アナキンの親友になって色々あって旅に出た英雄の話   作:紅乃 晴@小説アカ

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ちょっと真面目な話が続いたからね
フォースくん「加減しろバカぁ!!」


ここで必殺二手に分かれるの術

 

 

惑星ホスを脱出して一週間。

 

反乱軍残存勢力の脱出援護を終え、さらにダッシュと共に帝国軍の追撃部隊をアステロイド・ベルトへ誘い込み、命懸けの逃走劇を繰り広げた俺たちは、その激闘を辛くも切り抜けた。

 

その後、ダッシュや反乱軍の一団とは一度別れ、俺たちは帝国支配地域にある惑星ヴァードスへと足を踏み入れていた。

 

ヴァードスは銀河系のコア・ワールド、ジナータ星系に属する惑星であり、「帝国の理想郷」とまで称された世界だった。

 

整然と並ぶ白亜の都市群。

 

澄み渡る空。

 

犯罪率は銀河でも最低水準を誇り、街を行き交う市民たちの表情にも怯えや不安はほとんど見られない。帝国の支配下にありながら、多くの住民が自ら銀河帝国への忠誠を口にする。そんな極めて珍しい惑星である。

 

反抗的なことで知られる種族の住民でさえ、その多くが帝国への忠誠を表明していた。

 

もちろん、それは恐怖だけによる支配ではなかった。ヴァードス政府による優れた統治能力。そして、その政治思想の中心にいたのが、この星の出身であり帝国軍提督でもあるギャリック・ヴェルシオだった。

 

民族への過度な弾圧は行わず、税制も帝国市民への負担を可能な限り抑える。

 

公共インフラや教育にも惜しみなく投資が行われ、その結果としてヴァードスには帝国でも有数の治安と経済力がもたらされていた。

 

プロトコル・ドロイド開発局に帝国軍士官学校。高度な研究施設や軍事教育機関も次々と誘致され、この惑星は帝国中枢を支える重要拠点へと発展していた。

 

「よくお越しくださいました」

 

出迎えたのは、この星を統治する提督、ギャリック・ヴェルシオ。

 

タラップを降りたパルパティーンは、まるで旧友と再会したかのように穏やかな笑みを浮かべ、つつがなく挨拶を交わした。

 

その様子を眺めながら、俺は小さく肩をすくめる。

 

さて、ここまでの経緯を少し話そう。

 

あれは、ホスを脱出してアステロイド・ベルトへ突入した直後のことだった。

 

 

 

 

「これがポッドレースさ!!!」

 

満面の笑みで叫びながら操縦桿を倒すアナキン。

 

サウザンド・アドベンチャー号は巨大な岩塊の隙間を紙一重で潜り抜け、その勢いのまま帝国軍スター・デストロイヤーへ一直線に肉薄する。

 

前方では無数の重レーザー砲が火を噴いた。

 

緑色の光線が宇宙空間を埋め尽くし、逃げ場を塞ぐように降り注ぐ。

 

機体を右へ、左へ、さらに機首を九十度近く傾け、岩肌を舐めるように旋回。

 

重レーザーの閃光は機体の数メートル横を通過するだけで、一発たりとも命中しない。その卓越した操縦技術にスター・デストロイヤー側も照準を完全に見失い、逆に味方のTIE・ファイターが砲火へ飛び込んで爆散していく始末だった。

 

だが。

 

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!」

 

被害者はいた。副操縦席という名の拷問席に座らされていたダザンである。

 

急上昇に急降下。

 

横回転に急制動。

 

重力制御装置が働いているとはいえ、その限界を超えるような機動の連続に、ダザンの顔色は完全に青を通り越して真っ白になっていた。

 

「大丈夫だダザン!まだ当たってない!」

 

「そういう問題じゃないアーーッ!」

 

そんな阿鼻叫喚をよそに、銃座ではクワイ=ガンが終始冷静だった。

 

「右後方、三機」

 

静かに照準を合わせ、引き金を引く。目標をセンターに入れてスイッチ。そんな声聞こえるような冷静さで二連重レーザー砲が火を噴き、一機。続けて二機。さらに旋回してきたTIEボマーまでもが次々と爆散していく。

 

