ベイブレードNEO Season1   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第11話 答えを求めて

神世征二狼との再戦、ソウタは新技・ドラグニルエクスプロージョンでロアウルフをバーストし雪辱を果たした。

 

逆上した征二狼は背後からロアウルフをぶつけようとシュートするという暴挙に及ぶ。

 

しかし、更に背後にいた龍が征二狼の頭部めがけてボルトドラゴを打ち込み気絶させた。   

 

彼は多くを語らずその場を後にする。  

 

そして…チームメイトのコウ、ダイ、リンに「俺達は征二狼の傀儡に過ぎなかった。」と告げるのだった。

(ナレーション)

 

__神世学園メンバー専用ルーム__

 

「そんな……僕達が傀儡だって……!?」

 

「おい……冗談のつもりか……?」

 

「嘘よ……! 征二狼は私達に居場所を与えてくれたはずなのよ……!」

 

顔に冷や汗が走り、声が震える。

 

「……お前ら、ドラゴの能力を思い返してみろ」

 

「ドラゴの能力……」

「確か、負かした相手やそのベイの魂を抜き取る……」  

「ハッ……!!」

 

メンバーの一人であるコウ。

 

彼は目を大きく見開き、顔に汗を流した。

 

「どうやら察知したようだな」

「ドラゴの能力はヤツにとっての『手段』だ」

 

「『手段』ってどういうことよ……?」

 

必死に平静を装いつつもその声は明らかに震え上がっていた。

 

「手段と言ってもだが、その本質には『表』と『裏』がある」

「表の本質はドラゴの強化……様々なブレーダーとベイの魂を喰らい、ドラゴはより強くなる。そして……裏にして真の本質は『この町の支配』だ」

 

「支配!?」

 

「ドラゴは飢えに飢えている。このままベイとブレーダーの魂を喰らい続ければ、俺自身も取り込まれ暴走するだろう……そうなればお前らもベイごと……」

「ただ魂を喰らうだけの『魔龍』となった俺をヤツは使役し、やがてこの町を支配するという算段だ」

 

「……」

 

「そんな…」

 

「……!!」

 

真意を聞いた者達の反応は千差万別だった。

 

ある者は無言になり、短い言葉で絶望し、無言の怒りをあらわにした。

 

「ヤツを引き剥がした今、俺にできることは自身の道を行くことだけだ」

「ついてくるのならついてこい。だがついてくるなとも言わん。その先はお前ら次第だ……」

 

少し振り返るように彼らにそう言い放った後、ドアを閉めて場を後にする。

 

「やはり俺達を利用しようとしていたか……だがそいつは叶わなかったな」

 

龍は再び校庭に足を運んだが、そこにはもう征二狼の姿はなかった。

 

一方……

 

__根尾中ベイブレード部部室(翌日)__

 

「んー……」

 

なんとも言えない様子で天井を眺めていた。

 

「どうかしたか? ソウタ」

 

「神世学園のやつらは大丈夫かなって……

征二狼がいなくなったら色々と大変な気がするし……

一応学園長だから」

 

「龍のやつには何か思惑があるはずだ」

 

「だがそれについて考えてばかりでは先へは進めない。こういう時は散歩にでも行ってきたらどうだ?」

 

「俺は先に出ている」 

 

そう言って、部室を後にする。

 

「そうしてみようかな……」 

 

「俺も」

 

「僕も」

 

ヒカルに続いて、部室を後にし散歩に出かける。

 

__根尾公園__

 

「ここで暫く休んでから戻るか」

 

「……」

 

「……!」

 

公園で一休みしようとしたヒカル。そこで神世学園のメンバー、コウと出会った。

 

彼はハンカチでダークゲンブの手入れをしていた。

 

「君は、一角ヒカル……!」

 

「お前は、水城コウ……!」

「何故ここに……」  

 

あの時の試合以来の邂逅となった2人。

 

ヒカルが公園にいた理由を聞き出すとどこか悲しげな声で語り始めた。

 

「……今の僕には居場所がないことに等しい」 

「僕は常に神世学園の地位を保つために戦ってきた。 でも……守るべきものが分からなくなった今、僕とゲンブは何を守ればいいんだ……」

 

__根尾川河原__

 

__ヒュゥゥゥ

 

「……いい風だ。この風をもう少し浴びてから戻ろうかな」

 

そよ風がなびき、ツバサの髪も少し揺れ動く。

 

その時、何かを目撃する。

 

「ん?」

 

