【キャラ募集中】英雄(ヒーロー)戦記 ジェット・ウォッシャー!   作:カレーうどん赤星

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遅れてしまいましたが、投稿です!
今回も、採用者は最後に発表致します!

キャラクター募集は、まだまだ開催中です!
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第十五話 学校のデス・ゲーム!

私の名前は川藤 閃(かわふじ せん) 。私立ひびき野高校2年生。

 川藤クリーニングの一人娘で、全国ヒーロー連盟のヒーロー、ジェットウォッシャーだ。

 昨日は強化モード「アクセル」に初めて変身して、でかいトカゲをやっつけて……

 そんな私は、今……家のお布団であと10分、寝たくて……

 

「おーい、起きてください」

 

そんなこと言われたって、眠いのは仕方ないし……

 

「起きてくださいよ、寝坊しちゃいますよ、川藤さん」

「……ほえ?」

 

 起きた私は、変なものを見た。

 ひびき野高校の制服……カーキ色のブレザーを着た、茶髪の女の子。

 その髪は甲斐先生みたいに癖っ毛で、目は高校生にしては少し大人びていた。

 

「だ……誰?」

「高野ライラと申します。今日からこの家で居候になります。」

 

 彼女は、優しい口調でそう言った。

 ……彼女はスタイルもかなり良かった。

 いつもの私と同じ制服を着ているはずなのに、別の服みたいだった。

 野球部のエロ田……角田とかが見たら鼻血出してぶっ倒れるんじゃないかな

 てか、そんな事はどうでも良くて……

 

「ええーっ!?」

 私は、廊下を駆け降りて開店の準備をしている両親に直談判する。

「父さん!母さん!いきなり居候とか聞いてないんだけど!てゆーか、私に相談してよ!」

 母さんは、クリーニングした服をハンガーにかけながらこう呟いた。

「あら、ごめんなさい。でもどうやら彼女、高野……ライラさん?は連盟の人みたいよ。こないだ越してきた葉月くんみたいに水菜町に転属になったって。」

 父さんも、床をモップで拭きながら私に話しかける。

「お前、昨日帰ってすぐ寝ちまったからなぁ 疲れてるようだから起こすのも悪いと思って つい事後報告になっちまった。すまんな。」

 バイトの鬼塚さんも来ていた。

 はじける筋肉で、大きめな段ボールを運んでいた。

「閃さん……彼女とは知り合いなんですか?」

「知らない知らないホント初対面!!」

 

「というか母さん、ライラさん?が、連盟の人ってホント?私、初めて見たような……」

「あらそうなの?でもヒーロー連盟のカードを持っていたわよ。しかも金プレート……」

「金プレート!?」

 

 とんでもないことを聞き、私は飛び上がった。

 ヒーロー連盟の登録カード(プレート)の帯は、地位とは無関係に……基礎能力と撃破した怪人に応じて色が変わる。

 簡単に言うと、運転免許証みたいな感じだ。

 

 上から金、銀、銅、紫、緑、青(と非戦闘員の橙と、練習生の白)

 金プレートはヒーローとして、最上位の戦闘能力を持つと言って良い。

 ヒーローを志す者の大きな憧れの一つで、ステイタスだ。

 そういう私は半年前に緑プレートになったばかりだから、4ランクも違う……

 

「って、なんで金プレートの人が緑プレートの私の家に居候を……?能力規模的にも別行動でしょう?」

「それがねぇ……」

 母さんが少し首を傾げながら話すと、高野さんが階段から降りて、とびっきりの笑顔で私に話しかけてきた。

 

「それはズバリ、貴女!ジェットウォッシャーを、護衛する任務ですよ。」

「えっ!?ち、力になってくれるのは嬉しいけど……」

 

 いや、確かに心許(こころもと)なかったのは確かだけれど、ヒーロー仲間達との出会いのおかげで、私も強くなってきたはずだ。

 超巨大なアシッドデューだって、鉄工所を襲った悪魔帝国の連中だって、仲間と協力し倒す事ができた。

 今はもう、護衛までもらうほど追い詰められてはいないはずだ。

 

 しかも彼女と私は初対面だし……そこまでして貰えるほど何かした覚えがない……まったくない。

 じゃあ、連盟側の指示?……連盟って結構な人手不足なのに、水菜町だけに金プレートのヒーローを回すなんて、あるのか?

