ベイブレードNEO Season1 廻る光と廻る影   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第17話 試練

3回戦の相手・和真学園も激闘の末、下したソウタ達。 

 

自分たちを憧れの的、目標としてくれた彼らに感謝しつつも打倒・神世学園を目指して前へ進んでいくのだった。

 

「スラッシュドラグニル、オーバーフィニッシュ!!

蒼龍ソウタの勝利!!」

 

「根尾中学校、準々決勝を突破し遂に準決勝進出です!!」  

 

準々決勝も突破し、ついに準決勝にまで進出した。

 

観客席は歓声の声で溢れた。

 

応援してくれている彼らに対し、手を振りながら感謝の意を示す。

 

「遂に準決勝…まさか俺達がここまで勝ち進めるだなんてな。けど、この試合に勝てば神世学園と…!」

 

準決勝進出という事実に実感が湧かない一方で、手に届くか届かないかぐらいまでに迫った頂上の存在にソウタはワクワクしていた。

 

会場通路にて時間を潰している中、彼らの背後から声がした。

 

「あなた達が噂の根尾中学校ですね?」

 

「!!」  

 

突然かかってきた声にソウタ達は振り返った。

 

「こんにちは」     

 

ソウタ達に話しかけてきた一人の少女。

 

そのサイドには3人の少年がいた。

 

彼女は柔らかな笑みを浮かべつつも、糸のように細い目が掴みどころのなさを物語っていた。

 

服に青いタスキのようなものをかけた姿、その雰囲気は何処か神々しかった。

 

「あ、あぁ……、こんにちは」  

「俺達、これから準決勝なんだけどお前らは?」

 

少女の雰囲気に圧倒され、戸惑いながらも彼女に質問をした。

 

「申し遅れました。私、三栖テリアと言います。王谷中学校のリーダーを務めています。よろしくお願いしますね。」

 

彼女は三栖テリアと名乗り、自身の学校名も名乗った。

 

物腰柔らかな雰囲気はその掴みどころのなさに拍車をかけていた。

 

「王谷中学校!?」

 

「ど、どうしたんだよ?そんなに大きな声を上げて……」

 

バンとヒカル、ツバサは『王谷中学校』の名を聞いた瞬間、驚き始めた。

 

「ソウタ、王谷中学校は今まであたってきた相手の中で神世学園に限りなく近い実力を持っているとされている超強豪校だ」

 

「えっ……!? 神世学園に限りなく近い……!?」

「それは一体どういうことなんだよ……?」

 

『限りなく近い』……そんな表現を聞いて、それはどういうことかを問う。

 

「王谷中学校の強さ……それは『データ』にある」 

「常に暇さえあれば、その殆どを対戦や観戦を通じた研究に費やしている」

「メンバー全員が個別でデータ収集をし、相手のクセやプレースタイルの分析にも長けている」

「ベイブレードカップにて出場以来常にトップ3に君臨してきた実績を誇るんだ」

 

「ご存知のようで嬉しいです」

 

ヒカルの説明にテリアは満足げに微笑む。

 

「ところでよぉ、そこの3人は?」

 

目の前にいる3人のブレーダーをチラッと見る。

 

「こちらの3人はメンバーの、命府ケン、天宮ハヤテ、岩森ゴウです」

 

「……」

 

王谷中学校のメンバー、ケンとハヤテ、ゴウは黙って3人を見つめる。

 

「な……なんだよ?」

 

ソウタは思わず軽く後ずさりをする。

 

「蒼龍ソウタくん。君の技はすでに解析済みだよ。先程のスタジアムの縁での加速…僕たちチームの計算によるとわずか12.3%だ」

 

「な……!?」

 

「そして…門守バンくん。君の技は『感情』や『偶然』という名の『ノイズ』が多すぎる」

「こちらがそのトリガーを引かない限り、新しかろうがそうでなかろうが君の技の成功確率は"0%"に固定されているよ」

 

「何だって……!?」

 

王谷中学校のメンバーの一人である命府ケン。

 

口を開いたかと思えば、眼鏡のつるを一瞬だけ動かし確率を交えてソウタとバンの技を評価した。

 

その言動は技のことは既に把握しているという自信の誇示に近かった。

 

2人は自身の技に確率をつけられて評価されたことに動揺を隠せなかった。  

  

「そしてよぉ……焔ツバサ。お前のこれまでの勝利は相手の『隙』を突くことに頼ったものだ」  

「そんなもの、計算においては『不確定要素』ってことだ」

 

ハヤテは手で自身の髪をかきあげながら『隙を突くこと』を『不確定要素』だと断定した。

 

