アナキンの親友になって色々あって旅に出た英雄の話 作:紅乃 晴@小説アカ
パルパティーンの息子が修行中であることや、パルパティーン自身が「プレイガス」と名乗っていること。
さらにアナキンまでもが偽名を使って、そのパルパティーンの息子を育てているなどを説明した。
当然のようにアソーカは呆れていた。
「貴方たち、本当に何をやってるの……?」
心底疲れたような顔で額を押さえるアソーカに、俺たちは誰一人まともな反論ができなかった。
もっとも、その後でダザンの訓練風景を見た彼女の評価は少し変わった。
ライトサイドもダークサイドも分け隔てなく学び、時に失敗し、時に暴走しながらも、驚くべき速度で成長していく少年。
ジェダイでもなく、シスでもない。
だが、どちらからも学び、それを自分なりに咀嚼して前へ進もうとしている存在。
そんなダザンの姿を見たアソーカは、腕を組みながらしばらく考え込んだ後、静かに言った。
「もしかしたら、この子はフォースの新たな可能性になるかもしれないわね」
その言葉に、ダザンは照れ臭そうに頭を掻いていたが、アナキンは少し誇らしげな顔をしていた。
そして俺たちは辺境惑星でアソーカと別れた。
別れ際、彼女は最後まで俺たちのことを心配していたが、それでも自分の道を進むために旅立っていった。
小さくなっていく船影を見送りながら、俺たちもまた次の目的へと向かう。
来たるホスの戦い。
その未来に備えるため、ダザンを鍛え、銀河各地の遺跡を探索し、運び屋として情報を集め、古代フォース文明の痕跡を探究し、遺跡に潜む化け物と戦い、フォースを研究し、依頼された荷物を運ぶ。
傍から見れば旅人なのか学者なのか傭兵なのか運送業者なのか全くわからない集団だった。
実際、俺たちにもよくわかっていない。
「最近、本業がなんなのかわからなくなってきたな」
ふと、銀河を飛ぶサウザンド・アドベンチャー号の中でアナキンがつぶやく。
「冒険家ではないか?」
当然のようにクワイ=ガンが言い、パルパティーンも頷く。
「余はそう思う」
「余計にわからなくなりました」
自由奔放がチームアップして銀河を飛び回っている上に、そのチームアップした人たちが師であるダザンにはもう理解が及ばない領域であった。
そんな会話をしながら銀河を巡る日々。
そして……。
「あ、あの、あのあのあの、これ、あの……!」
ある時。ダザンの試練のため、俺たちはカイバークリスタルが採取できる星を訪れていた。
ダザンのライトセーバーには現在、予備として保管していたカイバークリスタルが組み込まれている。
だが、本来ジェダイやフォースの使い手にとってライトセーバーのクリスタルとは、自らの意思で見つけ出し、絆を結ぶものだ。
そのため試練の一環として、新たなカイバークリスタルの取得を勧めたのである。
そして数時間後。洞窟の奥から戻ってきたダザンは、なぜか完全に混乱していた。
両手で抱えるようにライトセーバーを持ち、顔を真っ赤にしている。
「な、七色に光ってる……」
ぶぉん、と起動した瞬間、洞窟の中が極彩色に染まった。
赤、青、緑、黄、紫、白、橙と、次々と色が移り変わり、まるで祭りのイルミネーションのように光が明滅する。
眩しい。とにかく眩しい。
「ゲーミングライトセーバーやん」
思わず本音が漏れた。
隣でアナキンも顔をしかめる。
「目が痛いな……」
「とても興味深いのう」
一方でパルパティーンだけは興味津々だった。フォースで光を観察したり、角度を変えて眺めたりしている。完全に研究者の顔である。
調査した結果、カイバークリスタルそのものには異常はなく、むしろ極めて良質な部類に入る。
問題は持ち主だった。ダザンのフォースがあまりにも特殊だったせいで、クリスタルが影響を受け、結果として七色に発光するという前代未聞の代物が完成してしまったのである。
「そんなことある?」
「余も初めて見た」
「私もだ」
「僕もだ」
誰も知らなかった。
そしてダザン本人ですら知らなかった。こうして銀河初のゲーミングライトセーバーが誕生したのである。
もっとも、その直後にさらに大きな騒動が発生した。
俺たちが探索していた地下には、帝国軍のカイバークリスタル採掘基地が存在していたのだ。しかも連中は、採掘量を優先して無茶苦茶な掘削を続けていた。フォースの流れを乱し、地下構造も限界寸前で、放置すれば大惨事になるのは明らかだった。
「……壊すか」
「壊すか」
「壊すかの」
「壊そう」
「えっ」
ダザンの意見を聞く前に方針が決定した。結果として、帝国軍採掘基地は俺たち五人によって木っ端微塵となった。
爆発と崩落。
鳴り響く警報。逃げ惑う帝国軍。
そして連鎖する地盤崩壊。
地下空間全体が悲鳴を上げるように揺れ始める。
「走れぇぇぇぇ!!」
「出口まであと300メートル!」
「後ろから崩れてきてる!」
「ダザン!ライトセーバー!」
「どっちのですか!?」
「七色の方だ!」
「了解です!」
もはや何が了解なのかわからない。轟音と共に崩れていく地下基地を背に、俺たちは必死でトンネルを駆け抜ける。背後から土砂と岩石の津波が迫り、天井が次々と崩落する。
命懸けの逃走劇だった。
そして最後は出口から文字通り飛び出し、全員まとめて砂地を転がる。
直後、背後の地面が大きく陥没し、土煙が空高く舞い上がる。俺たちはしばらくその場で寝転びながら荒い息を吐いた。
「……うん、これはもう冒険家だな」
「冒険家ですね」
「冒険家じゃの」
「冒険家だな」
「いや絶対違うと思うんですけど……」
ダザンはそう言いながらも、誰も反論できなかった。
俺たちの日常は、だいたいそんな感じだった。平穏という言葉とは縁がなく、何かを解決したと思ったら次の厄介事がやってくる。
またある時は、ジェダイよりも組織化されているとも噂される巨大犯罪シンジケート……ブラック・サンから追われる身となった。
事の発端は単純。本当に単純だった。運び屋として依頼された生活必需品の輸送。
ただそれだけで、少なくとも、依頼を受けた時はそう聞いていた。
「生活必需品の中にブラック・サンの機密資料があるなんて聞いてない!」
貨物室で箱をひっくり返しながら俺は絶叫した。箱の中には日用品や保存食に紛れて、どう考えてもヤバそうなデータチップが隠されていたのである。しかも解析した結果、ブラック・サンの取引先や資金の流れ、帝国軍高官との繋がりまで記録された超機密データだった。
見なかったことにしたい。今すぐ宇宙に投げ捨てたい!
