口悪男子ノ魔女裁判   作:しがなくない

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胸の疼き

朝食後、俺は中庭に来ていた

 

「…まぁ、さすがに外にはないと思うが」

 

俺は噴水に腰かけた

 

「…ふー…」

 

(…昨日死んだなぁ)

 

俺は昨晩のことを思い返していた

 

(…ぶっちゃけいちかばちかだったが、何とかなってよかった)

 

(『生きている状態を死んだ体で再現する』なんて離れ業、普通思いつかないよな。…おかげで…)

 

俺は首をさすった

 

(首に蓮見の手の痕がついたからな…しばらくとれんぞこれ。支給されてる服のデザインが首元を隠す奴でよかったよほんと…)

 

「首を隠してどうしたの?」

 

「うおっ!?」

 

いつの間にか隣に宝生が座っていた

 

「宝生マーゴ…いつの間に横に…」

 

「ふふふ、ついさっきよ。何か考えているような顔をしていたからつい…ね?」

 

「はぁ…んで?何か用か?」

 

「あら、用が無ければ近づいちゃいけないのかしら?」

 

「んなこたぁないが…」

 

「ふふふ。…ねぇ、さっきから首を気にしてるようだけれど、どうしたの?」

 

「…いや、何でもねぇよ」

 

「嘘。さっきから少し見てたけれど、やけに首元を気にしてるそぶりをしていたわよ?」

 

「…はぁ。誰にも言うなよ」

 

俺は襟を捲り、宝生に見せた

 

「っ…それは」

 

「…閉じるぞ」

 

俺は襟を直した

 

「…その痕、どうしたの?」

 

「悪いがそれは言えない。あるやつの名誉にかかわるからな」

 

「…そう」

 

宝生は残念そうな顔をした

 

「…そういえば、貴方が探していた本ってこれかしら?」

 

そう言って宝生は一冊の本を取り出した

 

「…あ、それは…」

 

「ええ、貴方の探していた本じゃないかしら?」

 

「ああ。でもどうして…?」

 

「…あの後、こっそりと回収していたのよ。看守に回収されちゃいけないと思って」

 

「お、おう。…ありがとな」

 

俺が本に手を伸ばすと、宝生は本を遠くにやった

 

「…おい」

 

「ふふふ、タダで返すわけないでしょう?」

 

「…はぁ」

 

俺は手を戻した

 

「…何が望みだ」

 

「あなたの魔法を教えてくれないかしら。教えてくれたら、この本を返してあげるわ」

 

「…はいはい。俺の魔法は『再現』、俺が体験したことを再現する魔法だ」

 

「へぇ、何でも再現できるのかしら?」

 

「いいや、再現させるには媒体が必要だ。例えば、一度聞いたことのある曲を再現するにはそれを再生する媒体が必要だし…銃を撃つことを再現するなら、銃が必要になる」

 

「へぇ、その首の痕もその魔法が関係しているのかしら?」

 

「…まぁ、我ながら無茶したとは思う」

 

「無茶?」

 

「ああ、1回死んだからな」

 

「…え?」

 

宝生はあっけにとられた顔をした

 

「…何を言っているのか、よくわからないわ」

 

「ああ…まあそうだよな。簡単に言えば、俺が死んだときに『俺の体で俺が生きているときを再現した』ってことだ」

 

「…説明を求めるわ」

 

「…まぁいいが。俺の魔法は、『俺が体験したことを再現する』、それをするには『媒体が必要』。ここまでは良いな?」

 

「ええ」

 

「それで死ぬときに、『生きている』という体験したことを『俺の体』という媒体で再現した…それで俺は生き返ったわけだ」

 

「…」

 

(嘘・・・は、ついてないわね)

 

「どうした?」

 

「…いや、何でもないわ。はい」

 

宝生は本を俺に手渡してくれた

 

「おう、ありがとうな」

 

「…ええ。それで?その本には何が書かれているのかしら?」

 

「中を見てないのか?」

 

「…ええ」

 

(読もうとは思ったけれど…なんだか、勝手に読もうとすると、心がざわめくのよね…)

 

「…たぶん、魔女に関する内容だと思う」

 

「…魔女に?」

 

「何となくだがな。…ほら、これ」

 

俺は宝生にあるページをみせた

 

「…これは」

 

そのページには、とある絵が描かれていた

1人の人物を囲うように、13人の人が円を作っている絵だ

 

「…何かの儀式、かしら?」

 

「たぶんな。そしてこのページなんだが…」

 

俺はまたページをまたいで宝生にとある絵を見せた

 

「…宙に浮いている…これって、ハンナちゃんの浮遊かしら?」

 

「たぶんな。だからこれを解読すれば、魔女について何かわかるかもしれん。ゴクチョーが言っていた大魔女についてもな」

 

「…ねぇ、どうしてあなたはこの本を解読しようとしているのかしら?」

 

「なれはてになりたくないから」

 

「…そ、そう」

 

「後は、そんなことで魔女狩りみたいなことを起こしたくないからな」

 

「…魔女狩り、ねぇ…ねぇ、私達の中に『魔女』がいると思う?」

 

「さぁ?知らんし興味ない」

 

「…っ、そう」

 

「…?」

 

「…なぁ、宝生。お前も解読を手伝ってくれないか?」

 

「…私が?」

 

「おう。言っちゃ悪いが他と比べて聡明っぽいしな」

 

「…ふふふ」

 

宝生は笑みを浮かべた

 

「…もちろん、タダってわけじゃないのでしょう?」

 

「まぁな。この本を読んだからって、なれはてにならない方法がわかるかどうかもわからん。だが…俺はなれはてになりたくない。なら何もしないより、少しでも可能性がある方に賭けたほうがマシだからな」

 

「…そう」

 

「相場はわからんから宝生マーゴ、お前が決めてくれ」

 

「…私が?」

 

「おう、何が欲しい?…まぁ、今すぐ用意しろってのは難しいが…必ず用意する」

 

俺は宝生の目を見てそう言った

 

「…ッ///」

 

宝生は俺の言葉に、何故か顔を赤らめて視線を外した

 

(なんで!?どうして…こんな感情は、もう…!)

 

「…宝生マーゴ?」

 

「…ご、ごほん…ええ、いいわよ。力を貸してあげるわ」

 

「そ、そうか…その、大丈夫か?」

 

「大丈夫よ!」

 

「お、おう…なら、いいんだが…?」

 

「もう…」

 

「…ああ、俺からも一ついいか?」

 

「…なにかしら?」

 

「お前の魔法は何だ?」

 

「…私の魔法は『ものまね』よ」

 

「ものまね…ああ、道理でゴクチョーそっくりだと思った」

 

「ええ。ゴクチョーの声なら看守がおとなしくなると思ったのだけれど…」

 

「まぁ、おとなしくならなかったな。今となっちゃ仕方ないことだが」

 

「…そうね」

 

「…まぁ、とりあえず…今後ともよろしくな、宝生マーゴ」

 

「…ねぇ、前から思っていたのだけれど、どうして苗字と名前全部言うのかしら?」

 

「…そんなもんじゃないのか?」

 

「せめて苗字呼びじゃないの?」

 

「…まぁ、そんなもんか?」

 

「そうよ」

 

「…そうかい、じゃあ改めて…よろしくな、宝生」

 

「…ええ、よろしくね」

 

俺と宝生は握手を交わした




マーゴのデレって見たくない?
俺は見たい(確信)
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