まるで射撃訓練でもしているかのような落ち着きぶりだった。

 

「反乱軍の脱出とダッシュの離脱までの辛抱だ!こちらにスター・デストロイヤーを惹きつけるぞ!」

 

操縦席からアナキンが叫ぶ。その声に応えるように、サウザンド・アドベンチャー号は三隻のスター・デストロイヤーが張る包囲網へ真正面から突っ込んでいった。

 

巨大艦同士の僅かな隙間。普通の操縦士なら近づこうとも思わない空間を、アナキンはまるで峡谷を飛ぶポッドレーサーのように駆け抜けていく。

 

重レーザー砲が閃き、緑の光条が宇宙を埋め尽くす。しかし機体は紙一重でそれらをかわし、時にはスター・デストロイヤーの艦橋すれすれをかすめながら急旋回した。

 

追従していたTIE・ファイター部隊は、その無茶苦茶な軌道に対応できない。

 

「さ、避けきれな……!」

 

無線越しの悲鳴が聞こえた次の瞬間、一機がスター・デストロイヤーの側面装甲へ激突。爆炎が咲き、続く二機も互いに接触して火球となって散った。

 

そんな上も下も右も左も存在しないような旋回の嵐の中。俺とパルパルは、脱出ポッドの前で呑気に作戦会議を開いていた。

 

「乗り込むなら、どれがいいですかね?」

 

パルパティーンは目を閉じ、フォースを通じて三隻のスター・デストロイヤーを見渡す。まるで市場で果物でも選ぶ老人のように顎へ手を当て、

 

「んー……あれが手頃かのぅ。艦長は武勲に目が眩んだ小心者じゃ。恐怖を植え付ければ、すぐ折れる」

 

などと、恐ろしい品定めを始める。操縦席では、アナキンが楽しそうな声で振り返った。

 

「移乗するならチャンスは一度ですよ!」

 

その言葉にダザンは青ざめる。

 

普通なら正気を疑う作戦だ。高速で旋回する船から脱出ポッドを射出し、敵旗艦へ突入。成功率など考えるだけ無駄である。

 

(……まぁ、いつものことか。)

 

ここ数か月で、彼の常識はとっくに壊れていた。

 

気が付けば、「マスターたちなら何とかする」「マスターたちならもっと無茶をする」「マスターたちならこれは平常運転」という三段論法が成立してしまっている。人間、慣れとは恐ろしい。

 

「では、敵の足止めやら何やらは任せてくれ」

 

クワイ=ガンが照準器から目を離さないまま静かに言う。

 

「合流地点は追って連絡する」

 

俺はそう返すと、パルパルと共に脱出ポッドへ乗り込んだ。外ではアナキンがタイミングを見計らっている。

 

スター・デストロイヤーが交差する、その一瞬。

 

「今だ!」

 

機体が敵艦へぴたりと寄せられる。

 

「射出!」

 

レバーを引いた瞬間、脱出ポッドが勢いよく分離した。サウザンド・アドベンチャー号は、そのまま急上昇してレーザーの嵐へ飛び込み、俺たちだけが宇宙空間へ放り出される。

 

回転と無重力。目の前いっぱいに迫る純白の艦体。脱出ポッドは慣性のままスター・デストロイヤーへ接近し、防御スクリーンを突き抜ける。

 

バチバチと青白い放電がポッドを包み、そしてTIE・ファイター発着デッキへ豪快に不時着した。

 

衝撃で機体は横転し、何度も跳ねながら格納庫の奥まで滑っていく。火花を散らし、ようやく停止した頃には脱出ポッドは見るも無惨な鉄くずになっていた。

 

「不時着は、いつしても慣れんのぅ」

 

「まともな着地をしたこと、一度もないじゃないですか」

 

俺は苦笑しながらフォースでひしゃげたハッチを吹き飛ばした。金属板が紙切れのように宙を舞い、その向こうには呆然と立ち尽くす帝国兵たちの姿がある。

 

「て、敵が乗り込んできたぞ!」

 

「脱出ポッドだと!?」

 

「防御スクリーンが突破された!」

 

格納庫は一瞬で騒然となった。ブラスターを構える兵士。帝国軍特有のつんざくような警報が鳴り響き、赤色灯が格納庫全体を染める。

 

