牧師エドワードのありふれた日常   作:晴口 丸

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*「顔が赤くなる程度には」

 

 

「と言うか、私聖女って初めて見たわ」

「まあこんな田舎町だったらな……」

 

牧師は立ち上がり、服を軽く払う。

 

「貴方も気の毒ね。実質左遷みたいなもんじゃない」

 

シスターも乗っかって揶揄する。

 

「そんな事ないです。ここはすごく空気が良くて過ごしやすいですよ」

 

一般人ならただのお世辞かもしれないが、聖女が言うとそれだけでお墨付きになる。この街を宣伝する相手なんていないが。

 

「長い付き合いになるかもだし、過ごしやすいってのは大事だね」

「環境はね……。でもエディが……」

 

シスターはジットリと牧師を見つめる。

 

「そりゃないよ。ボクだっていつもサボっているわけじゃないだろ? シルヴィも言ってやれ」

「ええ、正直なところ、アバンの時と比べて、雰囲気が全然違って驚いています」

「そこまで言われるとどんな感じだったのか気になって来るわね」

 

 聖女がこめかみに指を当て考える。そして徐に顔を赤くして俯いた。

 

「……えっと、その、色々、です」

 

 あんまりな言い方だった。

 

「衛兵さ〜ん、一人お願いしまーす。」

「おいバカ。ふざけるな」

 

 流石に止めた。

 

 

*「私という存在がありながら」

 

「とりあえず今日は来たばっかりなので、見学という事で」

「わかりました。よろしくおねがいします」

 

 すると、教会のドアが開いて四人の子供が入って来る。

 

「カールマン牧師様、こんにちはー」

「お、ルート、アンゼ、チェリー。無沙汰だったじゃん」

 

 牧師はそういって前にいる三人を順番に撫でる。

 

「違うよー。そっちが居なかったんだよ」

 

子供達は膨れっ面になる。

 

「あれ、牧師様、その人は?」

「キレーなひとー。先生のお嫁さん? 私という存在がありながら?」

「牧師様、クリスちゃんがいるのに。しゅらば?」

 

子供達は口々にいう。

 

「違うわよ! なんでさりげなく私も入ってるわけ?」

 

慌ててシスターは反論する。

 

「どこでそんな言葉覚えたんだ……こんなちっさい社会で修羅場なんて起こったら、一躍有名人だ」

 

 もちろん私刑という意味で。

 

「とりあえず、ボク達はそういう関係じゃない。商業柄そういうのはあまりよろしくないんだよ」

 

牧師は腰に手を当て、語って聞かせる。

 

「えー、つまんない」

「元よりお前らを楽しませようとしてるわけじゃねえよ」

「じゃあその人は誰なの?」

 

少女は瞳を輝かせ問いかける。

 

「アバンから来ました、この村で聖女をさせていただくことになったシルヴィアです」

「えっ聖女」

「すごい、聖女ってホントにいるんだ」

「でも大人たちは何にも言ってなかったよ?」

 

牧師は決まりの悪い顔をして、シスターに小突かれる。そして若干引き攣った笑みを浮かべた。

 

「あー……あれだ。エドワードさんからのサプライズだぞー」

 

二つのため息が聞こえた。

 

 

 

 

 

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