【キャラ・台詞募集中】英雄(ヒーロー)戦記 ジェット・ウォッシャー! 作:カレーうどん赤星
北凍武人さんの『魔法少女ピュアピュアごっこ』
ヒーロー・ヴィラン募集からGALSさんのセイレーン/長谷井 恋歌(はせい れんか)を採用させていただきました!
素敵なアイデアを、ありがとうございます!
本当に申し訳ございません……
期日までに完成させられませんでした……
私の名前は
川藤クリーニングの一人娘で、全国ヒーロー連盟のヒーロー、ジェットウォッシャーだ。
そんな私は、今日……学校に行ったら、学校が悪の組織『アグリー・ダックリング』に支配されていて、奴らのゲームを受ける羽目になって……
クラスメイトのみんなと1個目のゲームは突破したけれど、理科室でやる2個目のゲームは何が起こるかわからない。
「しかし不気味だよねぇ いつもより防犯カメラが増えている まるで監視されているみたいだ。」
白夢くんにそう言われると、確かに違和感を感じる。
いつもならカメラがなかった場所に、何故か追加で付いているカメラ……
恐らく、アグリー・ダックリングが設置したものだろう。
「アグリー・ダックリングは『犯行映像』をアップロードする事でも有名ですからね
学校の他にも野球場や、連盟の訓練施設等も狙っていますし、わざと『目立とうとしてる』気がしているような……」
牧さんが、冷静に付け加える。
確かに謎めいている。
理想を持ってテロをするなら、こんな……わざと民衆からの憎しみを買うような事はしないはずだ。
「ま、そこは良いだろ!
問題は……次のゲームだっ!」
東くんが先陣を切って、理科室のドアを開ける。
そこで待ち受けていたのは……
『碁盤の目』だった。
「ヨウコソ!チャレンジャー!ココハ第二陣『迷路陣取り』!」
ブオオオーン
アナウンス、そして法螺貝の音共に理科室に電灯が灯り、変わり果てた姿が目に焼きついた。
理科室は広い迷路の空間に改造されていた。
そのほぼ全てがマス目と黄色いアクリルで出来た、半透明の壁で区切られ、少ししか見えず……空間も、タテヨコそれぞれ2倍ほどに拡張されていた。
壁には、どこかの武将の家紋?のような、紋章が刻まれていた。
うろ覚えだけれど……確か、北条家?だったかな?
私達は、一人ずつ理科室に入っていった。
……その度に、『ピピッ』というブザー音が鳴った。
「……なんだろう……この音……」
静希くんは、このブザーに警戒していた。
理科室の前で待機していた生徒が、次々と乗り込んでいく。
「俺も俺も〜」
16番目に、東くんの右腕と言われている、サッカー部のセンターバック、栗原くんが理科室に入ろうとした。
次の瞬間だった!
「規則:この遊戯の定員は15人まで。
……16人目は『人質』となる。」
「うわーっ!?」
栗原くんが理科室の床の一マス目を踏んだ瞬間、彼を捉えるように檻が落ちてきた。
「栗原ッ!?今助ける!」
東くんは、栗原くんを助けようと檻に向かって走り出す。
檻をちぎろうと、触った瞬間!
ビリビリーッ!