 かなり強い葉月くんが、助っ人として来てくれたばっかりなのに?

 

 じゃあ、練度を上げるための臨時の教官として、偶然選ばれたとか?……うん、多分そうだよね。

 とりあえずこれに決めた。有り難い事じゃん。

 胸を借りるつもりで行こう。

 

「あ、ありがとうございます!」

「?」

 そう言うと、高野さんは首を傾げながら、どこか不思議そうにリュックに教科書をつめていた。

 

「閃ー?早くしないと学校遅れるわよ?」

 母さんに言われて、ハッとして時計を見上げると……

 えっ……もうこんな時間!?

 私は焦って準備を進めると、日焼け止めを塗り忘れそうになりながらも、挨拶して玄関を出た。

 ——

 そうして二人で談笑しながら、学校に登校していると、見知った顔が見えた。

 所々白混じりの黒髪で、まばらな髪型をしていて、光がない黒目をした、痩せた少年……

「静希くん!おはよう!」

「閃……おはよう。」

 彼は優しい声で、私に挨拶を返してくれた。

「川藤さん……あちらの人は?」

「静希(しずき)透(とおる)!私のクラスメイト!優しくて、いい子だよ!」

 

「……どうも。」

「私は高野ライラ。今日からこの学校に来た転校生です。」

 

「……よろしく、お願いします。」

 静希くんは、どんな時にでも礼儀正しい。

 けれど、いつもなんとなく疲れているような感じがして、そこが心配だ。

 

「せっかく会ったコトだし、3人で高校まで行こうよ。」

「……えっ?」

 私がそう誘うと、静希くんは少し驚いたように見えた。

 

 ——

 

 いつもの通学路。

 いつもの校門。

 いつもの廊下を通って、

 3人一緒に3階の2年A組の教室に着く。

 

「ぐはあっ!」

 あっ、3階の廊下で高野さんを一目見たエロ田……角田くんが、顔を真っ赤にして鼻血だしてる……大丈夫かな。

「あちゃー……大丈夫かエロ田ー?しかし、しっかり見る前に失神するなんて勿体無いヤツだな。」

 一緒に歩いてた肩幅の広い前沢くんが、失神した角田くんをかばって保健室に連れて行った。

や、やっぱり……とんでもないスタイルの良さだ。

 

「閃、透、おっはよー!……あれ?そこの子はダレ?」

「初めて見る顔だな……俺と同じ転校生か?」

 そして、いつもの由美子と、いつもの葉月くんが教室にいた。

 

 教室に入った瞬間、高野さんにクラス中の目線が集中する。

「高野ライラです。今日から、このクラスに入ることになりました。よろしくお願いします。」

「私の友達!ウルフカットの男の子が葉月宗介で、ピンク髪の子が星野ゆ……」

 

「おおーっ!!」

 その瞬間、みんなが騒ぎ出す!

 まだ、紹介の途中だってばーっ!!

 

 この間、葉月くんが来た時みたいに、口々に質問を連発していく。

「ライラさん、どこから来たのー?東京!?」

「そのアクセ教えて!」

「静希、川藤、高野さんと仲良いのかー!?」

 

「皆さん、静かにしてください!!」

 牧 静子……彼女の鶴の一声で、みんなが静かになる。

「「「はーい……」」」

 

 でも、彼女の声は、心なしかほんの少し震えていた……

 牧さんは……現生徒会長の紫月さんとの投票に負けて、役職なしになっちゃってから、自信がないみたい。

 ……心配だなぁ、今度、ケーキ奢ってあげようかな。

 紫月さんも生真面目で面白くて良い人だけど、真面目さなら牧さんも負けてないと思うんだよなー。

 

 そんなこんなで、みんな大人しく席に着いて、担任の野口先生が教壇の前に来て、ホームルームを始めようとした……

 

 その時、だった。

 

 ウィーン!ウィーン!ウィーン!

