前職勇者のショタ配信者   作:曇らせはいつかガンにも効くようになる

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新しい世界 新しい敵
プロローグ


side:女神

「よーし、予定通り勇者君は魔王を倒して、ついでに残党まで片付けくれたね」

「でも……ちょっとこの終わり方は可哀想かなー」

 

女神はしばらく考えるような素振りをし、唐突に声を張り上げる。

 

「別の世界でセカンドライフを送ってもらえばいいじゃん!

たしか、あの世界割とピンチだったと思うしちょうどいいよね!

そうと決まれば、あれをこうして、これをこうしてっと」

 

そう言って、女神は微笑み

 

「いってらっしゃい――流石の私もほんの少し罪悪感があるからね

今回はちょっとだけルールを破る事にするよ」

 

 

 

 

 

 

____________________________________________

side:???

「はぁッ……はぁッ……」

 

体が軋む、魔力はほとんど尽きているし体力も限界だ。

あーあ、こんなはずじゃなかったんだけどなぁ

ダンジョン探索系配信者―通称『Dライバー』―になって1年と少し、探索者としてもBランクまで上がり、今日もなんてことないダンジョン配信のはずだったのに。

 

グオオオオオオオオ

 

オークが近づいてくる。あのイレギュラーのせいで体はボロボロだし、このまま食べられちゃうのかなぁ。

 

・逃げて!!

・救助チームまだかよ!

・ヤバイんじゃないか……コレ

 

「みんなぁ……ごめんね」

「あたし………ここまでみたいだ」

 

・諦めないで!

・逃げろ!!

 

脳内に、これまでの様々な記憶が駆け巡る。キサラちゃんごめんね、コラボ配信の約束守れそうにないや。ああ、死にたくないなぁ。

 

そんな願いも虚しく、無防備な頭に目がけてオークの棍棒が振り下ろされ――――

――周囲が眩い光に包まれ、オークが吹き飛ばされる。

 

「貴女がオレをここに呼んだのか?」

 

「え……?」

 

気づけば、目の前に知らない少年が佇んでいた。灰色の髪に、暗い瞳整った顔立ちをしている。年齢はあたしよりも少し低い位だろうか。

 

「ふむ……とりあえず話は周りの奴らを倒してからにしよう」

 

「まっ――――――」

 

この少年が誰かは知らないが、武器を持っている様子もなく、とても一人で周りにいる十体近いオークを倒せるとは思えない。

 

「第一聖剣『浄化』開放」

 

少年の手に光とともに剣が現れる・

 

 

横なぎの一撃により、オークたちは蒸発するかのようにかき消された。

 

・は?

・!?

・!?

・強っ!?

 

「ふぅ……改めて先ずは自己紹介から始めようか」

「オレはロジェロ―――――」

 

少年はこちらに振り返りながら、

 

「一応、勇者……ということになると思う」

 

どこか自信なさげにそう言った。

 

 

 

 

 

____________________________________________

side:ロジェロ

 

これは一体どういう状況なのだろう。

オレは確かに死んだはずだ。首を切り落とされた感覚も鮮明に思い出せる。

だが、気づけば見知らぬ場所で目の前には少女と、こちらに敵意を向ける魔物。

唯一分かるのは、自分が誰かに召喚されてここにいるということだけ。

 

「……その…言葉は通じているだろうか?」

 

「ああっ…ごっごめんね!」

「その、いろんなことが急に起こったから混乱しちゃって」

 

そう言って恥ずがりながら、わたわたと手を振りながら弁解している。

良かった言葉すら通じないとなると、状況の把握すらままならかった。

 

「怪我をしているみたいだな。見せてくれ」

 

彼女に近づいて、手に持った聖剣をかざす。

 

「『浄化』よ彼の者を癒し給え」

 

少女の傷がみるみるうちに消えていく。

 

「えっ嘘、腕も骨が折れていたはずなのに」

(こんなに高度な回復魔法が使えるなんて……)

 

「傷は癒えたようだな。……ところで貴女の名前を教えてはもらえないだろうか」

 

「あっ、あたしは神無月アリスっていいます」

 

「そうか。詳しい事情を聞きたい所なんだが……ここは落ち着いて話ができる場所じゃなさそうだな」

 

この空気を漂う魔力の量と質感、今いる洞窟のような場所は、恐らく魔性領域に近しい空間なのだろう。先ほど倒した魔物は大したこと無かったが、危険な魔物や魔族が出て来ないとも限らない。早く安全な場所へ向かうべきだろう。魔性領域と同じなら魔力が薄いほうに行けば脱出出来るはずだが――――

 

「――ところで、敵意がないから放置していたんだが……そこの浮いている奴は魔物か?

