アナキンの親友になって色々あって旅に出た英雄の話   作:紅乃 晴@小説アカ

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正直、ここまでなると思わんかったから全然考えてなかったんよすまん

気が向いたらちゃんと描きます


閑話「ヘンダーランドダイジェスト」

 

 

 

「ほう、これがスゲーナ・スゴイデスのカード……なんとも不思議なフォースを感じる……」

 

そう言って、しんのすけから渡されたスゲーナ・スゴイデスのトランプを、パルパティーンはまじまじと見つめた。

 

「全く未知の解釈で作られた存在ですね。光も闇も、全てを内包してる……これ一つが宇宙のフォースそのものですよ」

 

俺もフォースを研ぎ澄ませてトランプを見る。

 

……なんだこれ。

 

本当に意味がわからない。

 

ジェダイの遺物でもない。

 

シスの秘宝でもない。

 

なのに、宇宙そのものみたいなとんでもないエネルギーだけは感じる。

 

「ほうほう、パルパルも使ってみる?」

 

「よいのか?しんちゃん」

 

「オラとパルパルの仲だぞ! 父ちゃんと母ちゃんを助けるお手伝いをしてくれるんだぞ!」

 

当然のように言うしんのすけに、思わず言う。

 

「それってどういう関係?」

 

「いやぁ〜んもうオラの口から言うなんて恥ずかしいぞぉ」

 

「最近の子供……進んでるんだな」

 

「オラもそう思う」

 

「お前は自覚しろ」

 

そんな俺たちをよそに、パルパティーンは完全に新しい玩具を与えられた子供のように、目を輝かせていた。

 

銀河皇帝がしていい顔じゃない。

 

「では、使ってみるか……うむむ……スゲーナ・スゴイデス!!」

 

そう言うと、カードから眩い光が放たれた。

 

「うおっ!?」

 

思わず目を細める。

 

そして、光が収まった。

 

「おぉ、姿が変わった」

 

そこに立っていたのは、金髪に藍色の瞳をした美人さんだった。

 

…………。

 

………………え?

 

数秒、脳が理解を拒否した。

 

「よりによって貴様その格好はやめろぉー!!」

 

「わぁ!綺麗なおねーさん!」

 

「しんのすけ、中身はパルパルだぞ」

 

「あ、そうだった」

 

納得するな。そしていきなり興味を失うな。当の本人は、なぜか得意げだった。

 

「ルーラー、シーヴ・パルパティーンですよ!!(ジャンヌ外見andCV/坂本真○)」

 

「貴様ァ、坂本○綾さまの声で喋るなこの野郎!!!」

 

しかも声まで変わってる!なんで!?何がどうなったらそうなる!?フォース万能説にも限度があるぞ!

 

「どうだログ。余、似合っておるか?」

 

「似合う似合わないの問題じゃねぇんだよ!」

 

「ほれ」

 

やめろ。スカートを摘んで、くるっと回るな。

 

やめろ。ポーズを決めるな。

 

やめろ。妙に堂に入ってるのが腹立つ!

 

「おぉ……」

 

「なんでそこで感心した顔してるんだ、しんのすけ」

 

「おねーさん、キラキラ〜」

 

「うむ。余もそう思う」

 

「本人がノリノリなのが一番怖いわ!」

 

ああやめて、その場でスカートをひらひらさせないで。本当にやめて。ジャンヌお姉ちゃんの格好になるとか、ほんとに気が狂ってるんじゃない?

 

なにやってるのこのラスボス。

 

怖いんだけど。

 

しかも本人だけが滅茶苦茶楽しそうなのが、なおさら怖かった。

 

 

 

 

「スゲーナ・スゴイデス!」

 

しんのすけがそう言ったと同時だった。

眩い光が辺りを包み込む。

 

「うおっ!?」

 

思わず目を閉じる。

次の瞬間、体に妙な違和感を覚えた。

 

手に持っていたライトセーバーが消えている。

 

代わりに手には団扇。服も何やら妙に軽い。恐る恐る自分の姿を見下ろして、俺は固まった。

 

………………これ、阿波踊りの法被じゃねぇーか!!

 

俺だけではない。さっきまでライトセーバーを構えていたパルパティーンも、何故か色鮮やかな法被姿になっている。

 

しんのすけ、ひろし、みさえに至っては、すっかり祭りの踊り子の格好だ。

 

「うんうん、これもまたフォースだな」

 

「マスターは色々諦めないで!」

 

なんでその結論になるんだよ!