 

 謎の機械の駆動音が、私の耳に入ってくる。

 教壇のテーブル部分が、縦に割れて変形する。

 中からはモニターが出てくる。

 

 そのモニターは、一瞬、砂嵐を表示した後に……

 黒いフードと仮面を被った、謎の人物の顔を表示した。

 

「ひびき野高校の皆様、ごきげんよう……

 アグリー・ダックリングです。」

 

「な、なんだあっ!?」

 いきなりの事に、野口先生が腰を抜かす。

 というか、私も腰を抜かした……

 

「あの襲撃作戦、まだ途中だったんですよ?

 それなのに、忌々しい狼少年どもに邪魔され……最悪です。」

 

 ……プロフェッサー・13による襲撃作戦の、リベンジ?なんて、執拗な……

 

「君達が学校から出る方法はただ一つ。我々が、各教室に配置した『ゲーム』をクリアする事だ……」

 

「さっきからうるせえぞ この野郎!ゲームだと!?

 くだらん!こんなもの、戸を開いて帰ればいいだけだ!」

 

 校則違反の下駄を履き、ブレザーのはずの制服を学ラン風に改造し、足を組んで椅子に座っていた、番長の斎藤くんと、同じ事に気付いた数人が、椅子から飛び降りてドアに走る。

 

「ドアシャッタースイッチ、入れま〜す」

 

 その瞬間だった。

 ガシャーン!教室前後のドアの前と、窓ガラスの前に金属の壁がせりあがり、斎藤くん達を阻む。

 

「チッ、こんなもの!」

 斎藤くんは金属の壁を本気で殴る!その腕の太さは電柱並みだ!

 商店街のジムでも、250キロのバーベルを挙げていた!パンチだけなら最強クラス!

 無能力者ながら、連盟のスカウトが来たなんてウワサだ。

 「ワシを連盟に入れたいなら、金プレートを持って来い!」って言って、追い返したようだけど……

 パワー全開の斎藤くんが殴ったら、こんな金属の壁なんて!

 

「ぐうっ!」

 

 ……キズ、一つ付かない……??

 それどころか、斎藤くんは痛がっている。

 

「ムダですよ? ループスの爪でも傷が付かないものを調達しておりますからねェ……

 ……さぁ、ゲームを始めましょうか?」

 

 硬度の例えに、葉月くん……ループスの名前が挙がった。

 連中は、プロフェッサー・13を倒したループスを集中的に狙っているのかもしれない。

 

「後、不適切な場面で変身なんてしたら、そのヒーローには……イカサマとして『ペナルティ』を加えさせていただきますよ?

 分かりましたね??では、ゲーム2・A『姫の影の護衛』、スタート!」

 

 モニターからそんな言葉が流れると、私たちの机にパソコンのようなモニターと、籠手のようなコントローラーの二つが競り上がってきた。

 

「……なんだ、コレ?手袋?」

 

「さあ、席に着いてください!」

 モニターの相手がそう言うと、椅子から金属のアームが伸びてきて、私達は強制的に自分の席に着席させられる!

「ぐえっ!」

 私はジェットギアが入ったスクールバッグを死守し、椅子に着席した。

 

 そして、それぞれのモニターの電源が付き、黒背景に白文字で、メッセージが表示される。

 "コテヲ ソウビシテ クダサイ"

 

「コテ?これでござるか?」

「よせ中村!こんな連中の言う通りにしたら、碌な目に遭わんぞ!まずは警察と連盟に通報し……」

 斎藤くんの制止を聞き切る前に、ヒーロー研究会の中村くんが籠手をはめる。

 

 "ソウビニンズウ 1/32"

 すると、先程の表示の下に、装備人数が示された。

 

「斎藤のアニキ!携帯の電波が通じません!」

「どうやら……本当にクリアしないと出れないみたい、ですね。」

 牧さんが、アームに引っ張られたせいでズレたメガネの場所を直す。

 私達は観念して、籠手に腕を通した。

 

"ゲーム スタート"

"WIN:ヒメガ ゴールマデ タドリツク"

"LOSE:ヒメガ キケンニ フミコム"

 

 この表示と共に、画面が切り替わった。

 それまでのDOS時代のような画面から、いきなり、最新ゲームのような画面に……

 そこには、柴犬を擬人化し、綺麗なドレスとティアラを付けた、お姫様のような茶髪ツインテールヘアのキャラクターが表示されていた。

 柴犬を擬人化……と言っても、かなり人寄りで……なんというか、萌え萌えしてる感じだった。

 

「こんにちは!私、プリンセス・ドージ!私は今から、お城を抜け出して、お散歩するのー♪」

 鈴を転がすような、きれいな声……

 どこかで、見たような……

 

「あっ、コレって兄さんが好きな!」

 

 由美子が反応する。

 ……思い出した、由美子の兄(超超超イケメン)がグッズをひたすら集めてた、あの萌えキャラクターだ!

