日本国召喚 ~新世界の新秩序~ 作:バナナ
中央歴1669年8月9日午後3時 ~南方展開軍旗艦 あきづき~
「...どうやら成功したようだな。」
大陸の夜明け作戦 第一フェーズであるミサイル攻撃には当然ながら、
あきづき等の艦艇も加わり行われた。
「ロデニウスに潜入させている工作員からの連絡だと...
ほとんどの敵軍基地から黒煙と悲鳴が上がっていたそうな。」
「なんとも悲劇的だな。...この戦いで皆、人命を奪う恐ろしさを忘れてしまったようだな。」
艦長の発言が耳に入る範囲に居た人間は全員同意した。
勿論、この手で人を殺せと言われても誰もできないだろう。
しかし、このように間接的に人命を奪う事自体への
忌避感が薄れてることは搭乗員全員が実感していた。
「悲しいが喜ばしいことでしょう。艦長。
人を殺すのに躊躇するなんて心、軍隊には必要ありませんから...」
「.....そうかもな。」
「さて、ミサイル攻撃が成功したということは...上陸作戦は行われるということでいいのか?」
「えぇ。特に作戦中止等の命令は送られていません。」
白坂館長は大きくを息を吸い込み、CIS全体に入る大きな声で発言した。
「お前ら!この戦いが終われば暫くの休暇が得られる!」
「決して死ぬこと無く、この約200名で日本の土を踏みに行くぞ!」
艦長の言葉に搭乗員は家族や友人、はたまた想い人の顔を思い浮かべた。
...こんな所で死ぬわけには行かない。死んでたまるか。
期待された奮励努力を実行できるよう、搭乗員らは歯を食いしばった。
全ては未来のために。
−上陸艦隊及び参加する兵力
海上自衛隊
南方海上展開軍 計約3200人・参加艦隊15隻
↳第1護衛隊群 第5護衛隊
あきづき
こんごう
あけぼの
ありあけ
↳第2護衛隊群 第2護衛隊
いせ
あしがら
はるさめ
あさひ
↳輸送船団
おおすみ
しもきた
↳強襲上陸艦
しまはら
おざき
さだみさき
きと
つがる
陸上自衛隊
南方陸上展開軍 計約1万2000人
↳水陸機動団
↳第1空挺団
↳西部方面戦車隊
↳第1空挺団
中央歴1669年8月9日午後5時30分
2日前に準備を終え、佐世保や横須賀等の軍港から出港を開始した輸送船団と強襲上陸艦は第2護衛隊と共に南下し、道中でロデニウス海軍に接敵すること無く順調に航海を続けていた。
あきづきでの会話から2時間後、輸送船団及び強襲上陸艦は2日半の航海の末...ロデニウス大陸を発見した。
「おい!アデム中将はどこだ!」
「中将なら...師団司令部に丁度訪れたが...」
「そうか、感謝する!」
日本による上陸作戦を察知した兵や観測員も当然存在した。今アデム中将に立ち会おうとしている彼もその1人である。彼は苦虫を噛み潰したような顔をしながら、足早に臨時師団司令部へ向かった。司令部の作戦会議室のドアをノックする。
「アデム中将、失礼します。」
彼が扉を開けると、作戦会議室とは思えない光景が目に入った。
「どうしたかね?」
アデム中将。彼は数十年も昔に妻子を亜人に殺害されたと
...あと非常に女癖が悪い。
現に今、中将の周りには5人ほどの女性が裸となって囲んでいる。とてもじゃないが作戦会議室とは思えない。...他の将兵もそうなのだろうか?
