【キャラ募集中】英雄(ヒーロー)戦記 ジェット・ウォッシャー!   作:カレーうどん赤星

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今日は、シリアス回です。
暗殺者に狙われた甲斐技術官の、運命はいかに……!

ヒーロー募集から、モフモフ毛玉さんのホーリーガーディアン/ストレリチア及び、ライラック/高野ライラを採用させていただきました!
モフモフ毛玉さん、素敵なヒーローをありがとうございます!

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第十二話 造られた英雄

……俺は全国ヒーロー連盟技術長官、甲斐(かい)スルベだ。

 今日、俺の居るヒーロー連盟第六支部が、アシッドデューと名乗るアグリー・ダックリングの怪人に襲われた。

 俺はアシッドデューを削除するため、『秘密兵器』のキーを取りに、地下二階の兵器保管庫に向かったのだが……

 そこには、怪人の卑劣な罠が張り巡らされていた。

 

「…チッ、ここまで潜り込んでいたのか」

「甲斐ィ……お前には、散々煮え湯を飲まされ続けたからなぁ?だから今回はわざわざ陽動として大事件を起こして、そっちに注目させてやった♪」

 

 俺が重々しい金属製の自動ドアを通り、兵器保管庫に向かうと……その中には、余計な連中が居た。

 

 深緑のスーツに、赤と黒のネクタイを着けた、茶髪のマフィアのような二人組の怪人……シャドウ兄弟。

 背の高いノッポな兄『エビデル』はヘッドホンを着用し、丸顔の弟『ガディス』は二丁拳銃を構えている。

 

 彼等はアグリー・ダックリングと協力関係にある暗殺組織『ダーティ・(クロス)』に所属する怪人で、兄は物体を貫通して攻撃する能力、弟は物体を一定時間透明にする能力を持つ。

 ……骨の折れる相手だが、俺には、『最後の切札』による、確かな勝算があった。

 

「しかし、元から期待なんかしてなかったが……あの雑魚、たった4人でデスマッチリングを開きやがってヨ。これじゃ陽動になんねぇだろうが。

 ま、俺達シャドウ兄弟が侵入すれば、あのヘボ陽動でもお前くらい八つ裂きにできるがな!」

「……お喋りが長すぎるぞ。非効率な奴だ。」

「ケッケッケッケ ジジイなんて、片手でも倒せるぜ!」

 

「……殲滅しろ、ホーリーガーディアン。これはオーダーだ」

「そして……ライラック。ホーリーガーディアンの補助を司令する。」

 

 俺がそう言うと、シャドウ兄弟の背後にあるシャッターが大きな音と共に開き、白煙を上げながら、二体の機械の英雄が現れた。

 

「…連盟の要請、承諾。敵、確認…排除を、開始する」

 一つは、身体に密着するバトル・スーツを着用し、四肢に重武装マシニング・ウェポンを付け、

 それでいて、優美な姿をした金髪のメカニカルヒーロー……ホーリーガーディアン。

 ヒーロー連盟が多額の建造費をかけ、『魔女の工房(ウィッチ・クラフトワーク)』と共同開発した、特殊戦闘用ロボットだ。

 

「承諾。……対象の排除を開始します。」

 もう一つは、バイザーで目元を隠し、全身の各部を機械に置き換えている、まるで、人間の女性のような、茶髪の生体兵器……ライラック。

 

 振り返り、この2機を見たシャドウ兄弟は、それぞれ表情が変わる。

「なんだいアニキ!甲斐の野郎……女みたいなロボットを、したり顔で突きつけてきやがったぜ!

 まさか、こんなのが『アレ』なわけ、無いよなァ!」

「待てブラザー、油断は禁物だと教えたはずだゼ?

 どんな姿をしていても……な。

 ……甲斐ィ、これ、アレだろう?『機械のヒーロー』」

 

 ふむ……兄は実力を見抜いたが、弟はまだ笑っているな。

 では、貴様らが『機械のヒーロー』と呼んだそれの性能の一端を教えてやろう。

 

「彼の指摘した通り、今出撃させたのは俺が開発した、ロボット・ヒーローだ。

 この両機は、前年の演習で……警察が運用するロボット『ナンバー16』及び『ナンバー15』に勝利を収めた事がある。

 演習開始のホイッスルから5秒で、警察側の2機は大破した。

 試合を見ていた警察関係者の顔はキュウリのように青くなり、16は余りの恐怖に自我が目覚め、修理後に警察から逃げ出したらしい。

 更に、人工衛星と連携した高度な追跡能力を持ち、地獄の果てまで殲滅対象を追う事が出来る。

 貴様らは、既に命を捨てているも同然だ。」

 

 それを聞いても、シャドウ兄弟の目は死なない。

「今日の俺達はなァ、仕事だけじゃなくて、仲間の『お礼』にも来てんだ!

