前職勇者のショタ配信者   作:曇らせはいつかガンにも効くようになる

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ダンジョン協会本部にて

side:ロジェロ

 

Bランクダンジョン「深緑の猿猴」でのスタンピード及び、魔族リュードライトの出現の後日、

オレ、アリス、キサラ、弦一郎の四人はダンジョン協会本部に赴いていた。

 

「呼び出してしまって申し訳ない。私はダンジョン協会会長の岡山迅一だ」

 

「は、初めまして!」「はじめまして」

 

アリスとキサラが緊張しながらも挨拶をする。

 

「ああ、初めまして………さて、早速本題に入るが………昨日遭遇した魔族とやらについて、聞かせてもらえるかね?」

 

「あたしは………その、よくわかりません。知性をもった言葉を解する人型のモンスターという、印象でしたが………それ以外のことについては、さっぱり………」

 

「私も………です」

 

アリスの説明にキサラも同調する。

 

「ふむ、そうか。………では、君に聞かせて貰おうか…………勇者ロジェロ殿」

 

「ああ、分かった………です」

 

「ははっ敬語が苦手なら、喋りやすいような喋り方で構わない。いや、むしろ君は異世界を救った英雄なのだから、私の方が敬語を使うべきかな?」

 

「いや、必要ない」

 

どうやら、迅一は随分気さくな性格のようだ。敬語とかさっぱりなオレとしては、ありがたい。

 

「オレのいた世界でも魔族はいたが、それとかなり近い存在だと思う。強大な魔力と知性をもち、再生能力が高く………何より、相互理解が不可能な程の邪悪さ………間違いなく人類の敵だ」

 

「ふむ………君から見てあの魔族はどの程度の強さだ?」

 

「少なくとも、デュラハンよりは上だ」

 

「そうか………奴の言っていた『ハクシャクを冠する魔族』という言葉、ハクシャクというのは、おそらく貴族の爵位と同じもの、それが地位の序列を表すのか力の序列を表すかは不明だが………奴と同等以上の力をもった魔族がいると考えるべきだな」

 

爵位………上から、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と並ぶ序列………もし、魔族のそれが力の序列ならば、リュードライトより強い魔族がいるということになる。そして、その強さはおそらくSランク以上になるだろう。

 

「さて、では例の話を聞こうか………弦一郎」

 

「ああ」

 

「例の話?」

 

アリスの疑問に弦一郎が答える。

 

「オレは………魔族と遭遇したことがある」

 

「「え!?」」  

 

アリスとカレンが驚くなか、弦一郎は話を続ける。

 

「あれは二十年前………東京で起こった未曾有の大災害の時だ」

 

「大災害って………あの、S、Aランクのダンジョンが一つずつ、Cランクのダンジョンが三つスタンピードを起こしたっていうあの?」

 

「ああ、その時言葉こそ話さなかったが、異様な強さをもった人型のモンスターと戦闘している。

この片目もそいつにやられたものだ」

 

弦一郎の片目に傷をつけるほどの………。

 

「そいつは倒したのか?」

 

「いや………確かに深手を負わせたが、逃げられている」

 

「弦一郎に深手を負わせるほどのモンスターが今まで何の被害も出さず、騒ぎも起こさないとは考え難い………つまり、そいつは知性をもった魔族である可能性が高い」

 

「「ッ!!」」

 

「そして、今回の件から見て………二十年前の大災害を起こしたのもそいつだろう」

 

大災害を起こした魔族が未だに潜伏している………そして、リュードライトの言っていた威力偵察という言葉………

 

「魔族は組織的に動いている可能性が高い」

 

「その通りだ」

 

オレの言葉を迅一が肯定する。

 

「ダンジョン協会は、混乱を避けるため魔族については『人語を解する新種の人型モンスター』と公表する。君たちの配信でもそのように話してくれ」

 

「「はい」」 「ああ」

 

オレたちの返事に、迅一は満足したように頷き、言葉を続ける。

 

