【キャラ募集中】英雄(ヒーロー)戦記 ジェット・ウォッシャー! 作:カレーうどん赤星
今回はゴリゴリにバトルします!
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僕の名前は雛口真昼。
白兎って名前のヒーローをやっている……野良ヒーローだ。
そんな僕は、今……
テロ組織アグリー・ダックリングから、人質の少女遠藤雪奈を救出し、
人質の交換条件になっている超兵器『ムラサメ』を奪取する為、水菜町の隣町……山葵市の78番倉庫に、張り込んでいた。
倉庫を見回すと、そこには、10人ほどの護衛部隊と
この場所には似合わない……スーツを着た几帳面そうな男が居た。
『ムラサメ』を開発した神戸総合工業の社長にして、人質の父親
彼は、恐らく『ムラサメ』を2振りずつ封じているであろう、2つのジュラルミンケースを両手に持ちながら、
怒りと、恐怖が混じった、ひどく見てられない顔をして、娘の帰りを待っている。
……その表情は、
僕にはまだあまり、理解しがたかった。
静寂に包まれた、深夜2時。
海浜工業地帯として栄えていた山葵市の倉庫は、今や裏取引の現場になっても、誰も気づかないほど寂れていた。
全てが、暗い。
冷たい夜風が、肌に刺さる。
深夜……深夜か。
その言葉を心の中で唱えるたび、心が少し、締め付けられる。
インカムから、眠気覚ましの為に夜通し雑談していた、パートナーの音声が入る。
「……今、小鳥さんが怪しげなトラックを探知しましたわ。『小峠運送』
この会社は15年前に買収され、現在はB・Sロジスティクスになっているはずですわ。」
「じゃあ、フツーは塗り替えてるよね……
ありがと。準備始めるから。」
パペットナース……本名、
人質の親友で……小学四年生。
ぬいぐるみを操る能力を持ち、自由に飛行する小鳥のぬいぐるみで偵察したり、縫ったぬいぐるみに攻撃を命じたりできる。
彼女には取引場所を教えてもらっただけではなく、偵察任務まで引き受けさせてしまった。
……お互い、『頼れる強いヒーロー』だなんて、とても言えない。
アグリー・ダックリングの怪人と戦えば、傷つくかもしれない。
……傷つくのなんて、僕一人でいいのに。
僕には……守るべき人が、たった1人だけ居た。
弱いせいで、不甲斐ないせいで、守れなかった。
「……お互いに、無事に帰りましょう。
生きて帰ったら、お話の続きをしましょう。
次は、将来の話とかどうかしら?」
「したく……ないかな。それよりも、裁縫の話を、もう少しして欲しい。……僕も裁縫、好きだから。」
「勿論ですわ!」
そっか。彼女には夢や前向きな将来があるのか。
……僕と違って。
……やっぱり彼女と組むのは 怖いな
また 守りきれないかもしれない……
腐りかけの木箱の裏に隠れ、すっと立っていると
……想定通り。
トラックは倉庫の20メートルほど前で停車し……その荷台から、怪人が降りてきた。
僕は、インカムでパペットナースに連絡を取る。
「パペットナース、遠くに敵を発見した。
敵は奇妙な頭部から、168cmほどの身体が生え……
背中にはタンクのようなものを背負っていて、右腕にはノズル、左腕にも棒状の武器が付いた怪人……以下、
「そしてもう一つ。
完全球体のボディに格納された、0.8メートルほどのロボット……以下、
鳥を使って、この2体の監視を頼む。」
「了解ですわ。
雪奈さま……人質は、αに手を引かれ、連れられてますわ。」
極限の緊張状態にあるはずのパペットナースの声色に、ほんの少し安心が見える。
どうやら、人質は無事らしい……今の所は。
「そして……まだ出てきていませんが、戦闘員も荷台に乗られていますわ、数は8人。
そのうちの6人はサブマシンガンで武装し、まるで軍服のような、黒い戦闘服を着ていらっしゃいますわね。
では、これは
