前職勇者のショタ配信者 作:曇らせはいつかガンにも効くようになる
side:???
その出会いは、運命だった―――――
『オレはロジェロ―――――一応、勇者……ということになると思う』
「おほー♡………やっべぇ、どタイプのショタだ♡………」
それは、アリスちゃんがイレギュラーに遭ったという配信のアーカイブを見ていたとき。
アリスちゃんを助けてくれた人がいる、とは聞いていたが、こんな美少年だとは想像していなかった。
そして―――――
『あの程度の敵、これまで山ほど倒してきた』
そのイケショタが、デュラハンを一撃で屠る。
そん映像は、まさに青天の霹靂。どタイプのショタが、理想のご主人様候補に代わった瞬間だった。
「か、カッコいい♡…………もしかしたら、本当にわたしより強いかも……………♡」
そうして、運命の人に出会った(まだ会ってない)次の日、彼はまたアリスちゃんの配信に現れた。しかも、彼がグループフルーツに所属するという、グッドニュースを携えて。
「やった~~ッ!!同じ事務所なら、これからいくらでもチャンスがあるッ」
小躍りしてしまいそうなほど、テンションがブチ上がっている間に、彼は己の境遇を語り始める。
永い鍛錬、永い闘いの日々の果て、巨悪を滅ぼし、人々を救い、そして―――――何の対価も得ることなく、その生を終えた。何という悲劇、何という強さだろう。武力も精神力も、きっとわたしを遥かに凌ぐ程に―――――
「決めました…………わたし、この人の…………奴隷になる♡」
こうしてわたし、七瀬冥土は、恋をした。
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そして、現在………わたしは―――――
「うぅぅ~~~……………コラボしたぃ~~」
滅茶苦茶ヘタレてた。いやっ!別に、ヘタレては……………いますけど……………。
だって、仕方ないじゃないですかっ!!こんなに、自分が本命相手に奥手になってしまうとは……………!だって、こんなに一人の相手に夢中になった事ないもん!くぅ~~ッアリスちゃんとキサラちゃんが羨ましい!
「ううぅ………それにしても、カッコいい……………」
あれから、ロジェロ君の配信を見まくっている。どの配信でも、顔を出してくるアリスちゃんに、嫉妬を向けながら。まぁ……最初に出会ったのは、アリスちゃんだし……………譲ってあげますとも。わたし、大人の女性ですし…………。キサラちゃんの方も………許しましょう。別に、ロジェロ君を狙っている訳じゃなさそうでしたし。……………でも、あんなにカッコよく助けられたら、ロジェロ君に惚れちゃうんじゃ……………いえ、焦ってませんとも。全然、まったく。
「そろそろ…………コラボ……………勇気を出して……………」
思い悩んでいた、その時―――――
ー【コラボ配信】ロジェロ君と、「亡月の戦場跡」にいくぞ!!ー
チャンネル:クロス・ラインラック
一つの配信枠がたった。
「は??」
ーー配信にてーー
『君の御御足をペロペロしていいかい?』 『困惑している姿も愛らしいよ……………』
『うん。一緒に住んでるよ…………ね?ロジェ?』
『スピードが武器の僕に合わせてくれたんだね♡』 『流石私の弟』
『初めてのロジェロ君との共同作業……………素晴らしかったよ……………』
『次回のクロスとロジェロ君のカップルチャンネルをお楽しみに!!』
カップルチャンネル―――――カップル―――――
「ね、ね、ね……………寝取られやんけーーー!!!!」
思わぬ伏兵により、クソでか脳破壊を食らった。
「おお……………わたしの………わたしのご主人様が……………よりにもよって、あの変態奇行子に………。しかも、カレンとも仲睦まじく……………お姉ちゃん???そんな風に呼ばせて………
それも、毎日、お早うからお休みまで……………ぐ、ぐわぁぁーーーーー!!」
「くそっヘタレてる場合じゃねーー!!!!」
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side:ロジェロ
クロスとのコラボ配信から三日、なんとアリスがAランクに昇格した。凄いな………いや、本当に凄いな。配信を見たが、格段に強くなっていた。才能があったとはいえ、短期間であそこまで強くなるとは……………。もしかして、勇者なんじゃないのか?