 彼は、リーサルコマンド?っていう変な治安組織の隊長に選ばれてから、滅多に家に帰れていないみたいだけど……

 由美子は、グッズを全部、大事に保管しているみたい。

 

 次に、羊を擬人化した、執事のようなキャラクターが出る。

「はあっ はあっ……姫様ー!どこですかー!?

 ううん……また、城を抜け出してしまったようですね……仕方ない……」

 羊の執事は、こちら側に話しかけてくる。

 

「……どうやら、姫様はお城を抜け出して街へ出掛けてしまったらしいです。

 ですが、外には『魔物』が居て、大変危険です。

 そこで、あなた達にお願いがあります……!

 その『天の籠手』を使って、道にアイテムを置く事によって、姫様を城まで導いていただけませんか?」

「アイテムには使用個数に制限がありますし

 それぞれ曲者ですが……あなたなら、使いこなせると信じています!」

 

「了解でござる!不肖、中村慎吾、姫様を護衛させていただきに参る!」

「なんで中村くんが仕切ってるの?」

 

「ピクニックも終わったし、お城に帰ろっかなー!」

 プリンセス・ドージの台詞と共に、将棋盤のようなグリッドが表示され、そこに街道や森や平地、草原や川を表すマスが嵌め込まれ……一番左下のマスに、プリンセスの可愛らしい3Dモデルが設置される……ゴールの城は、右上だ。

 

「クキキキキ 姫様にイジワルしてやる!」

 次に、敵キャラの魔物がまばらなマスに追加される。

 さらに、マップの左のUIには、縮小表示で30個ほどの同じようなマップが示される……

 これは、他のみんなのマップか……?

 

「さぁ!帰るぞー!」

 姫様は、勝手に森の近くの道へと歩き出す。

 ……そこには……まずい!断崖絶壁だ!

 上のUIから、柵に指を指して、それを持ってきて……

 

「待って!皆、柵は違うでござる!橋を!」

 中村くんのその言葉を聞いて、もう一度盤面を見る。

 絶壁を柵で避け、姫が通るであろう道に魔物がいる!

 絶壁の先に繋がる道には、逆に宝箱がある!

 

「……ありがとう、中村くん!」

 私は橋をかけ、姫を渡らせてあげた。

 その先で姫は、宝箱を見つけた。

 

「わぁ、ステキな宝箱!何が入ってるんだろう……!」

 宝箱の中身は、ドレス型の鎧と、きらびやかな宝剣だった!

「かわいい〜!これ着て帰ろっと!」

 

 姫は、鎧と剣を装備した。

 その次に見えたのは……なんと、汽車の通る、丸出しの線路だった!

「あそこにある、ジャリ道はなんだろう……フミフミすると、おもしろそー!」

 マズい!姫が興味を持った!

 私はバネを指差し、線路の前に置く!

 姫は線路を飛び越え、華麗なバランスで草原に着地した。

「わーい!バネ、おもしろーい!もう一回……」

 ゲッ、線路に戻りそうになってる!

 私は線路の手前にもう一つ、同じ方向のバネを置いて姫が線路に侵入するのを防いだ。

 

 この線路への回答は、先ほどとは違い人それぞれだった。

「ふぅ……おてんばなお姫様ですね。

 鉄道なら普通、柵で囲っておくべきです……踏切ならば別ですが。」

 柵をふんだんに使って、姫の侵入を防ぐ牧さん……

 

「ええい!何が『そのマスには設置できません』じゃ!姫が通った後は勿論回収するわ!」

 線路の上に障害物を置こうとして、ゲームに止められたのでキャンディを設置して、姫を左に誘導した斎藤くん。

 

「この手が一番でござる。」

……『モグラ』を選択し、線路の下に穴を掘って、姫をくぐらせた中村くん。

 

 各自色々な回答をして、別々の道に進ませてしまった。

 その後のギミックでも、分岐し……

 

 数分後……いつの間にか、みんなバラバラな場所を歩くようになってしまった。

 

「だ、誰か、助けてー!」

「由美子!」「星野さん!」「星野!」

 クラスの皆は、由美子の方を見る!