「一角ヒカル、君のベイバトルでの機転は認めよう。

だが、我々は常にその一手をデータに組み込んでいる。君が描く勝利へのシナリオは既に我々の手で書き換えられる運命にあるということだ」

 

ゴウはヒカルの機転を認める一方で、それさえも組み込んでいると豪語する。

 

「お前ら……さっきから何が言いたいんだよ?」

 

ソウタは眉間にシワを寄せながら、彼に質問する。

 

「根尾中学校。君たちのこれまでの勝因は『対戦相手の油断』と『感情の高ぶりによるイレギュラー』で成り立っているに過ぎない。我々の完璧なシミュレーションの前では神世学園と戦うなど夢のまた夢だ」

 

「……!!」

 

顔を若干上げながら、淡々と冷徹に評価を下した。

 

夢のまた夢という言葉にソウタの心が揺らぐ。

 

「……ベイは計算とか確率とかで測れるもんじゃねぇ!」

「勝負は何が起きるか分からない、だからこそ楽しいんじゃねぇか!!」

 

拳を握りしめ、必死になって絞り出した言葉で反論する。

 

「その辺にしておきなさい、ゴウ」

「勝負は何が起きるか分からないからこそ楽しい…ですか」

「そこも含めた答え合わせはもうすぐ始まります、私たちの計算とあなた達の熱意……どちらが上回るか確かめてみましょう」

 

ゴウを諌めつつ、ソウタの言葉を述べながら場を後にした。

 

――ベイブレード総合スタジアム――

 

「お待たせしたました!これよりベイブレードカップ準決勝を開始いたします!!」

 

遂に迎えた準決勝、相変わらず観客席は盛り上がりを見せていた。

 

「早速ですが、チーム紹介に移ります!!」

「先ずは東軍、準決勝にまでに上り詰めた新星・根尾中学校!!」

 

「続いて西軍、ベイブレードカップ出場以来常にトップ3に君臨する超実力校・王谷中学校!!」

 

どちらの学校にも歓声が送られる。 

 

「……」

 

準決勝進出というのに実感が湧かないのか、ソウタは強く手を握りしめる。

 

「準決勝を開始する前にルール説明をいたします」

「本戦は2対2のタッグバトルで行います!」

「ルールは簡単。ランダムで選ばれたメンバーでペアを組み、先に5ポイント先取した方の勝利となります! なお、フィニッシュの仕方は問いません!」

 

特殊ルールのもとで行われる準決勝。

 

1対1のバトルとは違い、様々なベイがスタジアムでぶつかり合うことになる。

 

「それだけではありません! 準決勝にふさわしい特別な舞台をご用意しました!!」

「それが……こちら!!」

 

「!!」

 

実況者が地面を指した瞬間、重い音を立てて上昇を始めた。

 

上昇を終えた後、中からスタジアムが現れた。 

 

それだけではない、スタジアムのセンターが唸りを上げるように回転した。

 

「これが準決勝用の特別舞台! その名もツイスタースタジアムです!」

 

「その名の通り、スタジアム中央がツイスター……いわば竜巻のごとく回転します! これによりベイがいつもより激しく回り、ぶつかり合う……タイプ相性を超えた激戦が実現します!!」

 

「……!」

 

「ソウタ?」  

 

実況者の熱弁にソウタが体を震わせ始めた。 

 

その様子を見たバンが彼を気にかける。

 

「なんだよ……それ」

「すっげぇ、ワクワクするじゃねぇか!」

 

震えが止んだと思ったら、今度は目を光らせながらスタジアムを見つめていた。

 

「……まったく、お前らしいな」

 

バンは先程の緊張感が吹き飛んだ様子に呆れつつも、彼らしいと笑みを浮かべながら肯定した。

 

「スタジアムの性能に目を輝かせるとは……」

「やはり、蒼龍ソウタならびに根尾中学校が我々に到底及ぶはずがない」

 

王谷中学校のメンバーであるゴウ、彼は向かい側の選手席でソウタのリアクションに呆れていた。

 

「それでは、これより各校のペアを発表します!!」

 

静寂を破るように実況者の声が響いた。

 

どんなペアが組まれるかも含めて会場は緊張感に満ちた。

 

満を持しての抽選が始まった。 

 

「根尾中学校、蒼龍ソウタ・門守バン」

「王谷中学校、岩森ゴウ・天宮ハヤテ」

 

会場音声を通してペアが知らされた。

 

根尾中学校からはソウタとヒカル、

 

対する王谷中学校からはゴウとハヤテが選出された。

 

