親愛なる弟へ   作:アオイ

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前回の投稿で間違えて投稿予定の文章ではなく初期プロットを投稿していたことに気付き修整しました。内容が大きく変わってしまいまして申し訳ありません。


故郷への帰還

 長い旅路の果てに私は今……マサラタウンへ帰還した。

 

「あぁ……懐かしい……」

 

 レッド・グリーンと共にオーキド博士からポケモンを貰った3年前、リーグでレッドに負けて涙を飲んだ2年前、再起をしてグリーンに負けた1年前を経て私は生まれ育った街に帰って来た。正確にはリーグ前に調整を兼ねて帰って来てたけど……

 

「ゆっくりと羽を伸ばせる帰還って……3年振りなんだよね……」

 

 私の足は始まりの地である【オーキド研究所】に向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま帰りました博士」

 

「む? おぉ! アオイか! 中継を観てたぞ! リーグ優勝おめでとう!」

 

 研究所の扉を開けると私に気づいた博士が早速労いの言葉をくれた。だけど私が研究所を訪ねた目的は3つだ。まずは1つ目と2つ目を片付けよう。

 

「ご無沙汰しています。まずは図鑑を確認ください。それと……」

 

「レッドとグリーンじゃな? 奴等からも連絡があった。レッドは相変わらず山籠りでグリーンは現在ホウエンとシンオウを見て回ると伝えて来たぞ?」

 

「ホウエン……シンオウ……ほぼ反対の位置にある地方ですよね。もしかして片方の地方での目的は果たした感じですか?」

 

「グリーンも考えを持って行動するタイプじゃからのぅ……まぁ悪い事はそう多くあるまい」

 

「後を追う……のも悪くはないかもしれませんね」

 

「じゃがアオイ……お前が今ワシに会いに来たということは()()()()()()()()()()?」

 

 博士は私が求めようとしているモノ……【四天王への挑戦届の推薦状】を手渡して来た。本来は保護者が受け取る書類だが幸運にもここはポケモン研究の第一人者がいる。複雑な手続きもいくつか簡略化出来るのはこの街のトレーナーが幸運と言えるだろう。

 

「それじゃあこの書類を母さんに渡してサインを貰いますね」

 

「これこれ慌てるでない。記された開催場所をよく見てみなさい」

 

「開催場所……ですか?」

 

 そうして私は促された書類の開催場所の欄を確認する……コレは! 

 

「セキエイ高原じゃぁ……無いんですね」

 

「曰くトキワのジムリーダーがしばらくジムを空けるらしくての。お主の故郷も近いしここで開催するらしい。しっかりと休息と準備を整えて挑みなさい」

 

「っ……はい!」

 

 記された開催場所は【トキワジム バトルコート】であり、時期は【2週間後】……今回のリーグ観戦に来ていた四天王がそのままこちらに来るということだ。

 

「トキワ……人が押し寄せませんか?」

 

「一般の観客は入らん。代わりに観客席には多数の報道陣が入りお主の挑戦を発信する手筈じゃ」

 

「博士も……ですか?」

 

「関係者も含めてのぅ。しかしジョウトとはいえアオイが制したことで世間ではお前達3人を【奇跡の世代】と呼んでる所もあるらしいぞ?」

 

「その呼称……あまり好きじゃぁ無いんですけどね……」

 

 私とレッドとグリーンは互いの勝率に明確な差がある。レッドとグリーンがバトルすると大体【6:4】でレッドが勝ち越す。だけど私とグリーンとは【3:7】の苦しい戦績で、レッドとの戦績に至っては基本的に【1:9】、運が良くても【2:8】という圧倒的な差が存在する。私からすれば本当の強者はレッドやレッドに食らいつけるグリーンの方であり私がその世代に選ばれるのはあまり良い気はしない。

 

「じゃが大半のトレーナーはお主にすら勝つことが苦しい。世間の評判とはそういうモノじゃろう?」

 

「…………ですね」

 

 気乗りはしないがコレもまた現実。だけどいつまでも引き摺るのも違うと思考を切り替える。

 

「まっ……それこそ四天王に勝てば肩書きが並びますからね。勝てたなら受け入れるとしますか」

 

 私はその言葉を最後に研究所をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は1年ぶりに自宅の戸を開いた。

 

「ただいま母さん」

 

「帰って来たのねアオイ! おかえりなさい!」

 

 母さんが私を出迎えて抱きしめてくれた。気恥ずかしいけどこの感覚でようやく【帰って来た】と思えた。

 

「それにしてもアオイがジョウトリーグを制覇するとはねぇ……レッド君達によほど追い付きたかったのかしら?」

 

「あ〜…………うん。カントーに挑まなかったのは今でも後悔してるよ……ちょっとアイツ等から逃げたみたいでさ……」

 

「良いんじゃない? アオイだって心機一転したかったことくらい分かるわよ?」

 

「………………ありがとう。立ち話もアレだから入るね」

 

 私達は玄関での会話を切り上げリビングへと向かう。すると騒がしい足音が上から聞こえて来た。

 

「ママ! 姉ちゃんが帰って来たって本当!?」

 

 足音と声の主は弟であるサトシ……もうすぐ10歳になり旅立つというのに騒がしい弟だ。

 

「…………来たか。ライチュウ……出て来て」

 

「チュウ! ………………チュウヴヴヴ」

 

 ボールから出した相棒は周囲の光景と【この後起きる出来事】を想像して抗議してきた。

 

「ただいまサトシ。姉ちゃんは疲れたからライチュウと戯れてなさい……」

 

「マジ!? 良いの!?」

 

「ライチュウを怒らせなかったらね。怒らせたら無事じゃあ済まないと覚悟しなさい」

 

「チュウ! ライチュウウゥゥ……」

 

 しかしサトシに悪意が無いのを分かってるライチュウは大人しく戯れてくれるみたいで助かった。一旦私は寝たい。

 

「ちょっと私は部屋で一眠りしてくるから起こさないでね。あと母さんこの書類に目を通してサインを貰えたら助かる」

 

「書類ね〜……起きてくるまでに目は通しておくわ〜」

 

「じゃぁお休みいぃ〜」

 

 私は自分の睡眠の為に弟へ相棒を差し出した罪悪感を抱きつつも眠ることにした。明日からは最終調整かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は四天王に挑戦します!

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