遂に迎えた神世学園との決戦。
ヒカルとコウ、ツバサとダイ、バンとリンはかつて交わした約束のもと、互いの信念をぶつけ合った。
そして満を持して、ソウタと龍の勝負となった。
しかし、突如として龍は謎の変貌を遂げたのだった。(ナレーション)
「……!」
「戦え……戦え……!」
龍は硬膜の変色に加え、どす黒いオーラを纏っていた。
「こ……これはどういうことでしょうか!? 皇龍選手、先程とはまるで別人のような雰囲気です……!」
「蒼龍ソウタ……貴様と戦えるのを待ち望んでいた……。さぁ、始めるぞ……!」
何かに取り憑かれたかのような笑みを浮かべる。
その笑みは見る者に威圧感を与えた。
__ピリ……
「……!!」
「……龍、俺は……」
何が起こったか分からない。
そんな感情が脳を支配している中、バトルを始めるのは出来ないのは当然のはずだった。
しかし__。
__ガァァァンッッ……!! ガラガラガラ……
「うわぁぁぁ……!!」
「きゃぁぁぁぁ…!!!」
「!!」
「黙れ……」
突然会場の一部が壊され、龍の様子もやはりおかしかった。
会場内には悲鳴が響きわたる。
そんな中、コウが口を開く。
「……恐れていたことが遂に起こってしまったのか……」
(何……!?)
「コウ、それはどういうことだ!?」
「蒼龍ソウタ……。龍は……あいつは、ドラゴに取り込まれてしまったんだ……。」
「何だって!?」
「ドラゴに取り込まれてしまった」という言葉に、ソウタ達は驚きを隠せなかった。
「龍は過去に、僕達に話していた」
「このままベイブレードとブレーダーの魂を喰らい続ければ、いずれは暴走する恐れがある……と」
「そんな……嘘だろ……! 龍……」
「……」
「やるしか……ないのか」
コウの説明に、ソウタは絶望の表情を見せる。
それと同時に__。
__キッ……!
「来い! 龍、お前の全てを受け止めるッ!」
真剣な眼差しとともに、龍を救い出す決心をする。
「そうこなくては面白くない……!」
__パシッ
会場から大きな軌道を描いて、ボルトドラゴが龍の手に戻る。
しかし……。
「!!」
(何……!? ドラゴが黒くなっている……!)
彼の手に戻ったドラゴは黒く変色していた。
「ククク……ハハハハ……! 俺は遂に、究極の力を手にしたのだ……! さぁ、闘いを始めようか……!」
「……」
(待ってろよ、龍……。すぐにでもお前を助け出してやるからな……!)
決意を固め、ドラグニルをランチャーにセットする。
「Ready……Set!」
3・2・1 ゴーシュート!
ドラグニルとドラゴ、二つの龍がスタジアムを旋回する。
しかし、絶対王者の操る青龍は今や暗黒の龍と化した。
多くの者が固唾を飲んで、勝負の行方を見守る。
そんな中、スタジアムに轟音が鳴り響く。
(何だ……?)
「!!」
ボルトドラゴだ。
スラッシュドラグニルの背後を猛スピードで追いかけている。
(何だこの速さは……! このままじゃ、追いつかれる……!)
(こうなったら……)
