ベイブレードNEO Season1   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第13話 流儀

遂に開幕したベイブレードカップ。根尾中ベイブレード部は爽海学園との対戦が決定、第一戦は根尾中ベイブレード部からバン、爽海学園からギアンのベイバトルとなった。(ナレーション) 

 

「さぁ~始まりました! ベイブレードカップ第一回戦、第一戦。 門守バン選手VS紗千保ギアン選手です!」

「初手からバランスタイプ同士の対決! この勝負の行方は如何に!?」

 

「お前が俺の相手か」

「この勝負、勝つのは俺だ」

 

「ほぅ……」

 

__ギンッ

 

「そいつは楽しみだなぁ! なら見せてみろ! お前のベイが俺のオルカに抗えるかを!」

 

ギアンはランチャーを握った瞬間、物静かな雰囲気から目をギラつかせた荒々しい雰囲気へ変貌した。

 

(豹変した……!?)

 

「おーっとギアン選手、ランチャーを手にした瞬間の豹変ぶりは健在です!」

 

(それはいつもなのか……)

 

実況者が言うに、ギアンの豹変はいつものことであるようだ。

 

(だが……あのマッドオルカというベイ、シャチを模した形状の4枚刃からするに攻撃性の高いバランスタイプといったところか。

同じバランスタイプ同士、油断ならないな)

 

「Ready……Set!」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

デスケルベロスはスタジアム外周を旋回し、攻撃のタイミングを伺っている。

 

それに対し、マッドオルカは素早い動きでケルベロスを追いかける。

 

「ハッ! 様子見だけじゃすぐに終わるぜ?」

 

(速い……! これではすぐに追いつかれてしまう!) 

 

「先ずは1点目、俺がいただくぜ!」

「マッドオルカ!」

 

ギアンの荒々しい声に呼応し、マッドオルカからシャチのオーラが現れる。

 

「マッドダイビング!」

 

一方的に追い詰められている中、更に追い打ちの如し上空攻撃が襲いかかる。

 

「……!」

(またしても俺は負けるのか……? 俺はこの舞台でも恥を晒すだけなのか……?)

(ソウタ、ヒカル、ツバサ……)

(いや、違う……俺は……!)

 

バンの心のなかにさまざまな思いが交錯する。

 

「俺の勝ちだーーッ!!」 

 

「勝ちか…俺は勝ちたい勝ちたいっていう感情でしか動かなかった。だがそれとは逆に多くの負けを経験してきた」

「だが負けは『失敗』じゃない『過程』だってのを学んだ。だから……負けたから終わりじゃない。負けから少し成長出来た時、『それこそ』が『勝利』なんだッ!!」

「ヘル・ザ・ガード!!」 

 

__ゴォォンッ

 

「な…!」

(コイツ……上空からの攻撃を……!)

 

「バン選手、マッドオルカの上空攻撃をそのまま受け止めたーーッ!!」

 

デスケルベロスが中央でどっしりと構え、マッドオルカの上空攻撃を受け止める。

 

スタジアム内には重厚な音が鳴り響いた。

 

そして……

 

オルカのゾーンギアの突起がケルベロスのブレードを滑り、「タンッ……」という音を立てて着地する。

 

「な……何だと……!?」 

 

「……」

 

激しい衝撃故か、オルカもケルベロスもどちらもふらつく。 

 

「どちらもかなりのスタミナを消耗しています! 最初の1戦、勝利の女神はどちらに微笑むのか!?」

 

実況者も思わず立ち上がりながら、実況する。

 

「!!」

 

「カタッ……」という音ともに回転を止めたのはマッドオルカだった。

 

「……」

 

「デスケルベロス、スピンフィニッシュ! 門守バンの勝利!」

 

「決まったァァーーッ! バン選手、見事ギアン選手から1点を勝ち取りました!」

 

「〜〜〜!!」

「バンーー!」

 

「!」

 

「良かった、良かったよーー! やっと報われて……」

 

「わ……分かったら落ち着け」

 

ソウタは喜びのあまり、バンに抱きつく。

 

落ち着けと言いつつも、素直に自分の勝利を喜んでくれたことには内心嬉しかった。

 

「……門守バン」

 

平常時の顔に戻ったギアンがバンに近づく。

 

「見事だ」

 

「ありがとな」

 

彼はバンのことを称え、手を差し伸べる。

 

バンもその手を受け取り、握手を交わした。

 

「バン選手とギアン選手、互いに健闘の称え合いの握手です!」

「初手から大盛り上がりのバトル、ありがとうございました!」

「続きまして第2戦目です!」 

 

「ギアンに勝つとは……あいつら、ただモンじゃなさそうやな」

 

爽海学園のメンバー、磯部南太郎は髪を触りながら根尾中学校が只者ではないと評する。

 

