【キャラ募集中】英雄(ヒーロー)戦記 ジェット・ウォッシャー! 作:カレーうどん赤星
「出動・変身、ジェーット、ウォッシャー!」
熱気と自信、冷静さがこもった掛け声と共に、青と白を基調とした冷たい機械の装甲と、それに不釣り合いなように見えて、意外と様になっているシンプルなデザインの高圧洗浄機2機が、私の身体に自動的に装着されていく。
変身したその姿は、まるで特撮映画から飛び出してきたかのようだ。
この『ウォッシャースーツ』は、ヒーロー連盟の技術をもって作り上げられた、私専用のヒーロースーツ…
当然、私の代わりはいない。
連盟から連絡を受け、実家のクリーニング屋から出動した私、川藤閃は、ジェットウォッシャーに変身し、高圧洗浄機からもたらされるジェット推進力により、町中を猛スピードで飛行していく。
(あぁ、あのお好み焼き屋、一回父さんと母さんを連れて行ってみたいなぁ。次のバイト代が入ったら行こうかなぁ)
(あっあの洋菓子屋懐かしい 亜希子姉ちゃんと一緒にバイトしてたなぁ)
そんな事を思っている内に、連盟に指定されたポイントに辿り着く。
…閑静な住宅街。
私は、怪人がいないかを目視で探していた。
その時だった!
「助けてー!!」
「テッパーン!お前のシャツ、油でギトギトのこの鉄板でアイロンをかけてやるでテッパン!」
悲鳴が聞こえる、一気に悲鳴のありかを見る。
そこに居たのは余りにも異様な存在だった。
「鉄板の…バケモノ?」
それは、ステレオタイプな赤いマッシブな悪魔に油で汚れたお好み焼き用の鉄板を複数貼り合わせた、出来損ないの落ち武者のような異形の怪物だった。
(油汚れが付着しているってことは、アブラー軍団の奴らか?…しかし、それにしても嫌なデザインと…悪行だ!)
私は、ヒーロー連盟に怪人確認の信号を送ると、その悪魔に向かって全速力で突進し始めた。
「貴様が通報にあった怪人だな!よくもクリーニング店の魂、アイロンがけを侮辱してくれたな!この私、ジェットウォッシャーが成敗してやる!」
私が突進しながら啖呵を切ると、敵もそれに応えてきた。
「テッパンテッパン お前が噂のジェットウォッシャーか!俺達こそイロイロと仕返ししてやりたい事が山積みなんだ!覚悟しろォジェットウォッシャー!」
そうして、私と鉄板怪人の戦いが始まった!
「くらえ!ウォーター・マシンガン!」
ドガガガガ…
まずは小手調べに高圧洗浄機のノズルから、水をマシンガンのように射出し、奴の装甲を凹ませる事を試みる。
「へっ、そんなへなちょこ水鉄砲、効かないでテッパン!テッパン・ラリアット!」
が、この攻撃は敵の前で霧散し、敵からラリアットをもらってしまう!
「ぐぅーっ!?」
首を折るようなラリアット。スーツを着ていなければ耐える事は不可能だっただろう。しかしまだ次の策がある!
ムーンサルトにより距離を取って、必殺のあの技の準備をする。
「まだまだ!ジェーット・ストライク!」
ギュインギュイン
私は、高圧洗浄機に水をチャージ・圧縮し…
ズドドドドドッカーン!!
滝のように強烈な勢いの水と洗剤を噴射し、敵の装甲を破壊しにかかった!
この高圧水流は、薄い鉄板を破壊・貫通する位造作もない。
更に、アブラー軍団の怪人は油汚れで出来ている。
仮に装甲にダメージが通らないとしても、これは堪らないはずだ!しかし…
「ふーっ、気持ちいいでテッパン 感謝するよ〜ん」
「な、何っ!?」
鉄板表面の油汚れを落としただけで、大したダメージになっていなかった。
しかも、油汚れはまた再生していく始末。
コイツは、硬すぎる…!
凡人ヒーローの私には、これ以上の技となると…ジェット・ストライクを更にチャージした時に発動できる、隙だらけの大振り技しかない。
よって、コイツを突破するには長時間の隙を作るか それとも何らかの方法で「コア」だけを撃ち抜くしかないのだ!!
「さぁ、こっちから行くでテッパン!テッパン・ヘル・ボンバー!」
「ぎょえやーっ!!」
「あーっ ジェットウォッシャーがーっ!」
腕を「く」の字に曲げ、自分の首を狙って突っ込んでくる鉄板怪人!そのスピードは身体中が鉄とは思えないほどに早く、妨害も逃走も間に合わなかった…
「くっ…そう…」
私は一瞬で気絶し、闇の中で目を閉じる…
「次は町中を俺流にアイロンがけしてやるでテッパン!」
「ジェットウォッシャーが、やられちゃった!」
「うわー、誰か助けてー!」
耳には、怪人の卑劣な声と 街の人々の悲鳴だけがこだましていた。