お前いまウチの子のことエロいっつったか?   作:味噌カツ伝説

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 今回は社長視点は無しです。


この子たち、えっと、なんかえっちじゃない?(前編)

 親戚どうしの集まりって、本当につまらない。

やりたいなら、そっちだけでやってりゃいいのに。

同い年の子供がいる訳でもないのに、なんで私がオッサンオバサンの顔見て時間を浪費しなきゃいけないんだか。

 

……スマホ触ってても限界はあるし。

はぁ、さっさと帰りたいなあ。

 

「そういえば泉ちゃんさ、夏休みにバイト探してるって言ってなかったっけ?」

 

 暇そうな私を見かねてか、飯田の叔父さんはそう問いかける。

 

「え?あぁ、今私ライブ行きたいんだけどお金無くて。」

 

 暗に小遣い足らねーぞと隣にいるパパに圧をかけてみる。

そんなに期待はしてないけど。

 

「今、僕のとこでバイト探しててさ。興味ない?」

 

 


 

 

 もうッ!もうッ!もーッ!

 

 騙された!

 

 

 夜中に人形が動くなんて聞いてない!!

 

 

 

 

──時は遡ること、数日前。

 

『お、泉ちゃん!例のバイトやってくれるの!』

 

「まあ、はい。お金欲しいんで。」

 

『いや~助かるよ、人手が足らなくてさあ。』

 

「それは良いんスけど、夜中にやるんスよね?」

 

 叔父さんから先日渡された紙の資料を見る。

そこには詳細な業務内容が書かれているほかに、絶対外部に流しちゃダメそうな間取り図とか設計図っぽいものも一緒にホチキス止めされていた。

 

『そうそう、でも基本的にスマホ弄ってていいから!なんか物音がしたり、監視カメラに誰かが居たりしないかたまに確認してくれればいいから。』

 

「……なんか、怖いんですけど。時給もやたら高いし。」

 

『大丈夫大丈夫!ウチは安全第一だからさ。時給が高いのは人がいないからだよ。』

 

「ふーん、まあ、2日だけですし、やるだけやってみます。」

 

 本当は夜中のバイトなんてしたくないけど。

背に腹は代えられない。

次のライブはぜっっったい行きたいし。

 

 

 

──バイト当日、夜。

 

「実は前からちょっと来てみたかった、なんて。」

 

 真っ暗な店舗を見て、自分がやんわり目を逸らしていた恐怖という感情が少しずつ現実味を帯びてくる。

 

「そう言ってもらえると嬉しいな。」

 

「!」

 

「あぁ、ごめんごめん。驚かせちゃったね。どうも、ここの社長です。泉さん、だよね?」

 

「ッはい、今日からよろしくお願いします。」

 

 社長? 

それにしては随分若そうな人だけど、というか叔父さんと同じくらいに見える……

え、社長なんだよね?

渡してきた名刺に社長って書いてあるし。

社長がわざわざバイト迎えに来るの?

 

 何だか怪しくなってきた。

今すぐにでも帰りたい。

 

「飯田さんにはいつも世話になってるからね。」

 

 叔父さんが?

 

「あれ、聞いてないかな?ここの共同経営者なのよ、飯田さん。」

 

「……いえ、まったく。」

 

「まあいいや、ついてきて。ついでに飯田さんが普段何してるかも見せようか。」

 

 帰りづれえ〜!

ここまで来てやっぱ帰りますって言える勇気は私にはない!

 

 

 

──結局、あれよあれよと言ううちに私は普段着の上から警備服っぽいジャケットを着用させられて警備室まで来てしまった。

夜の店舗で男性と2人きりということでマージで怖かったが、懸念していたようなことは起こらず、こっそり持ってきたドライバーは使わずにすんだ。

 

 店舗の中を周る中で社長が見せてくれた、あの、機械人形(アニマトロニクス)?という奴を叔父さんが作っていると聞いて心底驚いたが、私はこんな凄いところで一体何を監視すればいいのだろうか。

 

「ここが警備室。このモニターから各監視カメラにアクセス出来るようになってるから、基本的にはコレを見てて。」

「この受話器は俺のスマホにかかるから、何かトラブルがあったら遠慮なくかけて。出なかったら直ぐに警察を呼ぶように。」

 

 こっっわすぎる。

 

「こんな深夜の店で何かあるとしたら基本犯罪案件だからね、躊躇しないで。」

「今日はもう少し残って機械人形(アニマトロニクス)の点検をしてから帰るから。朝までよろしくね。」

 

 怒涛の説明を一方的にして、社長は扉を閉じてしまった。

コツコツと、足音が遠ざかっていく。

 

 

 プルルルルル……

 

 

「ひゃあ!?」

 

 

 プルルルルル……

 

 

 あっそっか、さっき道中で説明してくれたやつか。

眠気覚まし用のマニュアルの説明音声、だっけ。

自動でかかるけど、止めてもいいとか言ってた。

 

 

 ガチャ。

 

 

あー、もしもし?聴こえてるかな?

 

 そんなに形式張ったやつじゃないんだ。

ていうか社長じゃん。

 

この度は夜間警備員のアルバイトに応募してくれたこと、嬉しく思うよ。

説明したと思うが、これから君には6時間、この店舗で()()()()()が行われていないか監視してもらう。

 

 そこからの話は、殆どが社長に口頭で説明されたことと同じだった。

 

『あー、あとは、そうだ。後ろに冷蔵庫があるだろう?そこにお菓子があるから、小腹が空いたら食べると良い。一度開封したら、そのまま持ち帰ってもらえるとありがたいな。』

 

 がちゃ。

……結構入ってる。

 

『扉はしっかり施錠するように。仮に犯罪者が不法侵入してカメラの存在に気付いて……逃げてくれれば万々歳だが、何をするか分からないからね。施錠しておいて損はないよ。』

 

 かちゃん。

ちゃんと聴いていて良かった。

 

『卓上にある扇風機は、結構古いタイプだからね。怪我には気をつけて。あんまり暑ければエアコンをつけるように……6時間もサウナに入りたくなければね。』

 

 エアコンは、まだいいか。

うん、案外知らないこともあったね。

早々に止めなくて良かった。

 

 

──録音が止まった。

 

現在時刻:0時45分




 社長は社長で、泉ちゃんを怖がらせないよう気を使ってます。
出来るだけ近づき過ぎないようにとか、冗談言ってみたりとか。

 ま、それがかえって泉ちゃんに恐怖を与えてるんですが。
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