口悪男子ノ魔女裁判   作:しがなくない

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事件…?

そこから数日後、特に何も変わらない日常を過ごした

 

「沢渡とのコラボ配信?」

 

「ああ、君も見てくれるかい?」

 

「まぁ別にいいが…」

 

「そうか…!ありがとう。それじゃあ、私は色々と準備があるから失礼するよ」

 

「おう」

 

そう言って蓮見はラウンジを出て行った

 

「…何もなきゃいいが」

 

俺もラウンジを出て、外に散歩に向かった

 

〜〜〜

 

その日の晩、俺は自室で配信を見ようかと思い、少し早めに自室に戻ろうとした

 

(…ん?あれは…蓮見か。んで…?なんであいつ、城ヶ崎と夏目の部屋の前にいるんだ?)

 

(…ああ、城ヶ崎にも参加してもらおうとしてるのか?)

 

そう思いながら近づいた

 

「よっ、蓮見…おい」

 

「っ、い、生駒君…!?」

 

俺は見てしまった

 

蓮見が手に持っているモノを

 

何かの棒の先に、蓮見自前のレイピアが取り付けられている

 

それらをくくりつけるのには、見覚えのない誰かの黒いリボンで括られていた

 

「…はぁ」

 

「や、やぁ生駒君!私に何かようかな…?」

 

そう言いながら、手に持ったモノを背中に隠したが…

 

「…おい蓮見、隠せてないぞ」

 

「んぐっ…」

 

蓮見は観念したかの様に、手に持っていた凶器を落とした

 

「…」

 

「…はぁ」

 

チラッと独房の中を見ると、ノアが心ここに在らずの表情で天井を見ていた

 

(…視線を集めるっていうわけじゃなくて視線の誘導か、蓮見の魔法は)

 

「…とりあえず、それらを一度片付けろ」

 

「っ!?」

 

「早く、俺以外に見つかっても知らんぞ」

 

俺の言葉に反応して、蓮見は凶器を分解し、レイピアをしまった

 

「…ん?それは…黒部のリボンか」

 

「っ!?あ、ああ…チャンスがあった時に返そうと、思って…」

 

「お前これから配信だろ?こっそり置いておくから、回収するぞ」

 

「…あ、ああ」

 

蓮見は俺にリボンを手渡した

 

「…なぁ、配信終わったら時間あるか?」

 

「…な、何をするつもりだい?」

 

「なんもしねぇよ、終わったらこっそりと水精の間に来い。待ってるからよ」

 

そう言ってさっさとその場を去った、去りながら黒部と宝生の部屋の中に小石にリボンを巻きつけて投げ入れた

 

〜〜〜

 

その後、水精の間で配信を見届けた。序盤から最後までどこかぎこちなかったが、最後までやり遂げたのを見届けた

そして数十分後、水精の間に蓮見レイアが入ってきた

 

「…おう、来たか」

 

「…ああ、きたとも」

 

「まぁ来なきゃ殺人未遂として吊し上げられる所だったからな」

 

「…」

 

苦虫を潰した顔をした

 

「…んで?まぁとりあえず座れよ」

 

「…必要ない」

 

「そうかい。なら…話を聞かせてもらおうか」

 

「なんの話かな。君に話すことなんて何もないと思うんだけれど」

 

「犯行に及んだ理由は『バルーン』か?」

 

「っ!?そ、それは…」

 

蓮見は当てられたのか、思いっきり声を張り上げた

 

「しーっ。あくまでもう就寝時間だ、あまり大きな声で話すと看守が来ちまう」

 

「あっ、ご、ごめん…じゃなくて。な、なんなこと、かなぁ?」

 

「もう惚けるのも無駄だと思うが?」

 

「っ…ぐ、ぐう…」

 

「…はぁ。なぁ蓮見レイア、話してくれないか?何がお前をそうさせたのか…」

 

「だ、だが…しかし、でも…」

 

「もちろん、ここで話したことは俺たち2人だけの秘密だ」

 

「…か、確証がない」

 

「ボイスメモで録音してもいい」

 

「っ…」

 

「…別に、お前の後ろ暗いことを突こうってわけじゃない。…ただ、話を聞かせてくれるだけでいい」

 

「…はぁ。もう…抵抗は無理のようだね」

 

(抵抗も何も、俺からは何もしてないが)

 

「わかったよ。…それじゃあ、聞いてくれるかな?」

 

〜〜〜

 

そうして俺は、蓮見から今回の犯行に至った動機を聞いた

 

「…世界的に有名な『バルーン』を排除して、自分がこの牢屋敷で一番人気になろうと思っての犯行かい」

 

「…ああ、そうさ。…許せなかったんだ、自分より有名なやつが注目されて…私は、みんなの象徴にならなければいけないんだ。だから私は、ノア君を…」

 

「馬鹿らしい」

 

「…なん、だって?」

 

蓮見レイアは目を見開いて、僕に近づいた

 

「…おい、今の言葉をもう一度言ってみろ…」

 

「馬鹿らしいって言ったんだよ自意識過剰野郎」

 

「馬鹿らしいだと!?」

 

蓮見レイアは俺の首を締め上げた

 