「ドラグニル!」
スタジアムの縁を使って軌道を変え、ラッシュ攻撃に切り替える。
しかし……。
「無駄だ……」
__クィッ……
「なっ……!」
隙を突かれて逃げられてしまった。
「ここまでよく頑張ったな、だが……」
「呑み込め……。ボルトドラゴ!」
ボルトドラゴから青龍のオーラが実体化する。
しかし、それでさえ暗黒のオーラに包まれていた。
「ドラゴインパクト・ダーク!!」
ドラゴの必殺技、ドラゴインパクト。
それが暗黒の力によって、強化されたドラゴインパクト・ダークがドラグニルに炸裂する。
__ゴォォォォンッッッ……!! ガラガラガラガラ……
「うわぁぁぁぁぁ……!! 早く逃げろ!!」
「きゃぁぁぁ!!」
「ひ……避難だ!!!」
ドラゴから波動が出現し、会場ごと巻き込んでドラグニルをバーストさせる。
同時に観客席からも悲鳴が響き渡る。
__ガラ…… シュゥゥゥン……!!
「!!」
間、髪を容れずに瓦礫の一部がすぐ真下にいる、赤髪の少年に落下しそうになる。
ソウタは急いで、少年の下へ駆けつける。
「!!」
そして、少年を抱きかかえて安全な場所へ避難させる。
「!」
「あ……ありがとう」
「これくらい当然さ! 怪我がなくて良かっ……」
少年の安全を確認したその時__。
__ガァンッ……
「が……ッ……!!」
ソウタの脇腹の後ろにボルトドラゴが直撃した。
「ソウタ!!」
バン達、コウ達、両親達が一斉にソウタの名を呼ぶ。
ソウタは地面に手をつく。
しかし、それでも倒れることはなかった。
「お兄さん……! ごめん……僕のせいで……!」
「そんなことはないさ。体が勝手に動いちまっただけだからよ……」
少年は泣きそうになるが、ソウタがすかさずフォローを入れる。
一瞬だけ立ち尽くしている女性の方を見る。
女性の視線はソウタと少年に向かっていた。
恐らく、少年の母親だろう。
「後は俺に任せてくれ。君のお母さんが待っているよ」
「……!」
「うん! お兄さん、必ず勝ってね!」
「おう! 任せとけ!」
ソウタは笑顔で、母親のもとへ向かう少年を見送る。
「さぁ、龍。続きをやろうぜ……」
__ズキッ……
「……!」
未だにドラゴが直撃した場所が痛む。
そんな中……。
「……!」
実況者が固唾を呑んで、マイクを掴み始めた。
「根尾中学校、神世学園及びその関係者は会場にお残りください。それ以外の方々はスタッフの指示に従って避難をお願いします。」
「!!」
実況者の言葉に会場内がざわつき始める。
「実況者さん……」
「お……おい、どうする?」
「どうするもなにもここは安全を確保しようぜ」
「私もそうした方がいいと思う」
「後は蒼龍ソウタ、彼に託そう」
一部の者を除いた観客達はスタッフの指示に従い、避難する。
会場に残ったのは根尾中学校と神世学園、古面、そして、ソウタの両親だけとなった。
「あなた……」
「大丈夫だ、ソウタを信じろ。あいつなら必ず、やり遂げてくれる」
不安がる母の龍海に対し、父の龍二が寄り添う。
そんな中……。
「蒼龍ソウタ選手! これを……」
古面は氷をくるんだタオルを持って、ソウタに駆け寄る。
「実況者さん、ありがとうございます……!」
ソウタは暫く、タオルを脇腹の後ろに当て続ける。
(待ってろよ……龍、すぐに助けてやるからな)
数分後__
「よし……! だいぶ良くなってきた……!」
ソウタはすっかり痛みが取れ、選手席にタオルを置く。
「待たせたな、龍」
「それじゃあ、始めようぜ」
「望むところだ……」
3・2・1 ゴーシュート!
再びスタジアムに放たれたドラグニルとドラゴ。
大きな円を描くように迫り迫られを繰り返していく。
しかし、それもぶつかり合いへとシフトしていく。
__ガァンッ……!
遂にドラゴがドラグニルへ攻撃を仕掛ける。
それも執拗に。
「ハハハハハッ……! もう終わりか……?」
「くっ……!」
(このままじゃ、負ける……! 俺は龍を助けられないのか……!?)
ソウタの心に曇りが生じる。
そんな中__。
__キンッ……!
鋭い金属音とともに多数のベイがスタジアムに入ってきた。
それもかなり見覚えのある。
「!!」
「こ……これは! 根尾中学校と神世学園の選手のベイ達が乱入して来ました!!」
「お前ら……!」
「ソウタ、俺達にも手伝わせてくれ……」
「お前の思いは伝わった……。だからこそ、協力をしたいんだ!」
「俺達は奴の攻撃を受け止めて、時間稼ぎをする。その隙に攻撃を仕掛けるんだ!」
バンはソウタの思いに感化されたことを明かす。
「バン……」
「分かった! お前らの思い、確かに受け取ったぜ!!」
「行くぞッ、皆! ドラゴを囲うんだ!!」
バンの言葉とともに彼らのベイがボルトドラゴを囲い込む。
そして、その背後にドラグニルが迫る。
「!」
しかし……。
「〜〜〜!」
「邪魔だァーーッ!!」
龍の荒げた声とともにケルベロス達が一掃される。
「なっ……!?」
「な……なんと……! ボルトドラゴ、門守バン選手のデスケルベロスをはじめ、スタジアムに乱入して来たベイを全て弾き出しました……!」
「蒼龍ソウタ選手、絶体絶命です……!」
「そんな……。お前ら……!」
(龍、本当にお前はこのままでいいのか……?)
