救えなかったら時が戻る人、やり遂げたら何故か周りが病み始める。 作:ゲーミング千手観音
まずは遅れた事への謝罪を。大変申し訳ないです。
ヤンヤン成分がまだこの段階では全然足りなくて自分の筆も進まない、かつ仕事に忙殺されるというダブルパンチを貰ってました。
おかげで文章の書き方とか廻君の口調とか忘れちゃったよ。
お気に入り・評価・感想・ここすきいつもありがとうございます。読者の皆様に支えられてこの小説は成り立っています。
書いている最中、前話までの後書きでの矛盾に気付いたので多少変更しました。妹ちゃんは壊れかけてる、であって壊れた訳ではありません。何故言い切ったんだ過去の自分。
チュンチュンと窓の外から雀の鳴き声が聞こえ、枕元からは設定していたアラームがけたたましく起床時間を知らせてくる。
しかし僕はまだこの心地良い感覚に浸かっていたいので、手先の感覚だけでスマホの位置を割り当ててアラームをぶち消すと、当然のように二度寝を開始した。
僕は昨日で気付いてしまったのだ。ゆっくりと心を休めて寝られる事の素晴らしさに。起きないといけないのは分かっているけど、体が言う事を聞かないで勝手に休眠の構えに入るのが悪いのだ。
あぁ、布団って最高だ────
「お兄ちゃんおはよー! 愛しの妹お手製の朝ご飯が食べられる時間だよ!」
「──ふぐぅ!?」
しかし、僕の平穏はそう長くは続かなかった。
エプロン姿の亜衣が部屋に入ってきたかと思えば、その勢いのまま僕のベッドにダイブ。お腹へと見事に痛恨の一撃を繰り出しされた事により、僕の二度寝は無事に妨害される事となった。
お、お腹が痛い……。
亜衣が重いとは思わないけど、人が上に落下してくる衝撃というのは誰であっても辛いんだよ……。
「あっ、お、お兄ちゃんごめんね!? 私ったらつい……」
「あ、亜衣……次からは普通に起こして貰えると……」
「うん、その……ごめんね? わ、私下に戻ってるから、ご飯冷めちゃう前に降りてきてね」
「分かった、ありがとう亜衣。すぐ行くよ……」
亜衣は慌てて起き上がると、気まずそうに僕の部屋を出ていく。
その後ろ姿からは、到底“ああなる”とは考えられない。普段と変わらず、凄くいい子だ。
しかし、あの顔でこの平和な空気をプレッシャーのみで超重力に変える戦闘系漫画のような実力を持っているのだ、僕の妹は。
能ある鷹はなんとやらって事なのかな。多分意図してるという訳では無いけど。
なんだろう、僕の兄としての威厳というものが無い気がする。……膝枕されてる時点で無かった。
冷静になってよくよく考えてみると、結構前からすこ〜し片鱗はあったと思う。
あくまでほんの少し。それがああも爆発して燃え盛るとは思っても無かったけど。
アレだろうか、ほんのひと粒の火種でも
とても怖い。
僕の状況を聞いてああなるくらい思ってくれていたのか、と若干の嬉しさを感じている自分も怖い。
──っと、脱線してきたので考え事はやめよう。
そんな事よりも早く着替えなければ亜衣に怒られてしまう。
今の亜衣を怒らせると殺られる事はまず確実。迅速に行動を開始しよう。
先程までの眠気満載の状態だったらグダグダと行動していただろうが、今はクリティカルを喰らった後。そんな眠気はすっかり地平線の彼方へと吹き飛んでいた。
自分でも驚くくらいキビキビ動ける。
────気のせいかな、下着が減っている気がする。