 高性能?実に結構!何を持っていかれようが、お前をぶち殺せれば満足なんだよォ!……必殺『貫通ナイフ』!」

 

 俺の挑発に、エビデルは声を荒げ、ホーリーガーディアンへ急接近し、超合金ナイフで攻撃を仕掛ける。

「……ミッション、スタート。

 【特殊異能電磁波】発動。近接攻撃……排除。」

 しかし、冷淡な機械音声と共に、ナイフはホーリーガーディアンの巨大な鉄の腕に掴まれ、エビデルは床に投げられる。

 ガシャーン!

「チッ!何故だ、俺の能力を纏ったナイフが、貫通せず掴まれやがった!」

 

「大丈夫か、アニキ!」

 ズガン!ズガーン!

 ガディスは二丁拳銃で、ライラックを狙う。

 

「……能力【反発】発動。」

 しかし、銃弾の全てはライラの能力……【反発】によって弾き返される。

 

「……!」

 ガディスは夢中で、ライラックの方に二丁拳銃を放ち続けるが、全く当たらない!

 全ての銃弾は、重々しい金属の自動ドアの前に立つ、ガディスの側に跳ね返ってくる。

 

「ふむ、銃士としてその視野の狭さは致命的だな?

 お前は、誰を殺しに来たんだ?」

 ドン。

 俺はガディスの背後というポジションを利用して、手持ちの銃で背中を撃ってやる。

「……クソジジイが……!」

「落ち着け、ブラザー!バイザーの方は俺がやる!

 お前は甲斐だけを狙え!勝算や計画は、こっちにあるんだ!」

 

「イリュージョン・ナイフ!」

 エビデルは能力波を手持ちのナイフ五本に纏わせると、指で挟んでライラックに放り投げる!

 

「……能力【反発】発動……」

 ジャキン!

 エビデルの放り投げたナイフのうち三本は、ライラの持つ反発の壁をすり抜けると、両膝と胸に突き刺さる!

「解除!刺さりやがれェ!」

「……処理……脚部に、金属片が混入!」

 バチバチと騒ぐ火花を立てながら、ライラックはナノマシンによる回復シーケンスに入る!

 

 そして、残り二本は、背後に立っていたホーリーガーディアンに向かう。

「不明。退けたものと大差のない攻撃。同様に処理……」

「弾けろ!ナイフ・ロケット!」

 その号令と共にナイフ内に仕込まれていた火薬が点火され、ナイフは加速する!

 

 ……しかし、届かない!

 能力で全ての障壁を貫く『はず』のナイフは、唯のビンタによって弾き返される!

 

 だが、その弾いた一瞬の隙を見計らって、ガディスは二丁拳銃で俺の脳天と腹部を狙う!

「くたばれ、甲斐のジジイ!」

「単調な攻撃だ!」

 俺は横腹に一発銃弾を受けるが、脳天狙いは自らの銃弾で弾き飛ばす!

 

 ……しかし、ドシュッという音と共に、俺の肩から突如、血が吹き出す!

「二発だと思ったか!流石に鈍ったな!ジジイ!」

 能力による、透明な銃弾かっ!

 俺は、肩への重い衝撃で、銃を落としてしまう。

 

 まぁ良い……コイツら『3人』がただの三下でない事は、これまでの戦闘で分かった……

 

 ライラックは、殺されかけた俺のカバーに入る。

「離れなさい。」

 掌底に触れたガディスは、反発の能力により2機を格納していたシャッターまで、勢いよく吹き飛ぶ。

 頭が揺れ、失神し動けなくなる。

 

 ホーリーガーディアンは、エビデルを攻撃する。

「起動『マッハ・ナックル』」

 メカニカル・アーマーの巨大な拳から放たれる、音速を超える拳の、20連続攻撃。

 エビデルは、悲鳴を上げる間もなく、最後のアッパーで鋼鉄の天井に打ち上げられ、身体中にダメージを喰らう!