その騒ぎなど意にも介さず、俺とパルパルはゆっくりと歩き出した。まず探すのは、この場で最も階級の高い士官。恐怖を伝播させるなら、頭から潰すのが一番早い。

 

「さて、この艦は今後の計画のために有効活用させてもらうとするかのぅ」

 

「そのために、わざわざ別行動したわけですしね」

 

俺たちは同時にローブの中へ手を入れた。

 

瞬間、二本の深紅の光刃が闇を切り裂く。その赤い光を目にした帝国兵たちの表情が、一瞬で凍りついた。

 

「ここらで、シスの恐ろしさを思い出させてやるとするか」

 

パルパティーンは、散歩へ出掛けるような穏やかな口調でそう告げた。

 

その直後だった。老人の姿が消える。否、あまりにも速すぎて見えなかった。黒い影が格納庫を駆け抜け、最高階級の士官の命がむしり取られるまで、わずか数秒。

 

士官が倒れる前にパルパティーンは次の獲物へ歩き出す。

 

悲鳴が上がり、ブラスターが乱射される。だが、その光弾は誰一人として彼を捉えられない。

 

艦内に広がるのは、戦闘ではなく、圧倒的な恐怖だった。

 

それから、このスター・デストロイヤーが完全降伏を宣言するまで、そう長い時間はかからなかった。

 

 

 

 

というわけで。

 

スター・デストロイヤーを内部から制圧した俺たちは、まず艦の指揮官を確保した。

 

こいつは絵に描いたような外道だった。

 

弱者には徹底的に高圧的。反論できない部下からは搾取を繰り返し、自分より立場の弱い者へ責任を押し付け、手柄だけは真っ先に横取りする。

 

帝国軍にもまともな軍人はいる。

だが、こいつはその対極だった。

 

「さて」

 

パルパルが静かに手をかざす。俺も同じようにフォースを集中させる。食いやがれ、俺とパルパルとダブルフォースアタックエクステンションだぁ!

 

精神へ入り込み、恐怖、欲望、執着、思考の根幹へと触れる。二人掛かりでフォース・マインド・トリックを深層意識へ叩き込めば、抵抗らしい抵抗もない。

 

数分後。

 

「ご命令を」

 

「はい」

 

「イエス」

 

「承知しました」

 

……うん。なんか壊れたプロトコル・ドロイドみたいになった。

 

「これ、大丈夫なんですか?」

 

「多少やり過ぎたかもしれんのぅ」

 

「いや、多少で済ませちゃ駄目でしょう」

 

まあいいか。元から人格に期待するような相手でもない。俺たちは完全にこちらの都合で動く傀儡となった司令官を伴い、艦内中枢へ向かう。

 

目指すのは帝国軍の最高機密データバンク。通常であれば、ここへアクセスできる人間は限られている。艦長権限ですら閲覧できない情報も多く、その先には皇帝直属の暗号化ネットワークが存在していた。

 

「本人じゃからな!!!」

 

しかしパルパティーンが何でもないことのように端末へ手をかざす。

 

網膜認証に声紋認証、遺伝子認証、フォース波形認証。次々と認証を通過し、《WELCOME, YOUR MAJESTY》という表示が浮かび上がった。

 

「便利っすねぇーこれ」

 

「余が作ったのだから当然だ」

 

これ以上ない正規アクセスだった。

 

そのまま皇帝専用回線へ接続し、帝国軍の最高機密を閲覧。

 

さらに傀儡となった司令官へ皇帝直属命令を下させる。そこへ本人しか通れない認証記録まで残るものだから、艦内の別ブロックにいた士官たちは完全に混乱した。

 

「ま……まさか……皇帝陛下……?」

 

「いや、……だが、この権限は……」

 

「認証記録も一致しているぞ……」

 

誰も答えを出せないし、出せるはずがない。本物の皇帝本人が、敵として乗り込んできたなど、発想そのものが存在しないのだから。

 

結果として彼らは、「少なくとも皇帝陛下、あるいはそれに比類する存在が艦を掌握した」という結論に至り、抵抗を諦めた。

 

もっとも。

 

司令官もクズなら、その側近たちも大概だった。

 

