転生したらコウモリでしたって誰が日陰者だコノヤロウ 作:RAKU0221
なんか天スラのオリ主二次創作が急に描きたくなってしまったので描きました。
目が覚めると、そこはジメジメとした洞窟?だった。
一つおかしいことがあるとすれば、天井に湖があり、その水面を何かが超高速で移動しているのが見えるということ。
(あぁ、違うわこれ。天井に湖があるんじゃ無くて、俺が逆さまになってるんだ)
意識がはっきりしてくるにつれて、足で何かを掴んでいるのが分かりそれと同時に自信が逆さまにぶら下がっているのだと理解した。
声を出そうとしたが出ず、水面を高速で移動する物体を俺はただ見送るしかできなかった。
(ここはどこだ?というか、なんだ、これ………誰の記憶か分からないが………俺はさっき、死んだのか?)
頭に流れ込んでくるのは、自分が人間だった記憶、人間の頃に蓄えたであろう知識と、最期の景色だった。
どうやら俺は誰かに正面から刺されたらしい、それと、俺の他にもう1人倒れ伏している人がいた記憶も流れてきた。人間の体から流れ出る血液の鮮やかさ、死ぬ間際でおかしくなっていたのか美しいと思ったことを思い出す。それと同時に、目が覚める前に見ていた夢の内容も思い出した。
真っ暗の中、誰かの声が響く夢だった。
『エクストラスキル、音波感知を獲得しました』
『ユニークスキル、
『ユニークスキル、
普通ならこんなわけもわからない記憶が頭に流れてきたら混乱するんだろうが、俺は割と冷静だった。
(転生したってことなんだろうな………そして、何に転生したかの答えはここに居る)
自身の体を見る限り、その体は黒い皮膚と毛に覆われており、腕………というよりは翼のような作りになっていた。そして、いまさっき気付いたが、なんと俺の周りには俺よりも少し小さめのサイズ感の同種族達がわらわらとおり、眠っていた。
起こさないようにそっと俺はそこから飛び立つ。前世の頃はできなかったはずの空を飛ぶという行為、水ぽちゃしたらどうしようかとヒヤヒヤしたが、まるで長くこの体で過ごしてきたかのようにすんなりと飛べた。
(一先ず………さっきあっちに行った謎の物体追いかけてみるか)
(なんだぁ?アレ)
目の前で繰り広げられているのは、クソデカい蛇を丸い物体が一蹴する現場だった。
デカい蛇は明らかに毒持ちで、濃厚な毒霧を噴射して丸い物体を遠ざけようとしていたが、丸い物体は水の刃を飛ばし首を一刀両断していた。
(アレは………スライムか?前世の記憶だとスライムは雑魚なんだけど、この世界だと強エネミーだったりすんのか?)
『知恵者で解析を行えます、実行しますか?』
俺がスライムに意識を集中させると、急に頭の中に声が響いた。知恵者というスキルは解析や鑑定などが行えるっぽいので俺はスライムを解析にかけることにした。
『解析完了、対象個体はスライムで間違いありません。ただし、内包する魔力量はスライムの平均を大きく逸脱していることを確認しました。おそらくユニーク個体だと思われます』
(ユニーク個体?)
『稀に発生する、高い能力値や特殊なスキルを備えた個体です』
(なるほど、つまりはレア個体か…………魔力量をパッと見ただけで分かるようにならないと、ああいう個体に遭遇したらやられそうでおっかねぇな)
『エクストラスキル、魔力感知を習得可能です。習得しますか?』
(そんなお誂え向きなスキルがあるなら、取るしかないな。頼む)
次の瞬間、視界が少しクリアになった感覚と、空間内に漂う謎のエネルギーを感知出来るようになった。なるほど、この波のような物が魔力感知、これなら視界の外から襲われても魔力の流れで探知できそうだな、それに俺に備わってる音波感知というスキルも感知系だし、とりあえず安心できるか?
ちなみに、目の前ではレアスライムがさっきのクソデカい蛇を丸呑みにしていた。恐怖映像でしかないが、もういちいち驚いてたら疲れる気がして心を無にして受け入れている。
接触してみたい気もするが、もし敵対した場合こちらには攻撃手段が無さすぎるのでここは慎重になるべきだろう。
(弱くても何かしらの攻撃手段があれば、もう少し安心できるが………そういえば、吸血者ってどんなスキルだ?)
