前職勇者のショタ配信者   作:曇らせはいつかガンにも効くようになる

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初配信はダンジョンにて

いよいよ、オレのDライバーとしての初仕事をする日がやってきた。き、緊張する…………

 

「ふぅ~…………やるぞ!」

 

むんっと気合いを入れ、教わった通りに配信を始める。

 

ーー配信開始ーー

・遂にきた!

・待ってたぜ…………この瞬間をよォ!

・元勇者が来ると聞いて

・きたー!

 

「こんギャル、オレはグループフルーツ所z「待って待って待って!」

 

?何か不味いことを言ってしまったか…………?

 

「こんギャルはあたしのだよ!!」

 

「Dライバーは皆この挨拶をするものじゃないのか?」

 

「ちがうよ!」

 

・草

・草

・天然じゃったかw

・かわいい

・これは推せる

・アリスサァン!?ナゼココニ!?

 

「ん”ん”………あたしはサポートだよ。ロジェロ君は配信慣れどころか現代慣れしてないからね」

 

視聴者の疑問にアリスが答える。オレのために貴重な時間まで使わせてしまって申し訳ない。

 

「改めてありがとう、アリス。わざわざ付き合わせてしまって申し訳ない」

 

「ううん!いいのいいの!あたしも好きでやってることだから!!」

 

・しおしおロジェロ君かわいい

・ほーん"好きで"ねぇ

・気ぶりおぢさんは黙ってようね

・草

 

「ほらほら!配信進めるよ!」

「今日来ているダンジョンは、Bランクダンジョン『敗残兵の居城』に来てるよ!!」

 

・スケルトンばっかのとこか

・いきなりBランク!?いいの!?

・埼玉県にあるBランクの洞窟型ダンジョンやな。出て来るモンスターは全てスケルトン系で、

 同時に複数体が隊列を組んでおり、如何にして複数体に対処するかが試されるダンジョンや。

・サンキュー解説

・まるでダンジョン博士だな

 

ちなみに、ダンジョン協会本部やグループフルーツの事務所があるのは東京だ。

…………?オレは誰に向けて解説を…………?

 

「なんと!ロジェロ君は初めからBランクなのだ~」

 

・なぜお前が威張る?

・てかBランクなんやな、Aランクはあるかと思った

・まぁいきなりAはありえんか、信用の問題もあるし

 

「そうだね。Aランクからは国からの依頼とかあるしね…………まぁロジェロ君ならすぐに上がるでしょ」

 

「雑談はこれくらいにして………行くよ!!ロジェロ君!」

 

・話てたのほとんどアリスだったな

・ロジェロ君は配信慣れしてないからね…………仕方ないね

 

進んで行くと、早速三体のスケルトン現れる。それぞれ剣、槍、弓を持ち、体を鉄の鎧で包んだスケルトンソルジャーが三体。

 

「出て来たよ!やっちゃえ!ロジェロ君!」

 

「任せろ」

 

―――第七聖剣『疾風』開放―――

 

ロジェロの右手に槍が現れ、四肢に風が纏われる。

スケルトンたちが反応出来ない速度で後ろに回り、弓を持っているスケルトンの頭蓋を槍で一突きで砕く。振り返る残りの二体、右の剣持ちを前蹴りで吹き飛ばし、槍持ちは逆袈裟で仕留める。

 

・……

・……………

・……はぁ!?

・早過ぎて何が起こったかわからん

・つよすぎ………

・これが勇者の実力か………

 

「うぇ!?もう倒したの!?」

 

「ああ」

 

「ってか、槍じゃん!?聖剣じゃないの!?」

 

「いや、聖剣だ。第七聖剣『疾風』、能力は風の操作による持ち主の高速化。オレの有する聖剣の中でも最速の聖剣だ」

 

・聖……剣………?

・すごく…………槍です…………

・まぁ槍が聖剣なこともあるか…………

・あるわけねぇだろ!!!

 

「最初に現れた勇者の武器が剣の形だったから、『聖剣』という名称になったらしい。実際は、聖剣の中で剣の形をしているものはあんまりないぞ」

 

・まじか!?

・テキトーかよ異世界人

 

まぁそう思うよな。オレも初めはそう思って、『浄化』に詰め寄ったものだ。

 

歩きながら会話していると、奥から10体を超えるスケルトンソルジャーと、スケルトンの馬に乗った騎馬兵……スケルトンキャバルリーが現れる。

 

「ロジェロ君!次は……こう、配信映えするカンジでお願い!!」

 

・まぁさっきのも配信映えしたっちゃしたけどな

・さっきもすごかったけどね

 

「了解」

 

配信映え………配信映えか、取り敢えず派手な感じでやってみるか。

 

「裂槍乱舞・つむじ風ッ!」

 

前方のスケルトンソルジャーたちに突進し、回転しながら舞うように蹴散らす。そして、スケルトンキャバルリーの頭上に跳び―――――

 

「フンッ」

 

体重を乗せた突きで、馬ごと串刺しにする。

 

「おお!!」

 

・すげー!

