TSして魔法少女になったら頭が可笑しい奴しかいないんだが   作:つる植物

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15 クソゲーでもたまに味があるやつはある

 クソゲーだ!!

 そう叫ばずにはいられない!!

 

 祖国から新型のシールドが送られて来た。

 対ブラック・ブレイド用シールドだ。

 汎用性を排除したブラック・ブレイドの首斬り対策用。

 シールドの大きさの指定も展開する場所もほぼ選べないクソ仕様だ。

 直径が4インチ(約10cm)の円型シールドを首の周りに展開する……何の役に立つんだ、これ?

 一応美鈴に斬ってもらったら確かに斬れなかった。

 せめて1週間早ければまだ役に立った可能性が微粒子レベルで存在した。

 

 現在のブラック・ブレイドが通常の斬撃拡張に加えて不可視で曲がる斬撃拡張を使う。

 まだ2択で読み合いが成立するなら勝負に……いや、戦いになった。

 通常の斬撃拡張は専用シールド、不可視の斬撃拡張は通常シールドで確実に防げるからだ。

 でもブラック・ブレイドはこっちのシールドを張ったの見てから攻撃してきているっぽい。

 

 じゃあ2つシールド張れば良くないって思うんだけど我が国のカートリッジシステムがそれを許してくれない。

 誤作動防止と制御の観点から2つまでしか魔法を並列使用出来ないのだ。

 2つシールドを使うと最初の突進が使えない。

 最初の突進は唯一ブラック・ブレイドの態勢を確実に崩す事が出来る手段だ。

 いかにブラック・ブレイドと言えど音速で突っ込んで来ると分かっていても態勢が崩れてしまう。

 でもシールド2つを張ったら音速の突進が使えない。

 突っ込んで来るブラック・ブレイドはマジで手が付けられない。

 態勢が崩れているからこそ1発しか飛んでこない斬撃が万全の状態だと1秒間に数発飛んで来る。

 首に来ると分かっているから辛うじて対応出来ているに過ぎない。

 ブラック・ブレイドが万全の状態で突っ込んで来たら文字通り解体されるのだ。

 

 今日も1秒に満たない模擬戦が終わる。

 専用シールドを回避した不可視の斬撃であたしの首が宙に舞う。

 そして直ぐ様首は元通りになる。

 

 「エミリーお疲れ」

 

 そう言いながらブラック・ブレイドはシミュレーションルームを後にした。

 あたしもシミュレーションルームを出て換装を解く。

 そのまま一度帰ってソフィアの家でソフィアと合流した。

 ソフィアの入れてくれたコーヒーを飲む。

 

 「お疲れ様、美鈴は相変わらずの化物ね」

 「ここまで勝機が見出だせないの初めてだよ」

 

 最初に不可視の斬撃に付いて本国に報告した時は「武器って中途半端に出せるの?」って感じで認知されていない仕様だった。

 同じ刀を使って実験したところ美鈴が言うところの「濃度」の調整自体はあっさり出来たらしい。

 言うまでもないが本国の結論は「意味のない技術」であった。

 本国の調査では80%で出すと斬れ味と強度は既に50%を切っているとのことだ。

 美鈴が言う様に50%だと確かに刀が曲がったらしいが数秒で霧散、斬れ味は元の10%あるかどうかだそうだ。

 本国では普通に斬撃拡張と刀身を曲げる魔法を使った方が良いと言う結論だった、当たり前である。

 

 「なんで魔法で身体とか服って硬く出来ないいんだろ」

 「有史以来の課題ね、魔法少女の死亡数が減らない原因でもあるわ」

 

 強くとか早くとかは出来るのに硬くは出来ないのは謎である。

 一応服に細かいシールドを張る技術はあったけど、燃費が悪すぎて今では使われない技術だ。

 鎧を着ても魔獣爪はバターの様に切り裂いて来る。

 シールド以外で魔獣の攻撃は防御出来ないのだ。

 まぁ、この話は置いといて。

 

 「しかし勝ち筋はおろか戦いにすらならないのはさすがにつまんないんだよなぁ」

 

 日本のAクラスの子たちと定期的に模擬戦をしているのだが、最近は負けることが増えて来た。

 負け越すことはさすがにない。

 日本のAクラスで一番強い子にもちゃんと勝ち越している。

 でも、負けるときは負けている。

 あたしはこれでもエリート中のエリートなのだ。

 本国ですら最近は負け越していない。

 よほどの実力差でなければ勝ち続けるのは普通は不可能だ。

 あたしとブラック・ブレイドとの絶望的な実力差の証左でもあった。

 

 「ちなみにエミリー的にはブラック・ブレイドと戦うには本国のAクラスはどれくらい必要だと思いますか?」

 「うーん、近接が強すぎるから遠距離の弾幕で削り倒すのがセオリーなんだけど何人いても勝てるビジョンは見えないんだよなぁ。1000人くらいいればさすがに勝てると思うけど……」

 「Sクラス討伐にそれだけAクラスを出撃させる、それは敗北と変わりないですね」

 「だよねぇ」

 

 普通のSクラスなら我が国のAクラスが4人いれば絶対に勝負になる。

 なんなら討伐も可能だろう。

 日本の2人が異常なのだ。

 暗殺くらいしか排除の現実的な選択肢がない。

 流石に魔法少女に換装してないと権能は発動しないからなぁ。

 

 「ブルー・カノンの討伐は?」

 「正面からならまず無理ですね。おそらく戦い自体が成立しないと思います。私がブルー・カノンなら成層圏まで飛んで魔法を撃ちますね」

 

 自力で宇宙に行った魔法少女など歴史上数人しかいない。

 戻って来たものはおらず、全員仲良く成層圏を周回している。

 魂は帰れない地球を見下ろしているのだろう。

 ちなみにブルー・カノンは絶対に日本に戻って来るだろうという確信がある。

 なんなら頼めば連れて行ってくれそうだ。

 

 「頼めば連れて行ってくれるんじゃない?」

 「絶対に連れて行ってくれますね。でもさすがにシールドで大気圏突入はしたくないです。ミッションにもない事はしたくないですね」

 

 本国に上申を掛けたら絶対に行ってこいって言われるだろうな、下手すれば私も行ってこいって言われそう。

 

 「生身で宇宙は行きたくないなぁ」

 「ですね、絶対に嫌です」

 

 まぁ一つ言えることは。

 

 「無理ゲーだ」

 「無理ゲーですね」

 

 2人でため息を吐いてお互いに苦笑いした。

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