転生者山内春樹くん   作:裏桜

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ターニングポイント/4月前半

堀北side

 祝勝会を終えて、彼から別件で話が有ると言われたので私はとある場所へと向かっていた。その場所への道すがら3年生の教室の横を通り過ぎた。

 3年Aクラス。

 2年という月日を経て私たちは漸く、Aクラスへと辿り着いた。楽しいことや嬉しいこともあったけれど、忘れてはならならないのは辛い経験。

 ここまでの道のりは決して平坦ではなかったこと。

 佐倉さん、前園さん、そして山内くん。

 彼ら彼女らの献身的な行動や犠牲の上に成り立っていることを忘れてはならない。

 思えば入学当初、私には明確な目標などなかった。

 ただ兄さんのあとを追うために、この学校に来ただけだった。入学以降相変わらず兄さんから距離を置かれ、冷たく突き放されてしまうだけの日々。

 けれど、学校生活を続けていく内に本当に本当の最後に兄さんの本当の気持ちを知ることが出来た。

 自己の可能性を否定し、兄さんの背中を追い続けるだけではダメなのだと教えられた。

 そこから1年経ち今では生徒会に所属し卒業式では送辞を読むまでになった。

 信じられないような軌跡を歩んでいる。

 その軌跡の陰には山内くん、綾小路くんの存在が大きかったことも忘れてはいけない。

 もし彼らが同じクラスにいてくれなかったら、きっと今の私はなかった。

 もっと未熟で、稚拙で、誰とも距離を詰めることが出来なかったはずだ。

 奇天烈な行動や何を考えているか分からない態度に困らせられることもあるけど、それはご愛敬ね。

 ともかく、私はあの日から本当にの意味でAクラスでの卒業を目標に掲げることにした。

 兄さんのためでも私のためでもなく。

 山内くんを始めとしたクラスの全員と喜びを分かち合うために。

 それがこのAクラスという場所。

 決して1人の力では辿り着けなかった場所。

 慢心してはいけない。

 今はまだその頂への道筋が切り開かれただけ。

 学校生活はまだ1年も残っている。

 すぐ後ろには龍園くんのクラスが迫ってきている。

 少し離れているけれど、一之瀬さんのクラスや元坂柳さんのクラスだって侮れない。

 この先どんな手段を使ってでも、私たちを追い抜き追い越そうとしてくるだろう。

 逆に私たちは逃げ切るため、追い付かせないための戦いをしていかなければらない。

 彼が今日呼び出したのはきっとこれからの戦いに必要な情報を教えてくれるためだと思っている。祝勝会を終えて気が緩んでいるのを引き締めるため。けれど、私の中では別の……特別な何かを期待している私がいる。本当に困ったものね……山内くんは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日呼んだのは俺を……自分たちのクラスへ引抜く場合……幾らPPを支払ってくれるかって話」

 

 指定した場所に居たのは龍園くんと一之瀬さんの二人。そして、後から来た山内くんに問い質すと開口一番にそのようなことを口にした。その言葉を聴いた瞬間、私の頭は真っ白になった。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 4月A日

 本当は日記何てもんは書きたくなかったが今感じている違和感を少しでも解消するために書くことにする。

 入学式の日、俺はよう実の山内春樹になった?というか転生していた。

 思い出した切っ掛けは不明。まあ、約半年後にある特別試験で思い出すよりは遥かにマシだが、現時点でもかなり危機感を抱いている。この世界では男子は言わずもがな同学年の堀北や伊吹、来年入学するであろう七瀬や天沢などの一部女子たちは力で問題を捻じ伏せ……解決出来る存在が一定以上いる。反面、今の俺の状態は今までの山内+前世の記憶が融合した形になっているため、思考能力や知識以外は今までの山内がベースになってしまっている。退学阻止、つまりは物語に介入することによって潰される可能性が出て来た訳だ。