 す、すごい焦ってる!?

 私は焦って、由美子のものらしき縮小画面を見た。

 ……!?

 由美子の姫は、魔物と岩山に囲まれた場所に入ってしまっている!

 

「バネ!バネだよ由美子!飛び越えるんだ!」

「ば、バネ?」

 由美子は焦りつつもバネを選び、姫に踏ませる……

 しかし。

 

「ひょえーっ!!」

 姫は岩山に背中から激突し、ドンという音と共にサメの魔物の前へ滑り落ちていく。

 そして、姫と魔物が接触し……

「キャーッ!」

 

 "GAME OVER!"

 姫の悲鳴と同時に、由美子のモニター画面が暗転し、籠手とモニターを繋げていたコードが、自動的に抜ける!

 

「や……やられた えっ……私、どうなるの……?」

 

 由美子が、ゲームオーバーになってしまった。

 しかし私達は『ゲームオーバーになった時』の事を聞かされていない。

 

 ……この勝負を仕掛けてきたアグリー・ダックリングは、ひびき野高校やヒーロー連盟の訓練棟を襲撃してきた、恐ろしい組織だ。

 私は、空いている左手でスクールバッグに手を入れた。

 誰かを殺す気なら、『ペナルティ』なんて、言ってられない。

 ジェットギアでジェットウォッシャーアクセルに変身して……

 

「ひえーっ!」

 !?由美子の悲鳴!私はジェットギアを取り出し、変身の準備を……

 

「装着 変s……」

「まって、閃!だ……大丈夫!大丈夫じゃないけど!籠手が抜けなくなって、左腕が……動かないだけ!」

 

「どういう事!?」

 私は由美子に、訳を聞く。

「ゲームオーバーになった瞬間、ビリビリって電気みたいな感覚があって、それで、籠手を外そうとしたら……外れなくなっちゃったの!しかも、左腕が包帯でぐるぐる巻きになったみたいに、動かなくなって……」

 

 中央のモニターから、先ほどのフード仮面が話しかけてくる。

「ククク……正解です。今回の罰ゲームは『腕の封印』!

 ゲームオーバーになった者の籠手は手枷となり、一切動かなくなります!

 ……無論、解除方法も『別で』用意してありますがね!」

「つまり……私の腕を人質に、私達にもっと危険なゲームをさせようってコト!?」

 由美子が憤る。

「あらあら、我儘なお方だ……そこは、これがその『危険なゲーム』でなくて、良かったと喜ぶ所じゃないんですか?」

 

「……ゆ、由美子……ごめん!」

 私は、誤った指示をしてしまった由美子に謝る。

「大丈夫だよ!閃!由美子様はこの程度へっちゃら!へこんだりしないのだ〜」

 

 その言葉で、私は自分の画面に向き直る。

 状況は簡単。後はこの湖の上の橋を渡れば、お城に着ける……大丈夫……なはず!

「川藤さん、橋が!」

 その時、高野さんが声を上げる。

「く……崩れた!?」

 橋が、一瞬のうちに崩れた!!

 まずい、鎧を着けたままだと、溺れてしまう!

 私は焦りながら、使えそうなアイテムを探す!

 

 ダメだ!鎧を脱いでくれるようなアイテムなんて、ない!ここまでの道筋で使えそうなアイテムは使い切ってしまって、変なカエルと、ラーメンと、ブラジャー?とパンティ?と、手紙と、水鉄砲と、小さなバッグしかない!

「川藤さん!水着!」

「はっ……」

 

 これ、ブラジャーとパンティじゃなくて、水着だ!

 泣き別れになっていて気づかなかったが、高野さんの一言で気がついた。

 

 私は水着をそれぞれ置いて、姫に着替えを促す。

「かわいい水着〜! 鎧の下に着て、両方持ち帰ろ〜っと!」

 

 ひ、姫様?何してるんですか……?