────前言撤回、僕はまだ寝惚けているらしい。そう思う事にした。
無事何も起こらずに朝の準備を終えた僕は、本当に珍しいことに上機嫌で玄関にいる。
なんと言うか、新しいことを始めるときに浮ついた気分になったりするヤツ。アレに近い。
「お兄ちゃん、本当に大丈夫? 道中で倒れたりしないでね?」
さぁ行くぞとドアに手をかけようとした時、亜衣が聞いてくる。
い、今かぁ……。なんとか今日まで僕の体が家を出ることに拒否反応を起こす事をバレないようにしてきたのに、今バレようものならきっと僕の想像の十倍は酷い目に合うだろう。
さてどうしようか……。
「平気平気、アレはちょっと疲れすぎちゃっただけだから。昨日しっかり寝れたし、大丈夫だよ」
「……ならいいんだけど……無理はしないでね? ──お兄ちゃんがいないと、私……」
「わーっ、本当に大丈夫だから! ほら、元気一杯でしょ!?」
気配の変化を察知した僕は、すぐさま安心させるようにラジオ体操を大袈裟に踊ってみせる。僕の人生で一番の出来かもしれない。
小学校の時にラジオ体操すらも全力で踊らせてきた先生に今だけは感謝する。
「────何かあったらすぐ私に電話するか、咲先輩と真白先輩を頼ってね? 絶対だよ?」
「──え、あ、うん。勿論だよ」
僕の間抜けな姿を見て我に返ったのか、案外あっさりと元に戻ってくれた。
この力場にはレベルでもあるのだろうか。高ければ高いほど戻すのが困難みたいな。僕が今後安全に暮らすためにも、その辺りは知っておきたいかもしれない。
「あ、あとお買い物も私がやっておくから、お兄ちゃんは真っ直ぐ帰ってね」
う、うーん……。流石に兄として、その程度はやりたいというか、寧ろやらせてくださいというか。
「いや、それくらいは僕が──」
「真 っ 直 ぐ 、 帰 っ て ね ?」
「ハイ分かりました」
僕の兄としての矜持は、妹のハイライトが定時退社した瞳の前に砕け散った。
勝てる訳が無い。
……多分必死になれば耐えられはするけど。相手は妹だし……ね?
それと、必死に歯を食いしばるのだって体力がいるのだ。流石に少しくらい休憩したい。
さ、話は最初に戻って、だ。結局どうしたら良いか思い付かない。
会話している間に行けるようになるかなとも思っていたけど、どうやらダメっぽい。後ろ手にドアノブに触れてみようとしたが、ご想像の通りな有様だ。
習慣というか、体の癖というのはどうにも簡単には抜けない物らしい。
昨日での拒否反応の乗り越え時間的に、あと少し上手いこと時間稼ぎが出来ればきっとなんとか……!
動け動け動け今だけは深呼吸無しで頑張れ僕の体……っ!
「……お兄ちゃん? 家、出ないの? モタモタしてると遅刻しちゃうよ」
「あー、いやぁその、ちょっと忘れ物が無いか脳内で指差し確認をね?」
こう、ヨシ!って感じで。
「忘れ物なら無いと思うよ。お兄ちゃんを呼びに行く更に前くらいに、お兄ちゃんの鞄はチェックしておいたから」
「何をしてるの???」
僕の必死の言い訳は、亜衣の
えっ、もしかして今までずっとやってたの?
「話しかけてもどこか上の空だったお兄ちゃんが悪いよ。それに、この程度妹としての嗜みだしね」
それは僕が悪い。すみませんでした。でも嗜みってどういう事?全世界の妹はこんな事を嗜んでるの?
「……ほらお兄ちゃん、もう確認はいらないでしょ? 行こ? ────それとも、お兄ちゃんってやっぱり──」
はっ、来た!開けれる!