視線を感じるし、危険な奴なら倒してしまいたいんだが」

 

・ファ!?

・これ俺らのことだよね?

・ダンジョン配信用ドローンを知らないのか?

・クソ強ェしなんなのコイツ

 

「これはドローンだから壊しちゃダメだよぉー!」

 

「どろーん?まぁ危険がないならいいか」

「さて、話は移動しながらするとしよう」

 

・コイツ救助チームなのか?

・いや、まだ救助チームはダンジョンに入ってすらいないはず

・じゃあ何者なん?

・誰ぇ?誰なの?怖いよぉ!?

 

「えっと……助けてくれてありがとう。君は救助チームの人なのかな?」

 

「いや違うが」

 

「じゃあ、善意の探索者さんってこと?」

 

「それも違うが……というか貴女がオレをここに召喚したんじゃないのか?」

 

「いやいや、あたしにそんな能力ないはずだし……」

(そういえば、召喚されたとかさっきそんなこと言ってたような………ってことは――――

「君もしかして勇者って言ってたのは――――」

 

「いや、召喚されたって感じがしたし、また勇者として召喚されたんだと思ったんだが……」

 

召喚された訳じゃないならオレはどうしてここに?オレは死んだ、その記憶に嘘偽りはないはず。

ならここは死後の世界?いや、確かに誰かに呼ばれたような感覚があったし、残留している魔力から見てもアリスが召喚されたのは確実だ。なら、彼女が無意識のうちに召喚をしたという事か。

 

ゴオオオオオオオオオオオオオ

 

「嘘!?この魔力、アイツここまで追ってきたの!?」

 

進行方向から"それ"は現れる。

 

・やべぇぞ!

・せっかく助かったと思ったのに!

・速く逃げないと!!

 

「アイツは?」

 

「Aランクモンスター『デュラハン』!ダンジョンのイレギュラー!!速く逃げないと!」

 

『デュラハン』Aランクモンスターの中でもトップクラスの白兵戦能力を持つ騎士のアンデッド

魔法に対する耐性を持ち合わせており、そのシンプルでありながら強大な戦闘力から多くの探索者から恐れられる怪物――――

 

「いや、その必要はない」

 

「え!?まさか倒すつもり!?そんなのいくら君でも――――」

 

「心配いらない。あの程度の敵、これまで山ほど倒してきた」

 

――――その怪物をもってしても――――

 

聖浄刃

 

ロジェロの手に持った聖剣『浄化』その間合いの遥か外から放たれた振り下ろしが、デュラハンを両断する。

 

―――魔王を滅ぼし、世界を救った勇者の相手をするには、余りに役者不足であった。

 

 

・……

・……

・一撃……だと!?

・マジ?

 

「すごい……!」

 

「この程度なら問題ない。アリスは怪我してないか?」

 

・デュラハンを一撃ってヤバすぎないか?

・一体何者なんだ……!?

 

「だっダイジョブ、大丈夫。ありがとねっ二回も助けてくれて」

(うぅぅ……相手は年下、別にそういうのじゃないし……チョット驚いてドキドキしてるだけだし……)

 

顔を赤くしているし、呂律も回っていない……これは早めに安全な場所に移動して休んでもらったほうが良さそうだな。毒や呪いの類であれば、さっきの『浄化』で治せているとおもうが、疲労まではどうしようもないからな。

 

「疲れているのなら、無理をするな。必要であればオレが抱えていこう」

 

「うっううん、全然平気だからっ大丈夫、元気バリバリいくらでも歩けますとも!!」

 

・おや?

・挙動不審ですねアリスさん?

・まさか!?

 

「そうか」

 

まぁ本人がそう言うなら大丈夫だろう。危なそうだったら、無理やり担いで行けばいいしな。

 

「えっと、そのロジェロ君のこと色々教えてほしいんだけど……」

(探索者って訳じゃないみたいだし……)

 

「ああ……オレは恐らくこことは違う世界から召喚されたのだと思う」

 

「異世界から来た……ッてコト!?」

 

・マジ!?

