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25巻の表紙のロイドかっこよすぎだろ。
【ノヴァのパンケーキ】
突然だが、好きな食べ物はあるだろうか?
誰しも自分の好きな食べ物があり、それは人それぞれだ。
好きな食べ物がない人間の方が少ないだろう。
そして意外なことに、三度の飯より魔術大好きな
それは――パンケーキだ。
パンケーキとは
小麦粉、卵、牛乳、ベーキングパウダー、水などを混ぜて、生地を丸く焼く料理のことである。
シロップやイチゴなどをトッピングするスイーツとして食べることもあれば、薄く焼いて朝食で食べたりなど、さまざまな食べ方がある。
その簡単な調理法や、食べやすい味などで老若男女、多くの人に愛されている食べ物だ。
「ってことで、パンケーキ作ってノヴァ」
「なにが、てことで何ですか」
時刻はちょうど昼の3時。
おやつの時間である。
いつもならこんなこと言わないが、今日はパンケーキが食べたい気分らしい。
どんな気分だよ、と心の中でツッコみながら疑問を口にする。
「なんで俺が作るんですか?メイドの誰かに頼んだ方がいいでしょ。味も確かですし」
「俺はノヴァの料理が気になるの。いいから作って」
「いや俺、料理得意じゃないんですが………」
「いいから作る‼」
「はぁ………」
こうなったらもうロイドはぶれない。
しかたなくパンケーキを作ることにした。
「先に言っておきますけど、味は保証しませんよ?」
「そのときはノヴァの給料を下げる」
「パワハラです」
そんなやり取りをしながらノヴァは調理場に行く。
ちなみに、まだ城の構造は完璧に把握しておらず、調理場まで行くのに15分かかった。
調理場で料理をしていたメイドに事情を話すと、同情の眼差しとともに快く貸してくれた。
料理は前世も今世もあまりしてこなかった。
得意ではないが、苦手でもない。
途中、砂糖と塩を間違えそうになった以外は問題なく作ることができた。
そんなこんなで、できたパンケーキをロイドに持っていく。
「お待たせしましたロイド」
「遅いぞ、お腹ぺこぺこだ」
「すいません。迷子になってました」
机に座ってワクワクしていたロイドの前にパンケーキを置く。
パンケーキを見たロイドは顔が真顔になる。
「どうしました?」
「……………普通だ」
ロイドは想像していたのは五段に積み重なって、ハチミツやいちごなど、豪華なトッピングされているものだった。
しかし、目の前に置かれたのは二段でハチミツとバターが少ししかのっていない、シンプルなものだ。
いつも食べ物にこだわりがないロイドだが、パンケーキだけには譲れないこだわりがあるらしい。
「それに大事なのは見た目じゃなくて味ですよ」
「まぁ、それもそうだな」
そう言ってロイドはナイフとフォークを手に取る。
器用にパンケーキを切り分けると一切れフォークで刺し、口に運ぶ。
「………どうですか?」
「……………普通だ」
「…………そうですか」
「いや、別にまずいわけじゃないよ。ただ、特別うまいわけでもないなくて………ホントに普通以外に言うことがないんだよね」
「…………(給料下がるかもしれない)」
この反応だと、ロイドは満足していないらしい。
これでは高確率で給料が下がるだろう。
さすがにそれは勘弁してほしい。
「けど……」
「?」
「………なんか落ち着く味だ」
メイドが作った方がずっと美味しい。
でもノヴァのつくったパンケーキは今まで感じたことがない不思議な味がした。
決して特別な味ではない。
しかし、ロイドはその優しい味がすごく心地よかった。
「俺このパンケーキ好きだ」
「………ならよかったです」
どうやら給料を引かれる心配はないようだ。
ノヴァは思わずほっと胸をなで下ろす。
「あ、でもオチないから給料下げるね」*1
「パワハラです」
結局、ノヴァの給料は2割カットされた。
【孫からの手紙】
ノヴァの故郷、グランベルク。
田舎と都会の中間のようなその街は、冒険者によってそこそこ賑わっている。
その街に住んでいる1人の老人、レヌウス・レイヴンは退屈そうにタバコを蒸していた。
数ヶ月前までは孫が毎日のように遊びに来ていた。
しかしその孫は旅に出てしまい、今では退屈な毎日を送っている。
「はぁ〜〜〜」
ため息と共にタバコの煙を吐き出す。
なにか面白いことはないのだろうか。
そんなことを考えていると玄関の扉が3回ノックされる。
一瞬ノヴァかと思ったが、すぐにその考えを否定する。
じゃあ一体誰だろうかと、疑問を抱きながら扉を開けると見知らぬ若い男が立っていた。
「失礼、レヌウス・レイヴン様でいらっしゃいますか?」
「あぁ、そうだ」
「ノヴァ・レイヴン様より、お手紙をお預かりしております」
「‼︎」
孫の名前が出てきてレヌウスは驚く。
手紙を書くとは言っていたがまさかこんな早く送られてくるとは思っていなかった。
差し出された手紙を受け取り、受領の書類にサインをすると男は一礼して帰っていった。
一体なにが書いてあるのだろうかと、ワクワクしながら手紙を開いた。
そこには、自分が旅人をやめてサルーム王国の王子の護衛になったこと、その王子についてのこと、旅の途中で会った親友のことなど、たくさんのことが書かれていた。
「ワッハハハハハハ‼︎」
全部読み終えたレヌウスは大笑いをした。
自由が大好きだった孫が自由と真逆の職に就いたことの驚きと、孫の成長。
それらがおかしくて、嬉しくて、笑いを堪えることができなかった。
笑いが収まると手紙をしまい、そのまま余韻に浸る。
そしてふと冒険者時代にパーティを組んでいた後輩を思い出す。
「サルームならあいつがいるな。もしかしたらノヴァも合うかもしれないな」
確か今では、騎士団に所属しているはずだ。
運が良ければノヴァも会えるだろう。
「しかし、懐かしいな。アイツと最後に会ったのは10年以上前か」
レヌウスは遠い昔を懐かしむように目を細めた。
「何してんだろうな
レヌウスについて知らない人は2話を読みましょう。