わせた
その殺気が好敵手の居場所を知らせるが如く、その先には奴がいた。
「...来い、犬畜生ッ!!!」
挑戦者は腰に備えている剣に手を置く。反射的に見てしまう奴はこちらを見ている。
赤黒い毛並みに覆われた巨大な狼が立っていた。体高は二メートル近く。鋭い牙からは唾液が糸を引き、黄金色の瞳は獲物を見つけた歓喜に満ちている。
瞬間、其奴は地面を蹴る。風を切る音だけが聞こえ、一瞬で間合いを詰めてくる。
彼は剣を抜き切った。
瞬間牙と剣が重なり、甲高い金属音が鳴り響く。
「...拍子抜けだ、弱者に興味はない」
狼は好敵手を睨む。打ち合いをして弱者を罵られたのを感じ取ったように。
「【居合:死突】ッ!!!」
それは神の如き技、一筋の一閃とともに、狼の魔石めがけ剣が迫り突き刺さる。
「【円業】ッ!!!」
突き刺さった狼から豪炎の炎が立ち上がる。
轟音がダンジョンの壁を鳴らし、爆風が階層内に吹き荒れる。
魔法剣士は静かに剣を鞘へ納める。
カチリ、と鍔が鳴る。
遅れて聞こえるは巨体が倒れる音とともにダンジョンに還る音だった。
戦いが終わった。その魔法剣士の後ろ姿は英雄を思わせるほどに勇ましい。
離れた場所に佇む女性達は、思わず息を呑む程に。
戦闘描写ムズッ!!!