そうなれば僕の体は瞬時に逃走を求める!何か言いかけているけど気にしない、今は外に出る事が先決だ。
「──忘れ物の確認ありがとう! 無いなら安心して行けるよ、じゃあ行ってきます! 亜衣も遅刻しないようにね!」
「あっ……行ってらっしゃい。……行っちゃった」
「やっぱり、お兄ちゃんは多分“そうなっちゃってる”んだ……。お兄ちゃんは隠そうとするけど、妹はお兄ちゃんの事ならなんでも知ってるんだからね……?」
「あ、危なかったぁ……今の亜衣にバレる訳にはいかないからね……」
いつの間にか出ていた汗を拭いつつ、大きくため息を吐く。ため息を吐くを幸福が逃げる〜とか言うけど、疲れてるとついつい出ちゃうんだよね。
「何が危なかったんです、先輩?」
「ミ゚ッ」
安心しきっていた所に背後から声を掛けられ、思わずビクッと体が跳ね、その後すぐに臨戦態勢になる。
外で後ろから何かされるとつい体が勝手に動いてしまうのだ。声を掛けてくれた人には申し訳ないけど。
「──って、なんだぁ、真白ちゃんか。おはよう。ごめんね、体が勝手に動いちゃって」
後ろに居たのは真白ちゃんだった。
お世話になってる人相手にいつでも動けるよう構えを取るとか申し訳ないどころじゃないので、すぐに謝っておく。
親しき仲にも礼儀あり、だ。
「……まぁ謝罪は受け取りますけど。体が勝手に動いて戦闘態勢になるって、それ“私の時”のせいですよね……」
「真白ちゃんの時
「ですが……いえ、分かりました。そういう事にしておきます。あとおはようございます」
言った通り、真白ちゃんの時
真白ちゃんのは、確かストーカー被害だったかな。その時に真白ちゃんと唯一仲が良かったのが僕だったから、僕にもその魔の手が伸びてきて、それでこんな癖が付いてしまったって訳だ。
アレは凄かったな。ループによって犯人の行動が違かったのだ。アレは本当に手こずった。
大体全部が背後からの刺殺だったせいで、誰が犯人なのかも特定が全く出来なかったし。
実はこれ以外にもループによって行動が違うパターンの回は多かったし、その理由の考察にこのストーカー回をメインで使ったから、この回が無かったら僕はここに居ないんだけどね。
しかも二日目の事だったからね、尚更時間が掛かった。
死亡回数で言うとかなり上位だ。一回目の挫折もココだ。結構序盤である。
「あー、悪い事ばかりでも無いんだよ? 不意打ちを貰った時にすぐ動けるって捉え方も出来るし。だから本当に気にしないでいいからね」
「そういう言い方はズルいと思います」
「僕って結構ズルい人だよ」
「知ってますよ、全く。……調子、戻ったみたいですね。この前まではこんな会話出来なかったのに」
真白ちゃんに笑顔が浮かぶ。良く手入れされた銀髪に太陽光が反射し、朝から心が浄化される光景を目にする。
……頑張ってきて、本当に良かったぁ……。
もう少しその光景を目に焼き付けていたかったが、少し気になる事が出来たので聞いてみる事にする。
なんとも惜しいけど、仕方ない。
「──そういえば、咲さんは? 真白ちゃんいつも一緒に登校してきてたから、少し気になる」
「あぁ、咲ちゃんですか? 咲ちゃんは今日は日直なので、ちょっと早めに行ってるんです」
あー、そうか。
日直とかいう概念もあったね。僕は無心でやってたから何も覚えてないや。
……あれ?
「……えっ、でもこの一年で居なかった時は無かったと思うんだけど……」
「咲ちゃん人望あるので、代わりにやって貰ってたみたいですよ? ……先輩が心配だったからですけどね」
「ご迷惑をお掛けしました」
「私もこの顔の良さを活かして代わってもらってました」
「……ご迷惑を、お掛けしましたっ……」
凄く申し訳ない。
僕なんかの為にそこまでしてくれるとは、二人は聖人君子なのだろうか。またストーカーが現れたら任せて欲しい。
「申し訳ないと思ってるなら、早く行きますよ先輩。その咲ちゃんが待ってるんですから」
「はい、急ぎます……」
「あと、また厄介なのが現れても
「心を読まれてる……?」
新しい日常の始めとしては、悪くないんじゃないだろうか。
廻:また若干浮ついている。まぁ今までの彼を思うとそうなるのも無理はない。また誰かを助ける事になっても躊躇無く立ち向かう覚悟でいる。
今まで助けてきた人全員にそこそこな感情を向けているが、真白と咲、亜衣に対しては感情が特段大きい。
心機一転、ヨシ!
亜衣:今までも引っ掛かってはいたが、ここで完全に気付いた。妹だからね、感がいいのも仕方ないね。闇の面が顔を出さなければ普通に超いい子な妹。廻の前では二人を泥棒猫だのとは言わない。
うーん、これは賢い。
真白:廻相手限定で心が読めるらしい。高速移動といい、どこを目指しているのか。何時でもどこでも見張ってるタイプのヤンデレだろうか。助けられた際の内容はストーカーからの救助だった。元々気になっていたのが、その日以降完全に好きに変わっていった。
廻以外にはそこそこ塩対応らしい。
そろそろ廻の行動で徐々にドロドロになる頃合いかな?と言った感じ。最終的に完全に病みが治るかどうかは定かでは無いです。治る子と治らない子が出るんじゃないかなぁ。
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次回は……早めに出せるよう頑張ります。この日に出ますと断言は出来ないです。