フォース万能説にも限度があるだろ!

 

「踊りで勝負!」

 

「ええ〜〜〜!!?」

 

「阿波踊りなんてしらねぇよ!?」

 

そう混乱する俺たちを前に、オカマ魔女のマカオとジョマが、にこやかに微笑む。

 

「あら素敵」

「私たちに踊りで勝負するなんていい度胸してるじゃない?」

 

そう言うと、二人はぬるりと顔を寄せ合った。

 

「見せてあげるわ」

「素晴らしい、バ・ド・ドゥ」

 

「ミュージック!」

 

しんのすけの掛け声と共に、どこからともなく祭囃子が聞こえてきた。

 

テンテンテン、テケテケ、ドンドン。

 

なんであるんだよBGM!誰が演奏してんだ!

周囲を見回すが誰もいない。

 

怖い。この空間、色々と怖い。

 

「俺、阿波踊りなんて踊れねぇよ!?」

 

ひろしが悲鳴を上げる。

 

「私だって知らないわよ!」

 

みさえも完全にパニックになっている。だが、そんな大人たちをよそに、しんのすけはよっさほいさと踊り始めていた。

 

「みんな!心で踊ればいいんだぞ!」

 

「踊りはテクニックじゃないわ!ハートよ!」

 

対するマカオとジョマもすでにノリノリである。

 

なんか妙に上手い。腹立つくらい上手い。

 

「世界の運命を賭ける戦いだってのに……」

 

俺は遠い目になった。オカマ魔女による世界征服を止めるための最終決戦。

 

そのはずだ。なのに、何故か今、俺の手には団扇がある。……なんで?

 

「すごいぞ、ログ!踊りでフォースが高まっておる!これもまた未知の発見だ!」

 

隣を見る。パルパティーンがめちゃくちゃキレのある阿波踊りをしていた。

 

「ヤットサー!ヤットヤット!」

 

なんで踊れるんだよ。なんで銀河皇帝がノリノリなんだよ。しかも妙に様になってる!

 

「……余、才能があるかもしれん」

 

「そんな才能いらねぇよ!」

 

「そう言うログは踊らんのか?」

 

「踊れるわけないだろ!」

 

そう言った瞬間だった。

 

テケテケテン。ドンドン。

 

祭囃子が妙に耳へ入ってくる。

 

……いや、あの、なんか、乗れるな。

 

いや、駄目だ。

 

何を考えてる俺。

 

世界の命運が懸かってるんだぞ。

 

テケテケテン。

 

ヤットサー。

 

……。

 

…………。

 

「……ヤットサー」

 

「あ、ログが落ちた」

 

「フォースに導かれたな」

 

「違う!」

 

違う!違うんだけど!気ががつけば、俺は法被を翻しながら全力で踊っていた。

 

めちゃくちゃ踊った。

 

 

 

 

「さ、貴方の番よ」

 

マカオが扇子のようにトランプを広げながら、にやにやと笑う。テーブルの上には運命を決めるトランプ。世界の命運を懸けた、最終決戦のババ抜き。

 

……のはずだった。

 

「そういえばログよ」

 

「なんですか、マスター」

 

パルパティーンが、自分の手札を眺めながら何かを思い出したように言う。

 

「余、ログと真剣勝負ってしたことなかったような気がする」

 

「いきなりですね。それがどうし……まさか?」

 

嫌な予感しかしない。

 

長年の付き合いである。この男が何かを思いついた時、大抵ろくなことにならない。そして案の定、パルパティーンはニヤリと笑った。

 

「ここらでひとつ、真剣勝負と洒落込もうではないか!?」

 

「正気か!? これ世界の命運をかけたババ抜きなんだけど!?」

 

「なに、単純な話だ。余とログ、どちらが早く上がれるかの駆け引きじゃよ」

 

「趣旨変わっとるがな!」

 

「つまり競争じゃな」

 

「だからなんでそこで競争心が芽生えるんだよ!」

 

パルパティーンは楽しそうに笑う。

 

目が輝いている。さっきの阿波踊りといい、この元銀河皇帝、イベントが始まると妙にテンションが上がる癖でもあるのだろうか。

 

「あら、楽しそうじゃない」

 