「ゴー……シュート!」

「ハァ……ハァ……!」

 

「おや……君は白牙ダイだね。随分練習をしているようだけど大丈夫かい?」 

 

河原のスタジアムでシュートの練習をしているダイに出会った。

 

「なんだお前は?」

 

「僕は焔ツバサ」

「新しく根尾中学校のベイブレード部に加入したんだよ」

「それはそれとして見るからにお疲れ気味だし、何か悩んでいるようだけど。僕で良かったら話を聞くよ」

 

「根尾中の新入りか……

だが俺は今ヤキモキしているんだ、誰かと話してぇ気分じゃねぇんだよ」

 

「……君がそう思うのならこれ以上は口は出さない。でもそれを抱え続けるのも君次第だよ?」   

 

口にはしなかったが、彼のシュートはやり場のない怒りを相棒にぶつけているように見えた。

 

「…!!」

 

ツバサとダイ。

 

根尾中ベイブレード部の新入りと絶対王者のメンバーが邂逅する。

 

__根尾通り__

 

「ここまで歩けば充分だな。そろそろ……」

 

「……」 

 

(今のどこかで見たような……)

 

すれ違った人物に既視感を覚えていたのか、一瞬だけ振り向いた。

 

「あっ!!」

 

「華炎リン!」 

 

「門守バン!」

「なんであなたがここに……」

 

「そういうあんたこそだ」

「こんなところで会うとは思わなかった……しかし、随分神妙な顔つきだが何かあったのか?」

 

「……」

 

バンとリン…大会以来の対面となった2人。

 

神世学園のメンバー、リンは何を語るのか。

 

それぞれの語り合いがどう紐解かれていくのだろう。

 

__根尾公園__

 

「水城コウ、お前は神世学園の地位を守るために戦っていると言ったな」

「そして……今は守るべきものが分からなくなったと」

「だが俺は守るべき……お前が守れるものは『1つ』あるはずだと考えている」

 

「『1つ』……?」

「何を言ってるの? もう僕には……」

 

「お前が守れるもの……それは『絆』だ」

 

「……!」

 

「一つ聞こう。お前のベイ……そして神世のメンバーには『絆』というものはないのか?」

 

「……そんなはずはない! 僕にとってのベイはダークゲンブと龍、ダイ、リンと一緒に高め合っていくことだ!」

「ハッ……!」

 

「あったじゃないか、お前なりの『答え』が」

 

公園のベンチで隣り合って座り、語り合う2人。

 

守るべきものが分からないと語った1人の少年。

 

しかし、必ずしもそうとは言えない。

 

守るべきもの……いや、守れるものがあることを。

 

それは『絆』。

 

コウは即座にその言葉に反応する素振りを見せた。

 

「絆……か」

「確かに君の言う通り、答えはあった。寧ろ見逃していた」 

「礼を言わせてくれ」

 

コウはゲンブをヒカルにかざす。 

 

彼なりのお礼をしたいということだ。

 

「あぁ」

 

__キン

 

同じくヒカルもユニコーンをかざし、ゲンブと軽く正面を当てる。

 

そこから響いた金属音は迷いを断ち切った証だった。

 

__根尾川河原__

 

「……いいぜ、話してやる」

「俺はファングビャッコと共にどんな奴等もぶちのめしてきた。神世学園の名が保たれるのならいつだってそうしてきた」

「だが……龍のヤツは俺達を『傀儡』と言った。全ては征二狼がこの町の支配のためにドラゴに俺達のベイを取り込ませる算段とな……」

 

「……」

 

「これで分かったか?」

「今の俺に出来ることはただベイを回すことに明け暮れるだけだ」

「分かったら早く立ち去りな」 

 

半ば自暴自棄気味に、歯軋りをしながら自身の体験を話す。

 

それはやり場のない怒りを物語っていた

 

「……僕から少し話してもいいかい?」

 

「あ……?」

「しつけぇぇぇ!」

 

__ブンッ

 

ダイは思わず腕を振りかぶるが……

 

__パシッ

 

ツバサの手のひらでまんまと受け止められてしまった。

 

「何……!?」

 

「今の君は確実に何かを見失っている」

 

「……何をだ?」

 

荒んでいるダイに対し、ツバサは優しく語りかける。

 

「それは『仲間への信頼』だよ」

「君の怒りや悲しみは確かにもっともだ。しかし、同じ感情を持っているのは果たして君だけかな?」

 

「……!!」

 