「うぐっ…」

 

「訂正しろ!馬鹿らしいだって!?僕が、僕がなんのために俳優をやろうとしているのか、何も知らないくせに!」

 

「知るかよそんなの…!それに、目立ってる分野が違うのに…なんで混同して考える…!」

 

「黙れぇぇぇ!!!殺してやる…!お前なんか、殺してやる!!!!」

 

そう言って蓮見は俺の首を締め上げた

 

「あっ、がぁっ…が、はっ」

 

俺はそのまま、意識を手放した…

 

〜〜〜

 

「はあっ!はあっ!はあっ…!はあっ・・・あ、ああ?」

 

レイアは気がついたら、カケルが抵抗をやめていることに気がついた

冷静になった頭でよくカケルを見てみると…

 

「…あ、ああ…ああああああ…!?」

 

カケルは、口から泡を吹いて、白目になって死んでいた

違う、死んでいたのではない…

 

 

 

 

 

 

 

 

私が、殺した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度は私の凶行。止めてくれた、彼を・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ああ・・・あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…がはぁっ!」

 

〜〜〜

 

「がほっ、ひゅーっ、ひゅーっ…はぁ…はぁ…」

 

(あっぶねぇ、死ぬとこだった…いや、実際に一度死んだのか。魔法がなかったら本当に死んでたな)

 

「あ、い、生きてる…?」

 

「あー、死ぬとこだった…いや実際に一度死んでるんだが…まぁ、その…なんだ。悪かったな」

 

「ど、どうして、いや、よ、よかった?え、え?」

 

「いやー、まさか短期間に2度死にかけることになるとは思わなんだ…」

 

「そ、そのっ、ご、ごめん、ごめん…」

 

「いや、気にするな…って言っても無理があるか。…とりあえず、話を聞く気になったか?」

 

「…ああ」

 

レイアは俺と向かう様に椅子に座った

 

「…お前が暴走する前に言ったと思うけどよ、なんで分野が違うのにそんなに嫉妬するんだよ」

 

「そ、それは…『バルーン』、いやノアくんは世界的に有名なアーティストだ。…まだまだ駆け出しの私と比べて、有名だから…」

 

「それってさぁ、ノアが有名なわけじゃなくて、あくまで『バルーン』の絵が有名ってことだろ?実名出して活動してるお前の方が圧倒的に有名だと思うが?」

 

「し、しかし…」

 

「それによぉ、お前には悪いが俺はお前のことは知らなかったし、バルーンなんてのも知らなかったんだぜ?」

 

「は、はぁ!?どういうことだい!?」

 

「言った通りだよ。ここに来るまでお前が有名なこともバルーンの名前もまーったく知らなかった」

 

「そ、そうか…」

 

蓮見は少し悲しい顔をした

 

「…だからよ、お前が俺のことをファンにすればそのバルーンとの勝負に勝ったことにできねぇか?」

 

「…どういうことだい?」

 

「お前と城ヶ崎が有名なのは、この牢屋敷の奴らは大体知ってる。なら、ここに来るまでに何も知らなかった俺のことを先に夢中にさせたらそれでお前の勝ち…ってことにならねぇ?」

 

「…」

 

蓮見は驚いた様に目を見開いた

 

「…生駒くん。聞かせて欲しい。どうして君はそこまで体を張るんだい?君にとっては、ここの少女たちは他人同然だ。どうしてそこまで他人に気を使えるんだい?」

 

「当たり前だろ。…目の前で人が死ぬのは懲り懲りだからな」

 

「…何か、あったのかい?」

 

「…家族が目の前で死んだ、事故でな」

 

「…すまない」

 

「…いや、気にすんな。…あーもう暗い」

 

俺は立ち上がって蓮見と目が合った

 

「駆け出しとはいえ俳優なんだ、一般人1人くらい魅了してみせろよ蓮見レイア」

 

「…ははっ」

 

蓮見は笑った

 

「…ああ上等だとも、生駒君。…君を魅了して見せようじゃないか!」

 

「馬鹿たれ、静かにしろ。看守が来る」

 

「あっ、ああ…すまない」

 

「はぁ…とりあえず、お前ベッドを使って寝ろ」

 

「えっ・・・き、君はどうするんだい?」

 

「ソファーで寝る、言い訳は聞かん。おやすみ」

 

俺はソファーに寝転がって目を瞑った

 

「ああ…はぁ、全く…ありがとう、生駒君」

 

〜〜〜

 

次の日、蓮見が起きる前に一足早く水精の間を抜け出し、食堂に向かった

 

「あっ!生駒さん!おはようございます!」

 

「おう、おはよう橘」

 

食堂に行く途中で橘と出会った

 

「早いですね!」

 

「まぁな。そういう橘も起きるのが早いな」

 

「ええ!夜寝てある間に事件が起きていないか確認するためです!」

 

「…なぁ、最初の日も思ったんだが…お前事件好きすぎないか?」

 

「はい!ミステリー小説が一番好きなんです!」

 

「お前の好みは聞いてないが…はぁ、まぁいいか」

 

俺と橘はそのまま話しながら食堂に向かった

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