「龍……!」
「?」
「本当にお前は、ドラゴに全てを呑み込まれて良いのかよ……!?」
ソウタの目には涙が浮かんでいた。
それは彼の、心からの叫びを呼び起こした。
「……!!」
ソウタの叫びに一瞬、動揺する。
その時__。
__パァァァ……!
「!」
「……ドラグニル?」
ドラグニルが輝き出した。
すると……。
「何だ……? これは……!?」
バン達のベイも輝き出した。
「これは、まさか……?」
「ドラグニル……お前……!」
__ニッ……!
「皆、少しだけ聞いてくれ! ドラグニルと皆のベイが今、輝いている。そこでだ……」
「皆のベイの力を貸してくれないか?」
ソウタは会場内から、そこにいるブレーダー達に語りかける。
その声は会場通路に設置されたテレビを通じて反映された。
その時、テレビを見ていた観客が言う。
「……なぁ。俺達、蒼龍ソウタに力を貸さないか?」
「このままだと、大会も終わらないし、皇龍も戻ってこれない」
「そうだな……!」
「そうね……!」
「蒼龍ソウタ、俺達のベイの力を受け取ってくれ!」
一人の観客の意見に次々と賛同の声が上がり、ベイをかざし始める。
「ソウタさん、皇龍を救い出してください。今こそ、あの男の『呪い』を解く時です……!」
「ソウタ、あんたなら成し遂げられる…! だから、アタシの力も受け取ってくれ!」
「他の奴らが協力してんだ……。負けるなんてふざけたことは抜かすんじゃねぇぞ……!」
「蒼龍ソウタ。俺達が憧れた男の勇姿……是非とも見せてくれ!」
「ソウタさん。あなたなら、勝利と救済を確実に出来る。そう信じています」
観客に触発され、冥来中学校のマサ、獣界中学校のソラ、爽海学園のナギ、和真学園の治、王谷中学校のテリアも力を貸す。
「おぉ……ッ! ドラグニルに沢山のベイの力が注がれている……!」
ドラグニルに会場中のベイの力が注がれていることに目を大きく見開く。
「ソウタ!」
それと同時にバンの声が、ソウタの鼓膜を揺さぶる。
「お前は俺達にとっての希望なんだ! だから……龍を救い出すんだ!!」
バンの目には涙が溢れていた。
「バン……!」
「分かった……! 俺、絶対に龍を助けるぜ!」
(ドラグニル……お前も少しだけ付き合ってくれ……!)