……怪人、ロボット、そして8人の戦闘員。
交渉が決裂した時に、人質や護衛、そして社長を殺すのが役目だろう。
「パペットナース、もうすぐ交渉が始まる。
交渉が終わり、ジュラルミンケースを持ったタイミングで小鳥からスタングレネードを投下してくれ。」
僕は、倉庫に向かって歩いてくるαを観察し続けた。
彼女が言った通り、人質の少女遠藤雪奈は無事で、むしろかなり落ち着いた、自然体の姿を見せていた。
……こういう連中がよく使う爆弾付きの首輪のような、腹立たしい機械が付けられた様子もない。
その姿はまるで、自分が生き残る事を信じているようにも見えた。
それとも、諦めているのか。
「……約束通り、返しに来たぞ。
ムラサメを、渡せ。」
αは、厳かで低い声で口を開き、人質から大きな手を離す。
「45。」
遠藤社長は、何も言わずに2つのジュラルミンケースを差し出した。
「30。」
αは、ジュラルミンケースのうち1つを開き、ムラサメ2振りを確認する。
「15。」
護衛部隊はすぐさま人質を救出し、彼女を倉庫の外まで連れ出す。……そのうちの一人だけが、空中から迫ってくる『影』に目線を向ける。
「7。」
αはもう一つのジュラルミンケースの中身と、パーツの完全性を確認し、裏切りがなされていない事を結論付ける。
「5。」
「もう帰っても良い。」
「……っ!」
社長は走って、娘の所に駆けていく。
そして、社長を見送るαの目線が、ジュラルミンケースから離れた。
「0。」
ストンという音と共に上空から物体が落ちると、太陽を閉じ込めていたかのような苛烈な閃光が生まれ、その場にいた全員が怯む。
ズバァーン!
僕は、怪人αの頭を蹴り飛ばし転倒させ、吹き飛んだジュラルミンケースを奪った。
αは、驚きながら立ち上がる。
「はい残念。お前らがよそ見してる間にムラサメは僕が貰ったよ。」
僕はケースからムラサメを乱雑に取り出し、2振りのムラサメを両腕に持ち、残りの2振りはベルトに刺した。
見た目は、一見すると普通の日本刀に見える。
しかしそれが、連盟時代に訓練で扱った日本刀と全く違う代物である事は、一瞬で分かった。
まずその刃は不気味な程に白く無機質で、鋼の上に雪が降っているようだった。
『未だテスト段階の、持ち主すら傷つける妖刀』という説明に、信頼感が帯びる。
「既に救助隊によって、人質も救助された。
あんたらの目論見は失敗……残念だったね。」
わざとインカムに向かって、少しだけ喋る。
そして心の中で、インカムの先の協力者に対して小さくサムズアップを作る。
……これで、作戦目標の8割は完成だ。
「……馬鹿な事はやめるんだな、泥棒。
それを使えば、反動衝撃で自らも傷つく。」
αが、僕に忠告する。
「……誰かさんから聞いたよ。コレ……お前らの弱点らしいじゃん。」
僕は、構わず電源スイッチを押す。
『POWER ON MODE:LOW』
電子レンジの起動音のような、低く唸る音を出しながら、雪のように白い刀身が、ネオンの水色のように染まり、光っていく。
周りを見回すと、既に人質と社長は護衛と一緒に避難していた。
倉庫で僕と戦っていたら、追いつく事は無いだろう。
倉庫の外には、パペットナースのぬいぐるみもあったはずだ。
「使用者を傷つける……ね。だから?痛みを恐れて……誰かを救える筈も無い!!」
僕は輝く刀を握りしめ、αとβ、8人のγに啖呵を切る。
「どうしますの?殆どが戦闘員とは言え、10対2で戦うのは不利ですわよ。
しかも、その武器は反動でそう何回も使えない代物……
『高周波』を複数回飛ばして、その隙にお逃げなさっては?」
インカムから、パペットナースの言葉が聞こえる。
「悪いな、まだやる事があるんだ。
それに、反動を抑える『力』はある。」
「そのつもりなら……最後まで一緒ですわ。」
「…………ありがと。ごめん。」
……パペットナースに言葉を伝えた。
