うつ住さん   作:非キヴォトス人のアコード

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ちゃんと晴らすために書き切りますよ


うつ住さん その4

しかしてサクラコも、ただ自室にこもっているだけでは駄目であることを分かっていた。

故に心に余裕ができて来た時、行動をしようと決意を抱いた。

 

(初めてパーカーを、それもネットショッピングで買ってしまいました…)

 

誰とも分かりづらい姿を作るための衣服が届き、支度を整えている。

普段では履かないパンツスタイル、顔を見られづらくするフード付きパーカーに黒色マスク、一目では誰の私服姿かは分からない。

 

(こうでもしなければ、誰が歌住サクラコだと口を出してくるか分かりませんから………どうしてこうなったのでしょう)

 

つい余計な思索が溢れるが、こらえて一歩を踏み出した。

 

****

 

D.U.まで、あてもなく遠出しに来るなんて初めてのことだ。

そもそもここまで来るのは先生のお手伝い以来だし、なんだか不思議と心が躍っている感覚がある。

そんなのいつ以来だろうか。

そう思える自分がまだいたのかと、少し微笑みが浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

「ゲームセンター…ここが…」

 

初めて来たゲームセンター。

全てが初めて見るものばかりで、良い刺激がある…のだが…。

 

「どうして…」

 

不良たちのカツアゲに遭ってしまい、人の少ないエリアまで連れ込まれてしまう。

 

「アァ?なんか言ったか?」

「んな気にすることねーって。というわけでオネーサン、ちょっと金貸してくんね?金欠でやべーんだわ」

 

普段なら貧困に喘ぎ非行に走る不良生徒を、シスターフッドとして放っておくことはできないだろう。

しかし今は私服で出掛けてきた休みの日の生徒そのもの。言葉を尽くすより、下手から出て暗に見逃してほしいと言う方が賢明かもしれない。

 

「そ、その…私のような者の財布では、ご納得いただけるものはお出しできないかと…」

「ハハ、そうは言ってもトリニティの方から来てるのは確認済みでね」

「そそ。あっちから来た財布ならハズレはないっしょ」

 

なんとも賢い小悪党たちだ。

…トリニティもシスターフッドも関係ない、一生徒でいたいだけなのに。

それさえも望んではいけないのか。

怨嗟と自己嫌悪の奔流が再び襲い来る。

 

「伏せてな!」

「!?」

 

閃光のように快活な声がして、それに従い伏せる。

音だけで分かる俊敏な動作で不良生徒たちを圧倒している。

 

「ぎゃんっ!?」

「うひっ!?」

 

体術だけで制圧せしめたようだ。

その姿は、どこかで一度見たかも定かではない小柄で気の強そうな生徒だ。

サクラコの本来の姿を知らない人で、まずは一安心か。

 

「大丈夫か?」

「あ、は、はい…!」

「意外とチンピラが寄りつくゲーセンだから、気ぃつけな」

 

そう言いながらスタスタとこちらに向かって歩いてきて、手を差し伸べてくれる。

どうやらこの人は、助けた人が無事か分かればそれで終わりではないみたいで。

 

「ほら、立てるか?」

「ぇ…」

 

そうしてパーカーのフードで狭くなった視界へ手を差し伸べられる。

戸惑いつつも、その差し伸べられた手を逃してはいけない気がして…美甘ネルの手をとった。

 

****

 

「なあ、どうせなら一緒に遊んでいこうぜ?」

 

そんな提案をされて、サクラコは自己紹介もないままにネルとゲームセンターで遊ぶことになった。

クレーンゲーム、体を動かすようなゲーム、格闘ゲーム、少しづつ楽しんで、新たな刺激を得ていく。

 

「は、初めてゲームセンターに来たんですけど…どれも新鮮で…」

「おぉ、そうなのか!どれが良かったよ?」

「このぬいぐるみを取れた、クレーンゲームでしょうか…」

 

Mr.ニコライのぬいぐるみを抱えて、少々和らいだ表情になった。

 

「じゃ、そろそろあたしも帰るかな。気を付けろよ?」

「はっはい!あ、ありがとう、ございました…!」

 

****

 

「どうやら、色々と快気に向かわせてくれる出来事があったようだね。良い兆候だと思うよ」

「はい、私も…そう思います」

 

後日、セイアと会話する機会があり、あのことを語った。

 

(もしかしてだが…ネルと邂逅したのだろうか。まあ、彼女ならそうなるのも頷ける。違ったらすまないが、もしそうなら心ばかりながら感謝しきりだね)

 

****

 

「ぅえっくしっ」

「あらら?誰かリーダーの噂でもしてるかな?」

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