 私はこんなもので鎧をしまえるとは、とても思えないけれど……バッグと、水着を着るのを促せるかもしれない水鉄砲を姫様の前に置いた。

 

「あら?これは……ワープバッグ!

 私の家の宝物庫と繋がっている、優れものだよね!それが、どうしてこんな所に?」

「それに……水鉄砲!あっ、私良い事を思いつきました!ここで鎧をバッグにしまって、一人で水鉄砲遊びしちゃお〜っと」

 

 ……なんと、正解だった……運が良すぎる。

 姫は数秒一人水鉄砲をした後、すぐ飽きてお城に向かって行った。

 

「姫様!心配しましたぞ!」

「えへへ、冒険しちゃった〜」

 

 お城に着くと、執事が姫に抱きつき、『GAME CLEAR』の表示が出た。

 

「やっ……た。」

 どっと、疲れた。

 エンディングとして、お城に帰った姫の、一家団欒のCGアニメ映像が流れた。

 暖炉のそばで温まる姫と、それを見て安心する家族……

 そんな場合じゃないのに、少しウルッと来てしまった。

 

 家に……川藤クリーニングに帰りたい。

 そして、みんなを無事に、家に帰したい。

 胸の奥で、その思いが強くなった。

「閃……おつかれ。」

「ありがとう、静希くん……」

 

 彼もエンディングをながめていた。

 けれど、その顔は何だか複雑そうだった。

「……家族……僕の、家族……」

 

 私達は、一緒に苦戦中の斎藤くんにアドバイスを送り、由美子以外のゲームオーバー者を出さずに、『姫の影の護衛』のクリアを達成した。

 

「クリアしたぞ!早くクソッタレの壁を下げ、星野の腕を解放せんか!」

 斎藤くんは、クリア後すぐさまモニターに向かって怒鳴りつける。

 すると、言った通りに金属の壁が降りていく。

 

「やっ……た?」

 静希くんが、狭い所から解放され、少し安堵したような顔になる。

 

「……皆様、ゲームクリア、おめでとうございます!

 しかし我々のゲームは、これだけでは終わりません!

 次は『体育館』や『理科室』『技術室』『美術室』『家庭科室』などの第二ゲームで、他のクラスの皆様と、お待ちしていますよ……フフフフフフ……!」

 

「そして希望者のみ、このゲームの『ハードモード』のプレイを認めます。ハードモードと、その報酬を望む場合は……再度、籠手を付けてください!」

 フードマスクは、嘲り笑いながら、話し続ける。

 

「……皆の者……拙者はここに残り、ハードモードを遊ぶでござる。」

「えっ!中村くん 危ないよ!」

「中村さん……あの人は『報酬』としか言っていません……星野さんの腕が戻ってくるかは、不透明です……」

「そうだぞ中村!さっきと罰ゲームが違う可能性もある!」

 私や、高野さんや、葉月くんは……中村くんを必死に止める。

「それでも……星野殿には、ヒーロー同好会のポスターを描いてもらった恩があるでござる。」

「な、中村くん……!」

 

 由美子の目が、中村くんの行動に潤む。

 

「……拙者はここで、一人で戦うで候。

 星野殿は、皆と一緒に第二ゲームのクリアを目指すでござる!」

 

「分かった……!みんな、行くよ!」

「おーっ!」

 そして、私達は開いた廊下から、第二ゲームを目指した。

 ——

 

「白夢さん、先程のゲーム……お上手でしたね。尊敬します。」

「ありがとう、牧さん!褒めてくれて嬉しいよ!」

 牧さんが、私と反対側に座っていた白夢くん……白夢(しらゆめ)ユウを褒める。

 

 彼は社交的で、コミュ力が高くて、誰にでも優しくて……そして……光の加減で変わる髪色、極彩色の瞳を持っていた。

 その姿はまるで、生きる宝石だった。

 私の銀髪も、突然変異で珍しいけれど……彼のその見た目は、その比じゃない。

 

 しかも、ヒーロー連盟にも所属してるヒーロー……らしい。

 なんでか知らないけれど、活動記録を一件も知らないんだよね。

 準急マン師匠とかと一緒に、広域で活動してるのかな?

