王谷中学校を破り、遂に決勝へと進んだソウタ達。
約束を交わした絶対王者との最後の戦いが幕を開ける__。(ナレーション)
「遂に決勝戦か……。長かったなぁ」
ソウタは控え室の外で1人、今までの戦いを微笑みを浮かべながら、思い返していた。
「バン、ヒカル、ツバサ……あいつらのおかげで俺はここまで来れた。誰が相手だろうと全力で応えなくちゃな」
「「ソウタ」」
「!」
聞き覚えのある2人の声が彼の鼓膜を揺さぶる。
「父さん、母さん!」
声の主は両親だった。
「ソウタ。あなたのバトル、見せてもらったわ。とても頑張ってる」
「今までの試合、父さんと一緒に『あの人』も観ていたの」
「あの人……まさか」
龍海の言う「あの人」、それにはソウタも知っている素振りを見せる。
「そうよ、これ」
「!!」
ソウタは母が見せたあるものを見て、目を見開く。
「爺ちゃん……!」
「あの人」の正体、それは今はもう亡き祖父・龍吾の写真だった。
1ミリのズレも無く、丁寧に額縁に収められていた。
「俺と母さんだけじゃない、親父も見ているんだ。だから、全力を尽くしてこい!」
「うん!」
龍二が差し出した拳を、ソウタも拳で軽くぶつける。
「行ってくる」
澄んだ眼差しとともに控え室に向かう。
大切な仲間を連れ、最後の戦いに挑むのだった。
__スタジアム __
「全国各地のブレーダーの皆さん、お待たせいたしました! これより、ベイブレードカップ決勝戦が開始いたします!!」
観客席は今までにないほどの熱気に包まれ、観客の歓声が鳴り響いた。
「それでは対戦校の発表に移ります! 先ずは西軍、これまでに無敗を重ねて来た絶対王者・神世学園!!」
「続いて東軍、数々の強敵を打ち破り、再び彼らと相対する期待の新星・根尾中学校!!」
どちらの学校に対してもスタジアムに反響するほどの歓声が送られる。
「龍!」
「約束通り、俺達はこの舞台に立つことが出来た。全力で行かせてもらうぜ!!」
「……」
龍は言葉を返さなかったが、ソウタの思いをその身で受け止めていた。
「さぁ、先ずは注目の第一戦! どのブレーダーが出るのか期待が高まります!!」
実況者は試合への熱意をマイクに込め、響かせる。 スタジアムの熱気はいっそう加速していった。
「根尾中のやつらは今までのバトルで間違いなく力をつけている。誰が出るか……その希望があれば聞こう」
「……」
「僕に行かせてくれ」
コウが消え入りそうな声で、手を伸ばす。
「コウ……」
リンは彼の心境を察知したようなトーンでコウの名を呟く。
「ほう……!」
コウの申し出に龍は口角を上げた。
「あの時、敗北したのは僕だけ……。それに君からの真実を聞かされた時に心をさらに打ちのめされた。けど、今は違う」
「僕の心を救ってくれた者にこの恩を返したいんだ」
「恩を返したい……か。いいだろう、行け」
「ありがとう」
龍は彼の事情も汲み取り、了承。
コウも歩みを止めずにスタジアムに向かう。
「やはり最初に出るのは『やつ』だったか」
「ヒカル……」
「コウは神世の中で唯一、黒星をつけられた。そのリベンジも含め、俺を倒す気でいる」
「この大舞台で手は抜かない。俺が出来ること全てを出し尽くす」
ヒカルの瞳はより一層澄んでいた。
ソウタ達も彼の覚悟をその肌で受け止めた。
「行ってくる」
堂々とした声とともに歩みだした。
「決勝戦・第一戦出場者が出揃いました! 注目の一戦に名乗りを上げたのは、神世学園から水城コウ選手、根尾中学校からは一角ヒカル選手です!」
「この2人には前大会からの因縁があります! 一角ヒカル選手は水城コウ選手から白星をあげた実績が注目されています! 今大会もまた白星をあげるか、それともコウ選手が雪辱を果たすのか期待が高まります!!」