正直言って、昨日の彼女に対する言葉は……
……それを伝えるのは、全て終わらせてからにするか。
僕は、腕を後方に広げてムラサメを構える。
『高周波の斬撃が飛ぶ』武器の二刀流なら、このフォームが最適だろう。
「忠告はした。ここからは自己責任だ。
Cy08!キマイラの変形を!」
αは左腕に装備したノズル状の武器を構え、戦闘の態勢を取る。
そして、αの号令により、γのうち1人がスイッチを押すと……βの姿がガラガラと音を立てながら変形していく。
逆関節の脚、左腕には3本爪、右腕にマジックハンド、両肩にも武装が付いた1.5メートルほどの無人兵器。
……キマイラが、この倉庫に現れた。
その名の通り、奴は複数の機械が混ざった異形の姿をしていた。
「殺し合う相手には、ある程度の礼儀が必要だろう。
俺の名は、ヴォルソダイン……D7ユニットを率いている。」
「……白兎。一応言っとく。」
挨拶を交わした直後……最初に仕掛けたのは、キマイラだった。
シャキーン!
無機質なロボットの左腕に装備された三本の爪が、僕の喉を的確に狙ってくる。
この素材は、武器にも防具にも優秀なタングステン合金か!
僕はムラサメを構えたまま最小限の動きで回避し、ジャンプでキマイラに飛び掛かると、
二振りのムラサメをX字状に振り抜く!
しかし、戦闘マシン・キマイラの左腕から高速で三本爪が迫り、攻撃は金属音と共に防がれる。
僕はキマイラを蹴り飛ばし、緊急退避した。
その瞬間だった。
キィーン!
「!?」
斬撃を防いだキマイラの左腕から、斬撃と同じX字状のスパークが走る。
そして、スパークと同じ箇所に青く光るヒビが入り、左腕がバリバリと割れ、崩れていく。
ドンという音と共にキマイラの左腕が弾け、タングステン製の三本爪は使い物にならなくなる。
「LOWで、この威力……
これが、高周波の力か……うっ!」
「白兎さま!?」
体制を立て直し立つと、不快な高音と共に自分の身体にもスパークが走り、表皮と筋肉が強く痛む!
腕の先端から付け根にかけて肌が紙を破ったように裂け、血も流れていく。
確かに、痛い。
けれども、『払えない代償』ではなかった。
傷ついた僕の身体は、みるみるうちに修復されていく。
「この程度の痛み……」
「だろうな。それで終わるなら奪いに来てはいないか。」
ヴォルソダインは、ノズルに液体をチャージし、それを巨大な水の弾として放つ。
「
「白兎さま!水弾の後ろに、γ部隊6人が!」
それと同時に、D7ユニットのうちサブマシンガンを持った6人が銃弾を撃ちながら僕の前に突っ込んでくる。
「MODE:MIDDLE!」
僕は右のムラサメの出力をMIDDLEに上げ、居合のように構える!
「
ムラサメを横に大きく薙ぐと、青い衝撃波が飛び、D7ユニットと激流弾に直撃する。
激流弾は弾け、D7ユニットの兵士は……
「ひいっ……う、うわあああああああ!」
「隊長おおおおおお!!」
「ぎいやああああっ!!」
身体中にスパークが走ると共に全て爆発炎上し、総員戦闘不能になる。
それを見たヴォルソダインの仮面は、平静を保ちつつも少し戦慄しているように見えた。
「うっ……あああっ!!があっ!」
しかし、こちらの身体に走るダメージもLOW以上で、右肩と脇腹にもスパークが到達し、筋肉がちぎれ、骨が削がれる嫌な音がする。
先ほどと同じく、身体は治っていくものの、治りが遅く血は流れたまま……
更に、体内に嫌な違和感を覚える。
僕には自己治癒能力があるとは言え、MIDDLEを使って戦闘を続けられるのは3〜4回が限界だろう。
今の衝撃で、運用方法が把握できた。
通常はLOW。
敵の隙を突く場合にMIDDLE。
最高威力のHIGHは、トドメにのみ使うのが確実。
僕の前にキマイラが迫り、両肩の謎の武器から水流を撃ちだす。
咄嗟に回避したものの、鋭い水流が身体をかすめ、服が少し斬られる!