 

 そうして、廊下に出た私達は……5つの班を作って、分かれることにした。

 私と、牧さんと、静希くんと、白夢くんは『理科室』に。

 高野さんと、野口先生と、斎藤くんと、樽井くんは『美術室』に。

 葉月くんと2年A組の野球部員3人は、『保健室』にいるはずの角田くんを助けに。

 その他の志願者達は、3ーCの野良ヒーロー……小笠原さんと合流し『体育館』に。

 由美子とか、残った子達は、別クラスの人との情報交換や、警察及び連盟への通報の施行に……それぞれ向かった。

 

「私は、川藤さんの護衛ですけど……」

 高野さんが、私と離れることを少し拒否する。

 どうやら、私の護衛である事に……本当に、何か理由があるみたいだ。

「ゴメン。戦闘能力を持つ人はバラけさせた方が良いと思って……」

 

 この区分けは、比較的安全な情報交換・通報チームを除けば、ヒーローを一人ずつ分配している……はず。

 もしかしたら、誰かが秘密の野良ヒーローでした〜 とかはあるかもしれないけれど、きっと考えすぎだ。

 

 窓は、金属の壁で閉じられ続けている。

 外は見えないけれど……もしかしたら、すでに警察や連盟が動いているかもしれない。

 

「ごめんね……」

 由美子が、私に謝ってくる。

 由美子もゲームに志願したけれど、腕が動かないから……斎藤くんの舎弟の、樽井くんが代わりに出る事になった。

「大丈夫。私……ヒーローだから!」

「いつも、ありがと……任せた。」

 

 私達は、由美子達と別れ理科室に向かい……その途中で、2年C組の集団と合流した。

 

「皆さん、無事だったんですね!」

 牧さんが、集団に笑顔で駆け寄る。

 

 いつも廊下を走るなって口酸っぱく言ってるのダレだよっ

 ……と、突っ込みたくなるが、仲間の無事を知れば、駆け寄りたくなる気持ちもわかるので、私も駆け寄った。

 

 そして……その先頭で、とても頼もしい人を発見した。

 

 ツンツンした赤髪にオレンジ色の目が特徴で、程よく日焼けした健康的な肌と、高校生にしては鍛えている程度の筋肉をした、身長177cmほどの少年……

 サッカー部のエース……東(あずま)太陽(たいよう)が、そこには居た。

 彼は、ちょっと抜けているが、とても真っ直ぐで……常にやる気に溢れている その名の通り太陽のような人だ。

 私も、水菜町で迷子になってしまったお婆ちゃんを一緒に助けた事がある。

 

「牧さん……彼のこと、知ってるの?」

 静希くんが、東くんについて聞く。

 どうやら東くんとは初対面らしい。

 

「はい!サッカー部としての東さんも勿論ですが、一緒に老人ホームや病院でボランティアもやった事がありますよ……!やはり、とても真っ直ぐで素直な人です。」

「そう言われると、照れるなー!

 オレは東 太陽!趣味はサッカーと、普通のゲーム!困ったことがあれば、何でも言ってくれよなっ!!」

「し……静希 透です。よろしくお願いします……」

 東くんは、静希くんと握手する。

「透!いい名前だな!これから、宜しくな!」

 

 私達は、数分ほど理科室のゲームに挑む人を待ち……

 伝令係の子から「理科室のゲームに来る生徒はこれで全員です」と言う伝令を受け取り、理科室に入っていった。

 

 次は、どんなゲームが待ち受けているのだろうか……?