発光と共に、檻に電流が流れた。
「ぐっ……ぐわーっ!!……だけど、関係ない!!」
「東くん!」
東くんは、感電によって身体中痛みながらも、タックルをして檻を壊そうとする。
私もその姿を見て、フラスコを支える支柱を持って、檻に殴りかかろうとした。
「規則を破るのはやめたまえ。ゲームオーバーを早めてしまうぞ?」
すると、理科室のモニターに、先程のゲームとは違う誰かが表示された。
灰色のスーツを着ていて、偉そうだった。
「彼は、今回のゲームの『人質』だ。
君たちがゲームオーバーになったり、規則を破るような事があれば……分かってるな?」
「……!」
東くんが、唇を噛み締める。
「それでは、『奴』が作ったゲーム……『迷路陣取り』の説明をしよう。」
「規則:この空間の何処かに旗が三つ立っている、その旗を探し出して全て取り、我々が操作する15機の機械兵から守り切る事。」
「君たち15人は『装備』を一式受け取った後、迷路のランダムな場所に割り振られる。
そこを起点に、3つの旗を探し、それぞれ『押し込んで』確保し、30秒経過すれば君たちの勝ち……そこに捉えた『栗原智也』クンは解放してあげよう。」
「補足だが……『押し込んだ』者は、押し込んだまま動くなよ。
動けば、得点と判定されない。」
「しかし、こちら側は機械兵を用いて旗を逆に『引っ張らせて』貰う。
同様に3つの旗が引っ張られたまま30秒経過すれば、ゲームオーバー……彼はこちらが回収する」
「栗原……ッ」
東くんが、舌を噛み締める。
その表情は、とても真剣だった。
「太陽!俺の心配は無用だ!ゲームにだけ集中すれば良い!捕まっても、サッカーで鍛えたフットワークで脱出できる!」
「おやおや、大ピンチだね?……アグリー・ダックリングといえば、悪逆非道のテロ組織じゃないか?
栗原くんがそんな所に捕まったら……死んじゃうかもね。」
「……そうはなりません!私達が、絶対にさせません!」
牧さんはそう言うけれど、足が少し震えていた。
「では、始めようか?
3つある武器から、好きな物を1つ選んで、ヘルメットとチョッキをつけてくれ。」
スーツの男にそう指示されると、背後から棚が迫り上がってきた。
そこには……槍、弓矢、刀の三種類のゴム製の武器と、
人数分のトランシーバーと、ヘルメットと防具が備え付けられていた。
「じゃあボクは、刀!カッコいいでしょ?」
「……私は、弓矢にします。
近接戦では、何が起こるかわかりません。」
「……槍にする。待ってろ、栗原……ッ!!」
白夢くんは刀を、牧さんは弓矢を、東くんは槍をそれぞれ持った。
えっと……えっと……私は……
C組チームもどんどん決めているが、迷ってしまう。
私がいつも、ヒーロー活動で使っているのは『高圧洗浄機』だ。
もちろん、そんな武器が置いているはずもない。
「……刀……が、良いんじゃないかな?閃は姿勢が良いから、素早く振れる……と思う。」
その時、静希くんからアドバイスを貰った。
「うん、ありがと!刀にしてみる!」
私は、刀をとって、ヘルメットを被った。
「……閃……このヘルメットとチョッキ、頭と胸に無駄な装飾がついてる。」
静希くんは、ヘルメットを手に取ってランプのような物を指差す。
……ホントだ。
なにか、ゲームの『弱点』みたいなものが付いている。
これは、なんなんだろうか……?
数分後、15人全員が装備を装着し、揃った。
「全員揃いましたね?
それでは、転送させて頂きます。」
モニター越しのスーツの男がそう言った瞬間、私達の地面が光りだし、私たちはそれぞれ迷路の中に飛ばされた!
ヒュン……
刀を持った私が降り立ったのは、中央付近……?だった。
部屋まで極端に広くなっていて、確信は持てないが、いつもの理科室の構造からすると……おそらく、そうだと思う。
周りには誰もおらず、半透明の壁に囲まれていた。
そして、ニュートンの肖像画?の下に、教卓を積んだ妙な高台が見えていた。
アレは、何なのだろうか……?
少し、見られているような感じがする。
トランシーバーから、東くんの大きな声が入ってきた。
「こちら東!誰か、聞こえるか!?
オレは、静希と合流した!……場所は……顕微鏡置き場の前だ!」
「こちら川藤!私は……」
返事をしようとした瞬間、槍を持った機械の兵隊が私の前に飛び込んで来る。
ウイイイーン!
機械兵は私の胸にあるランプに向かって、一直線に突きを仕掛ける。
……早い!まるで、銃弾のようだ!
ガ キ ン !