「……」

「ほな、俺が出るわ」

「このまま黙ってはいられへんしな」

 

「頑張ってねー♪」

 

第2戦目、爽海学園からは南太郎が出る。

 

続く根尾中学校からは……

 

「早速、爽海は準備ができたようだな」

「だが磯部南太郎、代長エル、鮫島ナギ……奴等も爽海学園屈指の実力者だ」

「誰がそれぞれと対戦するか、この一手は重要だ」

 

「それなら……」

「僕が第2戦目を引き受けるよ」

 

「ツバサ……?」

 

「新しい『環境』での大舞台……バンに倣って僕も一歩踏み出したい」

 

「そうか……」

 

根尾中学校からはツバサが前に出る。

 

「お互い出場者が決定致しました! 爽海学園からは磯部南太郎選手。根尾中学校からは焔ツバサ選手です!」

「根尾中学校の新入りがこの舞台でどんな実力を見せてくれるのか!?」

 

「あんたが根尾中学校の新入りっちゅーわけかい」

「だが教えたるわ。こっからが俺達の逆襲劇やと言うことを」

「出番や、ミラージュクラーケン」

 

南太郎は自身のベイを取り出す。

 

(うねりにうねった形状……ディフェンスタイプか)

(タイプ相性上は有利だけど、一筋縄ではいかなそうだ)

 

「Ready……Set!」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

ディフェンスタイプのミラージュクラーケンとスタミナタイプのヒートフェニックスはスタジアム中央を奪い合うが……

 

__ツルッ

 

「!!」

 

「これは……! ミラージュクラーケン、フェニックスの攻撃をものともしていません!!」

 

クラーケンのうねった形状のブレードがフェニックスの攻撃を受け流してしまう。

 

スタミナタイプであるが故に攻撃が得意ではないフェニックスは苦戦を強いられる。

 

「ミラージュクラーケンは触手を模した受け流し刃が最大の武器や」

「ベイバトルは『タイプ』だけで決まるもんやない。『武器』の活かしどころや」

 

「……」

 

スピンフィニッシュを奪われ、同点に追いつかれた。

 

「『武器』か……僕はどうやら勿体ないことをしてしまったらしい」  

 

「ツ……、ツバサ」

 

「ソウタ、今のは僕のミスだ。相手の武器を観察出来ていなかったのが原因だ」

(とはいえ……あの受け流し刃は細かくぶつかり合う攻撃は得意だが、逆に瞬間的な衝撃はどうだろうか?)

(……試してみよう)

 

顎に手を当て、心のなかで考察をする。

 

「再戦だ。もう一度相手を頼むよ」  

 

「えぇ顔なったなぁ。

ほな行こか」

 

南太郎はツバサの顔を見て微笑んだ。

 

「Ready……Set!」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

「!!」

 

なんとツバサは「シャッ……」という音ともに弱めのパワーでフェニックスを斜め打ちシュートした。

 

そのシュートに会場全体が騒然する。

 

「なんと、焔ツバサ選手! あえての斜め×弱シュートだ! 彼なりの算段というのがあるのでしょうか?」

 

「算段?」

「違いますよ実況者さん」

「これはある人から教わった大切なこと……いわば『流儀』です」

 

実況者の算段という言葉に対し、「流儀」という言い方で返す。

 

「まさか、合同合宿の時の……!」

 

ヒカルは合同合宿で教え込まれたことだとすぐに見抜いた。

 

「フェニックスをあえてそうシュートすることで空気抵抗を減らした」

「そのまま突っ込む!」

「これが僕の流儀!」

 

(新入りながら、この応用力。流石根尾中といったところやな……)

 

「ダッシュ・オブ・ザ・フェニックス!」

 

__ガァンッ

 

「ヒートフェニックス、オーバーフィニッシュ! 

焔ツバサの勝利!」 

 

凄まじい衝撃音を響かせ、ミラージュクラーケンをスタジアム外に弾き飛ばした。

 

「焔ツバサ選手、見事失点を取り返し再び追い抜きました!」 

 

「流石だぜ! ツバサ!」

 

「ありがとう、ソウタ。でもそれはあの時の合同合宿が活きたからだよ」

 

「そうだな……!」

 

「いやー、見事だよ。根尾中学校の皆」

「さて…次は僕の番だ」

「一角ヒカル、蒼龍ソウタ。どちらが来てくれるのかな?」

 

順調に勝利を重ねている根尾中学校。

 

だが間髪を容れず次々と立ち上がってくる強敵たち。

 

約束を交わした王者までの道のりはまだまだ続く。

(ナレーション)




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

門守バン-梶裕貴

一角ヒカル-小野賢章

焔ツバサ-榎木淳弥

代長エル-宮野真守

磯部南太郎-阿座上洋平

紗千保ギアン-前野智昭

古面定太-小野坂昌也

ナレーション-森川智之
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