心の中で、ドラグニルに語りかける。
その時__。
__パァァァ……!!
ドラグニルが光に包まれる。
そして……。
「!!」
ドラグニルの姿が変わった。
鋭い3枚刃は大型化し、更に、その間にも3枚刃が増えていた。
「なんとこれはーーッ!! スラッシュドラグニルが数多のベイの力を借りて進化したのでしょうか!?」
「ドラグニル……」
「そうか……応えてくれたんだな。それじゃあ、進化したお前に名前を付けなきゃな……」
「ドラグニル! 今日からはお前は『セイバードラグニル』だ! 全てを斬る剣の竜……ということさ」
ソウタは即興で、進化したドラグニルに名前を付けた。
「セイバードラグニル」という名を。
「龍! これでやっとお前を助けられる。さぁ、行こうぜ!」
セイバードラグニルは猛スピードで、ボルトドラゴに迫る。
先程とは比べ物にならないぐらいの激突音が鳴り響く。
それと同時に__。
__パァァァ……!
会場が光に包まれる。
気づけばソウタは謎の空間にいた。
「ここは……」
「龍!」
精神世界の向こう側に龍の姿があったことに気付く。
「蒼龍ソウタ……」
龍もソウタに気づく。
「龍、お前はこの勝負どう楽しみたいんだ?」
ソウタは向かい側の龍に問いかける。
「蒼龍ソウタ……。勝負を楽しむだと……? 何故そんな感情が持てる……? 貴様のベイを喰らい尽くすかもしれないというのに……。」
それに対し、龍はソウタの勝負を楽しむという言葉に疑問を浮かべていた。
「確かにドラゴはドラグニルを喰らおうとしている。
けど、俺はいろんな奴らと戦っていろんな戦い方を得た。だからどんな勝負も楽しい。だから、もっとベイ回そうぜ!」
ソウタは笑顔で龍に語りかけ、手を差し伸べる。
「ソウタ……!」
龍は無意識に涙を滲ませ、手を伸ばす。
「!」
気づいた時には目の前の光景が会場に戻っていた。
「蒼龍ソウタ! たった今、貴様を餌としてではなく我が好敵手《ライバル》として認めよう! だからこそこの勝負、分かっているなッ!」
「おうッ! やるからには全力だ!」
遂に龍がソウタをライバルと認め、全力での戦いを求める。
ソウタもそれに応える。
ボルトドラゴとセイバードラグニル、2機は激しくぶつかり合う。
「ドラゴインパクト・ダーク!!」
「!!」
セイバードラグニルは、ギアのラバー軸で、ドラゴインパクト・ダークを受け切る。
「こ……これは……!」
「ドラグニル、ボルトドラゴの攻撃を受け止め、加速したーーッ!!」
「龍、俺はお前がいたから成長出来た」
「だから、これで決着をつけるぜッ!!」
__ギュゥゥゥゥン……!!
「……!」
ほんの一瞬、龍は笑みを浮かべた。
それは彼自身の孤独を溶かすように…。
「サンライトスティンガー!!」
バァァァンッ……!!
__シュゥゥゥ……
「!!」
「セイバードラグニル、バーストフィニッシュ!蒼龍ソウタの勝利!!」
「や……やりました!! 蒼龍ソウタ選手! 見事、皇龍に選手に勝利し、彼の心も救いました!!」
「そして……この大会、根尾中学校の優勝です!!」
__ワァァァァ……!!
ソウタが新技・ドラグニルブーストを決め、ドラゴをバーストさせて勝利した。
バーストさせたのと同時にドラゴの色がもとに戻り、一瞬の静寂が起こった後に歓声が湧き上がった。
「俺……勝ったのか……」
「……」
「ソウタ!!」
「龍!」
激しい体力の消耗の末、2人は互いに倒れ込む。
「……」
暫くして龍が起き上がる。
そして、同じくソウタが起き上がった後に彼に近づく。
「この勝負お前の勝ちだ……。蒼龍ソウタ。そして俺とドラゴを救ったこと、感謝する。」
「ありがとな、龍! そしてどういたしまして……!」
龍がソウタに感謝の言葉を贈り、ソウタも笑顔で返す。
__パチパチパチパチ……!
「!!」
会場外から大きな拍手が鳴り響く。
(親父……見たか。あれがあんたの孫の姿だ)
(おめでとう……ソウタ! お義父さん、見てくれましたか? あなたの孫の勇姿を)
ソウタの両親は観客席から祖父の写真が入った額縁を持って、静かに祝福していた。
「根尾中学校、神世学園、集合!」
「礼!」
根尾中ベイブレード部と神世学園の面々は互いに顔を見合わせ、礼をする。
__パチパチパチパチ……!
再び拍手が鳴り響き、両校が退場するまでその音は響き続けた。
__翌日(根尾中学校)__
「おはよー……」
「おはよう」
ソウタ達は眠そうに教室に入ってきた。
その瞬間……。
__パンッ……!
ソウタ達「!!」
「根尾中ベイブレード部の皆、優勝…おめでとうーーーー!!」
クラスの皆がクラッカーで優勝の祝福をする。
「……!!」
「ありがとう!!」
「ありがとな!!」
その日、根尾中学校はベイブレード部の大会優勝で話題が持ちきりとなり学校全体で祝勝会が行われた。
__神世学園を超え、名実ともに最強となった根尾中ベイブレード部。
だが、まだまだ彼らのベイバトルは続く。
たくさんのブレーダーとベイブレードがある限り__(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
一角ヒカル-小野賢章
焔ツバサ-榎木淳弥
皇龍-諏訪部順一
水城コウ-内山昂輝
根黒マサ-松岡禎丞
獅子原ソラ-ファイルーズあい
鮫島ナギ-岡本信彦
国見治-梅原裕一郎
三栖テリア-早見沙織
蒼龍龍二-小山力也
蒼龍龍海-井上喜久子
古面定太-小野坂昌也
ナレーション-森川智之
セイバードラグニル.Gr6.RF
(グレイブシックス・ラバーフラット)
(スラッシュドラグニルが、多くのベイの力を取り込んで進化した姿)
▽
遂に私の処女作が最終回を迎え、そして完結いたしました。
ここまで長い旅路でした。
途中、他の作品を執筆したりということもありましたが、とうとう一段落といったところです。
ですが、私の「ベイブレードNEO」は既に、外部に沢山の構想があります。
そこを着々と出していこうと思います。
ここまで少しでも見てくださった皆様、本当にありがとうございました。
私は暫く、ここで執筆を続けます。
投稿形式は全てチラ裏で行いますので、偶々見かけただけでも幸いです。
最後にここまで見てくださった皆様、本当にありがとうございました。
作者・マツザキ蓮より