誤字脱字など多いと思いますが、温かい目で見ていただきたいです
よろしくお願いします
カタカタカタカタカタカタ
深夜のビルのオフィス。
そこでは1人の男性がパソコンの画面を見ながらタイピングをしていた。
机の上には書類が山のように重なっており、隅には栄養ドリンクのからの瓶が数本置いてあった。
時間は深夜2時。彼以外誰もいないオフィスには無機質なタイピングの音だけが響いていた。
男のパソコンの画面を見る顔はとても酷かった。顔はやつれ、目の下には濃い隈があり、目は充血していた。
誰がどう見ても彼の体調が良くないことがわかる。しかし、今この場には誰もおらず彼を止めるものはいなかった。
彼はブラック企業の人間だった。上司からはパワハラを毎日され、残業は当たり前、休暇などもちろんない。最近では会社に泊まることが続いていた。
「もう少し……もう少しで終わる……」
男は文字通り最後の力を振り絞ってタイピングをしていた。目が霞んできて画面見えづらくなり、指の力も抜けてきた、息も荒くなっている。それでも彼はタイピングをやめなかった。
なぜ彼がここまでして頑張るのか。それは、これが終われば睡眠が取れるという小さな希望があったから。久しぶりに長時間の睡眠をとることができる。それだけが今、彼を動かしていた。
しかし、ついに限界が来る。
(あれ?体が……)
そう思った頃には体は机の上に倒れていた。体が金縛りにあったように動かず、声を出そうしてもでない。そもそも出たところでここには誰もいないので助けは来ない。
(あー…体が動かねぇ。苦しくなってきた。そっか俺…死ぬのか。嫌だなー…まだやりたいこと、やらなきゃいけないこと、たくさんあったのに)
死に際に大量のアドレナリンが出たことにより彼は今の状況をしっかりと受け入れることができた。
しかし、振り返ってみれば自分の人生は良かったとは思えなかった。
もっと生きたかったし、やりたいことだってあった、なによりこんな死に方は嫌だった。
結婚して家族をつくり、子育てをして、老後はのんびり過ごし、大勢に囲まれて死んでいく。そんな理想とはまるで違う、かけ離れた最後。
(もし…次があれば…もう一度生きることができるなら…その時は、自由に生きたい。大勢に
囲まれて死にたい……)
彼はそう強く願いながら小さなオフィスで誰にも気づかれるとなく、静かにその生涯に幕を閉じた。
◆◆◆◆
(あれ?なんで俺はまだ生きてる?)
間違いなく死んだはずなのにまだ意識があることに戸惑う。
どうなっているのか確認するために手を動かそうとするが、うまく動かせない。
目も霞んでいて前がよく見えない。
「あっ‼︎目を覚ました‼︎」「少し声が大きかったかな」
誰がの声が聞こえる。男性特有の低い声と女性特有の高い声だ。
目の霞が薄くなり始め、顔が確認できた。
すごく優しそうな顔をしている若い男性と綺麗な顔立ちをした美人の女性の顔が見える。
「見て‼︎、手を振ったわ‼︎」 「あぁ、そうだな」
まだはっきりとは聞こえないが興奮した声で女性がいい、男性が落ち着いた声で答える。
自分がどういう状況なのかわからず、困惑しているとまた女性が興奮した声で言う。
「ほんっっっとうにかわいいわね‼︎私たちのノヴァは‼︎」「そうだな。まるで天使だ」
よく見れば自分の手がとんでもなく小さくなっていることに気がついた。
ここまできて自分が赤子になっていることがようやくわかった。
このことから導き出されるのは自分が生まれる変わったということだ。
俗に言う転生というやつである。
(えええぇぇーーーーー‼︎)
確かに死ぬ直前に生まれ変わりたいと願ったが、実際に起きたことに驚きを隠せなかった。だがしかし、コレは彼にとって嬉しいことだった。
望んでいた第二の人生を歩むことができるのだから。
もう一度人生を歩めることに彼は喜んだ。
とりあえず今はとんでもない勢いで頬擦りをしてくる母親をなんとかしなければ。
◆◆◆◆
5年後
小さな街【グランベルク】
田舎ではないが都会とも言えるほど発展しているわけでもない。そんな街。
しかし街にはいつも冒険者や旅人などが毎日のように訪れており、いつも賑やかだった。
そんなグランベルクの少しだけ大きな一軒家の一室に彼はいた。
まだ幼さが残る整った顔に特徴的な紺色の髪、頭のてっぺんにあるアホ毛、キリッとした目、5歳児にしては大きい身長。
自室にある全身鏡をまじまじと見ながら少年はため気を吐いた。
「はぁ、なんでこうなったんだろ」
そう呟く少年は転生者にしてこの物語の主人公
名前を《ノヴァ・レイヴン》という。
転生してから5年が経った。
思い返すとこの5年間はとても大変だった。主に母親のことで。
親バカな母親はことあるごとに自分の世話をしたがるし、自分が何かをやるたびにハグやほっぺにキスなどのスキンシップをしてくる。特に「うちの子は天才よ‼︎」と近所の人たちに自慢するのは恥ずかしからやめてほしい。
前世も含めると20歳を超えるクストにとって母親の過度なスキンシップは親とはいえ、さすがに恥ずかしい。
しかし、とても大切にれているのはわかるので、そこは嬉しかった。
一方、父親は母親ほどの親バカではなくいつも優しく、ときに厳しく、いろいろなことを教えてくれた。しかし若干天然なところがあり、よく少しズレた発言や行動をしてしまう。そこはどうにかしてほしい。
閑話休題
父親のおかげでこの世界についてわかったことがいくつかある。
「とりあえず情報を整理しよう」
そう言いながらノヴァは部屋にあるベットに寝転ぶ。
柔らかい感触と少しの反発を感じながら手を頭の後ろで組み、天井を見ながら考える。
まずこの世界は前の世界とは全く異なるものであり、ネットや車などはないが、魔法や魔力などが存在するファンタジーな世界だった。
前世でいうところの「異世界」というものである。
そのため、この世界にノヴァが気になるものはたくさんあった。
その中でも特に「魔法」はとても興味を惹かれた。ノヴァにとって魔法というものは漫画やアニメと言ったフィックションにしか存在しない空想の存在であった。それがこの世界では当たり前のようにあり、自分も前世で読んだ漫画のように使える事にノヴァの少年心はとてもくすぐられた。
そして、ふと思う。
この世界にはもっと面白いものがあるのではないかと。
魔法や魔物、ダンジョンなど、前世では存在しなかったものが当然のようにあるこの世界では父にまだ教えられていない面白いものが沢山あるんじゃないか?
魔法より面白い
———見てみたい。俺の知らないもの全てを。
「よし、決めた‼︎俺はこの世界を自由に生きたい。
もう前世のような生き方はしないと心に誓い、2度目の人生をどのように生きるか決意したノヴァ。しかし、彼はまだ知らない。2度目の人生が1人の第七王子によってめちゃくちゃになることを。