獣界中学校との合同合宿をすることになった根尾中ベイブレード部。
それぞれのペアに分かれて特訓が行われた。
そんな中、ツバサとリキのペア特訓では適度なシュート力についての指導が行われたのだった(ナレーション)
合同合宿:ヒカル&カシ
「君、根尾中学校の生徒会長なんだよね?」
「そうだが」
「ふーん、じゃあ神世学園との戦いで点を取れたってことは腕に自信はあるんだよね?」
「さっきから何が目的だ」
怪訝な顔をして問う。
「別に、ただ単にペアになっただけでは僕もやる気しないからさ」
「ならば、バトルと行こうじゃないか」
ユニコーンを取り出し、バトルを宣言する。
「それじゃ、よろしく。僕のフレイムフォックスが相手してあげる」
Ready……Set!
3・2・1 ゴーシュート!
フレイムフォックスは揺らめくような動きを見せる。
(冥来中に似たような動きをするやつがいたな。これがディフェンスタイプでどう働くか、だが……)
「しかけろ、ユニコーン!」
ユニコーンの連打刃が相手ベイのディスクフレームを捉えた次の瞬間、
__スルッ
「何……!?」
滑らかな音とともに、真っ向から攻撃を受け流された。
「(確かに俺はあいつのベイに攻撃を当てた……
だが、それが最初から無かったかのように無効化された!?)」
ヒカルは目の前で起きた状況に只々戸惑うしかなかった。
「焦っているね、終わり《フィニッシュ》だ……」
「なっ……!」
攻撃が通ることなくスピンフィニッシュで負けた。
「何が起きたというんだ?」
「至って簡単だよ」
「フレイムフォックスのディスクフレーム、『エターナル』はフリー回転機能を備えた防御刃。殆どの攻撃はそこで受け流せる」
カシはフレイムフォックスのディスクフレームを触って、その性能を説明した。
「そんなギミックが……」
「なら……あの挙動は?」
「あぁ、あれはねブレードがわざと偏重心になっていてブレを生ませているんだよ。そうすればどんな角度からも攻撃を受けられるし、別角度からディスクフレームも相手と接触出来るんだ」
「なんて隙のない防御だ……」
「まさか、その『予測』というのは」
「そう」
「僕のいう『予測』は相手の特性や手の内を考察し、そこから勝ち筋に導くプロセスということだよ」
「さぁ………君の予測で僕とフォックスを越えてみてよ」
「……」
完璧な防御の前に言葉を失うヒカル。
それは諦めか、超えるという意志か。
合同合宿:バン&グレト
「どこへ向かっているんだ?」
バンとグレトはキャンプ場の奥まで歩いていた。
「お前との特訓は『メンタル』だって言ってたが……」
「そう難しく考える必要はねぇ」
「早速特訓の場へ行こうぜ!」
「おぉっ!?」
__ドテッ
グレトは木の根元に躓き、派手に転んだ。
その際、地面に体中が打ち付けられる音が響いた。
「だ、大丈夫か!?」
バンは急いで彼のもとへ駆け寄る。
「全然、大丈夫!」
「寧ろこんなことはよくあるぜ!」
「よ……、よくあるのか……」
本人曰く、よくあることらしい。
当然、バンは困惑していた。
そんなこんなで先に進み続け、ある場所で立ち止まる。
「着いたぜ」
「ここは?」
「たくさんのスタジアムが設置されているが……」
バンとグレトが立ち止まった所には多数のスタジアムが設置されていた。
「ここはスタジアム広場だ」
「俺たちは普段からここでトレーニングをしてるんだぜ」
「なるほど……」
「そうとなれば早速始めようぜ!」
「こいつが俺の相棒、クラッシュゴートだ!」
グレトが取り出したのはヤギモチーフのベイ、クラッシュゴートだった。
バンの目にはクラッシュゴートの巨大な傾斜のある2枚刃が映っていた。
「お前のベイを俺にも見せてくれ!」
「デスケルベロス、バランスタイプのベイだ……」
「おぉ〜、名前も見た目もかっこいいじゃねぇか! しかもバランスタイプか!」
「あ、ありがとな……」
グレトはデスケルベロスの名前と3枚刃のブレードを見て、感心していた。
「よーし、準備はいいか?」
「あぁ」
3・2・1 ゴーシュート!