「そういう遊び心を持つ男って素敵」

 

「煽るなオカマども!?」

 

マカオとジョマまで乗ってきた。

やめろやめろこれ以上、面倒事を増やすな。

 

「ほう?」

 

パルパティーンが口元を吊り上げる。

嫌な笑みだった。完全に何か企んでいる顔だ。

 

「ログ、余に勝てないと思ってビビっとるのかぁ?」

 

「……」

 

ピキッ。何かが切れる音がした。

 

「なんじゃなんじゃ?フォースの探究者ともあろう者が、まさかババ抜きごときで余に負けるのが怖いと」

 

「……」

 

「仕方ないのぅ。余は銀河皇帝。銀河を統べし者。格の違いというやつかのぅ」

 

「……」

 

「残念じゃ。弟子との真剣勝負を楽しみにしておったのじゃが……」

 

「てめぇかかってこいや!!」

 

机を叩いて立ち上がった。

 

「おぉ!いい返事じゃ!」

 

「ログさん、乗せられてるわよ!?完全に乗せられてるじゃない!」

 

うるさい!わかってる!わかってるけど、このジジイがこういう煽りをしてきた時だけは負けられないんだ!

 

こうして。

 

世界の命運を懸けたババ抜きの裏で。

 

ログ・ドゥーランVSシーヴ・パルパティーン。

 

誰よりも早く上がることだけを目的とした、無駄に熱い戦いの火蓋が切られた。

 

「ふっ……そのカードを引くか」

 

「余の心理戦を読めておらんな」

 

「くっ……!」

 

「ほれほれ、顔に出とるぞ?」

 

「出てない!」

 

「出ておる」

 

「出てない!」

 

「出ておる」

 

「うるせぇ!」

 

横ではマカオとジョマが、もはやスポーツ観戦でもするかのように盛り上がっている。

 

「あっ、今のいい駆け引き」

 

「若いって素敵〜」

 

「なんでババ抜きで実況されてるんだよ!」

 

そして数分後。

 

「……ふっ」

 

パルパティーンが静かに最後の一枚を場へ置く。

 

「余の勝ちじゃ」

 

「う、嘘だろ……」

 

俺の手からトランプが滑り落ちた。

 

敗北。完全敗北。世界の命運とは何の関係もない、あまりにも無駄な勝負に負けた。

 

「よっしゃあ、さすが余!」

 

パルパティーンがガッツポーズをした。

銀河皇帝がするガッツポーズじゃない。

 

「余の勝ちじゃ!余の勝ちじゃ!」

 

「子供か!」

 

ちなみに。

ババはしんのすけが引いた。

 

全員の声が揃った。

 

「わぁい!ジョーカーが残った!オラの勝ちぃ」

 

そう言って笑うしんのすけ。世界の命運を懸けた最終決戦は、しんのすけの敗北によって決着した。

 

……なんかもう、色々と台無しである。

 

ふと空を見上げる。

 

気のせいだろうか。

 

この理不尽極まりない展開を見て、フォースの意思が腹を抱えて笑っていた気がした。

 

 

 

 

ポーカー!五枚のカードを手にし、役が揃っている方が勝ちとなる!

 

「この枚数でポーカーをするのは無謀では?」

 

テーブルの上に並んだトランプを見て、俺は思わず突っ込んだ。枚数が足りない。どう考えても足りない。この人数で普通にやったら、二、三回で山札が尽きる。

 

しかし、パルパティーンは余裕の笑みを浮かべていた。

 

「なに、こういうのは考え方次第なのだよ」

 

そう言うと、トランプへ手をかざす。

 

次の瞬間。ぱぁっ、と淡い光がトランプから溢れた。そしてペラペラとトランプが増殖し始めた。

 

「増えたぁ!?」

 

みるみるうちに山札が分裂し、机の上に新品のカードが積み上がっていく。最終的には、百枚近いトランプの山が完成していた。

 

「あら、魔力でカードを複製したの? やるじゃない、お爺様」

 

「フォースを極めればこれくらい造作もない」

 

「そんな感じで使うものじゃないだろフォースって」

 

銀河の神秘がどんどん安売りされていく。

 

(これってパルパルのフォースで作ったトランプだからイカサマし放題では?)