・何が起こったかわからねーが、カッコイイ!

・これがほんとの"馬刺し"ってか

・は?

 

「馬刺しってなんです?美味しいんですか?」

 

・戦闘との落差がw

・かわいい

・天然ショタ………いいですね

 

「あははっ……馬刺しって言うのは馬の刺身っていうか…………今度食べる?一緒に

 

「うん!!!」

 

・キャラ崩壊してるw

・お目目キラキラで草………いっぱい食えよ…………

・アリスさん?さりげなく一緒に食べようとしてません?

・事案か?

・一応ロジェロ君のが年上だぞ

 

「ところで、さっきのはどんな技なの?」

 

「『疾風』の力による加速と遠心力を利用して、敵を切り刻む技だ」

 

・なるほど

・なんかよく分からんが、最強ってことやな!

・ちなみにアリスさんは戦わないんですか?

 

「ロジェロ君が主役だからねー………それに、ぶっちゃけあたしの出る幕無かったし……」

 

アリスがどんな風に戦うのかも気になるな…………得物は手に持っている大鉈のようだが…………

 

「アリスの武器はその大鉈か?」

 

・やっぱり疑問に思うよね

・見た目のギャップがねw

・見た目ギャルに山姥が持ってそうな武器もたせるとねw

 

「山姥言うな~!だって、これが一番手に馴染むんだから仕方ないじゃん!!」

 

「?一番使いやすい武器を使ってるならそれでいいと思うぞ」

 

「うう………そうなんだけど……そうじゃないんだよ~………乙女の心情っていうか~」

 

ッ……話しているうちに、また大勢出て来たな。

 

「せっかくだ。一緒に戦おう、アリス」

 

「っうん!」

 

「サポートは任せろ。好きなように戦ってくれ」

 

「分かった!」

 

アリスが敵陣に突っ込む。

 

「はああああああ!!」

 

掛け声と共にスケルトンソルジャーを斬り飛ばす。続く連撃で二体、三体を倒し、アリスに迫るスケルトンソルジャーの放った矢を―――――

 

「ほっ」

 

オレが掴み、矢を放ったスケルトンソルジャーめがけ投げ返す。

 

「火よッ!!」

 

アリスの大鉈が炎に包まれ―――――

 

「弾けろッ!!」

 

スケルトンソルジャーに放った振り下ろしと共に爆発し、周囲にいた者もまとめて吹き飛ばす。

その隙を狙うスケルトンキャバルリーの馬上槍による突進―――――

 

「させない」

 

スケルトンキャバルリーの跨る馬の脚を斬り飛ばし、転倒させる。それに合わせ―――――

 

「やああああああ!」

 

アリスが追撃の一撃で、スケルトンキャバルリーを真っ二つに斬り落とす。

 

「ふッ」

 

残った馬の頭を、オレの突きが貫く。

 

・やっぱアリスも強いんだよなぁ

・戦い方が蛮族過ぎるけどなw

・ロジェロ君、しれっと矢を掴んでなかった………?

・ロジェロ君の隠し切れない強者感w

 

「ありがとうロジェロ君!すっごい戦いやすかったよ!」

 

・アリスちゃんへの攻撃全部潰してたよな

・っぱロジェロ君よ!

・↑ロジェロ君の何なんだよお前は

 

「ああ、アリスの戦い方も豪快だったぞ」

 

「ごう……かい…………」

 

・ロジェロ君、それ褒め言葉ちゃう

・女の子に豪快はなぁww

・豪快はギリ罵倒ではw

・言われてますよwアリスさんww

 

む……豪快はダメか…………難しいな…………

 

「むーー!ロジェロ君はしっかり褒めてくれたよ!馬鹿にしてるのは皆の方でしょー!」

 

「もう!……気を取り直して、もうすぐボス部屋だね」

 

ボス部屋……確かそのダンジョンで一番強いモンスターのいる場所で、ダンジョンの最奥だったな。それを倒すとそのダンジョン特有のドロップアイテムと、エネルギー資源の魔石が手に入る。

 

・このダンジョンのボスって何だっけ?