しかし、私はその攻撃をかわして回り込み、
次の瞬間、私は刀を振り、機械兵を薙ぎ倒していた。
「……見切……った?」
……思い返すと、これまでの私だったら、「速い」と思う前に当たっていた攻撃である。
しかし、『アクセル』で超高速度の戦闘を体験したからか……『速さ』の耐性を得る事が、出来たのだろうか……?
しかしそれでも、機械兵は動く!
……私は、機械兵の胸と頭に、私たちと同じ『弱点』のような、ランプがある事に気づいた。
「こうかなっ!」
私は、頭のランプに向かって兜割りを繰り出すと……
機械兵は、機能を停止した。
その瞬間、理科準備室の方から、パンと爆竹の音が聞こえた。
まさか、敵襲!?
「……こちら、川藤!教室中央付近で機械兵と交戦後、撃破!そちらは!?」
「こちら牧!準備室ドア付近で白夢さん及び、C組のえーと……木原さん、松井さんと合流!旗も発見して、木原さんが押し込みました!」
……やった、1点は取れてる。
即負けの可能性が消えて、ほっと安心したのもつかの間、別の連絡が入ってくる。
「こ……こちら静希……機械兵3体に襲われていた浅尾くんと合流し、一時退却し、角で待機中……
でも、岩隈くんが機械兵に頭の『ランプを突かれた』瞬間、どこかに転送されてしまったんだ……」
静希くんが言うには、今回のゲームは『ランプを突かれた』ら、どこかに転送され、ゲームオーバーになるらしい……
恐ろしいのは、ゲームオーバーの結果、どうなるかが分からない事だ。
栗原くんのように、アグリー・ダックリングに連れ去られてしまうかもしれない。
『転送』なんて人智を超えた技術を持つ以上、そんな事が起きないとは限らない。
早く決着をつけて、奴に『何をされるのか』問い詰めなきゃ。
私は、静希くんが居るはずの顕微鏡置き場の近くに、走り出した。
タッタッタッタッ……
理科室の中の殆どの設備は、いつもの通りだけれど……
走っていると、見慣れない機材が見える。
名前は……IR……NMR……エバポレーター……?
まるで、大学の設備だ。
そんな高額そうな機械が、不自然にもビースピやアルコールランプの横に置かれている。
更に、よくよく見ると天井から磁石に、メスシリンダーや電流計が生えていたり、壁には音楽室のようにニュートンやフックの肖像画が置かれていたり……
嫌でもこの光景が『普通』でないと分かってしまう。
その光景はまるで、夢の中で再現された理科室。
広さも物理法則を無視したように、数倍に膨れ上がっている。
一体、どんな技術でこの理科室を作り出したのか……?
幻なんじゃないのかと、怖くなってくる。
そして、顕微鏡置きの手前で静希くん達と出会う、その直前に……
後ろからサッ、と物音がした。
(……機械兵!?)
私は、振り返って後ろを見る。
そこには、やはり機械兵が居た。
恐らく……トランシーバーで連絡が来た3体のうちの、1体だろう。
ウイーン!
機械兵が動いた瞬間、私に向かって後2体の機械兵が向かってくる!
ガンッ
私は、キックで1体を転倒させると、しゃがんで低姿勢から2体を狙う!
「静希くん!東くん!浅尾くん!こっちに機械兵が来た!」
「何っ!?」
東くんが、槍を持って駆けてくる。
「やぁーっ!」
東くんは、槍の一撃で転倒していた機械兵を釣り上げると、刺して倒した!
残り2体!こっちは4人!
数的有利は揺るがない……はず!
