【キャラ募集中】英雄(ヒーロー)戦記 ジェット・ウォッシャー! 作:カレーうどん赤星
商店街の一角が、静まり返っていた。
青と白を基調にした金属質の装甲を纏い、両手に高圧洗浄機、そして両肩につながるパイプを構えた、まるで映画から出てきたかのような銀髪の少女。
その少女が、極彩色が混ざり合ったかのような、油で出来た異形の怪物と対峙していたのだ。
「ケケケーッ、ジェットウォッシャーとやら、なぜ俺達の邪魔をする!ただの人間が我々アブラー軍団を敵に回して、無事に済む訳があるまい!」
「なぜ邪魔をするのか?理由など決まっている!お前達がこの街に汚れを撒き散らすからだ!」
ジェットウォッシャーと呼ばれた少女と、アブラー怪人と名乗る怪物は…10分以上の激闘により共に疲弊しており、身体中に傷が付いていた。
「ケケケーッ しぶとい奴め、動かなければ八つ裂きにしてやる 死ねい!」
アブラー怪人は牙を剥き出しにし、ジェットウォッシャーに飛びかかる。
しかし、ジャンプの瞬間に生じた一瞬の隙を、彼女は見逃さなかった。
(隙ができた、今だ!)
「これで終わりだ!ジェーット ストラーイク!」
ジェットウォッシャーは、右手に構えた高圧洗浄機から高圧水流を発射し、アブラー怪人を洗い流していく!
「な、なんだとーっ ぐわーっ!!あ、アブラー様ー!!」
高圧水流を喰らったアブラー怪人は泡を出しながら消滅していき、数秒後には跡形もなくキレイな道だけが残っていた。
それを見たジェットウォッシャーは、バイザーの下にはにかんだ笑顔を浮かべながら、ガッツポーズを取り こう呟いた。
「洗浄完了!」
「流石だぞージェットウォッシャー!」
「かっこいー!」
「ありがとう、お前はこの街の誇りだー!」
「しかし大丈夫か!?何発か殴られて噛まれちまったけど…」
避難していた商店街のみんなが、功労者ジェットウォッシャーの周りに集まり、感謝と労いの言葉をかけてくる。
「みんな、ありがとう!そして、大丈夫!私は平気だ!」
それを聞いたジェットウォッシャーも、さわやかな声色で応えた。
そんな勝利から、数十分後の話…
〜〜〜
川藤クリーニング店 2F
古いがキレイに整頓されている畳の部屋に、私は座っていた。
「それにしても、疲れたな…うげっ、またウォッシャースーツに汚れが付いてる…」
私の名前は
商店街のクリーニング屋の娘で、さっき戦っていたジェットウォッシャーその人だ。
…その割には頭も体力も普通で、特技なんてシミ抜きくらいしかない。
なんでそんな私が、アルバイトとは言え数年もヒーローをやっているのかと言うと…
「…あっ 汚れだけじゃなくてヒビ割れもある!後でヒーロー連盟に連絡しないと!」
…今言った、ヒーロー連盟にスカウトされたからだ。
最近増加する『怪人』達…それをやっつけるのが私達『ヒーロー』の仕事なのだが、
『怪人』の数に比べて、『ヒーロー』の数はかなり少ない。
だから、適性さえあれば私みたいな凡人でもスカウトする必要があるのだ。
今倒したアブラー軍団なんて本当に氷山の一角で、Dr.ゾンビ一味とか悪魔帝国とか恐ろしい組織が幾つもあって、全国のヒーローが対処に追われている。
そんな状況で、この街みたいな片田舎に出動してくれるヒーローは少なく…
現在、この街を担当しているヒーローは私一人だけになっている。
半年前までは準急マン先輩とサイダーキッド先輩がいたけど、研修が終わったら直ぐに県の支部に転属しちゃって…
しかも、ヒーロー連盟に所属しない野良のヒーローも、この近所にはまだ居なくて。
「…そろそろ、この街に誰か配属されて欲しいかも。この状況が続いたら宿題もできないし…」
切実な独り言に花を咲かせていると、電話が鳴り響いた。
…ヒーロー連盟地区支部の番号…おそらく、出動の電話だ。
もし今が授業中なら、別の地区に応援を頼むという手段も取れるけど…
「…了解です。」
私は溜まっている宿題に想いを馳せながら、本日2度目の怪人退治に向かった。