冥来中学校との第二戦はツバサが勝利を勝ち取った。
しかし、その次には冥来中学校のメンバー、石呉ルゴンがソウタを指名する。
彼が仕掛ける呪い、そして冥来のリーダー、根黒マサの呪いとは__(ナレーション)
「蒼龍ソウタ、メデューサの呪い……受けてみろ」
Ready……Set!
3・2・1 ゴーシュート!
スタミナタイプのロックメデューサはスタジアム中央で回転する。
「スタミナタイプならやることは一つだ!」
ドラグニルはアタックタイプ、タイプ相性上は有利だ。
「え……!?」
早速、アタックを仕掛けるもドラグニルの攻撃が受け止められる。
「……ニッ」
「ドラグニルの攻撃が受け止められた!?」
「これこそメデューサの呪いだ……!」
「6枚刃の間が窪んでいることで相手の攻撃を受け止める。
窪みにはまったら最後、抜け出すことはできない。
見た者を石にするメデューサのように……!」
「ロックストッパー!」
窪みにはまった結果、どんどんスタミナを奪われていった。
「あっ……」
最終的にスピンフィニッシュで1点を取られた。
(今のは完全に相手のペースに乗せられた)
(あの窪みが手強かった、あいつの言う通り一度引っ掛かったら抜け出せない……)
(ん、抜け出せない? さっきは抜け出そうとして焦った。なら……!)
自省しつつも、ソウタは何かに気づく。
「もう一度だ」
「まだやる気か、策を思いついてもメデューサの呪いは打ち破れない」
「いや、できる」
相手の言うことに対し、『できる』と言い切る。
「……」
3・2・1 ゴーシュート!
「ドラグニル!」
ドラグニルは勢いのままメデューサに突っ込む。
「ヤケでも起こしたか、メデューサの窪みに自ら突っ込むとは」
メデューサの窪みに突っ込んだが、先程と比べて落ち着いていた。
「いや、これでいいんだ」
その瞬間、メデューサに歪な音が走った。
「……!」
ドラグニルの刃がメデューサの窪みにダメージを与えていく。
「一度抜け出せないならそのまま攻撃する!」
「ドラグニル!」
窪みから抜け出そうとするのではなく、逆にそこの内側から攻撃する作戦に出た。
ソウタの叫びに応えてドラグニルのオーラが現れる。
「ドラグニルスティンガー!」
ドラグニルがメデューサを弾き飛ばし、オーバーフィニッシュ。
「メデューサの窪みにあえて突っ込んだのはこのためだったのか……、見事」
ルゴンも敗北したが、ソウタの戦い方を称賛する。
「……!」
「シア達3人を破るとは……どうやら我々はあなた達をみくびっていたようですね……!」
「蒼龍ソウタさん、私と勝負しなさい!」
「我がヘルスカルの呪いとくと味わいなさい!」
マサは拍手でその実力を称賛した後、とうとうソウタに勝負を挑む。
Ready……Set!
3・2・1 ゴーシュート!
ヘルスカルがスタジアムの中央を取ったのに対し、ドラグニルは外周から攻撃を仕掛ける。
「叩き込め、ドラグニル!」
「本当にそれでいいのですか……?」
先手を打つが、その攻撃は軽い衝撃音を立てた後に受け流されてしまう。
それに加えてドラグニルが何故か揺れるような動きをしていた。
「受け流されたッ!? しかもフラついている……! 反撃されたということか……?」
「フフフ、これが死神の呪いです……!」
「鎌を模した6枚刃が相手の攻撃をいなし、なおかつ相手にダメージを与えていきます……」
「でもそれだとお前のベイにも反動が来るんじゃないか?」
「そこは心配ありません。スカルのギア、『ニードル』は幅広く尖った軸先で常に最適な姿勢をキープします……」
「さぁ、集いなさい……我が呪いたちよ!」
マサの呼びかけに応じて魂のようなオーラが集まり、死神の形を形成する。
「サイズ・オブ・デッドリー!」
重い音を立てて、ドラグニルをスタジアムに叩きつけた。
スピンフィニッシュで1ポイント。
再び追い越された。
(ヘルスカルは受け流しとカウンター性能を両立したディフェンスタイプ、まともに攻撃しようとすればまた負ける……!)
「次で最後です。呪われる覚悟はできましたか?」
「……ッ!!」
(負けたくない………けどどうやったらこいつに勝てるんだ……?)
点を越されたことに対し、再び焦り出す。
その時……。
「うわぁ!?」
「……!?」
ヒカルがソウタの背中を軽く叩いた。
「いきなり何すんだよ!」
「ソウタ、お前は今負けたくない……そう考えているな?」
「ッ……!」
「勝つことばかり考えていては結果はついてこない。
それを叶えるために何が必要だ?」
「必要なもの……?」
「それはベイとのコンビネーションだ」
「コンビネーション……」
ソウタは両頬を叩き気持ちを切り替える。
(ドラグニル、ごめんな。ここから俺たちは最高のコンビだってのを見せてやろうぜ!)