「次……決定打。」

「ギッ……ガッ……だが!」

 しかし、エビデルの目はその天井で、何者かと目が合っていた。

 

 そして……

「誘導及び、ドアの破壊ご苦労。

 ハッチから逃げて良いぞ。」

 

 そして……頭上から、まるでアナウンスのように『三人目』の声が聞こえる。

 それは、黒い防弾チョッキと、ヘルメットを装備、懐には日本刀を差し、地味な眼鏡を着用した、彫りの濃い30代ほどの男……

 

「来たか、『ダーティ・(クロス)』の総隊長……キルブレード」

 暗殺者キルブレードが……天井から……2機の機械の英雄の背後へと、降り立った。

「……どうやら、見立て通り、天井裏のハッチに隠れていたようだな……っ!」

 

 奴は、アグリー・ダックリングや国際マフィアの依頼で、これまでに724人を殺害し、闇に葬ってきた腐れ外道だ。

 

 おそらく……最初から、この地下二階に隠れていて、俺が来るのを待っていたのだろう。

 そして、シャドウ兄弟との戦いで消耗し、手札が尽きた頃合いを見計らって、俺を殺しに来た……そんな具合だな。

 

「俺達の殺しは……本当の『無辜の人』には向かない。

 依頼者も、ターゲットも同じ悪人だ。

 それは、分かってんだろうな?」

 

「今更、そんな当然の事を聞いてどうする?

 清廉潔白を、主張するとでも?

 お前こそ、そんな理由をつけ……所詮、禍禽(かとり)家のコマの分際で、善人ぶるつもりか?

 悪人を殺すと言うのなら、まず最初に禍禽を殺したらどうだ?……金の亡者め。」

 

「……そうかい……貴様らしい答えだな。

 じゃあ、行くぜ?」

 

 奴が懐から日本刀を取り出し、構えた瞬間、新規の殲滅対象を発見したホーリーガーディアンと、ライラックが迫る。

 しかし、奴はその追撃を、剣一つで弾き返す。

 

「紙一重の『斬劇(さんげき)』」

 ドガシャッ!

 

 返す刀で『殴られた』2機は、猛烈な勢いで格納シャッターまで吹き飛ばされる。

 激突した跡には大きなクレーターが出来、2機は膝をつく。

 

「!?エラー……!」

「不明な攻撃……『闇鋼』による別系統の能力無効化と判断」

 

「……能力の無効化は、お前らの特権じゃねぇぞ。

 さぁ、覚悟するんだな?」

『闇鋼』……あらゆる能力を受けつけない、異界の物質。

 魔女の工房が、無効化を広範囲に撒ける特殊異能電磁波を発見するまでは……こちらを採用する予定だった。

 

「……危険、アタッチメント【エール・オール】の使用許可を申請。」

「認めない。……ポケット・ボット、出撃!」

俺の白衣のポケットから、4機の小さな戦闘用人型ロボットが飛び出し、キルブレードに向かっていく。

 

 4機は空中で小型銃を取り出し、キルブレードを撃つ。

「『回斬(かいざん)』」

 しかし、最小限の動きで弾丸ごと斬られる。

 

 キルブレードが、冷酷な眼で俺の眼前に立つ。

「年貢の納め時だぁ……甲斐スルベ、ヒーロー名……ディスマントル!」

 

 ズバァーン!

 

 全く迷いのない刀が振り下ろされ、俺の胸と腹が捌かれる。

 柘榴(ざくろ)のように赤い血が、滝のように流れていく。

 『自身の死』を感じるその瞬間は、まさに無限だった。

 

 八十年近くの生の、走馬灯がよぎる。

 

 ……俺は、連盟の掲げる『正義』のために……

 様々なものを、犠牲にしてきた。

 俺を守るため、こちらに駆け寄ってくる『二人』も、

 正義の為の、犠牲のひとつだ。

 その『補填』を払う時が、ついに来たのだ。

 

 俺の人生には、いろんな日があった。

 

 一番素晴らしかった日は、ライラ……娘が生まれた日だろう。

 そして、その娘が怪人によって殺された、数十年前のあの日が……一番、最悪だった。

 

「斬られた気分は、どうだ?

