ガバガバのAI君に放り込んだため、読み直してもおかしいところが多々あります。
とりあえず、1話分はできたので試しに投稿しました。
眩い閃光。次いで響くは、猛獣の咆哮がごとき轟音。
音速を突破した超質量が、略奪中のレイダーたちへ肉薄する。激突。一瞬にして、肉片が弾け飛んだ。
それは、圧倒的暴力の顕現だった。
鉄塊と見間違えるほどに分厚い銃身。申し訳程度に付けられたグリップとトリガー。碌な照準器すら備えておらず、「銃」と呼ぶにはあまりに悍ましかった。使用者の都合を一切考慮していないその設計は、ある意味では潔い。
ただ破壊するためだけに存在する銃口からは、今しがた放たれたばかりの硝煙がゆらりと立ち上っていた。
目の前の光景に、生き残ったレイダーたちは一瞬呆然とした。しかし、飛び散った仲間の返り血が彼らを現実に引き戻す。色めき立ち、違法改造の銃口を一斉にその主へと向けた。
誰もが確信していた。あれだけの質量を吐き出した大口径銃だ、次を撃つには相応の冷却か装填が必要なはずだと。
その甘い算段を嘲笑うかのように、躊躇いなく、二発目の轟音が荒野を裂いた。
理屈が合わなかった。
あれほどの超大口径でありながら、連射を可能にし、あまつさえ射手はピンピンしている。明らかに「対人用」の兵器ではない。人間以外の、もっと別の『何か』を屠るための代物だ。
本来なら、その凄まじい反動だけで射手自身がミンチになるはずだった。――なのに、今ミンチになっているのは、自分たちの方だという残酷な矛盾。
つばの広い帽子の影から、無造作に伸びた赤髪が風に揺れる。纏ったロングコートはボロボロに擦り切れ、幾多の死線を物語っていた。据わった三白眼、その奥で妖しく光る金の瞳が、消し飛びかけた戦場を冷酷に見下ろす。衣服を押し出すように盛り上がった丸太のごとき剛腕が、あの圧倒的暴力の顕現を、ただ静かに保持していた。
かろうじて原型を保っていた荷台から、隠れていた人々が這い出てくる。彼らは辺りに広がる凄惨な光景を目にし、ただ絶句するしかなかった。自分たちが救われた喜びよりも、目の前の破壊への恐怖が勝る沈黙。
その視線を浴びて、赤髪の主はバツが悪そうに帽子のつばを深く被り直した。
やがて、キャラバン隊のリーダーと思われる中年の男が、恐る恐る前に進み出てきた。
「助けていただき……ありがとうございます」
歯の根も合わないほどに震えながらも、リーダーの男は必死に感謝の言葉を絞り出す。
それを聞いた彼は、さらに決まり悪そうに視線を落とし、低く呟いた。
「悪かった……。怯えさせる気はなかったんだ」
言い訳めいた言葉を残し、赤髪の男は鉄塊を無造作に担ぎ直して踵を返した。そのままふらりと去ろうとした、その瞬間――背後から切羽詰まった声が呼び止める。
「お待ちください! 命を救われたのです、せめて相応のお礼をさせてください。……それに、ご覧の通り足をやられました。どうか、次の街に着くまで、私たちの護衛を引き受けてはいただけませんか」
リーダーの男の必死の懇願に、彼は担ぎかけた鉄塊を止め、わずかに横を向いた。
「要件を聞こう。だが――」
金の瞳が、再び不気味な質量を湛えた大銃へと落とされる。
「獲物がこれなんでな。手加減ができない。巻き込まれたくなけりゃ、できるだけ俺から離れてくれ」
赤髪の男は歩み寄ると、横転していた巨大な荷台に手をかけた。そして、丸太のような剛腕に一瞬だけ力を込める。
――ギチリ、と凄まじい肉体の軋み。
数人がかりでなければ動かないはずの質量が、信じられない軽さで持ち上げられ、元の位置へと戻された。唖然とする人々を置き去りにしたまま、主人公は衣服の埃を払い、低く言った。
「さあ、事情を聞こうか」
「ここら辺は、いつもこうなのか」
赤髪の男は、もはや原型を留めていないレイダーだったものの残骸を顎で指した。リーダーの男は顔を青褪めさせ、首を激しく振る。
「い、いえ……。ここ最近、妙に奴らの動きが活発化しておりまして。普段ならこれほど組織的な襲撃はしてこないはずなんです」
「向かっている街については?」
「『新都』という場所です。そこからも最近、なぜか物資の消費が激しいから一刻も早く届けてくれ、と矢の催促がありまして……」
「――現時点で考えても、情報は少なすぎるな」
赤髪の男は短く呟くと、それ以上の深追いをやめた。
「とにかく、移動を開始するぞ。ぐずぐずしていれば、また別のハイエナどもが集まってくる」
その言葉に弾かれたように、キャラバン隊の面々が慌ただしく出発の準備を整える。主人公は再び悍ましい鉄塊を肩に担ぎ、つばの広い帽子を直した。赤髪を荒野の乾いた風になびかせながら、不穏な影を落とす街の方角へと、静かに歩みを進め始める。