残り2体の機械兵を倒した直後、牧さんがいるはずの準備室の方角から、謎の爆発音……爆竹が鳴り、
更に、トランシーバーが鳴った。
「こちら牧!旗が……奪い返されました!押し込んでいた木原さんと松井さんが、ランプを突かれて転送されて……白夢さんと私は退避中です!」
「あちゃー。押してた人がやられると、旗はフリーに戻っちゃうんだね。ルールの隙を突かれたなぁ」
白夢くんの声はいつも通り軽い。けれど、その後ろに機械の足音が混ざっていた。
「……閃。僕達、誘導されてた」
静希くんが、小さな声で言った。
「さっきの3体は倒させるための囮だ。僕達がここに入るように、道を選ばせてた」
顔を上げて、ぞっとした。
よく見ると……顕微鏡置き場の奥は、三方を壁に囲まれた袋小路だった。来た道は、槍を構えた機械兵が横一列に塞いでいる。その数、6体。
「くそっ、やるしかねえ!」
東くんが槍を構えて前に出る。その横で浅尾くんが後ろを振り返った。
「ひっ……上から――」
天井の磁石の陰から、弓矢が落ちてきた。
ピピッ。
浅尾くんのヘルメットのランプが赤く光り、次の瞬間、彼の姿は光に呑まれて消えた。
「浅尾ッ!」
東くんが叫ぶ。
静希くんは、隊列の一番奥を指指す。「……弓だ。曲射で、やられたんだ!」
同時に別の二つの地点でも、パン、パンと大きな音と共に、爆竹が鳴る!
これって、まさか……
その時、モニターから、あのスーツの男の声が響いた。
「素晴らしい。三つの旗は、全て我が軍の手に落ちた。カウントを開始する」
ブオオオーン。法螺貝が鳴り、壁一面に数字が浮かぶ。
30、29、28……
三つの旗が引かれたまま、この数字がゼロになれば、ゲームオーバーだ。
半透明の壁の向こうに、ゆらりと大きな影が見えた。
『シキ』の字を掲げた兜。軍配を持った、他の機械兵とは違う姿。
兜の下には、赤い光が見える。
……あれが、軍師だ。
軍師は私達を見下ろすように、少し高い場所に立っていた。
そして、すっと壁の陰に消える。
「あそこ……さっき、私が飛ばされた辺りだ」
私は思い出した。転送された直後、中央に妙に背の高い台があった。ニュートンの肖像画の下、教卓を何段も積んだような物見櫓だ。
あそこなら、迷路全体が見渡せる。
「閃さん!聞こえますか!」
牧さんの声だ。
「軍師に命令された機械兵は、動き出す前に一瞬止まります。さっきから見ていて分かりました。軍師から指示が出るまで、ほんの一呼吸分の遅れがあります!」
「ボクも見てたよ。人間観察は得意でねぇ。軍師くん、三歩進むたび、必ず壁の影で二秒止まるんだ。そこから、櫓に戻る癖がある」
白夢くんがのんびり付け加える。
「ちょうど今、櫓に戻る頃合いだ。……今なら、あそこは空っぽだよ」
「20秒切った……閃」
静希くんが、私の袖を軽く引いた。
「機械兵が動く前の一呼吸、あれを使う。東くんが道を開けて、閃が走る。……行ける?」
「うん。行く!」
迷いはなかった。
どうしてだろう、さっきから、体が軽い。
「東くん、お願い!」
「おうっ!任せろ!!」
東くんは槍を横に構えると、正面の機械兵の列に突っ込んだ。
「うおおおおおっ!!」
槍で薙ぎ払い、機械兵がまとめてよろめく。静希くんがそこで叫ぶ。
「今!左の列が止まった!」
その一呼吸の間に、私は壁の側を駆け抜けた。
機械兵の槍が、私の頭の横をかすめる。見える。ちゃんと、見えている。
12秒、11秒……
迷路は碁盤の目だ。白夢くんが言う『影』の位置と、静希くんが教えてくれた角を頼りに、右、右、左、直進。
ニュートンの肖像画が見えた!
そして……黄色い壁の向こうの影が、動いた。
(そこだ!)
私は壁の裏側から回り込み、櫓の根元に飛び出す。
軍師は、まさに足場の階段を登りかけていた。
「……!」
軍師が振り返り、軍配を振り下ろす。
ガキン!
