現在時刻:4時30分
「はぁ……」
掃除が終わらない。
ぶち撒けられたサラダ油はようやく何とかなったんだが、それ以外の被害が大きすぎる。
俺が掃除をしている間、
そして
良い子すぎる。
現在時刻:5時30分
『ヒィ!ヒィィィ!で、出たアアアア婆さんや助けてくれえぇ!』
やっと掃除が終わり、ベッドの上で良い感じに意識が遠のいてきた頃。
外から聞こえてきた近所のお爺さんの声で再び目が覚めた。
「はぁ〜……」
「大丈夫ですかあ、山崎さん?」
「だ、大丈夫なわけがっ!い、今そこに、お前さんちの庭に、あ、赤、いや、に、二足歩行の兎があ!」
玄関から顔を出せば、家の真ん前で腰を抜かしている山崎さんがいた。
……
なんて説明しようか。
ああ、全く。
眠くて頭がろくに回りやしないのに。
現在時刻:6時0分
山崎さんを言いくるめて追い返し、今度こそ寝るぞとベッドに潜り込んだ瞬間、スマホのアラームが鳴った。
うるさい、俺はもう寝るんだ。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポピンポピンポピピピンポーン。
「うるせぇ……」
インターホンの音が鳴り響いて目が覚めた。
スマホを確認すれば、まだ9時じゃないか、と。
なんだこの着信の数は!
なんかヤバいことでも起こってるのか?
あれ、もしかして今日休日じゃない?
だとしたらヤバ──
起き上がろうとしたところで、俺のスマホを横から覗き込む
お前らのせいか。
「あー……その、災難だったな。」
憐れむような目で、飯田は廊下やリビングを見渡す。
大量の着信履歴は
「うん……」
もう眠すぎて全く働かない頭で受け答えする。
頼む、もう寝かせてくれないか。
いや、ダメなんだよな。
この子たち何とかしないと。
「どうすっかな──アアア!」
ソファに座ろうとした飯田は、ソファが崩れたことで床に叩きつけられる。
もうソファの骨組みは既に死んでいたみたいだ。
「いってえぇ……!」
「ううん、取り敢えず、車に乗せて店まで運ぶか?」
「……ちょっと重すぎんじゃねえか?」
飯田の物言いに不満だったらしい
「いって!ちょ、悪かった、痛いって!」
「た、大変申し訳ございません!」
「いや、うん。神田さんは悪くないよ。俺たちもまさか脱走して家まで来るとは思ってなかったし……」
店に辿り着いたとき、現在
「それに、たぶんだけど。」
「?」
「この子たちは俺に会いたかっただけなんじゃないかな。」
「はあ……?」
もし、彼女たちがただ外に出たいというだけだったら、そのまま好き勝手に移動していたに違いない。
けど、そうはならなかった。
それこそが、この子たちに明確な目的意識があったことの裏付けになるのではないだろうか。
「……」
「だから、そうだな。月に一回、月に一回は必ずこっちに顔を出すよ。それでどうかな?」
彼女たちの方を向いて改めてそう伝えると、各々が頷いてくれた。
良かった。
「えっ、何それ……怖……」
「普通に会話してる……?」
何でこちらの問いかけに対して適切に頷き返せるのか、本当に内容を理解できているのか、もしそうなら何で理解できているのかとか全然分からないが、とにかく、約束したぞ。
よし、これであとは俺が約束を破らなければ万事解決──
プルルル。
プルルル。
なんだ、電話?
『あの、社長。先ほど近所に住んでいる山崎さんと名乗る方からお電話が……』
『先ほどは旦那がお世話になりました。それはそれとしてお宅の家が燃えています、と。』
……出火元はテレビ裏のコード、かな。
実は社長の家に泥棒に入ろうとしていた集団がいましたが、社長の家の窓や扉をぶち破って入っていく