ベイブレードNEO Season1   作:マツザキ蓮

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ベイブレードNEO 第8話 本能

獣界中学校との合同合宿、そのメンバーの1人である柳沼グレトと根尾中ベイブレード部部長の門守バン。

 

グレトとバンのペア特訓で、バンはグレトから負けは「失敗」じゃない「過程」だということを教えられ自信をつけることが出来た。

 

彼は新しい技を編み出し、グレトに勝利した。

 

そして……残る特訓の全容が今明かされる。(ナレーション)

 

合同合宿:ヒカル&カシ

 

(偏重心によるブレ……そしてフリー回転するディスクフレーム)

(単純に突っ込んでは勝てない……!)

(ダメだ……考えれば考えるほど、頭の中がゴチャゴチャする)

 

無意識に髪をクシャッとし、考え込む中……

 

「君さ、どうやったら僕に勝てるかしか考えてないよね?」

 

「!!」

 

静かなトーンでカシに話しかけられるが、それはヒカルを「一喝」しているようにも見えた。

 

「一角ヒカル、君が理論に基づいて戦う性格なのは知っているよ」

「けれど、君は理論に縛られすぎている」

「そこを『はみ出るか』そうでないかは君次第だよ」

「……どうする?」 

 

飄々としつつも淡々とした話し方には、ヒカルの核心を突くような言葉があった。

 

(理論からはみ出るだと……?)

(確かにあいつのフレイムフォックスは理論で勝つのは厳しい……)

(真正面から当たろうとすれば間違いなく受け切られる。真正面から当たろうとすれば……?)

(そうか…! 見えてきた、俺がすべき予測が)

 

何かに気づいたようだ。

 

 「いいだろう……俺なりの理論のはみ出しを、予測を見せてやる」

 

「その言葉を待っていたよ」

 

心無しか嬉しげだった。  

 

「始めるぞ」  

 

ヒカルは開始宣言をした後、ランチャーを傾ける。

 

(ランチャーを傾けた……?)

(それが君の言う……)

 

カシは、彼のシュートフォームに注視する。

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

シュート直後、フレイムフォックスはまたしても揺らめくような挙動をする。

 

それに対し、斜め打ちでシュートされたフラッシュユニコーンは急スピードでフレイムフォックスに迫る。

 

「先ずは一撃……」

「続けて二撃」

 

距離を取りながらの攻撃を繰り返す。

 

すると……

 

次第にフレイムフォックスが体勢を崩し始め、ディスクフレームのフリー回転刃もスタジアムに激しく接触した。

 

__シャシャシャ……

 

「(ディスクフレームが擦れた……!?)」

 「(ユニコーンはフォックスのブレードを重点的に攻撃し、姿勢を傾かせたというのか)」

 

フラッシュユニコーンはフレイムフォックスの斜めった状態を重点的に狙い、攻撃をすることで姿勢を崩したのだ。

 

「これで最後……」

「ラッシングホーン!」 

 

「君の勝ちだ……」

 

新技を叩き込み、勝利。

 

カシも彼の勝利を認めた。

 

「流石だよ、一角ヒカル」   

「論理からはみ出ることを受け入れて、早速予測へ組み込むとはね」

 

「俺はこれからも自分のスタイルは貫く。

だがお前の言うことは糧にしていこう」

 

カシとのペア特訓をクリアしたヒカルは自身のスタイルにカシの予測の道を取り込むことを誓うのだった。

 

一方……

 

合同合宿:ソウタ&ソラ

 

「ん?」

 

テーブルを伝って、スマホが僅かに振動した。

 

__メール__

 

「特訓、終わったぞ」

 

「俺も!」

 

「僕も」

 

 

「どうしたんだ?」

 

「どうやらアンタ以外の3人は特訓を済ましたみたいだ」

 

他の3ペアが特訓を終えたという旨のメールが届いた。

 

「おぉっ!」 

 

「てことは……!」 

 

「そろそろアタシとアンタの特訓ってわけだな!」

 

「おぅ! 楽しみになってきたぜ!」

 

「ドラグニルの強さ、お前にも見せてやるぜ!」

 

「アタシも負けるつもりはないぜ」

「これがアタシのベイ、『ストームレオン』だ」

 

「これがお前の……」

「俄然楽しみになってきたぜ!」 

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

ストームレオンがスタジアム中央で回る。

 

それに対し、スラッシュドラグニルはスタジアムを駆け回る。

 

「行くぜ、ドラグニル!」

 

ドラグニルの初撃でストームレオンが大きく弾かれる。

 

「おぉ……! やるな」

「だが……ストームレオンはまだまだ回っているぜ」

 

ソラはその攻撃に感心していたが、彼女の言う通りストームレオンはさっきの攻撃をものともしないように回っていた。

 

__グラ……

 

「……!」

「ドラグニル!」  

 

ドラグニルはブレる動きを見せた。

 

攻撃をしたにも関わらず、逆にスタミナを削られていたのだ。

 

回転が止まり、そのままスピンフィニッシュ……

 

「ドラグニルは確かにお前のベイに攻撃を……」

 

「それは確かだ」

「ストームレオンのブレードは傾斜のついた丸みのある3枚刃で成っている。まずこれがアンタのドラグニルのスタミナを削り取った」

「そして、ディスクフレームの『ワイド』の遠心力と   『オーブ』ギアの小径ボール軸による高いスタミナで粘り勝ちってわけさ」 

 

ソラはベイを手に取り、その性能を解説する。

 

「それが俺の……」

 

「まぁ待て」

「アンタの敗因は『それ』じゃない」 

「アタシとアンタは何を目標に特訓するって言った?」

 

「何って……、『信じる心』って……」

 

「そうだろ? その言葉を覚えているのなら、まだアンタは成長できる!」

 

「ありがとな、ソラ」

「さぁ、もう一回だ!」

 

「……!」

「よし!アンタの全力をアタシに見せてみろ!」

 

「行くぜ……」

 

ソウタはそう言って、斜め打ちのシュートフォームに入った。

 

3・2・1 ゴーシュート!