刀で受けた。重い。けれど、これも見切れる速さだ。
軍配が引いた瞬間の隙を狙って、私は懐に飛び込んだ。
「はあっ!」
狙うのは兜の下、額のコア。
ゴムの刃が、一直線に走った。
ピピッ。
軍師の額が赤く光り、膝から崩れ落ちる。
同時に、迷路の中の機械兵が一斉に動きを止めた。
「牧さん!白夢くん!機械兵が止まった!すぐに奪い返して!」
「了解!」
そして、数秒後……壁のカウントも止まる。……3秒。ぎりぎりだ。
「な……に……?」
モニターのスーツの男の声が、初めて震えた。
「軍師を……討たれた、だと……?」
「へへっ……洗浄完了!……悪いけど、ここからは私達の番、かな?」
私はトランシーバーを掴んだ。
「みんな、機械兵が止まった!今のうちに旗を!」
「了解です!旗は一つ、私が今いる場所の近くに!」
「ボクも一つ見つけた。……ほら、静希くん達も走って走って!」
それぞれが散って、旗に走る。
残る一つは……なんと、牧さんが最初に居た理科準備室の中だった。
「ふうっ、灯台下暗し……だね。」
牧さんは深呼吸をして……旗に手をかけ、全体重を乗せて押し込んだ。
カチッ。
三つの旗が、同時に押し込まれた。
壁の数字が、今度は私達のカウントを刻む。
30、29、28……
機械兵は、もう動かない。
そして、数字がゼロになった。
ブオオオーン。
法螺貝が鳴り響く。
「……規則:三つの旗の確保、三十秒経過を確認。挑戦者達の勝利とする」
スーツの男の声が、悔しさを滲ませて、そう告げた。
理科室の入り口で、檻が落ちてくる。
ガシャン、と音を立てて、檻が開いた。
それと同時に……半透明の壁が、溶けるように消え、元の理科室に戻っていく。
「うおっ!?……出られた!」
栗原くんが、腰を抜かしたまま呆然としている。
「栗原ーーーッ!!」
東くんがその胸に飛び込んだ。
「馬鹿野郎……心配かけやがって……!」
「へへっ、言っただろ、フットワークで脱出できるって……」
「いや、できてなかったじゃねえか……!」
笑いながら泣いている二人を、牧さんと白夢くん、静希くんが囲む。
「いやぁ、よかったよかった。みんな無事で何より」
「……本当に、よかった」
静希くんが、ほっとしたように小さく笑った。
私は刀を下ろして、天井の防犯カメラを見上げた。
(見てるんでしょ、アグリー・ダックリング)
奴らは、人を人質に取り、笑いものにして、それを『映像』にしている。
……絶対に許さない。
私は、ジェットギアに手をかける。
(次は……ゲームじゃなくて、『リアルファイト』でぶっ飛ばすから。)
次の瞬間……浅尾くん達、ゲームオーバーになっていた複数人が、帰ってきた。
「浅尾さん!大丈夫だったんですね!」
牧さんが無事を喜ぶが、浅尾くんたちの顔は物凄くくたびれていた。
「大丈夫じゃねー……ベルトで縛られて、変なものを見せられた……なんなんだよ『戦国物語:北条の野望』って……」
どうやら、彼等はゲームオーバーになった後、異空間で変な歴史ドラマを強制的に見せられ続けていたらしい……
なんなんだ、その罰ゲームは!?
……こんなので済んで、よかったのかなぁ。
いや、私が想像していたものにくらべれば、よかったけれど……
私達は、別れていた別のチームの到着を待つ。
その間、ゲームオーバー組のドラマに対する愚痴大会は、数十分に及んだ……
数分後、葉月くん達保健室チームが帰ってきた。
「葉月!角田は無事だったのか!?」
東くんが、背負われている角田くんの安否を聞く。
「ああ。勿論だ!ちゃんと、無事に帰ってこれた!
