TSして魔法少女になったら頭が可笑しい奴しかいないんだが   作:つる植物

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14 何か普通に出来たわ

 「エミリー、ちょっと新技思いついたから付き合ってほしんだけど……」

 

 放課後にいつも模擬戦やっているエミリーを新技の実験台にしようと思い軽い気持ちで言っただけだった。

 

 昼休み、喧騒に包まれていた教室が一気に静かになった。

 

 「え、何?怖……」

 

 教室を見渡すと九条が頭を抱えている。

 まだ何もしてないんですけど……。

 

 「あたしで良ければ付き合うよ。どう言う風の吹き回し?」

 「いや、エミリーのシールドを対策しようと思って……」

 

 スパスパ斬っていたが最近はとても斬りづらくなってきた。

 

 「どう言う新技?」

 「えっと魔法少女化すると見た目が変わって服装も変わる。武器はその後に任意で出し入れ出来るだろ?」

 「そうだね、まぁ普通は換装と一緒に出してそのままにするけどね」

 

 普通はそうだ、別々に出す意味は余りないので普通は換装と同時に武器も出してしまう。

 

 「この前気付いたんだけど、武器を出す時の……なんて言えばいいんだろ、濃度って言えば良いのかな?そうだな、濃度を調整出来る事に気付いたんだよ」

 「濃度?」

 「えっと、武器を70%だけ出すって感じかな?」

 

 何とも説明しづらい、普通100%で出すからなぁ。

 

 「100%で出さないと強度も威力も落ちると思うんだけど……」

 「勿論そう、でも50%くらいだとグニャグニャ曲がって一応斬れ味もあるみたいなんだ」

 「んー、普通に剣とか武器を曲げる魔法あるよね?そっちじゃだめなの?」

 「あるんだけど、俺は並列処理出来ないから」

 

 魔法の並列処理は2つが限界なのだ。

 斬撃拡張は使い慣れているからそれ以外の魔法は使いたくないまである。

 

 エミリーの視線がソフィアに行くとソフィアは頷いた。

 

 「あたしは問題ない、付き合うよ」

 「ホント?ありがとう」

 

 いやぁ持つべきものは友達だね。

 ただの思いつきで実戦で使えるかどうかはやってみなきゃ分からんしなぁ。

 久しぶりに模擬戦が楽しみだ。

 九条は苦虫を潰したような表情をしていた。

 なんでだろう?

 

 

 放課後、シミュレーションルームに行くとなんかやたら見学者が多い。

 九条もいてその隣になんか赤崎本部長までいるんだが……。

 忙しいって聞いてるけど、仕事しなくて良いのかな思ってしまう。

 心配しなくても世界を斬るなんて事はしないのに……。

 まぁ良いか、俺には関係のない話だ。

 

 魔法少女に換装して無手でシミュレーションルームに入る。

 既にエミリーの準備も万端だ。

 

 濃度50%だと数秒経つと霧散して使い物にならなくなる。

 しかも完全に出した時より折れやすい。

 シミュレーションルームで折る分には問題ないが実戦で折ったら終わりなのだ。

 替えの刀はあるが九条から貰った刀は世界に一本しかない大切なものだ。

 ここで感覚を完全に身につける。

 

 「用意出来た、いつでも来い」

 「じゃあ行くよ」

 

 エミリーがいつも通り高速で突っ込んで来る。

 僅かに殺気が乗っているので権能が反応して反射で避ける。

 

 50%で武器を出すと同時に振るう。

 俺には何となく刀があるのが分かるけど、濃度が薄いとエミリーは視認がほぼ出来てないだろうな、これ。

 ムチの様にしなった刀に斬撃拡張を乗せるとエミリーの身体を横に切り裂いた。

 

 ざわつく会場、エミリーは直ぐに元通りになった。

 一先ず成功したけど本当は首のシールドを避けて首を斬るつもりだった。

 人なら切れるけど大きい魔獣相手だと首をちゃんと斬らないと刀身が折れる可能性が高い。

 

 ちなみにエミリーは訳が分からないという顔していた。

 

 「え、今、本当に何したの?」

 「え、50%濃度の刀を振って斬撃拡張で斬っただけだけど?」

 

 俺ちゃんと先に説明してたよな?

 

 「刀持ってなかったよね?」

 「50%だと視認出来ないレベルになるみたい。俺は何となく感覚で分かるけど……」

 「……ちょっとソフィアと話してきて良い?」

 「どうぞ」

 

 エミリーがシミュレーションルームから出てソフィアの元に走って行った。

 何か真剣な顔して2人で話している。

 

 九条と赤崎本部長は相変わらず怖い顔をしていた。

 今日は俺、何もしてないぞ?

 

 その後何度かやるとちゃんとシールドを避けて首を完璧に捉えられる様になった。

 やっぱり練習って大事だわ。

 

 エミリーから全身シールド張りたいと言われオッケー出す。

 シールドの防御力は面積に反比例するので全身に展開するとかなり強度が落ちるのだけど……。

 

 「無理だなこれ」

 

 シールドに刀が当たると普通に折れた。

 何なら斬撃拡張した部分がシールドに当たっただけで刀本体がボキっといった。

 

 「太刀受けというか防御されたら刀ごと死ぬな」

 「強度は全然だめだね、まぁそれで斬れているのがおかしいんだけど……」

 「? 刀は斬れるものだぞ、エミリー」

 「……そだね」

 

 だめだこいつみたいな目で見られた。

 

 最後の模擬戦では100%の剣で普通にシールドごと斬った。

 手の内を知ってる奴にも2択を強制出来ていい感じだ。

 後出しジャンケンしている感覚だ。

 

 エミリーにお礼を言ってシミュレーションルームを後にする。

 ソフィアとエミリーが走ってシミュレーションルームから出て行った、留学生っていつも忙しそうだな。

 

 ちなみに九条と赤崎本部長も慌てて出て行き、シミュレーションルームのコントロールルームで難しい顔して皆で話し合っていた。

 

 皆忙しそうだな……。

 

 俺は魔法少女化を解くと用意してあったペットボトルの紅茶を一口飲んだのだった。

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