権力争いと派閥争いにしか興味のない士官に、部下を盾にして自分だけ助かろうとする副官。横領や着服を繰り返していた補給責任者。

 

まともな下士官や兵士はいるというのに、その上層部だけ見事に腐り切っていて、思わず笑ってしまうほどだった。

 

そんな連中を忠実なイエスマンへ作り替えるのは、造作もない。

 

俺たちは赤子の手をひねるような手軽さで、一隻のインペリアル級スター・デストロイヤーを手に入れることに成功した。

 

手口だけ見れば、フォースという脅威の大宇宙パワーッ!を力任せに叩きつけた脳筋戦法そのものだったが、目的は果たしたので結果オーライである。

 

艦のデータバンクには、外部へ漏れれば帝国そのものを揺るがしかねない目を覆いたくなるような極秘記録が山ほど保管されていた。その一方で、それらを揉み消すための裏工作ルートや、非公式任務を実行するための秘匿回線も、しっかりと整備されている。

 

さすがは銀河帝国。

表も裏も、実によくできていた。

 

俺たちはその闇ルートをそのまま利用することにした。公式記録上、このスター・デストロイヤーは「皇帝直属命令により独自行動中」。行き先も、任務内容も、関係者以外は閲覧不可。

 

つまり謎の命令で動く、謎の部隊。その実態を知る者は誰もおらず、問い合わせても「皇帝直属案件」の一言ですべてが握り潰される。

 

まさに、謎で謎をコーティングしたような暗躍部隊。帝国軍の誰も全貌を知らず、知ろうとした者も「皇帝命令」の四文字で口を閉ざす。

 

そんな都合のいい立場を得たことで、俺たちは銀河の表も裏も自由に動き回れるようになったのである。

 

 

 

……まじやばくね?

 

 

 

 

「この頃の帝国の運営、ザルすぎない?よくこれで銀河を統治できてたよね。余、驚愕」

 

データバンクを一通り漁ったパルパルが、心底不思議そうな顔でそう呟く。元凶が何を言ってるんだ。

 

「それ、俺がデラックスヴェイダーなりきりセットでやらかしてた時も、あんまり変わりませんでしたからね?」

 

「あ、まじで?」

 

「まじです」

 

「……余、興味ないことには本当に興味ないからのぅ」

 

「女子高生みたいなこと言わんでください」

 

「皇帝じゃぞ?」

 

「なお悪いですよ」

 

パルパティーンは腕を組みながら首を傾げる。そんな具合に、帝国のガバガバな管理体制に呆れながらも、その恩恵はしっかり受ける俺たちだった。

 

こうしてパルパルは皇帝直属の特使。

俺はその側近兼補佐官。

 

そんなもっともらしい身分をでっち上げ、堂々と帝国の公文書へ登録。

 

身分証に識別コード、移動許可証。

 

それらすべて本物。

いや、本物以上に本物である。

 

なにせ発行しているのが皇帝本人なのだから。

 

そして現在。

 

俺たちは何食わぬ顔で惑星ヴァードスへ降り立っているわけだ。

 

「……さすがにこれ、この世界の皇帝にバレません?」

 

ふと冷静になって尋ねる。するとパルパルは胸を張り、満面の笑みを浮かべた。

 

「これでバレなければ、余も末じゃのう!」

 

「誰が上手いこと言えと言いましたか」

 

「安心するがいい。相手は余だからな!」

 

「一番不安になる返答なんですよ、それ」

 

「細かいことはフォースが何とかしてくれる。」

 

「そのフォースも困惑してますよ」

 

そんな気の抜ける会話を交わしながら、俺たちは帝国が誇る理想郷、ヴァードスへと足を踏み入れた。

 

 

 




感想にあった霊体化から実体化する秘術はパルパルとログがフォース探究の旅の中で見つけた秘術だけど、実践するにはフォースの霊体が爆発四散する可能性が80パーセントあって、広めても実践するバカはいない秘術になってる。それを独自に開発して実践して二人を追いかけてるアナキンは化け物。

うちのパルパルは、作者でも制御できてません。
本当は適当な船を拿捕して向かうはずだったのに、なんでスター・デストロイヤー単身で制圧してんの?バカなの?
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