……『スライム』のお陰だな!」
葉月くんが元気いっぱいに伝えると、牧さんが聞き返す。
「葉月さん……『スライム』って何、ですか?」
それを聞いた野球部の鈴木くんが、事の顛末を説明した。
「俺たちが角田を助ける為にやったゲームは……『死のバッティングセンター』と言って、ミスすれば、頭に加速した硬球が当たる恐ろしいゲームだった。
そこで俺はしくじって、鼻頭に当たってやられそうになったんだ。」
「……その、当たる寸前の瞬間だった。
顔の前に、『スライム』の幕が現れ、硬球を打ち返してくれたんだ。
『スライム』の幕が現れてから、何故か俺たちは絶好調……5分もかからずに、角田を助けられた。」
「なるほど……『ピンチが見せた幻覚』かもネ⭐︎
ソレのおかげで、火事場の馬鹿力が出たのかも……」
白夢くんが、勝手に結論づける。
しかし確かに、妥当性があった。
「オ……オレは……今日あったおっぱい転校生の、幻覚を見たぞー……?」
角田くんがグロッキーになりながら、うわ言を言っている。
ここで、もう少し寝かせておくべきだろう。
数分後、小笠原さん率いる体育館チームも、全員無事で帰ってきた。
私は……残った美術室チームの無事を祈り、帰りを待ち続けた。
——
私は、ナノマシンヒーロー:ライラック……本名『
川藤さん……ジェットウォッシャーの、護衛をしています!
そんな私は、悪の組織に改造された美術室に入ると……
「来やがれ!ゲドウダー!」
「ゲードウッダー!!」
3メートルほどの巨大なスケッチブックの怪獣及び……
……魔法少女、ピュアピュアと戦う事になりました。
「ミッショーン!:ピュアピュアより先に、ゲドウダーにトドメを刺せ!」
私や、モニターの先のピエロが言った、『ピュアピュア』とは何か?
それは、魔法少女ピュアピュアシリーズの主人公達……
日曜朝8時半から放送中の、大人気少女シリーズ!
私も……遠い、遠い子供の頃にブラウン管で『お父さん』と一緒に、見ていた記憶があって……
ダメ!私、集中しないと……!
「行くよ!」「うん!」「分かった!」
可愛らしいパステルカラーで、フリフリのドレスを着た、三人のピュアピュア……(のような、何か?)
長く伸ばした髪や、宝石をあしらった綺麗で上品なブーツが……とてもキュートです。
「こっちも仕掛けさせてもらう!」「斎藤くん!あそこのハコがオススメだキュ〜」
「ええい!小細工は好かんが、こっちも必死じゃあ!」
一緒にゲームに向かった番長の斉藤さんは、真っ先に動き出し……
5分前に、ピエロから渡されたネコのぬいぐるみのような姿の妖精から指示を受け、美術室の床に置かれていたハコを開ける!
すると中には……
「なんじゃ、こりゃ?」
中央にボタンのある、香水のようなものが入っていた。
ありゃりゃ、斎藤さんが困ってるなぁ……
「えーい!使い道わからないキュ〜?変身だキュー!」
「のわっ、のわっ、のわーっ!?」
妖精はなんと、ボタンを押してその香水を斎藤さんにふりかけた!
その瞬間……激しい、水色の光が立ちのぼる!
「いけない!」
私はハッとして、妖精を『反発』で引き剥がそうと斎藤さんにトップスピードで光の近くへと駆け寄る!
しかし……光の先には……
「……ええい!なんだ、なんだ!この格好は!?」
……声まで少女のようになり……ピュアピュアと『完全に』同じ格好をした、斎藤さんが立っていた!
「あ、アニキ……お、お似合いですぜ?」
「そ、そうだな……うん、似合ってるぞ」
それを宥める、舎弟の樽井さんと野田先生。
「……妖精?知らないけれど……生徒を傷つけるのは、許さないわ。」
そして、栗色髪を赤いリボンで高い位置に結い上げた、緩やかに波打つポニーテールで……
黒縁の眼鏡(おそらく伊達眼鏡)をかけている……音楽の、長谷井先生。
……この5人で、怪獣を……やっつける!
ピュアピュアよりも、早く!