 

ふと、嫌なことに気がつく。

 

相手は銀河皇帝。フォースで未来予知をする男だ。しかも、今使っているトランプはその男がフォースで量産したもの。

 

何だこれ。勝負として成立してるのか?俺が疑いの目を向けると、パルパティーンはふふん、と鼻を鳴らした。

 

「余を疑うか」

 

「そりゃ疑うよ!」

 

「余はこう見えて遊びには真剣じゃ」

 

「その言い方だと何より遊びを優先してるみたいだからやめろ!」

 

「オラもやりたい!カード配るのオラがやる!」

 

「じゃあ、お願いね坊や」

 

ジョマがカードをしんのすけへ渡す。

 

しんのすけは「おー!」と元気よく返事をした。

 

(ちなみにしんのすけはチョコビで売約済み……! 豚のカードをオカマ魔女に叩きつけるのは造作もない)

 

チョコビ三箱。それが現在の契約金である。

 

安い。世界の命運を左右するディーラーが、あまりにも安い。

 

そうやってしんのすけのカードを配るのだが……なんか一人だけ配る枚数が多くない?

 

「しんのすけ」

 

「なに?」

 

「なんでマカオだけ十枚くらい配ってるの?」

 

「いっぱいあったほうがうれしいかな〜って」

 

「余計なお世話!」

 

慌てて回収されるカード。危なかった。ルールが始まる前から崩壊するところだった。そして、改めて五枚ずつカードが配られる。

 

全員が手札を見る。沈黙。

俺はカードをめくった。

 

……うん。ゴミだ。見事なまでのバラバラ。

 

ワンペアすらない。

 

一方、パルパティーンは何やらニヤニヤしている。

 

嫌な予感しかしない。

 

「勝負!」

 

マカオが勢いよくカードを開く。

 

「キングのツーペア」

 

するとジョマがドヤ顔でカードを叩きつけた。

 

「クイーンのフォーカード」

 

「おぉ……!」

 

普通に強い。なんでいきなりそんな役が出るんだ。ジョマは勝利を確信した顔で髪をかき上げた。

 

「ふふん。愛と美の女神に運命が味方したようね」

 

「くっ……!」

 

負けた。完全に負けた。俺の手札なんて、ただ数字が並んでるだけである。

 

そして。全員の視線が最後の一人へ向く。

 

しんのすけだ。

 

「しんちゃん、役はなんじゃ?」

 

「えっとね〜」

 

しんのすけは手札をじっと見る。

 

そして。

 

「アクションビーム!」

 

「「「それ役じゃない!!」」」

 

両手を前へ突き出す。

 

ビーーーーーム!

 

当然ながら何も起きない。しんのすけは満足げな顔をした。

 

「ゲームの趣旨がわかってないのでドロー!」

 

「勝手にルール変えるなぁぁぁ!!」

 

世界の命運を懸けたポーカーは、開始数分でよくわからない遊びへと進化していた。

 

 

 

 

 

「待ちなさーい!」

 

「あそこにジョーカーを持っていくつもりよ!」

 

「そんなの許さないわ!」

 

ものすごい形相で追いかけてくるオカマ魔女のマカオとジョマ。

 

怖い。しかもなぜかこの城の外ではフォースが一切使えない。試しにフォースでジョーカーを引き寄せようとしたが、何の反応もない。

 

無。完全に無。

 

「なんでこんな時に限ってぇ!?」

 

フォースの力を借りず、独力で乗り越える必要がある。もう必死だった。追いついてきたマカオとジョマを、俺、パルパル、ひろし、みさえの四人でなんとか食い止める。

 

「どきなさいよ!」

「嫌だね!」

「邪魔よ!」

「そっちこそ!」

 

押し合いへし合いの大乱闘。

蹴飛ばされたパルパルが、

 

「おぉっ!?」

 

ぐらりとバランスを崩し、階段から転げ落ちそうになる。

 

「危ない!」

 

ひろしが咄嗟に腕を掴み、なんとか受け止めた。

 

「すまん!」

 

「今お礼言ってる場合じゃないでしょ!?」

 

そんな取っ組み合いの中。

 

ジョーカーを握りしめたしんのすけが、よたよたと駆け抜けていく。

 

「走れ!しんのすけ!」

 

「先に行けー!」

 

「おぉぉぉー!」

 

しんのすけが短い足を懸命に動かす。

 

すると。

 

「どけぇい!」

 