 

勢いよくシュートされたドラグニルはストームレオンめがけて突っ込む。 

 

「うぉっ……!?」

「さっきより力が入ってるな……だが」

「アタシだって負けちゃいない!」

「ストームレオン!」

 

ストームレオンからライオンのオーラが実体化する。

 

「ストームクロー!!」

 

ストームレオンの必殺技をそのままくらい弾かれる。

しかしソウタに動揺は見られなかった。

 

「ドラグニル……」

 

小さな声でドラグニルの名を呟いた瞬間、スタジアムを蹴り上げて、加速した。

 

「……!」

 

「ソラ、お前は俺に大切なことを教えてくれた。

だからこの恩はこれで返させてもらうぜ!」

 

(蒼龍ソウタ、アンタの相棒への心は本物だ……)

 

「ドラグニルドライブ!」

 

ソウタはソラに対し、大切なことを教えてくれた恩を技を以て返した。

 

斜め打ちによる急加速でストームレオンをバーストし勝利した。

 

「っしゃーー!」

 

「蒼龍ソウタ、相棒を信じることができたな」

 「合格だ」

 

「ありがとな、ソラ!」

 

「さて…そろそろ夕暮れだ。

他の皆と合流しようぜ!」

 

5分後……

 

__根尾キャンプ場__

 

夕暮れを迎えたキャンプ場に根尾中ベイブレード部と獣界中学校が集まる。 

 

「バン、ヒカル、ツバサ!」

 

「来たか、ソウタ」

 

「随分明るい顔しているな、何かあったか?」

 

「俺、ドラグニルとの絆が今までより深まった気がするんだ」 

 

「そうか」

 

「そういえば、リキと魚を釣ってきたんだけど少し釣りすぎたからこれを今晩の夕飯にしようと思うんだけどいいかな?」

 

ツバサは釣りバケツに入った大量の魚をソウタ達に見せる。

 

「おぉ〜……!」

 

__数分後__

 

__パチパチ……

 

暗くなったキャンプ場に火の音が響く。

 

ソウタ達は焼いた魚を食べていた。

 

「美味いな……

泥臭くても全力でやれば、こんなにも良い結果に繋がるんだな」

 

バンは静かに微笑みながら、魚を頬張る。

 

「……」

 

「どうしたんだ、ソウタ?」

 

「そういえば……、お前らは俺達に合同合宿を申し込んだけどさ、そうした理由ってあるのかなって……」

 

「……」

「実はな……アタシ達の、正確には獣界中学校からいくつかは神世学園に引き抜かれた。

だがそこからが問題だった」

「再会した時にはそいつ等は生気のない顔をしていた。

アタシ達が必死に呼びかけても返ってきたのは無音だけだった……」

 

「あれ……? 涙が……」

 

ソラは合同合宿を申し込んだ経緯を語る内に鼻をすすりながら涙を零してしまう。

 

「あっ……! なんかごめんな」

 

ソウタは彼女に対して申し訳ないことをしたと感じたのか、慌てて謝る。

 

「いや、気にするな」

「……話を戻すと、もうどうすればいいのか分からなかったアタシ達のもとにアンタ達と神世学園の対戦映像が流れ込んだ。特に蒼龍ソウタ、アンタが皇龍と渡り合いそうになった瞬間確信したんだ」

「アンタなら皇龍を超えられるって」

 

「……!」

 

「分かった……!」 

「俺はこれからもバン達と強くなっていく、色んな奴等と戦って……そして最後にはお前の言う通り龍を超えてやるぜ!」

 

「!」

 

「あぁ……!」

 

互いに約束を交わし合い、キャンプ場には笑顔が溢れる。 

 

それはソウタとソラだけではない。

 

バンとヒカル、ツバサ、グレト、リキ、カシも同様だった。

 

__翌日__

 

__チュンチュン

 

スズメのさえずりがキャンプ場に響く。  

 

「ふぁ〜……!」 

「よく寝た……」

 

各々は起床し始める。

 

背筋を伸ばし、大きく欠伸をしながら朝日を浴びた。

 

清々しい気分に浸る中、ソウタはあることを思い出す。

 

「けど……、朝になったってことはそろそろ……」

 

「あぁ……、この合同合宿も終わりってことだ」

 

朝を迎える……それは彼女らとの暫くの別れを意味する。

 

「だから……皆で朝食を食べて綺麗にこの合同合宿を締めようぜ!」

 

「あぁ!」

 

ソウタ達は朝食を済ませた後、1泊2日に渡る合同合宿に別れを告げた。

 

「アタシ達はそろそろ帰るけど……根尾中ベイブレード部!」

「次のベイブレードカップ、応援してるぜ!」 

 

「あぁ! 俺達の活躍是非とも期待してくれよな!」

 

互いに手を振り見送り合う。 

 

短い間で育まれた友情、根尾中ベイブレード部の成長譚は始まったばかりだ。(ナレーション)

 




__イメージCAST__

蒼龍ソウタ-小林千晃

門守バン-梶裕貴

一角ヒカル-小野賢章

焔ツバサ-榎木淳弥

獅子原ソラ-ファイルーズあい

柳沼グレト-木村昴

大士児リキ-小林親弘

狐場カシ-河西健吾

ナレーション-森川智之
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