今日は、そのアリスの昇格祝いをアリスの家で行っていた。ピザや寿司、ケーキなどなど沢山のご馳走が、テーブルの上にのっている。
「それでは、今日はあたしの昇格祝いに集まってもらい、ありがとう御座います!」
「堅苦しい挨拶はいいじゃろ。アリスには似合わんし」
「そんな!!ひどい!!」
「ん、もう食べ始めていい?」
「おめでとう。同じ事務所に所属する先輩として、僕も嬉しく思うよ」
「もうっ!カレンさんはマイペースだし!あと、クロスさんはなんでいるんです?」
今日の昇格祝いには、オレとアリスの他に、キサラ、カレン、クロスが参加している。
「ロジェロ君から、昇格祝いをすると伝えられてね…………先輩として、後輩の成長を祝うのは当然だろう?……………ロジェロ君に会う口実が欲しかった、というのもあるが」
「むしろ、それが本命でしょ」
「はははッバレたか!」
開き直るクロスを、ジト目で見つめるカレンとアリス。
「我、未だにお主のこと苦手なんじゃが…………あんまし、近づいてくるなよ……………」
「フフッ………安心したまえ、キサラたん…………今の僕の最推しはロジェロ君だからね!」
「いや、それも複雑なんじゃが……………"たん"呼びしとるし……………」
クロスを招いて大丈夫なものか、若干不安だったが、心配の必要はなかったようで、昇格祝いは和気藹々としたやり取りが続き、平穏なものとなった。
「折角の昇格祝いだからね、手作りのスイーツも持ってきたよ」
「うぇ!?クロスさん、料理とか出来るんですか!?」
「うん。まぁ一人暮らしだしね。人並み程度には出来ると思うよ」
「いや、人並みって………コレ、かなり手の凝ったものだと思うんですけど……………」
「ロジェロ君に食べて貰いたくてね♡」
女子力で………変態に負けてる……………!!と、ダメージを受けるアリスとキサラ。
「ところで、君たちはどのくらい料理出来るんだい?」
「う………まぁ………人並みには……………」 アリス
「……多少は、出来るぞ………」 キサラ
「……料理は、最近練習中だ」 オレ
「フッ……………チャーハンは作れる」 渾身のドヤ顔を決めるカレン
「え?『チャーハンは』って、食事どうしてるんですか?」
まさか………毎日チャーハンとか言わないよね……………と、戦々恐々としながら聞くアリス。
「ん?マックに行ってる」
「「「は!?」」」
「毎日…………かい?」 「ああ」
「冗談……とかではなく?」 「ああ」
「マジ?」 「マジ」
ドン引きする三人の質問に答えるオレ。そんなにダメなのか?どれも美味いのに
「いや、流石に栄養とか偏っちゃうでしょ」
「そんな理屈、私には通用しない」
「どういう理論!?ちょっと!流石にそんなところにロジェロ君は預けられません!!」
社長に報告します!!と意気込むアリスに、それはやめて~~とすがりつくカレン。
そんな折、唐突にスマホが鳴る。
「ん?ロジェロ君のかい?」
「ああ、そうみたいだ」
スマホを取り、通話に出ると聞きなれた声が聞こえてくる。
「ロジェロ君~~助けておくれ~~~」
クロスとのコラボ配信の一件から、残念な人というイメージのついていた塚原さんからだ。
「どうしたんです?」
「その~~、またコラボ配信してほしくて~~」
凄く聞き覚えのある内容だ。だが、相手は誰だろう?
「その、相手を言う前に……………周りに誰かいたりしないよね?一ノ瀬さんとか」
「ん、いるけど」
「げぇ!!」
「ふーん、その反応………また、断りきれなかったんだ」
カレンさんの言葉に、どもりながら答える。
「そ、そのーー、はい。申し訳ございません」
「で?相手は?」
大体予想つくけど…………と、こぼしながら、不機嫌そうに聞く。
「七瀬冥土さんです」
「一番ダメな人でしょ」 「うん。ロジェロ君、悪いことは言わない。断りたまえ」
カレンとクロスの反応から、大体分かった。………また、ヤバイ感じのひとかぁ。
「ロジェロ君~~!お願いだ!一回でいいから、コラボしてあげてくれよぉ~」
「ロジェロ君、ダメだぞ。僕が言うからには、間違いない。彼女は君の教育に悪い」
「「「あんたが言うか」」」
クロスの助言に、三人がツッコミを入れる。そうか………そこまでか…………。
だが、クロスも第一印象は強烈なものだったが、こうして仲良くやれているわけだし、案外大丈夫なんじゃないか?
「ロジェ、考えてることは分かるけど、今回ばかりはコイツに賛成」
「あたしも、冥土さんはなぁ……………。悪い人では、ないんけど」
「我も反対じゃ!!あの歩く18禁みたいなヤツと関わったりしちゃダメじゃ!!!」
口々に、反対する三人。んん…………三人がそこまで言うなら………。
「頼むよ!!ロジェロ君がコラボしないと、事務所がどうなるか…………それに、あの熱量だと、コラボしなくても、直接ロジェロ君に会いにいくかもしれないし!!」
「「「ぐっ…………それは、あり得るかも……………」」」
ホント、どんだけなんだ?その人?逆に気になってきた。
「これなら、コラボ配信はさせる代わりに、誰かロジェロ君の護衛をするっていうのがいいんじゃないか?」
「それは………そうかも……………」
クロスの案に、三人がうなづく。って言うか、それクロスの時と同じじゃ………。
「塚原さん、コラボ配信はいつの予定になりそう?」
「スーーーーーーッ、一週間以内にコラボしたいって、言ってますから、スケジュールのこと考えると……………六日後になりますかね」
「うっ……私、ちょうど東北の方で、ダンジョン調査の依頼が……………」
「くッ…………僕も配信の予定が……………」
「ううむ…………我もAランクであれば……………」
既に六日後に予定が入っているカレンとクロス、ランクが足りず、Aランクダンジョンに入れないキサラが悔しさを滲ませる。そんな中、アリスがひっそりと手を挙げる。
「あたし………行こうか?ちょうどAランクになったし」
「「「それだ!!」」」
「私のロジェを頼むよ」 「僕のロジェロ君を頼むよ」
「二人にだけは言われたくないです」
こうして、コラボ配信の予定が決まった。
そして、カレンとオレの食生活をきいた弦一郎に、カレンはみっちり説教された。