俺を踏み台にしたパルパティーンが跳んだ。

 

「なっ――」

 

どんっ!と肩を踏み抜かれた。

 

「ぐえっ!?」

 

そして。

 

「でりゃあああぁ!」

 

シャイニングウィザード。両膝が綺麗にマカオとジョマの顔面へ突き刺さった。

 

「「ぶふぉっ!?」」

 

二人が吹っ飛ぶ。

 

「何やってんですかあんたぁ!?」

 

「即興じゃ!」

 

「即興でプロレス技を出すな!」

 

だが、その隙を突いてしんのすけはさらに上へ。

……と思ったら。

 

「待ちなさぁい!」

 

「逃がさないわよぉ!」

 

ふ、復活が早い!マカオとジョマがものすごい勢いで追いついてきた。そんな二人を行かせまいと、今度は四人の大人がまとめて組み付く。

 

「離しなさい!」

 

「嫌だ!」

 

「このぉ!」

 

「うおっ、髪引っ張るな!」

 

「みさえ!その腕!」

 

「こっちだって必死なのよ!」

 

しっちゃかめっちゃかだった。誰がどこを掴んでいるのか、もはや誰にも分からない。

 

そしてジョーカーが宙へ舞った。

 

全員の動きが止まる。

 

ひらひらひら。ゆっくりとあまりにもゆっくりと。ジョーカーが塔の外へ飛んでいく。

 

「あ……っ」

 

全員の声が一致した。

 

「まかせて!」

 

真っ先に飛び出したのはマカオだった。身を乗り出し、ジョーカーへ飛びつこうとする。

 

「いかせてたまるかぁ!」

 

後ろからパルパティーンが飛びついた。

 

「えっ」

 

「あ゛あ゛あ゛ーーっ!」

 

二人揃って落下。どがぁん!と屋根を突き破り、そのまま下の小屋へ消えていった。

 

「落ちたぁ!?」

 

その隙だった。

 

「でやぁあああー!」

 

ひろしが飛んだ。まるで野球選手のダイビングキャッチだった。空中でジョーカーを掴み、そのまま地面をぐるぐると転がる。

 

「いっ……ててて……」

 

見事な受け身。

 

さすがお父さんである。

 

しかし。

 

ばぁん、と音を立てて小屋の屋根が吹き飛んだ。

 

「待ちなさぁい!」

 

「まだよぉ!」

 

くっついたままのパルパティーンを背負い、マカオが猛追してくる。

 

「うぉっ、なんだその絵面!?」

 

オカマ魔女の背中に銀河皇帝。めちゃくちゃ情報量が多い。

 

するとひろしが、あろうことかジョーカーを空へ放り投げた。

 

「こんな紙切れ!欲しかったらくれてやる!」

 

「なにぃ!?」

 

マカオが慌てて飛びつく。

 

「ん!くっ!あ、もうちょっと……」

 

指先が届く。ぱしっ。

 

「取ったぁ!」

 

満面の笑みでカードを見るマカオ。そして、その背中にしがみついたままのパルパティーンも覗き込む。

 

二人は揃って固まった。

 

「……」

 

「……」

 

それはジョーカーではなかった。

 

双葉商事、野原ひろし。

 

そう書かれた名刺だった。

 

「きぃいーーーっ!!」

 

マカオの絶叫が城中に響いた。その隙に。

 

「みさえ!」

 

「えっ!?」

 

ひろしが本物のジョーカーを投げる。

 

「ありがとう!」

 

みさえが見事にキャッチ。

 

「待ちなさい!」

 

追いついてきたジョマへ、俺は全力で飛び込む。

 

「邪魔はさせないわ!」

 

「こんちくしょう!」

 

膝蹴り。

 

どごぉっ!

 

「ふぎゃっ!」

 

そのまま俺とジョマはもつれ合いながら、塔の下へと落ちていく。

 

「あああああーーーっ!?」

 

「いやぁぁぁーーーっ!」

 

視界の端では。

 

「先に行け!みさえ!」

 

「ありがとう!」

 

「このお爺様なかなかやるわね!」

 

「まだまだぁ!!」

 

なぜかパルパティーンがマカオの背中にしがみついたまま、やたら楽しそうに笑っていた。

 

……もう、何がなんだかわからなかった。

 

 

 

 




こんな感じのことをわちゃわちゃやってるのが二人の日常
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