この水流は……ウォーター・カッターか!
返す刀でキマイラの腹部に、LOW状態のムラサメを突き刺す!
スパークがキマイラの内部に届き、中の機械をめちゃくちゃに壊していく!
キマイラはたまらず右腕で僕を殴り、距離を取る!
しかし、その姿は既に中破したような様相を見せていた。
「ぐっ……なるほど。」
反動も来るが、予想ほど痛くない。
ムラサメの『突き』は広範囲に攻撃を飛ばせない代わりに、反動も少なくなるのか。
「……ノズル、交換。」
ヴォルソダインは、左腕のノズルを黒いものに付け替えると……
「……
ノズルから、別の液体を撃ち出してきた!
僕は、横っ飛びで液体をかわす。
「白兎さま、着弾地点が溶けていますわ!」
僕は背後を振り返ると、液体が着弾した倉庫の壁が、ジュワーという音を立てながら溶けている事がわかった。
これは、硫酸!?
「全部避けろ……ってコトね?」
「その認識で、良いだろう。」
「複
硫酸の弾丸が、ヴォルソダインの左腕から放たれていく。
僕は、全て難なくかわす。
「どうした?当たらないんじゃ仕方ないでしょ」
「そうか?」
ヴォルソダインは右腕の装置のスイッチを入れる。
「吸引。」
すると、奴の右腕に向かって突風が吹き、射出された硫酸が空中から吸い込まれていく!
「ぐっ……」
背中に熱い痛みが来て、肌が爛れていく。
右腕の装置は吸引機……バキュームだったのか。
「俺はこの二つの機構で、貴様が倒れるまで硫酸による攻撃を続ける事が出来る。
いくら能力で傷が癒えても、身体が硫酸という異物に汚染されていけば、いずれ耐えきれなくなる。
これ以上、長話は苦手だから結論から言おう……『手を退け』
「だからさ……お前らみたいな奴に、渡す訳ないでしょ?」
右のムラサメをLOWに再セットし、ヴォルソダインに向かう!
今度は、硫酸とキマイラの援護攻撃を避ける事に集中しながら、距離を少しずつ詰めていく!
『村雨:
僕は、中距離から二振りのムラサメを『L』の形に振り、二刀流による『飛ぶ斬撃』を発動する!
先程より色は薄いが、大きな青い衝撃波が飛び、硫酸弾の大半を撃ち落としていく!
「リキッド・バリア!」
ヴォルソダインは右腕のバキュームを構えると、残った硫酸弾を吸い込み、自身の周りで硫酸の膜を展開する。
バチバチッ パァン!
「ぐっ……!」
青い衝撃波が硫酸の膜を破壊し、ヴォルソダインの胸に直撃する!
ヴォルソダインの胸にはL字型の焼傷ができ、内部の機械が露出し、奴は痛みに顔を歪める。
効果抜群だ!
しかしこちらも、破壊されたバリアの破片を含む一部の硫酸を避けきれず、肌が焼ける!
……痛みなんてものは、慣れている!実際、LOWモードの反動は、全く気にならなくなった。
しかし、問題はこの攻防一体の技……
相手は、かなりの実力者である事は間違いなかった。
僕は膝をつきそうになるも……
再び、ヴォルソダインとキマイラに向き直る。
「……スモーク持ちのウサギさんを、準備していますわ。
それに、クマさんも門の外で、不意打ちの準備を。」
手札は数・質ともに多い。
後2回は使えるMIDDLE トドメ用のHIGH
LOWモードやいつものナイフに替えての接近戦
そしてスモークと『クマさん』による補助
問題は、未だ相手が手の内を見せ切っていない点
HIGHモードの威力及び反動が未知数な点……か。
「……どうした?……まさか撃っている最中のカウンター狙いか?