 私は、ゆっくりと理科室の電源を付けた。

 

 ——ひびき野高校 校庭

 校庭は、すでに警察車両、更には自衛隊車両に包囲され……

 上空には、全国ヒーロー連盟の多用途ヘリコプターが飛んでいた。

 陸上自衛隊でも使われる、ブラック・ホークだ。

 

 そのブラック・ホークから、一つの影が飛び降りてくる。

 猫耳のついた帽子と黒い外套を纏い、黒いマスクを着用した、癖毛が特徴的な黒い髪の少女。ジト目で、歯はギザギザで、瞳は黄色。

 

「ノクアール到着。お仕事開始する」

「すんまへんな……ノクアールはん。同時に複数の学校で事件が起きてて……ここにはノクアールはんと補助ユニット数人しか展開でけへんのや。」

「やまださん。ノクアールは大丈夫。」

 ノクアールと呼ばれた少女は、連盟のパイロットと通信で話す。

 

「……ありがとう。ミッションは3つや。

 このそびえ立つ防壁を通り、ドローンや危険なトラップを破壊・回収……そして、生徒の命を守ったってな。頼むで。」

「ノクアールは勿論了承する。生きる全ての命を救い出す。それがヒーロー。」

 

 ノクアールと一緒に降下した数名の補助ユニット及び、突入した警察官・自衛官は、壁の下を掘り進み、第二校舎へ進入しようとする。

 

 そして彼女は、特殊金属による防壁に包まれたひびき野高校の第一校舎に向かって走り出し、壁と壁の区切りの前で立ち止まった。

「ここ。隙間。」

 そう言うと、彼女の身体が粘土のように変形し、薄く伸ばされていき……隙間から壁を通過した。

「最高。ノクアールはすごい。」

 

 ノクアールが壁を通った後、空中では操縦士の山田が、連盟の司令と会話していた。

「ご苦労様。アグリー・ダックリング……許しがたいね。山田くん。」

「司令はん おおきに。

 本当ですわ……何の為、奴等はこんな凶行に走るんやろか?

 ……あの事件の関係者も、あの組織に入ってるさかい。ホンマ胸クソ悪いわ。」

「私も奴等を『あの企業』と繋げる証拠や、連盟内部の裏切り者を白壁くんや警察と調査中だ。

 ……裏切り者に、バレていなければ良いが……」

「裏切り者……か……辛い話や……

 早よ裏切り者を全員消さな 連盟のヒーロー達に申し訳ないし 甲斐はんも浮かばれんわ」

 

山田は、悔し涙を浮かべながらヘリコプターを回転させ、連盟第六支部に向ける。

 5分後、空中で指令から通信が入ってきた。

 

「山田くん……帰ってきたら、もう一つ……仕事を受けてくれないか?白壁くんの調査で1人、裏切り者が判明した

 ……すまないね……明日と明後日は、有給とする。」

「……ムギはんに、嫌われるな。

 彼女の言う通り……どんなに許し難い悪党でも、命を奪ったらそれ以上の極悪や。」

「ムギくんは、暖かいね……だからこそ、その善を踏み躙る『裏切り者』は……」

 

司令の声が止まる。

 自らの矛盾。そして独善。不正義。

 無意識に、その正当化に、ムギ・コクビョウ……ノクアールを使おうとしてしまったからだ。

 

「……同じ手段(アンサツ)に頼った時点で、裏切り者も、私も、悪魔だ。

 山田くん……この事件が終わったら、私も消してくれるかい?」

「……司令はんは無理や 僕が今日まで連盟に居るのも 司令はん達善良な上層部が支えてくれたからや」

「勿論 冗談さ……

 ……気をつけてくれ……健闘を祈るよ。」

 

 司令は、通信を切った。

「……山田くんの罪を 私なんかのために増やすなんて 道理が通らないだろう?」

 その独り言は、通信に入らなかった。




ヒーロー募集から、
アルキメです。さんのノクアール/ムギ・コクビョウ
金銅日さんのオーブソレイユ/東(あずま)太陽(たいよう)
モフモフ毛玉さんの夢の支配者(ドリームルーザー)/白夢(しらゆめ)ユウ 及び ライラック/高野(たかの)ライラ

ヴィラン募集から モフモフ毛玉さんの罪人/静希(しずき) 透(とおる)

そして、ゲーム募集からGALSさんのゲーム『姫の影の護衛』を採用させていただきました!

皆様、素敵な投稿をありがとうございました!
デスゲーム編は、あと1〜2話続きます。
さて、次に採用されるゲームは何か!?楽しみにしておいてください。

キャラクター募集は、まだまだ開催中です!
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=341332&uid=494447
(↑ヒーロー募集はこちら)
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=341510&uid=494447
(↑ヴィラン募集はこちら)
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