「それではこれより準決勝第一戦を開始します!!」

 

「蒼龍ソウタ、門守バン。我々の計算によればこちらが

勝利する確率ば98.9%……」

「ベイブレードとは純粋な物理法則と確率論の結晶であることを教えてやろう」

「我がベイ、グラビティゴーレムで」

 

「俺たちにとって、このバトルの流れはコントロールできる範囲内だ」

「俺のフレアホルスは一瞬でお前らを片付けるからな」

 

「計算通りにバトルが進む……ということか。なら、このバトルで聞こう」 

「俺たちの戦いを今までの分含めて、全て『偶然』なのかを」

 

その言葉とともにバンの瞳が彼らを捉える。

 

バトル前にも関わらず、辺り一面の空気がピリついた。

 

「Ready……Set!」

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

シュートと同時に4機のベイがスタジアムに放たれた。

 

スタジアム中央も回転を始め、ベイはそこに吸い寄せられるように向かっていく。

 

「ソウタ、相手は真っ先に俺達を片付けるつもりだ!」

「センターに入ったらすぐに死守するんだ!」

 

「分かったぜ!」

 

バンが指示を出し、ソウタがそれを受け取る。

 

(あっちは既に作戦を仕掛けているはず……その前にどちらかを__)

 

「遅えよ」

 

「えっ……!?」

 

「ソウタ!」

 

ハヤテの一言とともにドラグニルが中央から弾き出された。

 

「ドラグニル!」

 

「センターで俺達を弾き飛ばそうとしていたようだが……それさえも予測可能な範囲だ」

「さて、ゴウ。『アレ』をやるぜ」

 

「『アレ』か……そうだな」

「今すぐ君たちをこのスタジアムから排除してくれよう」

 

「アレ」という言い方から、2人は既に技の準備が出来ているようだ。

 

ホルスとゴーレムは中央で互いをぶつけ合いながら、パワーを溜めていき、風がなびくような音を立てていく。

 

「!!」

 

「こ……これは! グラビティゴーレムとフレアホルス、センターの回転を利用して竜巻を生み出しました! 対する根尾中学校、これは耐えられるのでしょうか!?」

 

なんと、ベイの衝突とスタジアム中央の回転により竜巻が生み出された。

 

「今ここに完成したからには……」

 

「もう逃げられねぇぜ?」

 

「「ウォール・オブ・ツイスター!」」

 

竜巻はドラグニルとケルベロスを持ち上げる。

 

竜巻で持ち上げられた2機は、そこの中で激しい激突を繰り返した末にバーストした。

 

「!!」

 

「グラビティゴーレム、フレアホルス。バーストフィニッシュ! 合計6ポイントで王谷中学校、勝利!!」

 

「なんと王谷中学校、1戦目にして勝利をもぎ取りました! 根尾中学校、この失点を取り返せるのでしょうか!?」

 

戦いの火ぶたが切られた準決勝……開始早々、相手に勝ち越されてしまった根尾中学校。

 

彼らが進むのは茨の道か、それとも――。

 




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ:小林千晃

門守バン:梶裕貴

一角ヒカル:小野賢章

焔ツバサ:榎木淳弥

王谷中学校

三栖テリア:早見沙織
(髪型:金色のセミロング/瞳の色:青緑/トップス:月桂冠がデザインされた白色のTシャツ/ボトムス:白色のハーフパンツ+靴下/靴:スニーカー/その他:糸目、条帛)

命府ケン:花江夏樹
(髪型:2つの大きなハネがある、黒色のショートヘア/瞳の色:茶色/トップス:金色のアヌビスがデザインされた、黒色のフード付きパーカー/ボトムス:黒色の短パン+靴下/靴:スニーカー/その他:条帛、スクエア型眼鏡)

天宮ハヤテ:増田俊樹
(髪型:オレンジの無造作ヘア(鳥の翼のように流れている)/瞳の色:黄色/トップス:月と太陽がデザインされた白色のTシャツ/ボトムス:黒色の短パン+靴下/靴:スニーカー/その他:条帛)

岩森ゴウ:武内駿輔
(髪型:茶色のオールバック/瞳の色:茶色/トップス:薄緑のフード付きジージャン+オレンジ色のTシャツ/ボトムス:薄緑のジーンズ/靴:スニーカー/その他:条帛)

ベイブレード

フレアホルス.W4.Sn   
(ウイングフォー・ソニック)
(ホルスモチーフのアタックタイプ。)

グラビティゴーレム.M7.P
(マッシブセブン・フェイズ)
(ゴーレムモチーフのバランスタイプ。)
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