俺が体を起こすと、宝生マーゴが驚いたように目を見開いた
「・・・どうした、宝生マーゴ」
「…あ、あら。起きたのね」
「おう。…二階堂から全体で連絡行ったはずだが」
「え、ええ、そうね」
「…」
「…」
気まずくなり、俺は周囲を見渡した
「…あれ、氷上は?」
「彼女なら、外に行くのを見かけたわ」
そう言って外につながる扉を指さした
「そうかい」
俺は
「…ねぇ」
「ん?」
「どうしてあの時、私を守ってくれたの?」
「・・・どうしてって、お前…」
「…もしかして、一目惚れかしら?」
「ああ、それはないから安心しろ」
「そ、そう」
「…年頃の女子を守るってのは当然のことだからな」
「…え?」
「まぁ、死んだ父さんの受け売りだけどな。年頃の女に傷をつけるんじゃねえぞっていつも口酸っぱく言われてたから…」
(それ、意味が違うと思うのだけれど…)
「…んで?なんでここに来たんだ?」
「・・・その、お礼を言いに来たのよ」
「お礼?」
「ええ…その、ありがとう。私を守ってくれて…」
「ああ、気にすんな。女の体に傷をつけるわけにはいけねぇからな」
「気にするななんて…無理よ。メルルちゃん頼んでにあなたの傷跡をこっそり見せてもらったけれど…あんなに大きな傷跡を残して、気にするななんて無理があるわ」
「ん、そうか…でもなぁ。特に見返は期待してないし…こんな場所であれ用意しろってのも無理があるだろ」
「…じゃあ、こんなのはどう?」
宝生が俺の前に回り、俺の腰にまたがるように座った
「…私があなたを、気持ちよく…」
「バカタレ」
俺は宝生のおでこにデコピンをかました
「きゃん!…もう、なにするのかしら」
「あたり前だアホ。そんなことされても俺はうれしくねぇ」
「…んもう、貴方のお父さんに言われたことを無視してるじゃない…」
「それとこれとは話が別だ。…そんなに何かしたいなら、そうだな…飯を持ってきてくれ」
「…そんなことでいいの?」
「ああ、昨日の朝から何も食べてなくてな…普通に腹減ってんだ。食堂から適当に何か持ってきてくれ。それでチャラだ。いいな?」
「…まぁ、貴方がいいならそれでいいけれど…」
「…ほれ、もう昼飯の時間だから頼んだ」
「…わかったわ、それじゃあ…」
宝生は俺から降りて、医務室から出ていった
「…はぁ」
俺はベッドに再び横になった
「失礼する」
医務室に二階堂が入ってきた
「…おう、二階堂か…」
「…どうしたんだ?やけに疲れているような声をしているが」
「いや、何でもない…それ良し、頼んでいたものはあったか?」
「…いや、見つからなかった」
「あら、まじ?」
「ああ、おそらく看守が持って行ってしまったのだろう。…すまない」
「いや、それならしゃーない。あんま気を落とすな」
「ああ…お詫びと言っては何だが、昼食をもってこよう。待っていてくれ」
「あ、ストップ。それに関しては当てがあるんだ」
「当て?いったい誰が…」
「持ってきたわ」
二階堂が言うと、医務室の中に宝生が入ってきた
「おう、ありがとな」
「…」
「ん?どうした二階堂」
「いや…2人は、そんなに仲がいいとは、な…」
「仲がいい?」
俺たちは顔を見合わせた
「俺たち知り合ってまだ数日だが…」
「…そうね。私がこうしているのも守ってくれたお礼みたいなものだし」
「そ、そうか…」
(…まてよ?氷上がいない今なら、外に出れるんじゃね?)
「戻りましたぁ~」
双思案していると、外につながる扉から氷上が入ってきた
(チャンス逃したぁ…)
「あ、マーゴさん来ていたんですね…」
「ええ、生駒くんにご飯を持ってくるように頼まれちゃって」
「…そういえばそうですね」
「なぁ氷上。外には出ないからさ、屋敷内をぶらつくのは良いだろ?このままじゃ飯も食いに行けねぇ」
「…そう、ですね…先程傷を見た限り、無理しない限りは…まぁ、大丈夫だと思います」
「よーっし、じゃあさっさと飯食って本探しに行くか」
「あっ、一応シャワーとか浴びた後にもう一度見せに来てください。恐らく大丈夫だと思うんですけど、念のため確認しておきたいんです…」
「りょーかい」
俺は宝生から昼食を取り、さっさと食べ終えた
「…す、すごい食べっぷりね」
「さっさと食べてさっさと動くわ。ありがとうな宝生」
俺は食器をもって医務室を出ようとした
「あ、食器は…」
「医務室から出れるんだったら、自分で返しに行くわ。じゃあな」
俺は医務室から出て、食堂に向かった
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「…あ、嵐のような人、ですね…男の人って、みんなあんななんでしょうか…?」
「…さぁ、まぁ一部の男子はあんな感じだった覚えがあるが…」
「…」
「ま、マーゴさん…?」
「どうしたんだ?」
「…いえ、何でもないわ」
(…ええ、何でもない…そのはず、なのだけれど…)
(この胸のざわめきは、一体…?)