彼が女体盛りを知れば喜んで側室に行わせるだろう。
「.......前線から報告、大東洋からやってくる数十隻の船影が確認されました。恐らくニホン軍の上陸部隊だと思われます。」
「そうかい。先程の光の矢による攻撃に生き延びた機甲師団はいるかね?」
「えぇ。無傷なものは数十両程度しか残っていませんが、破損がありながらも稼働が可能な戦車を含めれば120両ほどは確保できます。」
「十分だ。先程のような光の矢の攻撃があれば非常に厄介だ。」
彼は今すぐにでもこの部屋から出たいと思っている。とにかく目のやり場がない。
「破損があるものはトーチカとして使え。稼働が可能なのは峠に置き、峠を通る補給部隊を奇襲せよ。」
「わかりました...残存している海軍はどうしますか?」
「どうせ使えん。間に合うならば座礁でもさせて上陸の邪魔でもさせておけ。間に合わないのであれば放置でもよい。」
「了解しました。それでは失礼します。」
「あぁ、奮励努力を期待するよ。」
アデム中将との会話から数分後...強襲上陸艦はランプドアを開け、LCACが発進。LCACは時速100kmで沖合を駆け抜けた。
「うっ..うえ...吐き気が....」
「うわっやめろ!エチケット袋から零すな!」
....LCAC内は地獄であった。床は吐瀉物に塗れ、潮風に当たる事もできないまま、時間だけが過ぎていった。
「わかったか...沖合に出たらすぐ...うっ...進め....機関銃にやられないようにな....」
指揮官であっても酔いは酷く、それは一般兵ならなおさらである。
「プライベート・ライアンなんて...見るんじゃなかった....」
「お前なんて時に.....」
「ご愁傷さまだな....」
「.....もうそろそろ陸上か」
「だな....気を引き締めていこうぜ。」
砂浜が目の前にせまったLCACはランプを開け、10式戦車や16式機動戦闘車等の車両は先陣を切り続々と砂浜を踏みしめながら進んだ。。
「あきづき」や「こんごう」も艦砲射撃を行い、敵のトーチカ等の軍事施設を破壊していった。
「クソ!ニホン軍どもが上陸してきたぞ!」
「俺達の故郷を破壊しやがって!お前ら突撃だ!」
「バカ止まれ!水際防衛なんかもう破綻した!敵軍を引き付けろ!」
ロデニウス軍は上陸してきた自衛隊に対し機動防御を行い、上陸部隊の撃滅を目指した。
しかし、機甲師団が先程のミサイル攻撃によりほとんどが破壊され、弾薬不足により機関銃の掃射も叶わないまま自衛隊と戦闘状態に入った。
「クソ...さっきの攻撃のせいでトーチカが...」
「こっちはまだ生きてる!砲撃を行うぞ!」
「はよう砲弾持ってこい!全然足りん」
勇敢にも突撃する敵歩兵に対して自衛隊は全身に鉛の雨を被せた。横に降る雨が自身に降り注いだ時のロデニウス兵士達の心境は話さなくてもわかるだろう。
その勢いのまま、自衛隊は進軍し西部方面戦車隊も無事上陸し、数十両の戦車と装甲車を率いて敵陣に歩んでいった。
「クソッ!成すすべもねぇ!」
「おい!機甲師団が来たぞ!」
「やっとか!」
だが、先程の攻撃を運良く回避した戦車も当然存在した。
「ニホンめ...目にもの見せてやる!」
しかし、生き延びた戦車も結局は性能も黎明期。性能はFT-17と同格レベルである。
「目標!敵装甲師団!てーッ!」
そのような戦車が現在の複合装甲を貫けるわけがなかった。
「バカな...!?」
「傷跡一つついてねぇぞ...」
「そんなはずは無い!再装填を行い...」
ロデニウスが効果的な反撃ができないまま、無慈悲にも自衛隊は90式の主砲を敵戦車へと向けた。
「クソ!主砲を旋回させた!あいつら俺達を狙ってるぞ!」
「まだ間に合う!回避行動...」
90式戦車の主砲から鳴り響いた轟音と120mmの砲弾は無情にも敵戦車を貫いた。
音速をも超える現代MBTの砲弾をまともに受けた戦車は文字通り爆散した。自衛隊は火薬庫への引火により爆発する隙すらも与えてはくれなかった。