ドラグニルに語りかけるように見つめる。
「勝負だ!お前の呪いを祓って勝つ!」
「いいでしょう、あなたの見出した希望と私達の呪いどちらが上かはっきりさせましょう!」
Ready……Set!
「……? ランチャーを傾けた?」
ソウタはシュート寸前にランチャーを傾けた。
3・2・1 ゴーシュート!
斜め打ちで放たれたドラグニルは駆け抜けるような音を立ててスタジアムを駆け回る。
「これが作戦ですか……! 斜め打ちはシュートの中でも上級技。アタックタイプでそのようなシュートとはずいぶんと賭けに出ましたね……!」
マサは余裕の笑みを浮かべたその時……。
「……!?」
鋭い音を立て、ヘルスカルが大きく弾かれた。
「何ッ!?」
「スカルがここまで弾かれるなんて……!」
「まさか……!」
「あぁ、そのまさかだ」
「斜め打ちでスカルの上を攻撃して体勢を崩した」
(確かにスカルは正面からの攻撃に強いが、上を狙われたら非常に脆い……! ここを最後についてくるとは……)
(この勝負、私の……)
(負けです……)
マサはソウタの戦略を認め、微笑んだ。
そこには彼に対する敬意があった。
「スラッシュ・ザ・プレス!」
ドラグニルがスカルのディスクフレームをスタジアムに叩きつけバーストフィニッシュ。
見事根尾中学校が勝利した。
「やったぞーッ!」
「ヒカルありがとな! お前のアドバイスがなかったら俺は……」
「ブレーダーとして当然のことをしたまでだ」
喜びを分かち合っている根尾中ベイブレード部に冥来中のリーダー、マサが近づく。
「実に見事でした。あなた達の勝利を呪わず祝福してさしあげます」
「……!」
「おぅ!」
「おめでとうございます……」
「おめでとう……!」
「見事だった……」
冥来中の面々も勝利を祝福してくれた。
「それでは私達はここを去らねばなりません……」
「ですが、その前に少しお話ししておきたいことがあるのですよ……」
「なんだそれは?」
「皇龍についてです」
「龍!?」
「えぇ、あくまで噂程度の話ですが……」
「彼に負けたブレーダーはベイの魂、もしくはブレーダーのエネルギーを『抜き取られる』といわれているのです」
「抜き取られる……!?」
「実際、私達を除いた冥来中の生徒の中には彼と対戦したのち、ベイの魂を抜き取られた者、ブレーダーのエネルギーを抜き取られた者がいました」
「そんな……」
(ベイの魂、ブレーダーのエネルギーを抜き取る… けどあの時、あいつはドラグニルの魂、俺のエネルギーを抜き取らなかった)
(…まさか、今度のベイブレードカップでそれを…!?)
思いもよらぬ話を聞かされ、ソウタの顔を冷や汗が伝う。
あの時のボルトドラゴのどす黒いオーラ。
あれは単なる「共鳴」ではなかった。
想像を絶するような「虚無」が隠されていたのだった。
ソウタは恐怖を堪えるようにドラグニルを強く握りしめる。
「少しいいだろうか。皇龍の話はともかく、この学校に来た理由はまだあるんじゃないか?」
「さすが、この学校の生徒会長。理解が早い…!」
「そう、私達はあの時ベイブレードカップを観戦していました。その中でソウタさん、あなたが皇龍と対戦した時あの男はなにも奪わなかった。むしろ次を待っている様子でした」
「そこで私達はあなたがあの男を倒せる希望かを確かめるために挑戦を申し込んだのです」
冥来中学校の面々が挑戦状を叩きつけた経緯には彼らさえ恐れ慄く背景があったのだ。
「そういうことだったのか……」
「いずれにせよ、ソウタさん。あの男は私達のように死を扱う者たちでも未知数の『虚無』そのものです。どうかお気をつけて……」
「あぁ、分かった」
話を終えたマサ達は校庭を後にしていく。
――放課後――
「『虚無』か……、あいつにはきっと大きな秘密が隠されている」
「次の大会、待ってろよ! 龍!」
突如として知らされた大いなる謎、絶対王者・皇龍の謎を解明を急ぐとともにベイブレードカップでのリベンジをソウタは誓うのだった。(ナレーション)
__イメージCAST__
蒼龍ソウタ-小林千晃
門守バン-梶裕貴
一角ヒカル-小野賢章
根黒マサ-松岡禎丞
浦見シア-安野希世乃
庵手ツトム-下野紘
石呉ルゴン-伊藤健太郎
ナレーション-森川智之