「君には感謝している。あの時、忘れかけていたものを思い出させてくれた」
「……だからこそ、全力をここで出し切る。僕もゲンブもその思いでここまで来た」
優しい声でヒカルへの感謝を交え、自身の全力を尽くすことを宣言した。
「俺も同じだ。ここに至るまでの道のりは決して楽ではなかった。だが……」
「あいつらがいたからこそ、俺はここまで来れた。だからこそ、お前とのバトルでも全力で行かせてもらう」
「Ready……Set!」
3・2・1 ゴーシュート! 遂に幕を開けた決勝戦。
コウのダークゲンブが中央でどっしりと構え、ヒカルのフラッシュユニコーンがそこに迫る。
「来い!! 君の全力を今ここで受け止める!!」
中央でせめぎ合う2機。
初手から激しい接触音が鳴り響き、その場にいる全員が鼓膜を震わせる。
「初戦から激しいぶつかり合いです!! どちらに軍配が上がるのか、目を離せません!!」
「ならば、俺の全てを今ここで示す!」
「そうか……、僕も全力を出させてもらう!」
それぞれの思いに呼応し、ユニコーンのオーラと玄武のオーラが現れる。
「コズミックホーン!!」
「黒亀甲波陣!!」
喉を震わせ、技と技のぶつかり合いを繰り広げる。
会場中から溢れる熱気は、ディフェンスタイプ同士の対決であることを忘れさせるほどだった。
「!!」
しかし、お互いにブレードからギアまで揺れ始めた。
スタミナの消耗は凄まじく、オーラもいつの間にか消えていた。
「おぉーっと! フラッシュユニコーン、ダークゲンブ、互いにスタミナを消耗しています!! 残された回転力で回り続ける2機、果たして勝利の女神はどちらに微笑むのでしょうか!?」
「……」
「!!」
両者がスタジアムを見つめる中、遂に回転を止めたのはユニコーンの方だった。
「ダークゲンブ、スピンフィニッシュ! 水城コウの勝利!!」
そして、音声ジャッジに淡々とコウの勝利が伝えられた。
「……!」
「な…なんと、第一戦は水城コウ選手の勝利!! 見事、雪辱を果たしました!!」
「……」
「コウ」
「一角ヒカル……」
「いい戦いだった。お前の全力、その身で感じたぞ」
「あぁ」
ヒカルはコウに近づき、手を差し伸べる。 コウもその手を受け取り、握手を交わす。
「素晴らしい! 一角ヒカル選手、水城コウ選手、互いにリスペクトの精神を我々に示しました!!」
その姿勢に会場中から拍手が鳴り響いた。
「ヒカル……!」
「ソウタ。確かに俺は負けた。それは紛れもない事実だ」
「だが、俺達はチームとしてここまで来れたんだ。4人で1つの根尾中学校としてな」
「……」
「だから……俺にもお前らの全力を見せてくれ」
悔しがったり、泣くことはしなかった。
だが、ソウタは気づいていた。
ユニコーンを持っていた手を強く握りしめていることに。
「任せろ、ヒカル!!」
「バン、ツバサ。あいつらにも見せてやろうぜ、俺達の全力を!」
「あぁ!!」
3人の熱意は、1つになって彼らの心を魂から揺さぶっていく。
幕を開けた神世学園との戦い、第一戦でのヒカルの敗北は全力を尽くしたうえでのものだ。
しかし、彼の「全力を尽くす」という言葉はソウタ達の心に火をつけ、確かに受け継がれた。
彼らは、その思いを胸に一歩一歩確実に前進していくだろう。(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
一角ヒカル-小野賢章
焔ツバサ-榎木淳弥
皇龍-諏訪部順一
水城コウ-内山昂輝
華炎リン-沼倉愛美
蒼龍龍二-小山力也
蒼龍龍海-井上喜久子
古面定太-小野坂昌也
ナレーション-森川智之