……悪いが……その隙など簡単に潰せる。」
決めた。硫酸汚染で長期戦が出来ない以上、『切札』は惜しみなく切る。
「もし、これが『相撲』なら……
まっすぐ ぶち
僕はムラサメ二振りをHIGHにセットし、キマイラに向けて走る。
設定した瞬間、ドライヤーのような音が鳴り、これが他の2モードとは格の違うモードである事が分かる。
刀身の高周波エネルギーが高まり、余剰エネルギーによる白熱がこの距離からでも伝わる!
キマイラの両肩からウォーターカッターが伸び、襲いかかる!
ヴォルソダインも、硫酸ノズルで僕を狙う……
もしこのままなら直撃は必至、切り返しによる急回避が要求される。
「勝負を早まったな!白兎っ!」
その瞬間だった
「なにっ!」
ヴォルソダインの眼前に、ガラス瓶を持った白いウサギのぬいぐるみが飛び出してくる。
ぬいぐるみはガラス瓶を割ると、ヴォルソダインの顔面にぶつける!
割れたガラス瓶から黒い煙が発生し、ヴォルソダインは前が見えなくなる。
更に、キマイラの背後に大柄なクマのぬいぐるみが飛び出し、キマイラの後頭部を殴り……バランスを崩す!
「村雨:
僕は、白熱する二本のムラサメをそれぞれキマイラとヴォルソダインに突き刺し、中身を抉る!
先程の検証から……『突き』ならば、威力はそのままに反動を抑えられるはずだ。
ムラサメの攻撃がヴォルソダイン・キマイラ両名に通じる事も、実証済みだ。
ジリ貧の戦闘を手早く終わらせるには、最高威力HIGHモードで突くのが最適解……だっ!
ギリリギリリリリ——ッ!!
……刺した感触がまるで……な……い?
目測を誤ったか?
それとも、治癒によって感覚が狂ったか?
違う。『破壊音』は左右から同時に鳴った。
命中はしたはず。
だが、『感覚』が無い。
……冷静に刀を戻す。
スモークが霧散し、視界が開けていく。
そこには大量のスパークを血のように噴き出し、自爆寸前になった2体の敵が居た。
「あ……っ」
ドガン!ドキューン!!
誰のものか分からない爆発音を聞いた瞬間、視界が歪み、回っていく……
『HIGHの反動』
僕はこの瞬間、感覚が壊れた。
「白兎さま!?大丈夫ですの……?」
必死に、目を開け続ける。
ダメだ、弱いのは、弱いボクはダメだ。
勝たなくちゃ……少しでも、強くあり続けなくちゃ。
大切なものを、守れるぐらいに。
必死に開いた目で、僕が見たのは……
爆散したキマイラの破片と、変身したまま燃えているヴォルソダインだった。
「ボク、勝っ……た?」
「白兎さま!?」
訳のわからないまま立ち上がり、倉庫から出ようとした。
インカム越しに話していたパペットナースが、隠密場所を抜け出し、倉庫に駆け寄ってくる。
それを見た瞬間、ボクは倒れた。
——
次に目を覚ますと、目にしたのは白い、白い壁と清潔な床、LED、そして緑色のベッド。
そこは、病室だった。
「ここは……?」
「……目を覚ましましたわね!病院ですわ。」
隣には小学生くらいの、長い金髪の女の子……
一緒に戦ったパペットナース……結がいた。
彼女は、僕の顔を見てホッとした表情をしていた。
「……怪人は?」
「……心配しないでくださいまし。キマイラ簡易量産型は爆散……ヴォルソダインも警察に逮捕されましたわ。」
「社長と、人質の女の子は?」
「強さまと雪奈さまなら、もちろん無事ですわ。
それと……雪奈さまからの手紙も、預かってますわ。」
結は、僕に雪奈からの手紙を渡す。
"命の恩人 雛口真昼さんへ