 目下の課題は体力作りと本などを読んで勉強。自衛手段についての宛は一応ある。

 取り敢えず今日やったことは、

 ①自己紹介の時に友達100人作ること宣言。

 我ながら馬鹿な発想であり滑っていたが無事に主人公である綾小路君の連絡先をゲット。後は主要キャラで男だと平田や池、女子は櫛田の連絡先をゲットしている。須藤や他クラスについては後日入手するつもりだ。

 ②校舎の散策。

 監視カメラの確認と他学年の席数の確認。知識では知っているものの確認していたという実績が欲しかった。他学年の人間から奇異な視線をぶつけられたが知るか。ぶっちゃけ原作のようなCPを0するような愚行は防ぐつもりでいる。

 ③堀北学との接触。

 入学初日しか邂逅出来ないと考えていた。綾小路みたいに武威を示せば変わってくるがそんなものは今の山内にはない。生徒会室へ突撃し最初は門前払いされかけるが橘先輩の鶴の一声によって喋る機会を手に入れた。文章では言い表せないが物凄く苦労した。

 例えるなら面接で敬語を使わずにフランクに喋り続けたと言った方が分かりやすい。当たり前だが最後に口調についての注意はされた。

 話した内容は支給されたPPで堀北会長から学校内のルールや情報を売ってくれるかの確認。聞く理由は今後やらかさないか心配してとかそんな感じ。流石に10万はベッド出来ないので8万で交渉。橘先輩がいきなりそんなに使って大丈夫か?と心配されるが、その時点で生徒間でのポイント譲渡が可能ということが判明するし、担任が言っていた「ポイントで買えないものはない」が実証された訳だ。堀北会長に諭される形で橘先輩も気付くがもう遅い。ここからはずっと俺のターンってことで質問を続けていく。ポイントを使い切った時のデメリットはあるか?毎月10万PPは振り込まれるのか?PP以外にも何か評価を査定する概念があるのか?等と質問する。俺の質問に対して会長たちは答えられる範囲は答え、箝口令によって回答に困るものは遠回しにはぐらかされたものの「大体は貴様が想像している通りだ」と半ば答えのようなものを言っていた。

 最後に生徒会への入会を打診されたが、保留にした。最終的には断るつもりでいるが身軽なこの時期に学年ごとの派閥を観察したかったのもある。来月に回答すると話をし、その流れで連絡先を二人から貰う。後は入学祝い扱いで20万PPを会長から貰った。困ってる時は任せて下だせぇ堀北生徒会長。

  

 4月B日

 登校時、綾小路君から無料品があったことを教えてもらった。知ってはいたが言ってくれるのは素直に嬉しい。

 平田君に監視カメラがあったこと、無料品があった情報を報告しクラス内に無駄にPPを使用することへの危機感を煽るようにお願いした。俺としては暴力至上主義のドラゴンボーイに目を付けられたくないので原作通りに平田&堀北がクラスのリーダーとなって皆を牽引してもらいたい。なので基本的には二人に手柄は譲る、綾小路君風に言えばことなかれ主義で行くつもりだ。

 

 4月C日

 Aクラスの神室真澄に接触した。

 運良く、コンビニで未会計の商品をバッグに入れるところを捕まえた。

 会話をしたところ彼女の反応的にまだ坂柳は接触していないようだった。ここで神室を脅せば色々と好都合ではあるが、能力が山内なのでそんな交渉も出来るはずもなく、俺がしたことは愚痴を聴くために連絡先を交換したくらいだ。俺との出会いで彼女が原作通りに坂柳の手下になってくれるかは微妙になったがまあ何とかなるか。

知っていて止めないのは俺の誇りが許さなかったのもあるし。 




0 関心なし。顔も見たくない。
50 普通、赤の他人
60 友人
100 love

各キャラのざっくりな好感度
綾小路 60
平田  60
櫛田  50
堀北兄 65
橘   55
神室  55
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