「チッ!舐めんな!そこのお前!榴弾砲の照準をあの戦車へ!」
「わかりました!」
ロデニウス軍は諦めず抵抗を試みる。
実際、ww1でもww2でも榴弾砲や高射砲を対戦車砲として運用することは珍しくない。
ww1ではイギリスの菱型戦車に対しドイツ軍は7.7cm野砲や7.58cm迫撃砲を使用し対抗した。
ww2ではイギリスのマチルダ戦車に対して
マチルダ歩兵戦車の正面装甲は70mmを越えており、開戦当初のドイツ軍の主力対戦車砲である3.7 cm PaK 36はマチルダに対して有効な反撃を与えられなかった。
3.7cm Pak 36の貫徹力は100mという超至近距離でも30mm程度しか貫けない。そこに高射砲を使用した。
それにより「高射砲で戦車を撃つのは卑怯ですな」という名言も生まれたとか。
だが、それは技術差が大して無い独英間であったから成立した。西暦で言えば1920年代水準の榴弾砲が、現代MBTを行動不能に出来ても破壊できるわけがない。
榴弾砲を撃ち続けても、それでも傷つかない敵戦車にロデニウス兵士は少しずつ恐怖を表していった。
「そんな...列強でもこんな大口径砲弾当てれば破壊できるのに...」
「うまく履帯に当てろ!」
「そんな精密な射撃できるわけが....」
「神よ!我らに救いの加護を!」
「神に祈る時間があるならさっさと手を動かせ!機関銃手が足りない!」
自衛隊は装甲車を盾にして突き進む。
自衛隊は今まで受けたことの無い実弾を浴びながらも強引に自衛隊は進み続けた。
ロデニウス軍も決して諦めず、延々と機関銃を撃ち続けた。弾幕を張り続けたロデニウス軍に対して自衛隊は少しずつしか前進できなかった。しかし、戦いが30分以上経過するとロデニウス軍は混乱状態に陥った。限り少ない機関銃用の12.7mm弾を使い切り、さらには銃身が熱く真っ赤になり射撃不能となった。一部の機関銃手は過呼吸気味になりながら無駄に撃ってしまったせいで、銃身が融けてまともな射撃は行えなくなってしまった。
この隙をついた自衛隊は迅速に兵を進める。
「敵の弾幕が切れたぞ!」
「よし!迫撃砲の支援を要請する!」
「迫撃砲弾は残りどれほどある!?」
「うぐっ!ひッ...ひだ....左腕に被だッ被弾した...!」
前線では命をかけ必死に戦う兵士が居た。迫撃砲の支援砲撃、16式装甲車による突撃により、多くの敵兵が負傷した。
幸い、自衛隊の死傷者も想定を下回っている。相手に決定打も与えれるままロデニウス兵は無謀な突撃を行い、死んでいった。
戦況は絶望的。ロデニウス兵にはそう判断した数多く居る。
特に多かったのは包囲されたロデニウス兵だった。!
「クソックソックソッ...!」
「俺はもう耐えられん!降伏する!」
「馬鹿ッ後ろは....」
「もう後ろは居ない!包囲前に政治将校は撤退したし督戦隊も散らばった!俺等を邪魔する人間なんてもう居ない!」
ロデニウス兵が少し血のせいで茶色に変色したガーゼを大きく広げ、掲げながら歩く。
「降伏だ!降伏する!だから....だから助けてくれ....!」
「おっ....俺もだ!俺も降伏する!」
「包囲状態にある敵軍が降伏を始めましたが、どうされますか?」
ザッザッ「...わかった。ジュネーブ条約に基づいて捕虜としろ。扱い方はわかっているな?」
「えぇ、それはもちろん...」
未来のため、家族のため、国民のため動いた自衛隊は徐々に支配領域を広げ......
ついには完全な港の占領と橋頭堡を築き上げることに成功したのだ!
港の占領に成功した自衛隊は負傷者の救護や一部兵の本土帰還、補給受け取りを開始した。
しかし作戦目標まだ終わっていない!目標は橋頭堡を築き上げることだけではない。
ロデニウス大陸にて航空戦力を運用するため、同地の飛行場の占領も目標の一つであった。
第一空挺団及び上陸部隊は飛行場の確保のため、前進するのであった。