私とお父さん、そしてムラサメが無事なのは、あなたのおかげだよ。"
"護衛と、結と、雛口さん……誰か一人でも欠けていたら、この結果にはならなかった。
本当にありがとう 遠藤雪奈より"
……とても、綺麗な字で書かれていた。
「……僕はただ……人質を取るような姑息な怪人を倒したかっただけさ。」
「テレカクシ、ですわね?」
「はぁ……」
「……そうだ、ムラサメは……」
「ムラサメは4振りとも私が回収致しました。
すべて、ケースに入れていますわ。」
……結は、病室の茶色い
そこには、例のジュラルミンケースが置かれていた。
——
同日。テロ組織アグリー・ダックリング
その基地の地下にある部屋……戦略室
「ヴォルソダイン先輩もやられちゃったにゃ……うーん、笑い事じゃないにゃ、どうしようかにゃ……」
猫耳と猫の尻尾を生やした、黒い軍服風のコスチュームを着た女怪人……キャットパルスは、その部屋で一人嘆いていた。
「先輩が量産型キマイラやユニット兵を使って負けた相手なんか、想像もしたくないにゃ……鳥肌が立つにゃ……
怖い……怖いにゃ……車軸開発部に土下座してでも大型キマイラの配備数を増やしてもらうにゃ……」
その時、戦略室のドアが開く。
ドアの先に居たのは、他を圧倒するような美女だった。
キャットパルスも美形ではあるが、『その女』はその比ではない。
まさしく、次元が違う存在だった。
床に引きずる程長くも手入れの行き届いた、ウェーブの掛かった艶やかな薔薇色の髪。
鮮やかなスピネルレッドの鋭い瞳に“骨格からして美貌を約束された”と断言される、美しい骨格とスラリとした長い美脚と抜群のプロポーションを持つ、美女。
彼女は、象牙色のバイザーを被り、黒の軍服のような制服の上着を肩に羽織った状態でシャツの第一ボタンを外し、スカートは裾上げせずに着用している。そこから見える脚を更に細く見せる為かタイツを穿いていた。
「……こ、これはこれは戦術営業部長!ほほ、本日は、どのようなご用件で……?」
キャットパルスの顔色が、露骨に変わる。
「三毛野ちゃん……ムラサメ、取られちゃったね?
どうすれば良いか、分かるかな?」
「あ、あのー 取り返しにー……」
「……失敗したら、どうなるかも分かってるわよね?」
戦術営業部長が放つ、途轍もない威圧感。
それは美形故か、それとも彼女の『能力』故か。
キャットパルスは、身体中の細胞が沸騰したかのように恐怖した。
(ひっ ひぃーっ)
声なき絶叫が、戦略室に響く。
「それじゃあね。ほんの少しだけ期待しているわよ。」
バタン。
ドアは……音を立てて閉められた。
CEOとの会話によって疲弊したキャットパルスのコンピュータに、車軸開発部の部長からメールが届く。
"ヴォルソダインの脱獄を手伝ってくれ
彼はムラサメとの交戦経験データがある、貴重な人材故……"
「うっ うう……人の気持ちを考えてにゃあ……」
GALSさんのキマイラ及び、ベクセルmk. 5 さんの、薔薇色の小悪魔(ローゼン・イビル)/禍禽・死姫(かとり・しき)を採用させていただきました!
GALSさん、ベクセルmk.5さん、素敵なヴィランをありがとうございます!
次回は打って変わって、日常回です!
現在新学期の処理もあり、来週水曜日までにお届け出来るかは分かりませんが、鋭意製作中です!お楽しみに!
キャラクター募集は、まだまだ開催中です!
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