「嘆くより手を動かせ! 追われてるぞ!」
操縦席からアナキンの怒鳴り声が飛ぶ。
船体が激しく揺れた。その瞬間、船の横を緑色のレーザーが掠める。振り返ったモニターには、数機の戦闘機と武装船が映し出されていた。
ブラック・サンの私兵に?そして、その後方には帝国軍のTIEファイターまでいるぞ!
「なんで帝国軍がいるんだよ!?」
「ブラック・サンとズブズブだからだろう!」
「最低だな!」
「銀河ではよくあることだ」
そんなやり取りをしている間にも追撃は続く。アナキンは操縦桿を握り、まるで船と一体化したかのような動きで敵の攻撃をかわしていく。
急降下に急上昇。廃棄された工業地帯。倒壊寸前の煙突や工場の中を華麗に飛行しながら、サウザンド・アドベンチャー号は敵を撒こうと必死だった。ダザンは途中から顔色が真っ青になっていた。
「うぷっ……」
「おい、吐くなら窓の外にしてくれ」
「宇宙船なんですけど!?」
そんな会話をしながらも、俺とパルパティーンは銃座に張り付き、迫る敵機を迎撃する。
レーザー砲が火を噴く。
一機、二機、三機と次々と敵機が爆散する。
「余が落としたぞ」
「その報告いります?」
「これは重要だ」
結局、アナキンの無茶苦茶な操縦をし、大気圏内からハイパースペースに入るという荒技と、行きがけの駄賃で放り出したサイズミック・チャージで包囲網を突破。ブラック・サンの追跡を振り切ることには成功した。
だが問題はその後だった。機密資料を奪われたブラック・サンは激怒した。そして俺たちに高額賞金をかけた。
結果、行く先々で賞金稼ぎが襲ってくるようになった。酒場に入れば襲われ、宿を取れば襲われ、物資調達をしていても襲われるのがライフワークとなりつつあった。
「今日は六人目だな」
「数えるのやめてもらっていいですか?」
そんな生活を送っているうちに、ある日。
見覚えのある男と遭遇した。
マンダロリアン・アーマーに、T字型のバイザー、背中のジェットパックで、銀河最高の賞金稼ぎ。
ボバ・フェットである。
「あ」
「……」
数秒の沈黙。その後、ッスーー……とボバが息を吸ってから、改めていう。
「賞金首だな」
「違います」
そう言いながらボバはブラスターを抜いた。
「かかってこいや!返り討ちにしてやる!」
結局、クライアントの意向に逆らえず、流れでボバとのリターンマッチになった。
本当に流れである。ちなみにジャンゴからもクローン戦争中に何度か襲われた。まぁ全部返り討ちにしたけど、それはもはや様式美だった。
ジェットパックで飛び回るボバ。
飛び交うブラスター。
砂煙に爆発。そして俺のライトセーバーが唸りを上げる。打ち返されたブラスターが見事にジェットパックへ命中。
ボバが慌てて回避した隙に、さらに追撃。
最終的にはフォースで加速した一撃が見事に命中。
ボバは文字通り空の彼方へ吹き飛んでいった。銀河最高の賞金稼ぎを野球ボールみたいに飛ばした瞬間だった。
しばらく全員で空を見上げていた。
それでも賞金稼ぎに追われる生活は続く。
砂漠の惑星に廃墟の宇宙港、吹雪の惑星。どこへ行っても平穏はない。
「かみさまぁああっ!!」
逃げ回りながらダザンが悲鳴を上げる。
「神よりも偉大なフォースに祈れ!」
「言ってる場合か!」
いつものように騒がしく。いつものように馬鹿をやりながら。それでも俺たちは前へ進み続けた。
そして……雪と氷に覆われた辺境世界。
白銀の荒野に、冷たい風が吹き抜ける。
その中を歩いていた俺たちの前に、一人の男が立っていた。
茶色のローブ。整えられた髭。静かでありながら揺るがない存在感。
その姿を見た瞬間、アナキンの足が止まった。
男もまた立ち止まり、静かに彼を見つめる。
長い時間を越えて再会した二人。
風がローブを揺らす。
そして男は口を開いた。
「探したぞ、アナキン」
その声に、アナキンの瞳が大きく揺れた。
さぁて、そろそろエピソード5に進むぞ!!