「怒りや悲しみは同じものを持っている者でしか共有できない。けど、それに対する対処法は違うはずだ。誰かは笑うかもしれない、誰かは思い切り泣くかもしれない」

「でも、君にはブレーダーとしての『誇り』があるはずだ」

 

「それを捨てろとは言わない。ただ、今一度仲間達と話し合って再起を目指してみたらどうかな?」

 

「……!」

「ハッ……、再起か……面白いやつだ。それを遂げた俺達がどれだけ恐ろしいか見せてやるぜ」

 

「楽しみにしているよ」

 

自分だけが抱え込んでいるわけではないということに気づいたのか少しだけ表情が和らいだ。

 

2人の間に優しい風が吹いた。

 

__根尾通り__

 

「私は神世学園のメンバーであることに誇りを持っていたわ。寧ろ『居場所』であるという気持ちまであったわ」

「でも、あなた達は自分の力で征二狼から居場所を守った……私達は結局与えられた『だけ』の場所で威張っていただけだったのね」

 

2人は並ぶようにして通りを歩いていた。

 

彼女は大会の時の高圧的な態度から一変して自嘲的になっていた。

 

「…」

「俺から一つ言ってもいいだろうか」

 

「何よ」

 

「確かにあんたは『与えられた側』の人間だ。だがその場所やベイを手放す気はないはずだ」

 

「!」

「そうに決まってるわよ。私にもブレーダーとしての矜持はあるわ」

「……だから、あなた達ももう一度私達と並び立てるようにして」

 

その声は照れくさそうで儚げだった。

 

「あぁ、約束しよう」

 

約束をした後、暫くしてその場を後にする。

 

彼女はそれを確認するとボソッと一言呟いた。 

 

「暑苦しい男…… でも、お陰で燻っていた私の心に火がついたわ」

 

__根尾中学校(校庭)__

 

「散歩していてもなんか退屈だな……」

「……あっ!」

 

何かを見て驚く。

 

「龍!」

 

「蒼龍ソウタか……」

「まさかこんなところで会うとはな」 

 

龍を目撃した瞬間、ソウタは彼に駆け寄る。

 

「なぁ……龍。 ちょっと聞きたいんだけどなんであの時、征二狼を。あいつは仮にも仲間だったはず……」

 

「元からアイツのことは1ミリも信用していない」

 

「えっ……」

「じゃあ、ドラゴのブレーダーやベイの魂を抜き取るとかは……?」   

 

とうとうその核心に迫る。

 

「……体験者に接触したのか」 

「ドラゴの能力は征二狼が『練り込んだ』ものだ。あいつが立てていた『計画』のためだろう……そこは俺も知り得ない」

 

「計画……? 練り込んだ……?」 

「ちょっと待ってくれ」

「征二狼は、あいつはドラゴの能力で何を……?」 

 

意味深長な言葉に思わず疑問を抱いた。

 

「ドラゴの能力はブレーダーとベイの魂を喰らう……

だが、そいつにも限界がある」

「それを迎えた場合、俺はやつに取り込まれ『魔龍』となり支配される」

「そうなった俺を使役し、この町を支配するという算段だ……」

「ドラゴを初めて手にした時はそんな能力はなかった。

予想に過ぎんがそのためにやつは、外部から人為的に能力を与えたのだろう」

 

「……」

 

龍もその核心について話し始め、ソウタは無言で聞く。

 

「あいつはまだ諦めていないようだ……」

「ドラゴの能力はさらなる深淵へ向かう。飲み込まれることのないようにな」

 

「……」 

 

沈黙を破り、ソウタが口を開く。

 

「龍、お前がそんなにも悩んでいたなんて知らなかった」

「でも、これだけは言わせてくれ」

「俺は大会でお前を『超えてみせる』!!」

 

「……」

「……叶うといいな……」

 

ほんの僅かだけソウタに期待するような言葉だった。

 

去りゆく龍の背中をソウタは姿が見えなくなるまでじっと見つめていた。 

 

「……」

 

ソウタの闘志に呼応するかのようにポケットの中のドラグニルが青く輝く。

 

再起の片鱗を見せた神世学園の面々。

 

しかし、龍の意味深長な言葉は根尾中ベイブレード部にとっても最大の試練となるだろう。(ナレーション)

 




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

門守バン-梶裕貴

一角ヒカル-小野賢章

焔ツバサ-榎木淳弥

皇龍-諏訪部順一

水城コウ-内山昂輝

白牙ダイ-鈴木達央

華炎リン-沼倉愛美

ナレーション-森川智之
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