 様々な人間を犠牲にしてきた、その生が終わる感想は

 自分の『命』の重さは……」

 キルブレードは、俺に最後の言葉を聞いてくる。

 

 俺の答えは、こうだった。

 

「……なに……払ってきた、犠牲に比べれば、安いモノだ……そもそも、俺は……もっと無惨に死ぬはずだったがな……最後は一人のヒーローとして……俺の死の損失…その『補填』として、俺を殺した貴様だけは、同じ地獄に堕ちて貰う……!」

 

 俺は……心臓の中に仕込まれていた『最後の切札』を放った。

 

「何?……まさか、これは!」

 キルブレードは、俺の心臓に貼られた『呪札』を見た瞬間、一瞬硬直し、戦慄した。

 

 呪札から放たれた禍々しい紫色の閃光は、キルブレードの胸を貫き……

 奴は、よろけながら血反吐を吐いた。

 

 俺の『最後の切札』

 ……それは、死亡するその刹那に起動する、呪術兵器。

 対象は、俺を殺害した者。

 『報復』と『道連れ』が込められた原初の呪いが込められている。

 

 俺を殺害した者は、心臓麻痺によって倒れ、じわじわと死に行く己の体に恐怖しながら絶命する事になる。

 

 邪悪なる組織アグリー・ダックリングに与する、暗殺者キルブレードとの相打ち……俺にしては、素晴らしい死に様だ。

 贅沢を言えば、キルブレードよりも更に強大な存在……『禍禽』の首を取りたかったが。

 

「ぐうっ……!」

 最強の暗殺者キルブレードが、膝をついて倒れる。

 声と表情は苦悶と憎しみに歪み、自分の死に絶望する。

「き、貴様……」

 

「ホーリーガーディアン!最早、フォローは無用だ!シャドウ兄弟を……殺せ!」

「……そして、ライラ。

 封印を解除し、機能の修復後……ヒーロー・ジェットウォッシャーの護衛にあたれ。それだけだ……」

 

 ……

 俺は最後の力を振り絞って、そう言い残す。

 血を流しすぎた。

 もう、喋ることもできないだろう。

 

 ホーリーガーディアンは淡々と命令を受領し、シャドウ兄弟が逃げた排気口に向かった。

 そして、私の娘、ライラは……

 ダメだな、もう、それを見る力 も 消え…

 

 ——

 

「カシラ、今頃甲斐の野郎をぶっ殺してるんだろうな♪」

「ああアニキ!今日は記念パーティだ!」

 第六支部の地下から、下水道に脱出した俺達シャドウ兄弟は、あのクソアマ共の猛攻でボロボロになった体を引き摺りなら、路地裏のマンホールの下に辿り着いた。

 

 これを開ければ、いとしの高級車ちゃんが俺を出迎えてくれる。

 きったねぇ血の匂いがするアジトへの帰り道も、この銀色の車さえあれば、楽しいもんだぜ♪

 

 俺は、マンホールをそっと開き、上を見上げた。

 そこには、先程俺たちと戦った、金髪の女みたいなロボット……ホーリーガーディアンが、夕陽を背に立っていた。

 

「なんっ……」

「チャージ・ショット。」

 奴の腕は銃のように変形すると、俺の脳天を撃ち抜く。

 ズダーン……グシャッ

 

「あっ、アニキッ」

 ズダーン……

 弟を葬る二発目の銃声を聞くと共に、俺の意識は永久の闇へと堕ちていった。

 

 ——

「……最後の命令(オーダー)を、確認……ジェットウォッシャーの護衛、並びに、封印を、解除……」

 

 マスター命令、受諾。

 ナノマシンによる身体の再生開始……

 

 護衛対象を検索……

 護衛対象:ジェットウォッシャー 氏名 川藤 閃

 水菜町配属 17歳……検索完了。

 

 個体に関する意識・記憶の封印を解除。

 データ読み込み開始……

 機体名 ライラック 氏名 高野……

 個体の……私の……名前は……

 高野(たかの)……ライラ

 

 ……そうだった、私、私は……

 病院のベッドで、ずっと眠っていたはずの私、高野ライラが目を覚ますと、そこには……

「お父さん…?」

 

 胸が大きく裂かれ、乾いた血を吹き出しながら倒れている、お父さんがいた。

 血の気が、ひいた。

 

「いや、いやぁぁぁ!なんで、お父さん、起きて……起きてよ……私を蘇らせて、自分は死ぬ気だったの……?……やだ、やだやだやだぁ……!」

 

 私は、目に生気がないお父さんを、まるで駄々っ子のように揺らす。

 ねぇ、起きてってば

 起きてよ……

 

 返ってくるのは、冷たい感触だけだった。

 

「なんでよ……なんでよ……」

 

 父さんは、帰ってはこなかった。




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