デスケルベロスの防御的な挙動に対し、クラッシュゴートは激しくスタジアムを駆け回る。
「受け止めろ! ケルベロス!」
「流石はバランスタイプ使いだ、クラッシュゴートの攻撃をすぐに受け止めるなんてな……」
「だが……」
「真の本領発揮はここからだぜ!」
「ゴートストライク!」
__ガァンッ
バンの対応力を褒めつつも、すぐに必殺技で応戦する。
クラッシュゴートのブレードがデスケルベロスのディスクフレームに潜り込むように直撃した。
そして……
大きく弾き飛ばされた末、オーバーフィニッシュ。
「何ッ……!」
「まるで下へ潜り込まれたような攻撃だった……」
「いや、正解だぜ」
「何だって?」
「少しお前のベイを借りてもいいか?」
「いいぜ!」
「……!」
「背が低い……!?」
バンはグレトからクラッシュゴートを借りるが、そこでベイの背が低いということに気づいた。
「そうだぜ、クラッシュゴートのギアはローフラット」 「普通のフラット軸より1ミリ背が低いことでディスクフレームに潜り込むようなアタックが出来るんだ」
「そうだったのか……」
「俺もまだまだだな。ベイブレード部部長という肩書があるのに……」
バンは自身の実力に不甲斐なさを感じていた。
その時……
「そんなことはねぇぜ!」
「俺との特訓に何も文句も言わずついてきた。
そこには仲間達ともっと成長したいという無意識の思いがあるはずだ」
「その時点でお前は立派なブレーダーだ!」
「いいか?」
「最も忘れちゃならねぇのは、負けは『失敗』じゃない、『過程』なんだ! 勝利に至るまでのな!」
グレトはバンの肩に手を乗せ、激励の言葉をかけた。
「グレト……」
「ありがとな……」
彼の言葉を聞いて、バンはどこか吹っ切れた様子を見せた。
「2戦目、たのむぜ」
「いい目になったじゃねぇか……!」
「今のお前を全力でぶつけてこい!」
3・2・1 ゴーシュート!
1戦目の時とは対照的にケルベロスをスタジアム外周に旋回させる。
しかし、後を追うようにクラッシュゴートもスタジアム外周を旋回する。
「クラッシュゴートはもうすぐお前のベイに追いつく」
「お前の成長をここで見せてくれ!」
「……お前には感謝している」
「俺に大切なことを思い出させてくれたからな」
「だが、恩義と勝負は別ってやつだ」
「躱せッ! デスケルベロス!」
デスケルベロスはクラッシュゴートから距離を取る。
「!!」
距離を取りながら旋回しているケルベロスは斜めった状態になる。
「下からの攻撃ならこっちは……」
「上からの攻撃だーーーッ!!」
ハンマーの如く、上からの攻撃を叩きつけた。
(グレートだぜ、門守バン……!)
凄まじい衝撃音とともにクラッシュゴートがスタジアムを大きく飛び越えた。
「これで俺も一歩踏み出せたかな……」
「やったじゃねぇか! バン」
「これでお前も自信が持てるようになっただろ?」
グレトがバンの肩に手を乗せ、豪快に語りかける。
「お前のおかげだ、グレト」
「おかげさまで俺が歩むべき道が見えた気がするよ」
「ハッハッハ! そうかそうか!」
「その調子で頑張れよ!」
「あぁ!」
広場に渡る豪快な笑い声。
2人の少年の他愛もない会話には温かさが含まれていた。
しかし、特訓はまだ続いている。
カシとヒカル、ソラとソウタ、それぞれは特訓で何を得るのだろうか。(ナレーション)
__イメージCAST__
門守バン-梶裕貴
一角ヒカル-小野賢章
柳沼グレト-木村昴
狐場カシ-河西健吾
ナレーション-森川智之