・スケルトンジェネラル……Bランクの中でも上位のモンスター、大剣を持ったスケルトンで、

 配下となるスケルトンを複数召喚する。召喚したスケルトンの強化や回復をしてくるから、時間

 をかければかけるほど厄介になるボスだな

・サンキュー解説

・サンキュー解説

 

「なるほど…………時間をかけちゃダメ、と」

 

それなら、一撃で派手に消し飛ばすとするか。

 

ボス部屋の扉を開ける―――――

 

前方に鎮座するスケルトンジェネラルが立ち上がり、魔力を立ち昇らせる。大剣を地面に突き刺し、配下を―――――

 

「天槍一矢・弩(いしゆみ)!」

 

――――召喚する直前、ロジェロの投げた槍が胴体に風穴を開ける。

スケルトンジェネラルは、配下を召喚することすらできず、その体を崩壊させる。

 

・一撃…………だぁ!!

・投げ槍!?

・やっぱ槍は投げるモンっすよねぇ

・ロジェロ君tueeeeeee!!

・まぁAランク一撃だったしね、知ってた

・速いだけじゃねぇのか!!

 

「うわぁぁ!一撃!!ちょー配信映えだよ!!すごいじゃん!!」

 

配信映えも気にして、敵を倒す。ふっ……これでオレも、一人前の配信者かな……

 

・なんだろう………無表情なのにドヤ顔してるのが分かる

・ドヤ顔ロジェロ君かわいい

・獲物を仕留めて自慢してくる猫みたい

・猫耳ロジェロ君か…………

・ひらめいた

・ひらめくな

 

スケルトンジェネラルのいた場所から、黒紫色の石と骨が現れる。

 

「ドロップしたのは、魔石とスケルトンジェネラルの骨みたいだね!後で協会の方に持っていこっか」

 

「今日はこの辺で配信を終わらせるぞ」

 

「そうだね!みんなー見てくれてありがとうねーー!」

 

・次回も楽しみにしてる

・おつかれー

・次回までには投げ銭解禁するかな……

 

「みんな、またな」

 

あれ?どうやって終わらせるんだっけ?

ドローンの前であたふたするオレを見かねてアリスが教えてくれた。締まらない。

 

ーー配信終了ーー

 

配信を終わらせ、ダンジョンを抜け地上に戻る。ドロップアイテムは、アイテムボックス*1というものを収納するスキルに回収した。

 

「ロジェロ君すごかったよーー!超強かった!」

 

「それで……どうかな?これから一緒にご飯でも食べに行かない?」

 

「!いk「ダメ」

 

!?カレンが現れた!!もしかしてずっと待ってたのか?

 

「ふーん?あたしはロジェロ君に聞いてるんだけどなぁーー?」

 

「私はロジェロ君のお姉ちゃん。当然、ロジェロ君とご飯を食べるのは私」

 

「カレンさんは、家で何度も一緒にご飯食べてるでしょ?」

 

「ん、昨日は一緒に寝た」

 

「はぁ!?それはダメでしょ!!ロジェロ君も断わらなきゃ!?」

 

やっぱりダメだよな………でも、昨日は断わる間もなくベッドに引きずり込まれたしなぁ

 

「断わる間もなかった。でも……熟睡できたぞ」

 

信じられないくらい熟睡できた。人肌の温かみとはすごいな。うぅ……今後あれなしで眠れるだろうか……。

 

「もう、ロジェロ君ったら純真過ぎるんだから…………あたしが守護らなきゃ」

 

「大丈夫、私が守護る。似非ギャルはお役御免。」

 

「あー!言ったね!言いましたね!あたしが視聴者に言われて結構気にしてることを!」

 

むむむ……この二人は喧嘩するほど仲が良いというやつなんだろうか。でも、このまま喧嘩し続けるのは困るな…………お腹空いたし……。

 

「あの……三人で食べるんじゃダメなのか……?」

 

「「……」」

 

二人して黙る……だ、だめだったか?

 

「まぁ……今回はロジェロ君に免じて……」

 

「ん、譲歩してあげる」

 

ふぅ……何とかなった。また喧嘩し始める前に行くとしよう。

 

「よし、イタリアンでも食べにいこっか!」

 

「ビックマック」

 

「「…………」」

 

勘弁してくれ…………。

その後、アリスのロジェロ君にいろんなもの食べてもらいたいという一言で議論は決着し、三人でイタリアンを食べた。パスタ…………美味しかった。いろんな種類があるみたいだし、死ぬまでには制覇したい。

*1
探索者が共通して持つスキル。収納量は使用者の魔力に依存する。平均的な収納量は大きめのスーツケースくらい。

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