「無論、魔族の調査は各国のダンジョン調査機関とも協力して行う。―――――そして、ロジェロ君、君にはその調査及び魔族との戦闘に協力してもらいたい」

 

「「ッ!!」」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「!フフッ……了承して貰えるとは思っていたが、二つ返事とは………」

 

魔族についてはオレも放っておくことは出来ない。協力させて貰えるなら、願ったり叶ったりだ。

 

「君の勇気と善意に、最大限感謝を…………」

 

迅一の差し出した手を握り返す。

 

「よろしく頼む。勇者ロジェロ………といっても今すぐやって欲しい事などはないのだが」

 

迅一は、笑いをこぼしながらこちらを見つめる。

 

「それともう一つ……………君をAランク探索者に昇格したい。Aランク以上の探索者には義務が発生するが、知っているかね?」

 

「ああ、知っている。義務については構わない。Aランクに昇格させてくれ」

 

「ああ、これからの活躍を期待しているよ」

 

そう言って、迅一はこちらにウィンクした。

初めの印象からは考えられないほど茶目っ気あるな……………この人……。

 

 

____________________________________________

 

手続きを済ませ、ダンジョン協会本部を後にする。

 

「しかし、わざわざ最後まで付き合ってくれなくても良かったんだぞ………アリス、キサラ」

 

「分かっていないな、ロジェロよ……………二人はお前と―――「「社長はちょっと黙ってて下さい」」

 

弦一郎の言葉を遮った二人の言葉を受け、弦一郎はしょんぼりする。見た目に似合わず、以外と打たれ弱いな………。

 

「ロジェロ君…………あたし強くなるから。ロジェロ君のとなりで戦えるように」

 

「我もじゃ………フンッ直ぐにまいったと言わせてやるからな!!」

 

「ああ、楽しみにしてる」

 

前の世界では、助けてくれる人はいても、となりで戦ってくれるひとはいなかった。

ああ―――――こんなに嬉しいことなんだな―――――共に戦おうと言ってくれる仲間がいることは―――――

 

「ありがとうな」

 

「「ッ!!」」

 

(ううっその顔は卑怯だよぉ………)

 

(ぐっ……別に絆されたりしないし……………私はあれだから……………ライバルとか、そういうのだから……………ドキドキなんてしないし!!)

 

(ロジェロよ……………青春してるな……………パパ嬉しい!)

 

「?」

 

突然顔を赤くするアリスとカレンに困惑する。あと、弦一郎はなんでそんなに嬉しそうなんだ?

 

「ロジェロ、今日は焼肉を食わせてやろう」

 

「!ありがとう、パパ!!」

 

「「!?!?」」

 

「ちょっと社長!?なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたんですけど!?」

 

「パパ活か!?噂のパパ活というやつなのか!?」

 

驚愕し、弦一郎に詰め寄る二人に弦一郎は慌てて答える。

 

「まてっキサラ君、こんな往来の場でその言葉は止めてくれ!違うんだ、断じてやましい関係と言う訳では……………」

 

「ロジェロ君?社長にパパって呼ぶように頼まれたりした?」

 

「ああ………言われたが………」

 

アリス…………笑ってるのに、目が笑ってない………怖い。

 

「ほら!!言わせたんじゃないか!!」

 

「いやっ違っ」

 

「社長……………オハナシ……………しましょうか」

 

「ひぇっ」

「たっ助けてくれ、ロジェロ!ロジェローーーー!!」

 

「ごめん、無理だ」

 

あの顔をしたアリスは恐ろしい。魔王より怖い。すまない弦一郎、オレには助けられない。

 

その後、なんとか二人を諌めた弦一郎はオレたちに高級焼肉を奢ってくれた。美味しかった。




キサラちゃんは、人見知りなのでダンジョン協会の偉い人と話すのに緊張して借りてきたネコみたいにおとなしくなっていました。かわいいね。

この後、ちょっとした物語の幕間を投稿します。
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