・驚きすぎて小さくて可愛い奴みたいになってる……

・そういう設定のDライバーとか?

・いや、こんな強いDライバーいたらもっと話題になってるだろ

・異世界人を名乗る不審者……とか?

・まさかー

 

「おっ……いたっすね」

 

奥から見知らぬ二人組が現れる。

 

「?」

 

新手か?いや、敵意は感じない、アリスの仲間か何かだろう。

 

「どうも、チーム鬼MUSYAの酒井っす。こっちのは同じチームの渡瀬」

 

「救助に来ました。遅れて申し訳ありません。」

 

・良かった救助チームだ!!

・鬼MUSYAってAランクの!?

・助かったー

 

「おっ視聴者の人にも知ってもらえてるみたいっすねー」

 

「視聴者……?あっ配信!!」

 

・やっぱ忘れてたか

・かわいい

・配信中に配信を忘れるとは……これ如何に

 

「ごめんね!!とりあえず助かったので配信は終了します!ご心配をおかけして申し訳ありませんでしたーーッッ!!!」

 

・ド迫力謝罪w

・ゆっくり休んでくれ

・グレープフルーツの数少ない良心がいなくなるかとおもった

・おつかれー

 

ー配信終了ー

 

「アリスは誰に向かって話しているんだ?」

 

「「え?」」

 

 

 

 

____________________________________________

 

 

「はーっ、色々ありましたけど救出任務完了ッ!っすねー」

 

洞窟…いや、ダンジョンを抜け初めて見るこの世界の空。元の世界と同じ美しい青空に、少し安心感を覚えてしまう。

 

「ああ、だがまだ別の任務がある」

 

「そっすね……ロジェロ君、君が異世界から来たという話が本当かどうかは置いておいて、君がライセンスもなしに、そしてダンジョンに入った記録もないのにも関わらずダンジョン内にいたのは事実っすからね。このまま協会の方に連行させてもらうっすよ」

 

「構わない」

 

異世界初日、オレは投獄されるかもしれない。

 

「あのっ」

 

アリスが声を張り上げる。

 

「ロジェロ君は……その、あたしを助けてくれたし……あたしがこの世界によんじゃったかもしれなくて………だからっロジェロ君はッ―――」

 

「心配しなくても大丈夫っすよ。彼が悪い人じゃないってのは俺はもちろん、上の人らも分かってると思いますから。」

 

どうやらいきなり処刑されることはなさそうだ。異世界召喚二度目、二度目の処刑ということにはならなそうで少しばかり安堵する。

 

「アリス」

 

「ッ!」

 

「心配してくれてありがとう。また会う時にお礼をさせてくれ」

 

「そんなっ………あたしの方がいっぱい助けてもらったし、感謝するのはあたしの方だよぉ」

 

泣きそうになりながら彼女はそう言った。

召喚されたのが彼女の下で良かった。前の世界の召喚者たちとはまるで違う心根を垣間見て、心からそう思った。

 

「またな」

 

「うん!!」

 

 




小説を書くのは初めてですが、クソ難いよぉぉ。配信とかほとんど知らない癖になんでこの題材を選んじゃったんだッ!
はい。ということで(?)軽く登場したキャラを紹介します。

ロジェロ………元勇者 灰色の髪にハイライトの消えた黒い瞳を携えたイケショタ 
       年齢17歳 身長149cm
  え?年齢がショタじゃないって?うるせぇ!作者がショタと言えばショタなんだよぉ!!

アリス………Dライバー事務所『グレープフルーツ』所属 Bランク探索者 
      金髪サイドテールのギャル風美少女 年齢16歳
  ロジェロ君の見た目で年下と判断してたけどむしろ年上なんだよなー
  見た目で判断しちゃいけない。ハッキリ分かんだね。

女神………ろくでなしで人でなし。某運命のゲームのグランドロクデナシみたいな奴
     ロジェロ君にはほんの少し罪悪感があったし、愛着もあったので第二の人生をプレゼ
     ントした。ロジェロ君をずっと勇者君と呼んでいたのは名前を覚えていないから。

酒井、渡瀬………探索者チーム鬼MUSYA所属のAランク探索者
        今のところモブ かなり強い 両方男ダヨ
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