『魔物や人間の血液を摂取し、魔力に変換します。多く摂取すれば、傷を再生することもできます。また、魔力を自身の血液に変換し、操ることができます』
結構盛り盛りなスキルだが、これなら遠距離攻撃にも応用出来そうだ。そうと慣れば早速、何か魔物を狩ってみたいがとりあえずあのスライムからは離れておこう。音波感知と魔力感知を併用すればかなりの広範囲を探知できるから、探せばまた見つけられるだろう。
とりあえず、魔力が一番小さい気配の場所へ行くと、その正体はでっけぇトカゲみたいな奴だった。俺の体は今デカめのコウモリ程度なので余計に大きく見える。コイツがここら辺で一番魔力が少なかったのだが、フィジカルで消し炭にされそうだ。
(まぁ、接近戦はしないし、こっちは空飛べるし何とかなるか)
俺は早速吸血者を発動し、自身の体に通う血液を体外に出してみる。少々出し過ぎて視界がふらついたが、魔力を血液に変換して持ち直す。先ほどのスライムが放ったのは水の刃だったが、血だって液体、同じようなことができるはずだ。
血液を圧縮し、高圧の刃を放つ。トカゲはこちらに気づく気配もなくそのまま刃は綺麗に首を通り抜けた。数瞬後、トカゲの首はあっけなく地面に落ちる。胴体は少しの間蠢いたがすぐ動かなくなった、うん、とてもグロい。
(人間とは違う、紫色の血……なんか濁ってるし、綺麗とは言えないが、なんか喉乾いてきたな)
俺が転生したコウモリの習性か、それとも吸血者というスキルの影響か、乾きを癒す為フラフラとしたいに近づいていく。
そして、俺は躊躇なく死体に自身の歯を突き立てる。チウチウと音を立てながら血を飲む。乾きが癒えていくのと同時に、力が湧いてくるのを感じる。死体からでも魔力を得れるのか、死にたてホヤホヤだからなのかは定かではないが、この感覚は悪くない。
『解析完了、この魔物はグレーターサラマンダーです。魔力はそれほど高くありませんが、硬い鱗と強力な筋力が特徴です。血液摂取量が一定量に達しました。対象個体の血統を学習、保存しますか?』
(血統を、保存?)
『血統を学習、保存することで、対象個体のスキルや種族の特徴の一部を得ることが出来ます』
(なんだそれめちゃくちゃ強いじゃないか、保存してくれ)
『承りました。グレーターサラマンダーの血統の保存に成功しました。学習の結果、スキル《身体装甲》を獲得しました』
(おお、早速試すか。身体装甲を使用)
すると、黒い皮膚と体毛に覆われた体の一部が爬虫類の鱗のような物に覆われた。腹に背中、後は翼もだ。鱗も膜で構成された翼は、コウモリというよりもワイバーンやドラゴンのイメージに近い物になっていた。
それから何時間、何日経ったか分からないが、俺は近場の魔物を狩っては血を啜り、飢えを凌ぎ魔力を蓄え、様々なスキルや耐性を取得した。途中でおそらく俺の上位個体であろうデカいコウモリ魔物と遭遇したが、それも難なく下した。同族殺しということで、それまでの戦闘より多少思うところはあったが、自然は弱肉強食だ、仕方ない。
同族の血統を学習、保存したことで、元々俺に備わっていたコウモリとしての基礎能力が上がることも分かった。それにより、前よりも音波感知の精度上昇と、高速での飛行が可能となった。
そろそろここら一帯から狩場を移そうかとしていた矢先、魔力感知にしばらく見かけなかったあのスライムの反応が引っかかった。音波感知と併用することで例え見えない場所でも気配を気取ることができる。これは本当に便利だ。
(そろそろ、接触を測っても良さそうだな)
意を決して俺は、件のレアスライムの元へと飛び立つのだった。
だがまさかスライムを追った先で、レアスライムなんかよりもとんでもない奴と遭遇するなんて、この時は思わなかった。
更新頻度はまちまちです、多分。